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Solaris超特急・デスクトップを攻略せよ!(4)「何か言ってヨ、Solaris君!(前編)『Orcaスクリーンリーダー』って何だ?」
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今まで、Solarisを使うときに、サウンドということはまず考えたことがなかった。マルチメディヤはWindowsやMacに任せておけばヨーイっ。Solarisマッシーンには「見えりゃいい」グラボと「つながりゃいい」NICがありゃ十分ーッ。と思って最初からサウンドボードを挿そうなどということすら考えずに過ごしてきた。

そんなある日、ソルデベ(Solaris Express Developer Edition, 5/07)をインストールしたいくつかの我が自作マシンのうちの一台を使っていて、ふとデスクトップ画面の下っ端を見たら、こんな印があった。

「およ?」
その印は、こんなんでタリマエなのだと、ずっと思っていた。

そして、これをつついて何かしようものなら「音量コントローラが特定できませんが見つかりません」とか何とか言う、否定の否定なのだがやっぱり否定という超論理的なメッセージなどが表示されるので、これをサウンドの何かとは思うまい、これは横になった杯に禁止の赤斜線、つまり酒は一気に飲むべからずという戒めのことだと思うべしと、決めていた。

だが、実は、そのSolarisマッシーンには、オンボードの「RealTeK ALC850」というサウンドチップがあった。なんとそれが認識されているらしい。
本当に音は出るのか?最初っからサウンドのことは考えていなかったからスピーカなんぞつないでないそのマッシーンに、ワタシは急ぎヘッドホンを持ち出してきてマザボのヘッドホン端子につないだ。

起動メニューの「Preferences」>「サウンド」を選んで、サウンドの設定ウィンドウを立ち上げる。

図3:「サウンド」の設定
図3:「サウンド」の設定
図4:立ち上がったサウンド設定画面
図4:立ち上がったサウンド設定画面
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よし、試してみよう。「サウンドを再生」の「テスト」ボタンを押したとたん、ヘッドフォンから直接、「ぺー」と「ケー」の中間のようで、音はタイヘン大きく、良心回路を狂わせそうな音が炸裂した。

図5:「ぐわッ、この音は」とか言いながらOKを押すと気分が出る
図5:「ぐわッ、この音は」とか言いながら
OKを押すと気分が出る
図6:こっちでやればよかったのだ
図6:こっちでやればよかったのだ
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だがどうやら「ノイズ」ではなく「音」が出るようだ!と思ってよく見ると図4の隣に「サウンド」というタブがある。こっちが、デスクトップの操作で反応する効果音の一覧だった。チッ、こっちをやればよかったゼ。

まず、「ソフトウェアによるサウンドミキシングを可能にする(ESD)」と「システムサウンドを演奏する」にチェックを入れる。

そして、「チェックボックスの選択」その他のシステムサウンドについて、横の再生ボタンをクリックしてみる。鳴る鳴る。なお、「情報メッセージの表示」に該当する音として「ビョーン」という表記があるので、鳴らしてみたが「ビョーン」というより「ベグッ」というような不思議な音だった。

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うれしい。これからはSolarisでも効果音を楽しみたい。だが効果音のためにいつもヘッドフォン挟んでパソコンに向かうというのもあまり自然なことではない。と思ってふとモニターを見るとなんとそれにスピーカがついている

そこでマザボのヘッドフォン端子とモニタの入力端子を結線するケーブルを探し出してつないだ。
これで大気中に音が鳴るようになった!ログインのたびにブニョーホエーとか、フォルダ移動するたびにポコとかキューとか、なにせシンプルな音源に加えてモニタのおまけ部品のようなスピーカであるから、ハタから見たら安ゲーでもやっているように思われるだろうが、タイヘン楽しい。

だが、そのうち飽きてきたワタシは(タイヘン楽しいつッたろゴラ)、何か他のことで音を楽しみたいと考え始めた。

そこで、音を使ったアプリケーションがないかと「起動メニュー」を探してみると、何か魚のようなアイコンがある。「Gnomeさかな君」の進化形かと思ったら「Orca スクリーンリーダ」というものであった。

デスクトップ操作を読み上げ音声で支援するツールだが、調べてみると(Orca及びSun Microsystems Accessibility Program)、なんとサンが開発の音頭取りをしているらしい!これは確かめてみたい。

