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近代コンピューティングの歴史を振り返る - 第2部  【1/2】
Bill Howard(前チーフCIOアドボケート兼CEO付アドバイザー)
Bill Howard

この論説は「近代コンピューティングの歴史を振り返る」の第2部です。第1部では、私がIT分野でキャリアを積んできた40年間におけるコンピューティングの歴史を簡単に振り返りました。最後に、ユーザ体験の質をさらに高めるべきだという業界の課題について触れ、また、過去の観察に基づいてコンピューティングの未来予測を行うと約束しました。

以下、今後5年〜10年の間にIT分野に影響すると思われる主要なトレンドについて私の観察を述べます。未来のコンピューティング状況に影響を及ぼす最大の要因は、ネットワークのサイズ、スケール、範囲です。私たちが、全ての人及び全てのもの、つまり何十億という人々と何兆というものがネットワークで繋がっている世界に向かって進んでいることは明らかです。

これが、今後の展開を推進する大きな駆動力となり、アクセスと相互作用のための低コストの新しいデバイス、ROIを達成する新しいビジネス・モデル、そして年々生み出される膨大な量のデータを格納及び検索するための新しい技術をもたらします。わくわくするような時代がすぐそこまで来ています。

低コストの新しいデバイスとアクセス方法により、何億という新しいユーザがインターネットに参加するようになります。Internet World Statsの調査によると、現在、世界の人口64億2,000万人のうち9億3,900万人のインターネット・ユーザがいるとのことです。世界のインターネット普及率は14.6パーセントにすぎず、上位20ヵ国がユーザの80パーセントを占めています。

この先の10年間で、携帯電話とワイヤレス機器によるインターネット参加が、かつてない規模でグローバルに繰り広げられるでしょう。新しいオンライン・コミュニティが出現し、社会のネットワーク化も拡大します。情報への無料アクセス及び誰もがアクセスできる媒体が、これまで情報化時代から取り残されていた大勢の人々にも利用可能となるでしょう。このことは、私たちの持つ制度(政治、政府、ビジネス、宗教及び教育)に多大な影響をもたらすと思われます。

デジタル・ディバイド:
情報通信技術(IT)、特にインターネットの恩恵を受けることのできる人とできない人の間に生じる経済格差。
グローバル・コミュニティがテクノロジを持つ者と持たざる者との格差をいかに埋め、世界全体を結び付けられるかについてサンの会長兼CEO、Scott McNealyは次のような提案をしています。
  デジタル・ディバイドの解消
デバイス(単位:億台)
コンピュータ
11
携帯機器
26
エンターテイメント
13
産業/自動車
4
家電/玩具
110
合計
164億台

あらゆるデバイスがネットワークに常時接続されるようになります。IDCの予測では、2012年までに世界全体で164億台のネットワーク・デバイスがインストールされる見込みです。

さらに、センサー及びRFIDタグの数も1兆に届く見込みです。コンピュータが接続されたインターネットから始まってコンピュータを組み込んだ機器のインターネットへと進化が進み、これからはものが接続されたインターネットの時代へと向かいます。現在の技術及びビジネスコンピューティング・モデルでは、あらゆるものとあらゆる人々が接続する時代にはうまく機能しなくなるでしょう。ネットワークに接続されるデバイスやものの急増に対応するため、新しいビジネス・モデルやビジネス・プロセスが出現すると予想されます。

大学、政府、及びサン(最近ではIBMを含む他社)は、知的所有権を共有し、またオープンソースとオープン標準に貢献すると同時にその恩恵にもあずかってきた長い歴史を持っています。様々なコミュニティとの共有という考え方は、著しい高まりを見せています。利用度に応じて料金を支払うサービスやサポートの提供形態についてユーザの理解が深まるにつれ、無料の技術はさらに増えると予想されます。

共有及び無料プログラムによる市場の拡大という概念は広く受け入れられています。このアプローチが市場の開拓と拡大を可能にすることは実証済みです。成功の鍵となるのは、ユーザが積極的に料金を払うような付加価値サービスとサポートを生み出すことができるかどうかです。知的所有権を共有することで第三者によるさらなるイノベーションが可能となるため、関係者全員にとって市場規模が拡大します。

物理的に離れた場所にいるチームが技術を利用して協業することは、すでに長年行われています。現在は、エンジニアリング、プログラミング、及びサポートの分野で「follow the sun(太陽を追いかける:時差によりバトンタッチする)」形式をとるグローバルチームが一般的になっています。ただし、グローバルな協業のためのツールが現状に追いついていません。次の10年間で新しいツールと技術が急速に進歩するでしょう。

ここで、規格がほとんどなかった1800年代の終わりから1900年代初頭にかけての電力及び電話業界の状況を振り返ってみると、示唆を得ることができます。当時は全てが注文であり、また価格も非常に高額でした。規格が発展するにつれて利用率は劇的に増加し、価格も下がりました。現在、コンピューティングの世界では標準技術が発展しつつあり、やがてコストが削減されて利用率にも拍車がかかるでしょう。これをITの日用品化と呼ぶ人もいますが、実際のところは20世紀初頭の電力及び電話業界と同じように、利用そのものが日用品となりつつあるのが現状です。

これはITが日用品であるという意味ではありません。急速に成長しているITサービスの顧客にインフラストラクチャ、サービス、及びサポートを提供する企業には、多くの有利な機会が引き続き与えられるでしょう。鍵となるのは、サービスの提供とサポートに際し、革新的な統合化されたインフラストラクチャ・プラットフォームと新しいビジネス・モデルを提供することです。

人々が仕事と生活の質のより良いバランスを求める中、どこにいても仕事ができるというトレンドは勢いを増しています。技術インフラストラクチャ、サービス提供コスト、及びサポート機能の向上に伴い、勤務時間と場所についての選択肢を求める人が増えています。サンのiWorkプログラムでは勤務場所を選択でき、従業員は仕事と家庭の移行をスムーズに行えるだけでなく、負担も減るので高く評価されています。 【次のページへ続く】

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