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トピックス - 2006年
スコット・マクニーリ来日講演

2006年12月 -- 12月8日、米国サン・マイクロシステムズ社 会長のスコット・マクニーリが来日し、「第12回 Japan Education and Research Conference」で教育関係者や主要パートナーに対して講演を行いました。スコットは現在の自分の役割、サンや業界の動向や今後の取り組みについて次のように語りました。

日本に来たのは1年ぶりとなりますが、今日は教育関係や主要パートナーの皆様に現在の私やサンの役割などについてお話したいと思います。

さて、サンはおよそ25年にわたって教育・研究の分野とかかわりがあることをご存知でしょうか。サンはスタンフォード大学の学生3人とカリフォルニア大学バークレー校の学生1人とで創業した会社です。サンの社名は「スタンフォード ユニバーシティ ネットワーク」の頭文字をとったものです。この名前が表しているように、サンは常に教育・研究の関連分野に対してコミットしたいと考えています。

現在の私の役割を説明したいと思います。今年の4月に私はCEOから、会長となりました。1984年に就任してから以来、22年もの間CEOだったことになります。今はスタッフミーティングやSOX法対応、社員の昇進や昇給といったCEOの仕事を全てジョナサンに任せ、だいぶ楽をさせてもらっています。ジョナサンに頑張ってもらっている一方、私は世界中を旅して、パートナーやサプライヤー、各国の政府の人々にお会いしています。これは私がジョナサンから3つのミッションを与えられているからです。

1つは、政府関連の仕事を拡大させること。2つめはトップ50のパートナーのビジネスを成長させること。3つめは日本との関係を強化させることです。したがって、今後は以前よりも多く来日することになると思います。いずれにせよ、現在は非常に楽しく仕事をしており、引き続きサンに貢献できる立場であることを大変嬉しく思っています。

最近のサンの業績には、とても満足しています。ITバブルが崩壊した後、「サンは終わった」と多くの人が言いました。しかし、現在の業績はそうした人々の発言が間違いであったことを示しています。サンは3四半期連続でマーケットシェアを拡大していますし、キャッシュフローも48億ドルと非常に安定しています。売上高や年間の研究開発費、Java搭載デバイスの普及数などいずれの数字も良い傾向となっています。

さらにStorageTekを買収したことにより、世界のデータの37%がサンのプラットフォーム上に格納されることとなりました。これは素晴らしいことですが、サンが責任ある立場となったことをも意味します。

サンの業績だけでなく、市場そのものも成長を続けています。毎週300万人が新たにネットワークに接続しています。もちろん、トランザクション量も増え続けています。日本ではNTTドコモが、新たに1700万台のJava搭載携帯端末を出荷しています。さらに、アメリカでは法規制により、企業にデータの削除を禁止しています。

現在のところ毎秒400Gのデータが発生していると言われていますが、データ削除が行われないため、必要となるストレージは増加する一方です。世界のデータの37%をもつ私たちにとってはとても良い傾向と言えます。日本の皆様にもデータは削除せずに保存しておいて欲しいと思います。もちろん、私たちはデータの保存や活用をサポートすることもできます。

ITバブルは弾けましたが、インターネットの成長は止まっていません。突拍子もない予測をしていた人々の想像ほどではないにせよ、成長は続いています。この成長の結果を「Web2.0」と呼ぶ人もいますが、私たちはParticipation Age(参加の時代)と呼んでいます。

教育関係者の皆様はキャンパスでこの傾向を強く感じているかもしれません。ただクリックしてWebサイトを閲覧するだけの時代は10年前の話です。今はインスタントメッセージやブログ、ポッドキャストなど様々なインターネットの利用方法があります。自らマッシュアップでコンテンツを作ることもできますし、携帯電話で撮影した写真や動画をサイトに投稿することで、ネットに参加することも簡単にできるようになりました。
この傾向は今後も続き、インターネットでは今よりもさらに多様な活用方法が現れてくると思います。

