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~追手門学院小学校 編~
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年の瀬も近づいた12月中旬、大阪の天満橋駅のほど近くにある追手門学院小学校(以下、追手門小学校)を訪れた。追手門小学校は、大阪城のすぐ横に位置しており、正門からふり返れば、大阪城の天守閣を眺めることができる。

ここには、小学生のために多数のSun Rayが導入されている。

同校では、教育環境に、新しい設備をいち早く採用していくことも多いという。例えば、1962年(昭和37年)には、全ての教室にテレビを設置し、当時としては最先端の校内放送設備を備えていたそうだ。同校での積極的な情報化も、このような先進性と無関係ではない。追手門小学校でIT化を担当している竹内豊一先生に、同校を案内して頂きながら、詳しいお話を伺った。

写真:教育工学室から大阪城を望む
写真:教育工学室から大阪城を望む
写真:校庭
写真:校庭
写真:竹内豊一先生
写真:竹内豊一先生
写真:Sun Rayが並ぶ教育工学室
写真:Sun Rayが並ぶ教育工学室

教育工学室は、情報教育のための設備を備えた教室で、40台のSun Ray 170が並んでいる。ここで、1年生から4年生まで週に1時間づつ「情報の時間」を学んでいる。1年生は基本操作、2年生はお絵かき、3年生はローマ字入力、4年生はe-ラーニングの基本を学ぶ。そして、5年生と6年生では、日常的な授業での活用をめざしているそうだ。

Sun RayのICカードを活用することで、管理の手間をさほどかけず、柔軟に授業を運用できるという。例えば、お絵かきの練習で面白いことをやっている子供がいたら、そのICカードを教員用Sun Rayや教室のSun Rayに移動する。

写真:児童が描いた作品
写真:児童が描いた作品

すると、その児童のデスクトップ画面をそこへ呼び出せる。この画面をプロジェクターに映せば、その児童がやっていたことをみんなで見ることができる。

教室の壁には、オープンソースのグラフィックツールであるGIMPで2年生が描いたイラストが多数飾られていた。これは、レイヤーなどの機能を駆して描かれているという。


続いて、一般の教室を見せて頂いた。ここは、私たちが思い浮かべる小学校の教室とほぼ同じ作りだ。違うところは、教員席にSun Rayが設置してあること、そしてプロジェクターにより、その画面を表示できるところである。Sun Rayは、全ての教室に設置してある。

昨年、追手門小学校では、4年生を対象に携帯ゲーム機を活用した実証授業を行った。これは、教員が配信するeラーニングコンテンツを児童が携帯ゲーム機で操作して、授業を進めていくものだ。ここでは、携帯ゲーム機で教育用の専用コンテンツを使うのではなく、Webブラウザとして利用している。そのために、Webブラウザと無線LANを標準で装備しているPlayStation Portable(以下、PSP)をソニー・コンピュータエンタテインメントの協力を得て採用している。

授業に使われる教材配信プラットフォームには、オープンソースの教材管理システムMoodleを採用し、教材は全て教員による手作りだという。Webベースであることから、教員用の機材も特定のプラットフォームに依存することなく、Sun Rayから操作できる。

写真:教室・廊下・教員席のSun Ray
写真:教室・廊下・教員席のSun Ray

『昨年は、PSPを使った授業を4年生で実施して、これなら行けるという手応えを感じました。

写真:PSPを使った授業
写真:PSPを使った授業

今までは、“テストをやるぞ”というと、そのテストの問題を作って、印刷して、配って、やらせて、教員は巡視をして、つまずいている所を指導して、できた子は他の子が終わるの待っていて、それからみんなで答え合わせして、回収して、チェックして、返して、それからさらに指導するという、それだけの手間がかかっていました。

これに対してeラーニングによる小テストでは、答えを入れれば、すぐに答え合わせできます。もしも間違っていれば、そこを集中的に練習できます。問題は、ランダムに出題できるので、やるたびに問題が変わり、児童は繰り返し問題を解くことで理解が深まります。

もちろん、教員は、どこでつまづいているかといった状況をリアルタイムで把握できますから、つまづいている子のところへピンポイントで行くこともできます。

最近の高機能な携帯ゲーム端末であれば、プロジェクターに表示された写真や動画をダウンロードして手元の端末でも確認したり、デジタルカメラやビデオカメラとしても活用する、といった使い方も可能でしょう。』(竹内先生)

写真:竹内先生の熱弁
写真:竹内先生の熱弁

『次年度は、このような授業を2年生で実施したいと考えています。2年生は、算数の計算領域が割と多いので、個人の個別学習はとても有効です。九九とかの場合、今までだったら、全員を練習させておいて、一人ずつ呼んできて“二の段を言ってみて”とやっていた訳です。

