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株式会社ユアテック

概要

東北電力の数多いグループ企業の中でも東証一部に上場するなど有数の規模を持つ株式会社ユアテック(以下、ユアテック)。電力流通設備をはじめ、電気・空調設備、情報通信などの総合設備エンジニアリング企業として仙台を拠点に幅広く事業展開し、社会発展の一翼を担っている東北の名門企業のひとつだ。このユアテックで、経理・会計のバッチ処理を行っていたメインフレームのリホスティングが行われた。しかも、このリホスティングは、PL/Iで開発されたバッチシステムのリホストでは国内初でもあった。管理部門の中枢ともいえるこのシステムに、なぜリホスティングが必要だったのか。国内初の移行作業はどのようにして行われたのか。そして、どのようなメリットが得られたのか。ソリューションを担当した東北インフォメーション・システムズ株式会社(以下、TOiNX)に、その様子をうかがった。
主な課題
得られた結果
  • 全社的な業務フロー再構築に伴う、基幹システムのオープン化
  • 基幹システムのメンテナンス・コスト削減
  • これまで培われたビジネス・ノウハウと優れた人的資産を、新システムへ継承
  • ゼロに近い、運用コスト
  • 優れたパフォーマンスと信頼性
  • Java[tm]アーキテクチャの活用による新たなシステム拡張性

今回、ソリューションを担当したTOiNXは、ユアテック同様に東北電力のグループ企業のひとつ。グループ内の各企業をはじめとして数多くの顧客に対し、情報システムのプロフェッショナルとして幅広いサービスを展開している。ユアテックもその顧客のひとつであり、これまで数多くのシステム構築やソフトウェア開発、各種サポート・サービスなどを通じて、同社内の業務の内容や体系について熟知している。

「ユアテック様では、『Y・TOS(Yurtec Total Office System)』という基幹業務システムが平成9年度から稼動していました。そして平成14年度からはインフラ整備として広域ネットワーク構築、サーバ集中化などの情報基盤の整備を、さらに平成15年度からは業務改革プロジェクトを立ち上げ、新しい業務フローを構築するなど、情報システムの刷新に積極的に取り組んでいらっしゃいます。今回のリホストも、その大きな改革の一環として位置づけられるものです。」と、今回のプロジェクトを指揮した東北インフォメーション・システムズ株式会社 ビジネス・ソリューション本部 法人ソリューション部 ユアテックソリューショングループ ゼネラルマネージャー 後藤 章氏。

さらなる受注確保のためにはどのような顧客管理をすべきか、電気設備などの工事管理はどうすれば効率化できるかなど、全てのビジネスフローがユアテック社内で見直され、それに対応した新情報システムが検討された。その中で解決すべき課題のひとつとして浮かび上がったのが経理・決算システムのバッチ処理を行っていたメインフレームだった。

管理・間接部門に関して、ユアテックでは中間業務の削減や集中処理体制の確立など業務フローの見直しを進めていた。その結果、システムに対してはその機能拡張や他システムとの連携強化が必要とされていた。こうした流れの中で経理・会計システムのオープン化が課題として浮かび上がってきた。

もう一つの課題はランニング・コストだ。このメインフレームはユアテックの中でも大規模なシステム。約760本/150,000行のプログラム・ソースが走り、180本/2,300ステップにおよぶJCL、トランザクションにして月次数十万件単位もの処理を実行していた。これだけ大規模になると、運用コストは月に数百万円の単位で必要とされる。そのコスト負担も解決すべき課題としてあげられた。

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メインフレームからオープン・システムへ、その移行にあたって後藤氏のチームはまず、システム構成全体を見直し、オープン・アーキテクチャで最適なシステムとして再構築する「リビルド」の方法を模索した。「将来的な展望を考えると、一からシステムを再構築するこの方法が当初はベターなのでは、と考えました。ですが、この方法では、システム全体を見直さなければならず、多くの時間が必要なため見送りました。」と後藤氏は当時のいきさつを語る。

次に検討されたのが、メインフレーム上のシステムをCOBOLに移行する「リライト」だった。今回の経理・決算システムには言語としてPL/Iが使用されていた。これをCOBOLに置き換え、オープン・システム上で走らせる案だった。「このリライトは、あるソフトウェア開発会社からの提案でした。その会社の説明ではリビルドよりも短時間のうちに、少ないコストで移行できるとのことでした。そこでユアテック様からソースをお借りしてきて当社で確認したところ、変換後のソースが当社のコーディング規約から外れることがあり、作業工数としてはリビルドに近くなるという問題が見つかりました。」と後藤氏。