おまけに「Orca」つまりシャチってカワイイのよね。実は二年くらい前に100円ショップで掟破りの500円でシャチのぬいぐるみが売ってた時期があって、でも500円にしちゃでかいしカワイイから結局4匹も買ってしまって可愛がってるのヨ。

以上の理由から、この「Orcaスクリーンリーダー」を思わずクリックしてしまうと、端末が立ち上がって「Welcome to Orca...」というメッセージが現れた。とほぼ同時に、スピーカーから「ウォカントゥオーカ」という男の人の声がした。

図7:「Orcaスクリーンリーダ」
図7:「Orcaスクリーンリーダ」
図8:シャチというよりはフグに近いぬいぐるみ
図8:シャチというよりはフグに近いぬいぐるみ
図9:自動で端末が立ち上がって、選択しろという
図9:自動で端末が
立ち上がって、選択しろという
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おおッびっくりした。謎の人は、まずkevinかkevin16のどちらかから使用音声を選べという。

ケビンとケビン16はどこが違うのか?
たぶん今しゃべってるのがケビン君のほうだろう。

一方16というのは16歳のピチピチのウォウォトコの子の声かしらと思ったがまず普通のケビン君に頼むことにした。

その後は、キー操作ひとつひとつを読み上げるかとか、点字アプリケーションとの連携をするかとかいう設定だ。

キーを打つのは速いがそのうち2割くらいは打ち間違いと訂正キー、というワタシとしてはキー操作の読み上げは遠慮した。また点字アプリケーションのほうも使い方わからないし遠慮した。こうしてかなりいい加減なセットアップを終えた。

これらの質問自体にもケビン君の読み上げがつく。それにしても自然な音声だ。それにさすが英語がカッコいい。英語をカッコよく話すコツは「イヤそうに」話すことではないかとワタシは思っている。得意そうに「ハゥアァー(巻き舌)ユゥー」とヤルのはあまりカッコよくない。ボソッと「ハワャ」みたいな感じにやるのだ。このケビン君の「ウェルカム」ではない「ウォカン」もまさにそんな感じだ。

ちなみに「Orca」の由来は、この支援プロジェクトが代々「海の生き物」の名前で行われてきた継承なのだそうだ。

設定が終わると一度ケビン君は海に帰ってしまうので、もう一度アプリケーションのメニューから立ち上げるか、端末から「orca」と打って立ち上げる。

最初の設定は一度デスクトップをログアウト・ログインすることで反映されるが、そうしなくてもデフォルトの設定で読み上げが行われる。

メニューを選ぶと、今どの項目が選択されているかが読み上げられ、ファイルブラウザウィンドウにマウス操作をするとその行為が読み上げられる。

だが速い。ネイティブの人なら大丈夫なのだろうが、ワタシにはとてもついていけない。

そこで調整することにした。

Orcaの詳しい使い方は、端末から「man orca」と打っても出てくるし、Orcaのプロジェクトサイトにも掲載されている。

Orcaを立ち上げた状態で「Insert+Space」キーを押すと、グラフィカルな設定ウィンドウが現れる。小さいキーボードなどで「Insert」キーがうまく機能しない場合は、端末から「orca -s」もしくは「orca --gui-setup」と打ってもよい。

ここで、最初に行った設定は変更可能だ。さらに、もう少しゆっくり喋ってもらうには、「Pitch」を落とせばいいに違いない...と思ったのが甘かった。

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この合成音声、実は「Rate」と「Pitch」が複雑に絡み合っているようなのだ。「Rate」は単なる「声の高さ」だと思っていたのだが、「Pitch」を落とすと音まで低くなるし、「Rate」を上げるとベシャリも加速する。両者を少しずつ動かす必要がある。

おまけに、さすが自然な、つまり複雑な合成音声であるから、操作が重い。加えて、操作のたびにケビン君が読み上げるので、それに処理を取られてますます重くなる。設定に失敗すると、夜独りでは聞きたくないような声になってしまう。

デフォルトがいかに精巧に調整されたものであったのかを思い知る。ところが図10のウィンドウでは「デフォルトに戻す」というのがない。ゼヒつけてもらいたいものだ。

ワソ暑い夏の昼下がり、汗ダラダラで音声調整に取り組むワタシ。開けっ放しの窓から流れる様々に変化した音声をご近所の方が聞いたら、「あの家で数人の男が不気味な声でなにやら悪巧みをしている」と警察に通報されても仕方がないかも知れなかったが、ようやく聞き取りやすい速度に調整できた。