だけども、個別学習ができるようになれば、時間も内容も把握できるし、誰がどのくらい間違えているかという記録も残りますから、よりきめ細かな授業運営ができます。

このような授業は、携帯ゲーム機だからこそ、実現できたと思います。携帯ゲーム機は価格も手ごろですし、数年間モデルが変わりません。安定して供給できるので、児童一人一人に携帯情報端末を持たせることができるでしょう。

しかし、ゲーム専用の教育コンテンツを利用すればいい、というものではないと考えています。例えば、理科の授業で、毎回ビデオを見せるだけだったら、なんの授業をしているんだという話になりますよね。

写真:追手門小学校の情報化を支える先生方
写真:追手門小学校の
情報化を支える先生方

同様に、学校でゲーム専用機を持たせて、その専用コンテンツで勉強させるとしたら、学校はその内容についてどれだけ責任を持てるでしょうか。ですから、我々がやろうとしている教育の情報化では、中身についても我々が作った教材を使います。

1年生から6年生まで計算コースというのを夏休みに先生方で集まって、2日で作ったんですよ。こういうのを作りましょうというと、手弁当でガーッと集まって作る。うちほど強い戦闘集団はないと思っています。

このような授業の情報化は一度に導入するのではなく、時間をかけて根付かせてきたつもりです。はじめは、希望する教員だけを募って、5-6年かけて無理なく導入してきました。これだけ時間をかけて培ってきたものですから、他校がすぐに真似するというのは難しいでしょう。』(竹内先生)


写真:Sun Ray Note
写真:Sun Ray Note

職員室にも、以前からSun Rayを教員一人一台ずつ設置していた。それを来年度からはSun Ray Noteを配備する予定になっている。現在は、担当部署にて試験的に利用を始めている。無線LANがあるおかげで、机の上も想像以上にすっきりしている。

このように追手門小学校には、120台ほどのSun Rayが導入されている。これを1ラックのサーバで管理している。このサーバは、“印刷室”と書かれた小さな部屋に設置してあった。風通しはあまりよく無さそうだが、一般的なエアコンで十分に環境を保てるという。

『学校における情報化には、この三本柱で実施しています。教員の情報化、保護者との連携の情報化、そして授業の情報化です。

この中で一番はじめに実施したのは教員の情報化でした。1998年からグループウェアを導入して、メールや掲示板・回覧板等の導入を進めてきました。それができたので、次は、保護者の情報化に取り組みました。これは、導入して6年目になります。

当校では、希望する保護者とはメールやWebで行っています。これには、教育支援用ASPを利用しています。学校からの連絡とか、今日は体調が悪いので休みますとか、そういった日常的な連絡に使っています。また、校外へでかけたときの写真もWeb上において、関係者で共有するようにしています。

そして、ようやく子供の方に手が回るようになってきたので、授業の情報化に取り組んでいると言うわけです。子供のことを考えると、親御さんにも理解して頂くことが浸透には欠かせないと考えています。』(竹内先生)

『例えば、Sun Rayは正直言うとまだまだ十分に使いやすいとは言えません。ですが、それを乗り越える値打ちがあると思っていますし、それを乗り越えようとしています。期待しているポイントのひとつはランニングコストです。従来のパソコン用OSですと、陳腐化するし、壊れやすいし、修理費もかかるし、管理も大変です。それに対してSun Rayの端末は陳腐化しないし、ハードディスクもメモリも持っていませんから、情報管理の点で安全でしょう。壊れてハードを交換しても、すぐに動作します。ウィルスにも強い。そういったところに魅力を感じています。』(竹内先生)

最後に、小学校で情報化を進める意義を伺った。

『私たちのグループでは、目標として“○○の発達”という言葉を掲げようと話していたことがあります。この“○○”に入る言葉、分かりますか?大村益次郎の言葉だそうですが、「常識を発達させよ」という言葉があるそうです。

写真:竹内先生
写真:竹内先生

常識って、常に固定しているようでも、その時代時代によって少しずつ変っていっているんですよね。教育も同じです。その時代によって求める物が少しずつ違っています。だから、私たちは次の時代のことを考えて、次の物を提供しているのです。

子供たちが社会に出たときに、どう楽しく生活できるかとか、有効な社会生活が送れるかとか、それをいろいろと提供し、準備してあげるのが、私たちの仕事だと思います。

ITを身につけさせてあげたいというのは、目的でもあり、同時にそれが手段になって、学力を付けることにもなります。だから、情報化を進める意義と問われれば、それらを全部ひっくるめ、“子供のため”ということになるんです。それを外れてしまうと、違ったものになってしまいます。』(竹内先生)

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