もちろん、マイナス面もあります。一度ネットに投稿してしまった情報がアカウントを削除してもネットの中に残り続けてしまうという現象はその一例です。たとえば、酔った勢いで不適切な情報をネットにアップしたとしましょう。あとでその情報を消そうとしても、それはずっとネット上に残り続けてしまう可能性があるのです。さらに、プライバシーの問題やフィッシングといった犯罪も存在しています。しかし、こうしたマイナス面があるとはいえ、私は人々がネットに接続し利用されていくことは素晴らしいことだと考えています。

現時点で、世界の全ての人々がネットに繋がるにはまだ時間がかかります。毎週300万の人々が新たにネットに接続していると申し上げましたが、この状態が続いても2007年末の時点で世界の4分の3の人々はまだIPネットワークに触れていない計算となります。ネットのある生活に慣れている私たちにはなかなか想像もつかないことです。

私たちは世界の誰もがネットに接続して欲しいと願っています。しかし、それはメインフレームに繋がって欲しいと思っている訳ではありません。そうかと言って60億の全ての人々にデルのコンピュータが行き渡ったら、膨大な電力が消費され、二酸化炭素の排出量も圧倒的に増えるでしょう。また、世界の多くの人がシステム管理者になる必要がでてきます。

私たちはこうした問題を解決する幾つかの手段を持っています。もちろん、私たちだけで全ての問題を解決できるわけではありません。しかし、地球温暖化とシステム管理の悪夢から皆さんを解放するための手段は持っているのです。

その手段の1つはシェア、つまり共有というコンセプトであると思っています。“Sun”の“S”はシェア(Share)を意味しています。私たちはすでに3000万行におよぶソースコードを公開し、今後も可能なものは全てをオープンソース化したいと考えています。先月の私の誕生日(11月13日)にはJavaのオープンソース化も実現しました。わたしたちはJavaの開発に膨大な投資を行ってきましたが、これをGPLのライセンス形態でオープンソース化したのです。

さらに私たちはマイクロプロセッサもオープンソース化しています。このマイクロプロセッサ、UltraSPARC T1もオープンソース化されているのです。オープンソース化されたことにより、世界中の大学のコンピュータ科学の講義で、UltraSPARC T1がCPUアーキテクチャとしてのリファレンスとして教材となっているのです。

このような積極的な姿勢に対して、しばしば「なぜオープンソースにするの?」と聞かれることがあります。こうした質問に対して私は「オープンソース化には3つのメリットがある」と答えています。
まず、参入障壁が少ない、ということ。研究者であれ、開発者であれ、革新を起こしたい人たちにサンの技術を無償で使っていただきたいのです。

2つめの理由、それは運用コストを継続的に低減させていくことです。現在、コミュニティ全体がオープンソース化したSolarisの改良にあたっています。また、SPARCをもっと強力なチップにするための努力を続けています。私たちの開発投資は、約20億ドルですが、オープンソースにおけるコミュニティの力を結集すれば20億ドル以上の価値を生み出すことができるのです。

3つめは出口障壁(Barriers to Exit)が低くなることです。じつは、技術のもっともコストのかかる部分というのは購入コストでもなければ、運用コストでもないのです。技術が陳腐化した際に、その技術を排除するコストが出口障壁となり、最大のコストとなります。オープンソース化された技術を使うと、この出口のためのコストが非常に低くなります。

ITの世界における大きな問題の1つが消費電力です。ガートナーの調査では、データセンタの40%のコストは電気代です。電気を消費するということは、二酸化炭素を大量に放出することになります。したがって、地球環境という意味ではデータセンタにおける電力消費の問題は大変重要です。この問題に様々な対処方法を考えています。消費電力が4WであるシンクライアントのSun Rayは、対処方法の1つです。消費電力200Wのパソコンよりもシンクライアントのほうが環境に優しいことは明らかです。

また、消費電力の少ないUltra SPARCも対処方法の1つです。実際に、1スレッドあたり2Wの消費電力であるUltra SPARCは、現在もっとも売れている商品です。