そんな折、後藤氏のチームでクローズアップされたのが、Sun Mainframe To Openだった。以前、サンから提案を受けていたソリューションで、後藤氏はその存在を知っていた。このサンのソリューションでは、リビルドやリライトの手法はもちろん、メインフレーム上のアプリケーション資産を書き換えることなくSolaris OS/UltraSPARC[R]上で稼動させる「リホスト」が用意されている。後藤氏はこのリホストの手法に注目し、さっそく担当者に問い合わせ、各種の検討作業に取りかかった。先に候補にあがっていたリライトと、後から検討されたサンのリホスト、それぞれに評価用のシステムを用意し、同じ条件下でテストする事前検証なども行った。

東北インフォメーション・システムズ株式会社
ビジネス・ソリューション本部
法人ソリューション部
ユアテック ソリューショングループ
ゼネラルマネージャー
後藤 章 氏
東北インフォメーション・システムズ株式会社
ビジネス・ソリューション本部
法人ソリューション部
ユアテック ソリューショングループ
副主任 プロジェクト・リーダ
小出 真紀子 氏
東北インフォメーション・システムズ株式会社
ビジネス・ソリューション本部
法人ソリューション部
ユアテック ソリューショングループ
主任
堀 康彦 氏

ソフトウェア開発会社の提案によるリライトにするか、サンのリホストにするか、最終的な決定にあたっては様々な点から検討が重ねられた。コーディング規約への適合、コード変換率、変換後のデータの正確性、ツールやソフトなど実行環境の充実度、移行後のサポートや将来性、メンテナンス性、ユアテック社内の他のシステムとの親和性、そして移行コスト。

「私たちはユアテック様のビジネス基盤となるシステムを担う立場です。その視点から考えた時、ビジネス・ロジックを変える必要のないサンのリホストは、より安全かつ迅速にオープン・システムへと移行でき、大変メリットのある選択肢であると判断しました。」と、後藤氏は語る。続けて「移行コストの面でもサンのリホストは非常に優位でした。弊社からの提案と評価報告は、ユアテック様のご担当者様に即決していただけるほどの内容でした。この点をユアテック様は最も評価されたと思います。」

こうして平成16年8月、リホストによる経理・会計システムのオープン・システム移行がTOiNXに正式に発注された。

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移行の対象となるシステムの機能やコーディング、データ形式などの検証作業に始まり、移行対象となる全コンポーネントのソース監査、それら結果をもとにした移行方針やスケジュールの策定など、リホストのための各作業がTOiNXサイドで進められた。

TOiNXのシステム構築で特徴的なのは、各種のテストを繰り返し行う点だ。「当社の方針として、優れた品質をお客様にお届けする、ということがあります。その品質を高めていくためにどうするかというと、やはり、テストを繰り返すしかありません。テストをして不都合や障害を洗い出して、さらにテストして。その繰り返しです。」と、後藤氏はTOiNXの基本的な姿勢について語る。加えて「特に今回は経理・会計という、間違いの許されないシステムです。あらかじめ検討、策定された方針のもと、あらゆるテストをチーム内で繰り返しました。」と語る後藤氏の指示のもと、リホストの作業が着実に重ねられていった。

Sun Mainframe To Openのリホストでは、Sun Mainframe Transaction Processing(MTP)や、Sun Mainframe Batch Manager(MBM)などがツールとして用意されている。MTPはメインフレームのオンライン・トランザクション環境を提供するミドルウェアで、今回のリホストではPL/Iで開発されたアプリケーションに対し、Solaris OS上で、メインフレーム環境と同様のデータ/サービスなどのリソースを提供する。また、MBMはバッチ環境をサポートするミドルウェアで、各種バッチ・ツールを統合するフレームワークの役割も果たす。JCL資産をそのままSolaris OS上に移行し実行できるため、既存資産をムダにすることなくスムーズなリホストが実現できる。画期的な機能を備えたこれらサンオリジナルのツールの相互作用により、移行作業は驚くほど効率良く進められたという。

