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省エネ型データセンターを構築しよう
~電気代の節約も情シス部長のミッションになる時代が来る!?~

Inner Circle読者の皆さん、こんにちは。Bob Worrall(ボブ・ウォラル)です。このシリーズでは、IT業界とサンにおける最新の開発についての私の考えを皆さんにお知らせしています。今回は、今日のデータセンターにおける(文字通り)“ホット”な話題として、エネルギー効率と環境に対する責任を取り上げたいと思います。

情報システム管理部門の責任者(CIO)の方々はデータセンターのエネルギー・コストについてまったく知らないことがほとんどだと思います。電力費の請求書は、オフィス管理を行う部門または経理部に直接送られるのが普通だからです。

しかし、世界規模でのエネルギー・コストの高騰で、多くの企業の経営責任者が、データセンターのエネルギー・コストをCIOに担当させ始めています。会計面でのその単純な変更は、現在の組織内部の重要な変化を表しています。サンはどのようにして高いエネルギー・コストを管理しているのかと、私は企業経営者たちによく聞かれるようになりました。

その疑問に答えるため、私はMark Monroe(マーク・モンロー)にインタビューしました。マークは、13年以上サンに勤務し、その間にサンのデータセンターの運営にも携わりました。ごく最近、マークはサンの環境担当バイスプレジデントであるDave Douglas(デビッド・ダグラス)のもとで勤務し、現在はSustainable Computing(地球に優しいコンピューティング)の担当役員としてデータセンターの省エネを促進しながら、サンのエネルギー・ポートフォリオのどの部分を環境に優しい動力にできるかを見極めようとしています。

マークは、エネルギー・コスト削減と環境への配慮を促進するために、サンがどのようにデータセンターの発熱量を低減しているかを理解しています。

ウォラル: あなたは一時期、環境への配慮活動に携わりましたね。この問題はなぜ、データセンターのオペレータの間で話題に上るようになったのでしょう。

モンロー:

要するに、単純な経済的問題です。ローレンス・バークリー研究所は、データセンターの効率性とエネルギー消費について幅広く調査を行いました。同研究所は、米国の全エネルギー消費(自動車、ビル、住宅、及び電力を消費するその他全てのものを含む)の3%が、データセンターによるものと推定しました。しかも、電力消費率はムーアの法則に従っています。プロセッサが強力になるにつれ、エネルギー消費は処理能力の増加と同じ割合で増加しています。

これに基づき、同研究所は、電力消費率が2〜4年ごとに倍増すると結論付けました。また、3%の数字を示した調査は2004年に実施されたもので、2007年現在、データセンターの消費電力は米国のエネルギー消費の5〜6%以上を占めています。


ウォラル: IT専門家は、エネルギー消費の拡大の他にどのような要素から、環境への配慮を意識していますか。

モンロー:

パズルの第2のピースは、コンピュータ・リソースの運用コストが、それら資産の取得コストを上回り始めているという点です。それら2種類のコストをグラフに表すと(図1参照)、2004年と2015年の間のどこか(いくつかの要因に左右される)で交差します。言い換えれば、データセンターのコストの出所に関連する重要なポイントを、現時点ではすでに通過している可能性があるのです。このため、CIOとデータセンターのオペレータは、必然的にエネルギーのテーマに注目することになります。

(図1)コンピュータ・リソースの運用コストと資産の取得コストについて

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ウォラル: データセンターの電力供給では、どの程度のエネルギーの消費や浪費がありますか?

モンロー:

それについては、サンも調査を行っています。実際にデータセンターで使用される動力全てに注目しました。通常、エネルギー総量の約9%は、エネルギーがデータセンターに達する前に回線上で損失し、結果的に消失します。いったんデータセンターに届くと、Power Use Efficiency(PUE)という測定基準があり、これで計測器に入った動力量とIT機器が消費する動力を比較します。

コロラド州部ブルームフィールドにあるサンのデータセンターのPUEは、2から2.4の間で、つまりサーバの使用する電力1ワットにつき、2から2.5ワットの電力供給が必要です。UPS、切り替え装置、マシンの電源装置、床を通るケーブル、及び冷却装置で、大量の損失があります。しかしありがたいことに、マシンにおける電力消費を低減すれば、一石二鳥の効果をもたらします。


ウォラル: データセンターの設計者が、電力関連のコストを低減するために注目すべき重要な基準は何ですか。

モンロー:

古いことわざにあるように、『測定は管理の鍵』です。企業は自社のデータセンターのエネルギー消費を測定できるようにする必要があります。例えばサンは、電力コストのうち何割がデータセンターによるもので、何割がビルの他の場所によるものかを認識しています。さらにサンは、UPSの前、UPSの後ろ、及び配電ユニットの前というように、データセンターの様々な場所にサブ・メーターを置き、ラックレベルの監視も行っています。

将来的には、ラックレベルの監視をリモートで実施し、サーバ管理システム全体に組み入れることが可能になります。これにより、オペレータは電力を変数として使用し、ピーク時の作業負荷をシフトして電圧低下などの問題を回避することができます。

ウォラル: 把握しておくべき基準には、他にどのようなものがありますか。

モンロー:

