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GridWorld 2007レポート ~サンのグリッド技術がHPCの進化に貢献~
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2007年5月30~31日に、グリッド・コンピューティング関連技術のシンポジウムと展示会「GridWorld 2007」が東京・国際フォーラムで開催された。グリッド・コンピューティング(数多くのコンピュータをネットワークを介して結び付ける手法)は高性能計算(HPC:High Performance Computing)を実現する基幹技術であり、サン・マイクロシステムズは従来から積極的にHPC技術に取り組んできた。GridWorld 2007では2件の講演を実施するとともに展示会に参加し、取り組みの具体的な内容をアピールした。

31日午前に開催された基調講演セッションでは、「Grid Grows Up ~成長するグリッド~」と題してサンのHPC and Integrated Systemsでディレクターを務めるBjorn Andersson(ビヨルン・アンダーソン)氏が講演した。

アンダーソン氏はまず、全世界の経済成長率が年平均4%ほどであることを示した。世界経済は着実に成長している。ただし、マイクロプロセッサの性能向上を示すムーアの法則(Moore's Law)に比べると、成長率そのものはかなり低い。マイクロプロセッサの高性能化によるコンピューティング・パワーの増大ペースは、一般的なアプリケーションが要求する性能向上のペースに比べると過剰になっている。このため、ベンダーにとっての市場拡大がそれほどは望めないものになってきた。これをアンダーソン氏は、天文学の用語で「ブルー・シフト」(宇宙の収縮によるスペクトルのずれ)が起きていると表現した。

一方でムーアの法則よりも、はるかに高速に成長している分野、すなわちHPC(High Performance Computing)やWeb 2.0などの市場が存在している。こちらは「レッド・シフト」(宇宙の膨張によるスペクトルのずれ)が発生しており、性能向上への要求が極めて強い。そしてサンは、この分野に向けた数多くの技術を保有している。それは長年の研究開発による技術の蓄積があるからだ。

1982年にサンは、ネットワークを駆使した高性能コンピュータの開発を始めていた。当時はまだ、グリッドという言葉はなかった。業界標準のCPUとストレージ、ネットワークを利用してHPCの環境を構築しようとしていた。この考え方は現在と変わらない。

当時は、サーバ群に対してユーザが自分のジョブをどのサーバに投入するかを決めなければならなかった。サーバ間で負荷のバランスを取るのはユーザの業務だった。そこでサンは、バーチャルなコンピュータ・エンジンによってサーバ間の負荷のばらつきを減らし、ユーザはジョブを投入するだけ、というシステムを提供することにした。「Compute Ranch」(計算牧場)という考え方である。

「Compute Ranch」の実装は1990年代にサン社内で進んだ。1990年代後半には、お客様への提供も始めた。1999年にGridwareを買収し、2000年にグリッドの管理ソフトウエア「Sun Grid Engine」をリリースした。2001年には「Sun Grid Engine」をオープン・ソース化した。2003年にはラックベースのグリッドを提供し始めた。

ここでアンダーソン氏はグリッド技術に話題を戻し、グリッド・コンピューティングは三つの応用分野で使われていくと述べた。最初に使われたのが、HPCである。HPCはスループットを重視しており、非常に長大なジョブを数日~数週間にわたって処理する。またリソースを自動的に最適配分することが求められる。

将来に使われる分野が、E-OLTPである。数多くの短いジョブを次々と処理する。ジョブを投入すると数秒以内に結果が返ってくる必要がある。またきわめて素早いスケジューリングが求められる。もう一つの分野はサービスの自動化である。ここでは性能よりも、可用性が重視される。

過去、データセンターにおいては個々のマシンは個別に管理されてきた。個々のマシンのリソース配分は考えておらず、結果として稼働率は10~25%にとどまってきた。グリッド技術の導入により、ユーザはグリッドを通じてマシンにアクセスするようになる。リソース配分が適切になり、稼働率が向上すると期待される。

より具体的には、大企業で経理部門、製造部門、開発部門が個別にコンピュータ・システムを設けている状態を考える。各部門間で演算リソースをやり取りすることはない。その結果、ある部門でジョブが待機状態になり、別の部門では演算リソースが待機状態になる、というアンバランスが発生する。

サンが提供するグリッド・コンピューティングでは、これをポリシーによって、部門間でリソースを貸し借りできるようにする。対価を支払うことによって空いているリソースを借りることがリアルタイムに実行される。その結果、企業全体としてのジョブ処理効率が向上する。

続いてグリッド技術に関連してサンが将来に向けて提供する三つのソリューションを説明した。「より使いやすく(Make it easier)」、「ユーティリティ・コンピューティング」、「ビジュアライゼーション」である。

「より使いやすく」とは、お客様の要望に応じてサンがハードウエアを組み上げ、ソフトウエアをインストールし、セットアップし、動作テストを済ませた状態で出荷することである。かつてはお客様はハードウエアを購入してシステムを組み上げたり、ソフトウエアを購入してインストールし、設定する必要があった。こういった手間を大幅に省略した状態でサンはソリューション提供する。

「ユーティリティ・コンピューティング」とは、従量制の料金で計算リソースを利用する手法である。サンは、Sun Grid Compute Utilityにおいてインターネットを通じてコンピューティング・パワーを利用できるサービスを既に開始していることを紹介した。

「ビジュアライゼーション」とは、グリッド技術を駆使することで、クライアント側のワークステーションではなく、サーバ側でグラフィックス処理を実行するソリューションである。グリッドを介して可視化したデータだけをクライアント側のワークステーション(シンクライアント)に送ることになる。このため、ワークステーションには機密情報が残らず、セキュアなシステムを構築できる。