システムの複雑化も大きな問題です。私たちはこれを“フランケンシュタイン”と呼んでいます。システムを構成するに必要なパーツは40以上もあります。ベストオブブリードと称しEMC、VERITAS、NECなどから最高のパーツをかき集め、それらをボルトで接続し、まるでフランケンシュタインを作り上げるかのようにシステムを組み上げる。こうした複雑なシステムは出口コストが非常に高くなります。

なぜならばベストオブブリードというコンセプトで作り出されたシステムは、オープンスタンダードから非常に遠いアーキテクチャとなり、次世代のプラットフォームへの移行が困難となるからです。私たちはサンが抱えるSolarisSPARCなどのオープンスタンダード技術を優秀なエンジニアに活用して欲しいと願っています。

私たちは共有グリッドコンピューティングのサービスも既に実現しています。残念ながらアメリカの法律により日本からは使えませんが、アメリカからならばhttp://www.network.com/にアクセスしてもらえれば、誰でもスーパーコンピュータを1時間あたり1ドル/CPUで利用することができます。

ここでは、核関連の計算以外は流体力学や動画の解析など、何でも実行できます。このサービスはタクシーを想像してもらえると分かりやすいのですが、タクシーを拾い、目的地について料金を精算する。車を購入する必要もメンテナンスもガソリンの費用も必要ありません。これはIT業界の新しいモデルです。今後はアジアでも同様のサービスを立ち上げたいと考えています。

初めて聞く方は奇妙に思うかもしれませんが、私たちはコンテナの中にデータセンタを入れてしまいました。これがProject “Blackbox”です。もともと、大型のコンピュータは組み上げた状態でお客様にお届けしたいと思っていました。そこから発想を転換させ、1つのコンテナにどれだけのマシンが入るだろうか、あるいはコンテナから出さなくても使えたらどうだろうか、と考えたことがブラックボックスのコンセプトの始まりです。防火対策や冷却装置など全てを組み込み、そのまま使える、移動も行えるデータセンタです。このアイデアは便利なだけでなく、環境面でも大きなメリットがあります。ブラックボックスは空調を含めて、全ての機器が最適に配置されているため、とても効率的にエネルギーを活用できるのです。

ブラックボックスの設置は当然簡単です。搬出の際に梱包する必要はありません。トラックを呼ぶだけでいいのです。これにより、データセンタの設置の時間は10分の1になります。もちろん、その分コストも削減できます。

ブラックボックス  ブラックボックス   ブラックボックス

移動や設置が簡単となりますので、デジタルデバイドの解消にも活躍できます。災害地や開発途上国へのデータセンタの設置にはとても適したインフラとなるでしょう。

本日はシェアやオープンソースによって、サンがどのようにその役割を担っていくかをお話いたしました。
ここで1つお願いです。この席には教育関係の方が多くいらっしゃると思いますが、ぜひ優秀な技術者をサンに送ってください。また、優れた能力を持つ技術者にサンの技術を知ってもらうために、ぜひサンの技術を導入して頂きたいと思います。

私たちは様々なコラボレーションを行っています。もちろん教育関係の皆様とのコラボレーションもあります。アジア最速のスーパーコンピュータの開発にもサンはコラボレートいたしました。12月4日にはその電源をオンにするために東京工業大学に行きました。こうした素晴らしいコラボレーションにもサンは継続して投資してきます。ぜひ、このようなサンの取り組みをご理解頂ければと思います。

2006年5月に開催されたグリッド協議会主催の「Grid World 2006」。グリッド協議会の会員でもあるサンは「Eco Grid」をテーマに省電力・低発熱のCPU“UltraSPARC T1”やCool Thread サーバなどを展示しました。この展示のユニークさに対して「Good Exhibit Award」がスコット・マクニーリ会長に贈られました。プレゼンターのグリッド協議会会長 関口智嗣氏からは「地球に優しいITというグリッドのコンセプトを実現したことが素晴らしい」との言葉を頂きました。


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