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UltraSPARC T1と他社製プロセッサ省電力へのアプローチの違い 2006年5月 -- サンがUltraSPARC T1プロセッサを発表して以来、各社とも新プロセッサの特長として「省電力」といった言葉を使うようになってきました。ところが、「省電力」という言葉は同じでも、そのアプローチと実際の効果において、UltraSPARC T1プロセッサと他社製プロセッサには少なからず違いがあります。その違いを分かりやすく説明します。 性能と消費電力は比例する、という常識
それらの中でも触れましたが、これまでのプロセッサ設計の常識としては、一般に性能を向上させようとすれば消費電力も増大する、という相関関係がありました。厳密ではありませんが、「性能向上と消費電力は比例する」という傾向があるのです。(図1)
では、この常識に対して、サンおよび他のプロセッサ・メーカーはどのようなアプローチで省電力を実現したのでしょうか?
デュアル・コアの利点と限界
図2のAに示すようなアプローチ、すなわち性能を抑えることによって消費電力を低減する、という考え方は、ノートPCのように、そもそも極度に高い性能が必要ない、という場合には有効ですが、データセンターや企業の中核システムにおいては、むしろ逆効果となる可能性があります。実際、このようなアプローチのプロセッサはノートPCなどに搭載されていて、サーバ用途としては一般的ではありません。
次に考えられるアプローチとしては、性能向上の方向へのアプローチです。最近の流行となっているデュアル・コアはその典型となります。コアを二つ実装することで性能を二倍近くまで向上させる、という極めて分かりやすい狙いですが、その時の消費電力に関しては一律には語れません。
次に、図3のCのアプローチでは、「性能は倍近く、消費電力はそのまま」が実現されています。製造プロセスの微細化や周辺回路の共有などにより、デュアル・コアであっても消費電力の増大を抑えています。この場合、Bと同等のサーバ台数削減効果に加え、サーバ1台あたりの消費電力がさらに低くなることが期待できます。
現在世の中にある多くのデュアル・コアのプロセッサはBとCの間に位置するアプローチを取っています。矢印の長さや方向は微妙に異なるとしても、大枠ではB、Cと同種のアプローチと言っても良いでしょう。デュアル・コア化による理想的な電力消費効率は2倍ですが、逆に言うと、デュアル・コア(コア内のマルチスレッドを含まない)の限界が2倍ということでもあります。
UltraSPARC T1:マルチ・コア、マルチ・スレッドによるブレイク・スルー
ご存知のようにUltraSPARC T1は数年前のプロセッサと同等レベルの消費電力で、8コア、コアあたり4スレッド、合計32スレッドの実行能力を持ちます。そして、「UltraSPARC T1プロセッサ:低消費電力の理由」で述べたように、16倍もの性能向上を果たしています。それを図示すると図4のDのようになります。 DをB、Cと見比べると、そのアプローチの違いが直感的に理解できると思います。UltraSPARC T1のアプローチは他に例のないユニークなものです。ネットワーク・コンピューティングの負荷を分析し、それに最適なアーキテクチャとしてマルチ・コア、マルチ・スレッドを採用し、消費電力をそのままに性能を飛躍的に高めることに成功しました。そしてその結果、プロセッサ単体での単位消費電力あたりの性能を改善しただけではなく、絶対的かつ飛躍的な性能改善の効果として、サーバ台数の劇的な削減を実現します。 局所的な「プロセッサの省電力」は重要ではない薄型のラックマウント型サーバの場合、最も多くの電力を消費するコンポーネントはプロセッサですが、それでも全消費電力の半分程度かそれ以下でしょう。また、サーバ台数の削減を伴わない、プロセッサだけの省電力では、その効果は局所的で微々たるものと言わざるを得ません。 新しいプロセッサの特長として「省電力」が主張されることが多い昨今ですが、それが本当にみなさまの実運用環境において大幅な省電力をもたらすか否かは、なかなかわかりにくいものです。それを見極めるためのひとつの指標として、本稿で考察したように、アプローチ方法の違いを考えてみてはいかがでしょうか?
もちろんサンとしては、サーバ台数を大幅に削減できるような性能を持ったUltraSPARC T1プロセッサと、UltraSPARC T1を搭載したSun Fire T1000/T2000こそが、本当の省電力を実現できるプロセッサでありサーバであると確信しています。
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