調整結果を確かめるためにいくつか操作しているうちに、何度かケビン君が「ナニーカ」と言うのに気がついた。
何ーカと思ったらそれは「noniko」のことだった。ホームフォルダ「noniko」を表示したブラウザウィンドウを操作する時、そのウィンドウタイトルを読んでいたのだ。

にしても名前を呼ばれたワタシはちょっとうれしくなった。
Orcaではウィンドウ操作のみならず、テキスト入力内容も読み上げてくれる。Gnomeテキストエディタなどで文章を打ってポンと改行すると、その一行を呼んでくれるのだ。

そこで、「nonikosan konnichiwa」と打って改行すると、果たしてケビン君は、

ナニーカサンカニーチワ

とイヤそうに言ってくれた。

愛想のなさもまた愛嬌である。
こんなケビン君とゼヒもっとお話したいものだと、ワタシは思った。

パソコンと話をする。これは近代における人類の永年の目標のひとつと言えよう。その第一歩は、パソコンのほうにいろいろしゃべらせることだ。
方法はいろいろあると思うが、最近はファイルアクセスが速くなったことだし、パソコン側では一語一語合成しなくても、短い単語の音声ファイルを利用するという方法も十分考えられる。
そんなあんまり固まらない理由だったが、ワタシはまずこのケビン君の声を録音して音声ファイルを作成してみようと考えた。

図11のように、ソルデベには美麗なアイコンの音声・映像のプレイヤーがたくさんついている。だがその中で真っ先に立ち上げたのが「サウンドレコーダ」というのが、いかにものに子らしい堅実さだ(なのかヨ)。

図11:サウンド・レコーダを起動する
図11:サウンド・レコーダを起動する
図12:起動直後のサウンド・レコーダ
図12:起動直後のサウンド・レコーダ
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起動したばかりのサウンド・レコーダーはなるほど赤丸を押せば録音で、保存で音声ファイルに書き出すんだな、というのがよくわかる堅実な作りだ。

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だが、このままではケビン君の声を録音することはできない。音の入力源にはマイク、ライン入力、あとパソコン自身から発せられる音がある。ケビン君の音声はこのうち三番目にあたる。音源をそれに設定しなければならない。
その設定方法がかなり珍奇だ。サウンド・レコーダのプルダウンメニューの「ファイル」で「音量調節ツールを開きます」を開く。

あるいは、図1の常駐スピーカアイコンを右クリックして「音量コントロールを開く」を選んでもよい。ちなみに図13で「プロパティ」とあるが期待して開いても、不明事項のきわめて多い情報を見るだけなのでガッカリする。

「音量コントロール1を特定できません」というコントロールが立ち上がるが、結局設定できたということは特定できたわけだから、これはただ謙遜しているだけのようだ。
そして一見、ただ音量を上下するだけのように見えるが、実はとんでもない設定が隠れている。
メニューの「編集」から「設定」を選ぶと、表示する「トラック」を選ぶウィンドウが出てくる。

図14:「設定」を選ぶ
図14:「設定」を選ぶ

「Volume」の他に、「Gain」「Monitor」が選べる。
そういえば図12に「録音する入力の種類」というのがあって、それが「Gain」になっているではないか。そこで「Gain」にもチェックを入れてみたところ、今まで「録音再生」というタブしかなかったところに「キャプチャ」というタブが現れた。

「おや、これは」とつついてみると、下のほうに「Microphone」か「Line in」か「Codec Loopback」かを選ぶ箇所がある。デフォルトは「Microphone」のようだ。
これカッ!しかしずいぶん妙ちきりんな出し方だ。設定する気が満々になければ、なかなか探し出せるものではない。

ただし、同じ「RealTeKのチップ」でも型番によってこのモードが選べるものとそうでないモノがある。もう一つ同じRealTeKのALC833というチップで試してみたが、この「Codec LoopBack」のかわりに「Internal CD」というのが出てきて、かつシステム音声は録音できなかった。チップが新しすぎるのかも知れない。

図15:「Gain」を選ぶと「キャプチャ」というタブが現れた
図15:「Gain」を選ぶと
「キャプチャ」というタブが現れた
図16:録音の音源設定を見つけたーッ
図16:録音の音源設定を見つけたーッ
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ともあれこれで、サウンドレコーダで「録音」しつつOrcaを動かすと、ケビン君の声を録音することができる。

