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街に飛び出せ!Solarisでモバイルする
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前回まではSolaris 10をノートPCに入れたりデュアルブートにしてみたり、Windowsのソフトを使う方法を模索したりしてきましたが、今回はSolaris 10を入れたノートPCを、自宅以外に持ち出して使う方法を実践してみましょう。
尚、今回は設定が主ですので画像がありません。ちょっと寂しいページになっていますがご容赦を。

Solaris 10の入ったノートPCでモバイルする場合、一番問題になるのが通信環境です。市場に出回っているモバイルデータ通信用メディア(auのPacketWIN、WillcomのAirH”等)は殆どがWindowsやMacintoshしかサポートしていません。それら以外のOSでモバイル通信をしようとすることはそれなりの技術力とノウハウが必要となり、なかなかWindowsやMacintosh以外の環境でモバイルをする人を見かけることがありません。

でも、Solaris 10では平行して進められているOpenSolarisコミュニティの力を借りることで、どうにかモバイル環境を作ることが出来、しかも簡単に使うツールまでも使うことが出来ますので、ここは一発!!、折角ノートPCにSolaris 10をインストールしているのですから、色々と試行錯誤しながらやってみましょう。

モバイルデータ通信用メディア(auのPacketWIN、WillcomのAirH”等)は、PCカード又はコンパクトフラッシュタイプのカードが多いので、今回はそれらを使用してモバイル環境を作ることにしますが、このPCカードが現在のSolaris 10(11/06も含む)では上手く扱うことが出来ません。その為、まずOpenSolarisコミュニティから「Cardbus Driver With Support For 32-bit PC Cards」を入手します。

ここで注意しなければならないのは、Cardbus Driver With Support For 32-bit PC Cardsで用意されているドライバの中のVersion 0.2(works with S10 and pre-snv_37)を使わなければならないことです。新しいバージョンがあるのに何故と思いますが、Solarisのビルドのバージョンによって使えない機能がありますので、Solaris 10や古いビルドのOpenSolarisを使う場合には、Version 0.2を使うことになる訳です。これを間違えてVersion 0.2より新しいものを使用した場合、PCカードデバイスが上手く動作しないことがありますので、動きが変だという場合はまずここを疑って下さい。
ダウンロードしたドライバパッケージは、以下の手順で展開とインストールを行います。

# gzip -cd cardbus-0.2bin.tar.gz | tar xvf -
# cd cardbus-v0.2/
# ./Install
post snv14 detected
=> Backing up existing 32-bit drivers
/kernel/drv/pcic.bak
/kernel/drv/pcic.conf.bak
/kernel/misc/pcmcia.bak
<= Done
=> Installing new 32-bit drivers
/kernel/drv/pcic
/kernel/drv/pcic.conf
/kernel/misc/cardbus
/kernel/misc/pcmcia
<= Done
=> Backing up existing 64-bit drivers
/kernel/drv/amd64/pcic.bak
/kernel/misc/amd64/pcmcia.bak
<= Done
=> Installing new 64-bit drivers
/kernel/drv/amd64/pcic
/kernel/misc/amd64/cardbus
/kernel/misc/amd64/pcmcia
<= Done
Please reboot your system.
#

インストールが終了すると再起動を求めて来ますので、メッセージに従いrebootコマンドを使用してシステムを再起動します。再起動後はPCカードが使える様になっているはずです。

PCカードコントローラによっては、このドライバを適用しても動作しないものがあります。動作するかしないかはドライバのWebページに記載されている「Laptops known to work」を参照し、そこに記載されているノートPCで使われているPCカードコントローラと自分のSolaris 10をインストールしたノートPCのPCカードコントローラを比較する等して、調べると良いでしょう。該当するものが無い場合、ドライバを適用しても動作しない確率が高くなります。

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Cardbus Driverのインストールが完了したら、とりあえず使用するモバイルデータ通信用カードをPCカードスロットに挿入してみましょう。Windowsの様に画面の右下に吹き出しがどんどん出ることはありませんが、無事にモバイルデータ通信用カードが認識されるとカードに付いているアンテナのランプが点灯するはずです。
またprtconf -vコマンドを使用して実際にモバイルデータ通信用カードが認識されているのも確認しましょう。

# prtconf -v | grep serial
                  serial, instance #0
                            value='serial'
                            value='pccard,SII,PHS_AH-S405C,' + 'pccardc01e,0' + 'pccard,serial' + 'serial'
dev_path=/pci@0,0/pci8086,2448@1e/pci10cf,117c@a/serial@0:pcser

dev_path=/pci@0,0/pci8086,2448@1e/pci10cf,117c@a/serial@0:pcser,cu

#

この様に表示されればデバイスは認識されています。
また、以下のコマンドを使用して、実際に動作するかも確認しておきます。モバイルデータ通信用カードは/dev/cua/pc0として認識されていますので、

tipにより通信が出来ることが確認出来たら、Solaris 10でモバイルデータ通信の事前準備は完了です。

prtconf -vでデバイスは認識されているのにtip /dev/cua/pc0を実行すると固まってしまう場合、使用しているノートPCのカードサービスが上手く動作出来ていません。(カードサービスがdriver not attachedになっているはずです。)もしこの様な状態になった場合、乱暴な方法ですが、PCカードを抜くと固まった状態から抜け出すことが出来ます。