最後にアンダーソン氏は、サンの次世代データセンター「Project Blackbox」を紹介した。これは国際標準の貨物コンテナ1台に、データセンターを電源系や冷却系を含めて格納したもの。船舶やトレーラーなどで運搬することにより、様々な場所にデータセンターを構築できるようにする。1台のコンテナに、8個の標準的なラックシステムを収容してある。

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30日午後の一般講演では、「ハイパフォーマンス・コンピューティングによるビジネス・アドバンテージ スケーラブルHPCソリューション」と題し、サン・マイクロシステムズ株式会社マーケティング統括本部プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部専任部長の的場謙一郎氏が講演した。

的場氏はまず、世界最速スーパーコンピュータ「Top500」の最近の傾向を示した。計算アーキテクチャではグリッドの割合が増え、インターコネクト・アーキテクチャではInfiniBandの割合が増えていると述べていた。

それから、サンから見たHPC(High Performance Computing)のトレンドを示した。グリッド/クラスタ環境への移行が急速に進むとともに、1ノード当たり4個~16個のCPUを搭載するようになる。インターコネクト技術では、多くのシステムにGigabit Ethernetが採用される。広帯域/低レイテンシの要求があるシステムではInfiniBandが使われる。

このようなトレンドを受けて、サンはHPCに以下のような戦略でアプローチしていると的場氏は述べた。

サンのHPC(High Performance Computing)に対する戦略アプローチ
  1. 標準化されたコンポーネント(ハードウエアとソフトウエア)の使用
  2. オープンなソフトウエアで構成
  3. 性能と消費電力、設置面積のバランスをとる
  4. スムーズなシステム導入を図る

具体的には、ハードウエア技術としてはプロセッサにAMD OpteronとSun UltraSPARC、インターコネクトにEthernetとInfiniBand、Myrinet、ソフトウエア技術としてはOSにSolaris、SuSE Linux、Red Hat Linux、マネジメントにGrid EngineとN1 System Manager、開発ソフトにSun StudioとHPC Cluster Toolsといったコンポーネントを提供している。

続いて的場氏は、サンが提供しているHPC向けの代表的な製品を紹介した。

ハードウエア製品は大きく三つの系列に分類できる。ローエンド側はワークステーション、ハイエンド側はサーバになる。サーバには2系列あり、ハイエンドをエンタープライズサーバ、ローエンドをエントリーサーバと呼んでいる。エンタープライズとエントリーでプロセッサ(AMD Opteron)とメモリは共通であり、性能の差はない。エンタープライズでは信頼性と保守性、可用性を強化している点が大きく違う。

エントリーサーバの代表が「Sun Fire X2200 M2」である。高さがわずか1Uのきょう体に最大で4個のCPUコア(デュアルコアプロセッサを2個)搭載する。CPUソケット当たりで8個のDIMMソケットがあり、最大で64Gバイトまでメモリを拡張できる。

これに対して演算性能を追求したのが、高さ4Uのきょう体に最大8個のデュアルプロセッサを内蔵する「Sun Fire X4600 M2」だ。従来は高さ4Uに内蔵できたプロセッサ数は最大4個だったので、プロセッサ数が倍増したことになる。

このほかブレードサーバ「Sun Blade 8000/8000P」、大容量ストレージを備えたサーバ「Sun Fire X4500」などを紹介した。

ソフトウエア製品ではまず、グリッド・コンピューティングの管理ソフトウエア「Sun Grid Engine」について述べた。このソフトウエアは最大1万のノードで構成されたグリッドを管理できる。最新版であるバージョン6.1では、ユーザ/グループ/プロジェクトごとに扱える最大のジョブ数を、任意の設定に基づいて制限できる。

また大規模なグラフィックス処理に「Sun Grid Engine」を適用したソリューション「Sun Visualization System」を紹介した。グラフィックス処理は従来、グラフィックス・アクセラレータを載せたワークステーションを数多く使用して演算処理を実行するといったシステム構成が多かった。この場合、特定のワークステーションに負荷が集中するアンバランスが生じたり、ワークステーションの放熱性能を最大負荷に合わせて高めておく必要があるといった問題があった。

これに対して「Sun Visualization System」では、レンダリングも含めた全ての演算をバックエンドのサーバ群で処理してしまう。全体制御は「Sun Grid Engine」が担う。演算性能を高めるときは、サーバを追加する。クライアントは処理結果を表示する機能が主体となる。

こうすると、クライアントに求められるのは画面の単純な表示機能だけであり、シンクライアントで充分である。また設計図面などのソースはサーバにあるので、セキュリティが高まる。

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「GridWorld 2007」の展示会でサンは、HPCの採用事例やグリッド技術の概要、「Sun Visualization System」の内容をビデオや説明パネルを駆使して分かりやすく解説していた。

サン・マイクロシステムズのブース全景
サン・マイクロシステムズの
ブース全景
「Sun Grid Engine」の展示
「Sun Grid Engine」の展示

「Sun Grid Engine」を使用したシステム。サーバーである「Execution hosts」とクライアントである「Login host」の間に、Sun Grid Engine」を載せた「Master host」が入る
「Sun Grid Engine」を使用したシステム。
サーバーである「Execution hosts」とクライアントである「Login host」の間に、
Sun Grid Engine」を載せた「Master host」が入る

グリッドとHPCの最新導入事例
グリッドとHPCの最新導入事例
「Sun Visualization System」の展示
「Sun Visualization System」の展示
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