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第18回 NSUGシンポジウムレポート~基調講演より~
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日本サン・ユーザ・グループでは、毎年多彩な講師陣をお招きして、最新のIT技術動向について解説してもらうNSUGシンポジウムを開催しています。
今回は9月22日に開催された第18回NSUGシンポジウムをレポートします。

最初の基調講演では、国内最速の処理能力を持つスーパーコンピュータとなった東京工業大学の「TSUBAME(Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment)」が、同大学学術国際情報研究センターの西川武志特任助教授(産学官連携研究員)から紹介された。この講演では、TSUBAMEの基本構成や性能評価といった技術的な話題に加えて、大規模システムをどのような戦略によって一大学の予算で調達したのかというプロジェクトリーダに大変参考になる話題についても触れられた。

TSUBAMEは、東工大キャンパス・グリッド(Titech Grid)(2002年3月からサービス開始)の後継として開発されたスーパーコンピュータである。2006年3月に構築され、10月より本格運用を開始した。Sun Fire X4600を中心に構成された「PCクラスタ型」のスーパーコンピュータは、そのピーク性能が85テラフロップスであり、これは地球シミュレータの35テラフロップスを抜き、現在の国内最高速である。TSUBAMEは、655ノードで10480のCPUコアのSun Fire X4600、21.4テラバイトのメ モリ、360枚のClearSpeed Advanced Accelerator Boardを搭載し、1.1ペタバイトのディスク容量(Sun Fire X4500が42ノード、NEC iStorage S1800ATを1台)を持つストレージが、Sun Fire X4600にノード当たり2本の10GbpsのInfinibandで接続され、非常にバランスの良いシステムとなっている。

スーパーコンピュータというと一般ユーザは特殊なイメージを抱いてしまうが、TSUBAMEは「みんなのスパコン」というコンセプトのもとで、誰もが簡単に利用できるような設計がなされている。例えば、全学教育研究で活用するために、各研究室とスーパーコンピュータがシームレスに接続され、キャンパス共通認証・認可システムの導入とポータル化によって簡単にアクセスすることができる(WebMOという量子化学プログラム向けのポータルを利用したTSUBAME ASPが既に実装済)。また、ファイルシステムには、Lustreという分散共有ファイルシステムを採用し、多数のユーザが同時に利用しても、高性能を維持できるアーキテクチャとしている。なお、すでに7月より全学を対象としたストレージ提供サービスが始まっている。また、学外利用も積極的に進められており、産学連携や一部大学との連携が開始されたという。

TSUBAMEの性能は、今年6月に発表された今年の世界スーパーコンピュータのトップ500ランキングにおいて、第7位(38.18テラフロップス、Linpackベンチマークにて)を記録した。これは、アジア・パシフィックにおいて最高速に位置づけられる。また、安定性にも優れており、TOP500において最長時間のLinpack実行時間を記録している。すでに実運用が始まっているが、計画停止を除いて、現時点で甚大な影響を及ぼすようなサービス停止はないという。

こうした大規模システム構築の構築期間(旧型マシンの撤去からハードウェアの設置)はわずか1ヶ月。講演では設置作業時のあわただしい様子が写真で紹介されたが、その作業はまさに綱渡り状態だったという。しかし、西川氏によると、TSUBAMEの確かな調達戦略が短期間でのシステム構築を実現できた成功要因であったという。具体的には、「標準部品・製品の活用」「4~6年間利用可能な技術の選択」「拡張性に優れたアーキテクチャ」「少ない予算へのチャレンジ」などをあげている。例えば、予算に関しては、地球シミュレーターに比べて、20分の1の予算で、しかも2倍以上高性能なスーパーコンピュータが実現できたという。

本格的な運用が始まったばかりのTSUBAMEであるが、すでに次の目標へ向けて着々とプロジェクトは進行している。2010年に1ペタフロップスを達成することが目標として掲げられている。国内外の大学・研究機関の情報基盤や人材育成の場として、さらなる発展が期待される。

続いて、OpenSolarisプロジェクトのコミュニティマネージャを務めるJim Grisanzio氏(Engineering Community Manager, OpenSolaris , Sun Microsystems, Inc.)により『OpenSolarisプロジェクトの成果と展望』というテーマでOpenSolarisプロジェクトの活動状況や成果、また、今後の技術的に重要なロードマップが紹介された。

OpenSolarisは2005年初めにリリースされたSolaris 10の開発版ソースコードをCommon Distribution and Development License(CDDL)というライセンスのもとで公開したものである。昨年6月にはOpenSolarisプロジェクトの活動が正式にアナウンスされ、約1年が経過した現在、登録メンバー数は16,000以上、45のプロジェクト、45のコミュニティ、35のユーザグループ、そして、140ものメーリングリストやディスカッションフォーラムが開設され、活発な活動が行われている。その成果は、Solaris10のZFSやBrandZといった重要機能の開発にフィードバックされ、さらに、OpenSolarisをもとにした製品やディストリビューション(例:SCHILLIX、Polaris、BeleniX、Nexentaなど)も提供されつつあり、新規マーケットの開拓という点でも大きな成果をもたらしている。

このOpenSolarisの価値とは何なのか。Jim Grisanzio氏は2つの価値があると述べている。1つはSolarisそのものの価値である。セキュリティ、可用性、管理性、性能、マルチプラットフォームなど、Solarisの優れた技術そのものが価値ということである。しかも、これらの言葉はOpenSolaris.orgなどのWebサイトやフォーラムなどを通じてSolarisのエンジニア自身が語っているという点が単なるマーケティング・メッセージと異なる点である。そして、もうひとつの価値として、誠実さ、透明性、中立性といった特徴を持つコミュニティとしての価値をあげている。これらの2つの価値が一つの体系に融合されている点がOpenSolarisの価値であるとJim Grisanzio氏は強調していた。

世界中で盛り上がりを見せるOpenSolarisコミュニティ。講演の最後の話題として、日本におけるOpenSolarisプロジェクトの活動が触れられた。世界的にOpenSolaris.orgやフォーラムへのアクセスが増える中で、日本からのアクセスは常に上位を占めており、日本市場のSolarisへの関心は確実に高まってきている。Jim Grisanzio氏は、今年7月に活動の拠点をサンフランシスコから日本に移し、現在サンの横浜オフィスに在籍している。ここでは、日本のエンジニア、ISVパートナー、エンドユーザなど多くの人と議論することで、どのようにすればOpenSolarisが活性化するかを模索している。具体的には、ドキュメントの翻訳、メーリングリスト、フォーラムの立ち上げ、サンのユーザやパートナーとの連携、大学との連携などはすでに検討段階とのことである。

さらに、Jim Grisanzio氏は、「日本 OpenSolarisユーザグループ」の計画も紹介した。このユーザグループでは、日本ならではの市場特性を考慮したOpenSolarisマーケットの開拓と発展が目標として掲げられている。日本のお家芸といってもよい「携帯電話」にSolarisを搭載するようなことを話題を出したらおもしろいのではないかと思っているとのことである。

日々進化するOpenSolarisが、今後どのような面白いそして実用性のあるパフォーマンスを提供してくれるのか、大きな期待感を抱かせる講演であった。

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