ただ、この状態になるノートPCではSolaris 10でモバイルデータ通信は出来ませんので、OpenSolarisのコミュニティリリース版やSolaris Expressをインストールして動作するか確認して下さい。Solaris 10では動作しないものも、OpenSolarisのコミュニティリリース版やSolaris Expressでは動いてしまうものが多くあります。

尚、Solarisに詳しい方であれば、update_drvコマンド等を使用して、デバイスにドライバを設定出来るかもしれません。

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auのPacketWIN、WillcomのAirH”等を利用するには、それぞれのネットワークにダイヤルアップする必要があります。そこで、ダイヤルアップ出来る様にPPPの設定を行っていきましょう。基本的には以下のファイルを作成するだけです。

PPPの設定に必要なファイル
/etc/ppp/myisp-chat
ダイヤルアップする際のピア間の実際の対話を記述します。接続先ISPを識別させるユーザ指定の名前を持つファイルです。
/etc/ppp/options
スーパユーザ以外もダイアルアップ出来る様にする為に必要なファイル。空のファイルでも可。
/etc/ppp/peers/myisp
connect後の処理を記述します。ISP毎に作成します。
また、必要に応じて以下のファイルを修正します。
/etc/ppp/pap-secrets
connect後の処理でユーザ名やパスワードを必要とする場合に記述します。1つのmyispに対し1行ずつ作成します。

記述方法はdocs.sun.comにあるドキュメントのSolarisのシステム管理(ネットワークサービス)に詳細が書かれていますが、2つ程サンプルを記載します。

1. Willcom AirH"を使用し、prinサービスに接続する場合(PHS)
  • /etc/ppp/prin-chat
  • ABORT   BUSY
    ABORT   'NO CARRIER'
    REPORT  CONNECT
    TIMEOUT 10
    "" ATZ
    ""      "AT&F1"
    OK      "AT&C1&D2"
    SAY     "Calling prin¥n"
    TIMEOUT 60
    OK "ATDT0570570711##64"
    CONNECT ¥c
    
  • /etc/ppp/options
    これはコマンドで空のファイルを作成します。
  • # touch /etc/ppp/options
  • /etc/ppp/peers/prin
  • updetach
    /dev/cua/pc0
    115200
    noipdefault
    usepeerdns
    defaultroute
    idle 120
    noauth
    lock
    name prin
    connect "/usr/bin/chat -f /etc/ppp/prin-chat"
  • /etc/ppp/pap-secrets
  • prin prin  prin  *
2. auのpacketWINサービスに接続する場合(パケット通信)
  • /etc/ppp/au-chat
  • ABORT   BUSY
    ABORT   'NO CARRIER'
    REPORT  CONNECT
    TIMEOUT 10
    "" ATZ
    ""      "AT&F1"
    OK      "AT&C1&D2"
    SAY     "Calling PacketWIN¥n"
    TIMEOUT 60
    OK "ATDT*99**24#"
    CONNECT ¥c
    
  • /etc/ppp/options
    これはコマンドで空のファイルを作成します。
  • # touch /etc/ppp/options
  • /etc/ppp/peers/au
  • updetach
    /dev/cua/pc0
    115200
    noipdefault
    usepeerdns
    defaultroute
    idle 120
    noauth
    lock
    name au@au-win.ne.jp
    connect "/usr/bin/chat -f /etc/ppp/au-chat"
  • /etc/ppp/pap-secrets
  • au@au-win.ne.jp au  au *

これらのファイルを用意すれば、pppでの接続準備は完了です。

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あとはpppdを使用してダイヤルアップするだけです。

$ pppd call prin
Calling prin
chat:  Jan 07 00:12:15 CONNECT 115200
Serial connection established.
Using interface sppp0
Connect: sppp0 <--> /dev/cua/pc0
LCP: Rcvd Code-Reject for Identification id 240
local  IP address xxx.yyy.zzz.www
remote IP address www.xxx.yyy.zzz
primary   DNS address yyy.zzz.www.xxx
#

この様に、あっと言う間にダイヤルアップが出来ました。
(auの場合は、pppd call au ですね。)

ずっと設定と接続のことを書いてきましたが、終了方法を説明していませんでした。ダイヤルアップ接続を終了させるには、通常のプロセスをkillするコマンドのpkillコマンドを使用します。

# pkill -x pppd

これだけです。無事に終了出来たら、PCカードスロットからモバイルデータ通信用カードを取り出して下さい。

今回はOpenSolarisコミュニティのパッケージを使用しましたが、動作の可否はOpenSolarisコミュニティに報告をしましょう。これからのドライバ等の改善に役立つことでしょう。
またいつも書いていますが、新しいハードウエアにSolaris 10のインストールが出来ましたら、是非HCL for Solaris OSに報告しましょう。これからチャレンジする人には、強い助っ人になることと思います。サーバだけではなくクライアントでもSolaris、広がるといいですね。

本記事は、サンのユーザ様自らの体験をお寄せ頂いたものであり、サン・マイクロシステムズ社としての公式情報ではありません。
※著者のタイトル、所属等は、執筆当時のものであり、現在と異なる場合があります。
また、日本サン・ユーザ・グループは2007年6月をもって休会しております。

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