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移行の主なステップ

加えて、サンの充実したサポートも見逃せない。検討段階からの各種情報提供に始まり、検証や各種テスト、そしてカットオーバーまで、常に的確なサポートでリホストの各工程を支えた。今回はPL/Iで開発されたバッチ処理システムのリホストとしては国内初だったため、予期せぬ問題がいくつか発生した。

コンパイラ仕様改善による対応が必要となることから、スケジュールの変更をお願いし許可を頂いた。特に、メインフレーム環境でのPL/Iとオープン環境でのPL/Iの言語仕様の違いから、エラー処理のふるまいの違いが発見されたが、サン及びPL/IベンダであるLIANT社の協力のもと通常はあまり例の無いコンパイラの仕様拡張で解決された。個別テスト期間が予想以上に長引いたのはこのためである。「サンには、つねに的確なサポートをいただいた。今回の対応には大変感謝しています。」と経理・会計のスペシャリストとして今回のプロジェクトに参加した東北インフォメーション・システムズ株式会社 ビジネス・ソリューション本部 法人ソリューション部 ユアテックソリューショングループ 主任 堀 康彦氏も語る。

こうして平成17年8月29日、新システムがカットオーバーされた。

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「今、カットオーバーから3カ月経過していますが、おかげ様でこれといったトラブルは1件もありません。」と後藤氏は稼動状況を説明してくれた。信頼性を何よりも重視し、テストを繰り返し慎重な作業を重ねてきた、後藤氏のチームの努力の賜といえるだろう。

また、課題のひとつであったコストに関して、これまで運用コストだけでも月間で数百万円単位に上っていたことを考えると、相当なコスト削減効果が今回のリホストによってもたらされたといえる。

また移行後のパフォーマンスについては、カットオーバー当初、あまりに処理が速いため、プログラムが動作していないのでは、という問い合わせが運用担当者からあったほどだという。「以前のシステムと構成が異なるため、直接的なデータ比較はできないのですが、全体的なシステム・パフォーマンスが向上したことは間違いないでしょう。」と、今回のプロジェクト・リーダを務めた東北インフォメーション・システムズ株式会社 ビジネス・ソリューション本部 法人ソリューション部 ユアテックソリューショングループ 副主任 小出真紀子氏は語る。

「経理・会計系は、実はシステムのメンテナンスがかなりあります。勘定科目のメンテナンスの他、組織改正や決算にあたってのメンテナンス、その他に緊急に行うことも。移行作業中もこうしたメンテナンスに対応しないといけないのですが、今回のリホストではそれが容易でしたし、また移行作業もスムーズに進行できました。」と堀氏はSun Mainframe To Openによるリホストのメリットを語ってくれた。

こうしてTOiNXは、経理・会計システムのリホストを通じて、高信頼、ハイパフォーマンス、低コストなどのメリットを顧客にもたらすことに成功した。

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「今回のPL/Iのリホストは初めての体験だったわけですが、そのおかげでこの新しいソリューションに関して多くのノウハウを蓄積することができました。テストで問題が発生した場合はどうすればいいか、移行の際はどういった点に注意しながら行うべきか、私たちにはすでに経験値がありますから、次はさらに効果的なシステム構築が行えます。当社にとってはそれが、最大の収穫だったとも言えます。」と、後藤氏は語ってくれた。

リホストによる移行イメージ
※今回の移行にオンライン処理は含まれません。

TOiNXは今回のシステム移行にあたり、Sun Mainframe To Openの認定パートナーとなった。「これら新たなノウハウをもとに、我々のビジネスフィールドをさらに広げていきたいと考えています。今後はユアテック様のリホストの対象となる既存システムのオープン化をご提案していきます。それだけでなく、他にも様々なお客様にリホストをお手伝いできるシステムがあるはずです。我々が活躍できるシーンは、これからあらゆる場所に広がっていきそうです。」と後藤氏は語る。

続けて「これまで当社はクライアント/サーバ型のシステム開発が多かったのですが、今後はJava言語による開発にも注力していきたいと考えています。今後、オープンな環境整備がさらに進展すれば、Javaの活用範囲はますます広がっていきます。当社としても様々なアイデアをお客様にご提案していきたいですね。」と次の展望を語る後藤氏のもと、スタッフは最新の知識やスキルの獲得に余念がない。TOiNXによる次の挑戦は、すでに始まっているといえるだろう。


お問い合わせ先
東北インフォメーション・システムズ株式会社(TOiNX )
ビジネス・ソリューション本部 法人ソリューション部
電話:(022)217-1365

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