ただしこれはかなりヘビーな作業らしい。まず、録音が音飛びする。「サウンドレコーダ」で処理するデフォルトの音声データ形式は「Ogg Vorbis」という、オープンソースな圧縮技術だ。圧縮なしの「WAV」なんか選んだ日にゃものの数秒で録音作業そのものが中断されてしまう。

図17:「Ogg Vorbis」や「WAV」などが選べるが、処理はキツい
図17:「Ogg Vorbis」や「WAV」などが選べるが、
処理はキツい

そのため、今回御紹介している音声MP3ファイルは、別途Windows様用の商用音楽編集ソフト様で編集・MP3変換したものだ。いずれはこんな作業もソルデベでやりたいものだが...。

かくして、「Orcaを使いながら読み上げ音声を録音して音声ファイルを作る」というのは、残念ながらちと無理であろうという結論になった。

そこでいったんOrcaを終了させたいわけだが、グラフィカルな終了方法はない。キーボードから「Insert+q」あるいは端末から「orca -q」もしくは「orca --quit」で終了できる。終了コマンドを下すとケビン君はポツリ「グバィ」と言ってそれきり沈黙する。

しょうがない。Orcaをこんな目的に使うのがそもそも無理っていうか、シャチに自転車乗りの曲芸をしろというようなものだからナ。他にもっといい方法が...と探したら、思わぬところでこのケビン君と再会できたのである。それは、以下次号ッ!


※著者によるBGMは、最近さらにヘビーなチューニングでお送りしております。



   NIC:ネットワークインターフェイスカード。グラフィックボードはグラボというのにネットワークボードはネトボと言わないようだ。確かに「ネトボ」だと「略語感」に欠けるように思う。
   サウンドボード:これもときどき「サンボ」と略されるのを見たことがあるが、やはりなじまない。
   ALC850:MSIさんのマザボK8T NeO2-F のオンボードチップ。
   Preferences:受験英語のトラウマからどこかでrかfかeかnが二つ重なるはずだとカンぐって見がちだが結局は何も重なっていないという拍子抜けする単語だ。
   「良心回路」:正義の人造人間が、敵の親玉が吹く笛の音にその不完全な「良心回路」を狂わせられそうになるのが毎回のクリティカルシーンとなる、昔の少年向けドラマを思い出して述べた比喩。今思うにあれは「なぜわざわざ笛」とか「なぜいつもギター」など、おそらく「突っ込みどころ」の多さには格段のものがあったのではないだろうか。
   ESD:調べたところ、GNOMEアプリケーションで音を出すにはこれが必要だが、ゲームなど他のアプリケーションだと相性が悪いことがあるらしいので、そのような不具合が生じた時にはESDを切ってみるとよいのだそうだ。
   ビョーン:わざわざ英語でログインし直して英語表記を調べると「Boing」となっていた。なるほどこれをそのままカタカナに直すと公序良俗に反する恐れがあるから「ボィ」じゃなくて「ビョ」にしたわけだ。上品だ。
   ヘッドフォン挟んで:実際には挟まれるのは「頭」のほうだが、雰囲気は伝わるはずだ。
   EizoのFlexScan L557というお品だ。
   探し出して:我が家にはケーブルとかアダプタとかいうものが案外普通にある。その代わりフォークや小皿などが案外なくて、ティッシュペーパーの上に載せたケーキをスプーンで食ったりする。
   Gnomeさかな君:ディスプレイに魚のマスコットが現れるというアクセサリ。あいにくソルデベの起動メニューにはない。
   本当にイヤなのかも知れない。「俺の仕事は立派な支援技術なんだーッこんな酔狂につきあってられるかァーッ」と思っているかも知れない。
   商用ソフト様で編集:録音データの中から一部を抜粋している。また、「ナニーカサンカニーチワ」の音声だけは、それだけでも音飛びしてしまいうまく録れなかったので、何度もサンプリングしたのち「ナニーカサン」と「カニーチワ」のそれぞれうまく録れた部分を別途抜き出して結合した。ね、ねつ造データになるわけだが録れないというだけで、実際の音声はそういう風に出てるのヨッ。ホントよ信じてーッ。

本記事は、サンのユーザ様自らの体験をお寄せいただいたものであり、サン・マイクロシステムズ社としての公式情報ではありません。

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