システムの使用年数の把握は、サンでは“目からうろこ”の経験でした。技術は、新しいものほどエネルギー効率に優れています。新しいシステムには、電力供給やその他の技術での進歩の利点が活かされており、サンは、アップグレードの計画とともに、インフラストラクチャやシステムの使用年数を知ることも、エネルギー・コストに大きな差をもたらしうることに気づきました。


ウォラル: インフラストラクチャの使用年数を測定し始めると、ある時点で、新しい機器を購入するほうがコストが安く済むようになると思いますが、いかがですか。

モンロー:

古い機器の交換は重要ですが、もっとも合理的な方法で実施する必要があります。HPのすぐれたエンジニアであるChristian Belady(クリスチャン・ベラディ)氏は、プレゼンテーションで重要な問題を提起しています。

長期的にコンピューティングの消費電力に目を向けた場合に、なぜワード・プロセシング・プログラムが、3年前の5倍の速度で動作する必要があるのか、という問題です。そうした観点で検討すれば、多くの企業が、電力消費が少ないという利点を生かし、以前と同じ処理能力を持つマシンと交換し始めるでしょう。

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ウォラル: データセンターのDC電源が、エネルギー・コストの低減方法として取り上げられています。それについてはどうお考えですか。

モンロー:

我々は、HP、IBM、Emerson Network Power、及びその他15から20の組織を含む業界の多数の関係者の協力を得て、ローレンス・バークリー研究所と調査を行いました。カリフォルニア州ニューアークの施設内に、実証実験用のDCデータセンターを立ち上げ、ACからDC、及びその逆に電力を変換する必要がない場合のエネルギー効率の向上を測定しました。

通常、データセンターに入ってくるAC電力をDC電力に変換してUPSバッテリーに充電し、さらにデータセンターの3つの場所でAC電源やDC電源に戻すことにより、約2〜8%の損失が生じます。DCデータセンターを立ち上げて、そうした変換を全て除いた場合にどうなるかを調べたわけです。


ウォラル: いかがでしたか。

モンロー:

そうですね、ことは多少複雑でした。電力を効率的に使用するためには、データセンターのDC電圧を高める必要がありました。電話会社は48ボルトのDC電源を使用していますが、ITデータセンターでは、それでは大変効率が悪い。そこで我々は、380ボルトのDC電源でデータセンターを運営することにしました。DC電源はAC電源より危険性が高く、安全上の問題があるため、380ボルトのDC電源を接続する電気技師を見つけるのに苦労しました。その上、380ボルトのDC電源プラグが存在しないのです。

つまり、DC電源がなかなか受け入れられない理由のひとつに、現実世界の制限を考えた場合の扱いにくさがあるのです。とはいえ、効果はありました。一般的な低電圧AC電源のデータセンターに比べ、5〜20%のエネルギー効率アップが測定されたのです。



ウォラル: 現実世界の課題を考えると、やや非現実的にも聞こえます。DC電源以外の選択肢はありますか。

モンロー:

American Power Conversion(APC)は、高電圧のAC電源(世界各地で一般的な440〜480ボルトのAC規格)で、高電圧のDC電源と同程度の効率性を実現できることを実証しました。私の意見では、DC電源は、企業がペタバイト規模のデータセンターを何もないところから構築する場合には合理的であり、幅広いカスタマイズも可能です。さらに20%の効率向上は、コスト削減の点で大きな差をもたらします。しかし一般的な企業では、DC電源はおそらく高電圧のAC電源より非合理的です。

ウォラル: GoogleとMicrosoftがコロンビア川に新しいデータセンターを建設するという話がマスコミを賑わせています。その構想については、どう思われますか。

モンロー:

彼らにとってみれば、大きな環境志向の動きです。そこには巨大なダム(ダラス水力発電ダム)があり、GoogleとMicrosoftはそのクリーンで安価なエネルギーを利用したいと考えています。ワシントン州やオレゴン州の商用電力コストは、カリフォルニア州と比べて2〜2.5倍低く、電気はカリフォルニア州の約3分の1であるネバダ州やユタ州以上に安価です。

Googleがダラスに移った理由は、コスト削減だけでなくクリーンなエネルギーを使用できる点にもあると思います。ネバダ、ユタ、ワイオミング、モンタナ、ウェストバージニア、及びケンタッキーの各州は米国一電力が安いのですが、その動力の96%を石炭に頼っています。企業によって経済的な動機としての強弱はあれど、環境への配慮もまた重要な要素であり、これら2つの企業の決定プロセスに含まれていたことは確かです。


ウォラル: サンは、電力消費が提起する課題に対し、環境にやさしいソリューションを評価していますか。

モンロー:

評価しています。現在、サンはコロラド州の当社のビルの屋根に、太陽電池パネルを設置しているところです。また、定期的に非常用電源の一部を使用することも考えています。例えば、ブルームフィールド・データセンターで、ディーゼル発電機を定期的に動作させて、ピーク時のエネルギー備蓄を行うことを考えています。これは、電力コストに大きく影響します。

サンがそうしたディーゼル発電機をバイオディーゼルに変換すると、産出される動力は、コロラド州で購入している石炭を使用する動力の5倍クリーンになります。当初設備担当スタッフに、緊急事態でもないのにバックアップ発電機を稼動させるわけにはいかない、と言われたことは言うまでもありません。私に言わせれば、現在のエネルギー・コストが緊急事態なのですが。

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ウォラル: エネルギー関連の費用削減に向けた独創的なアイデアには、他にどんなものがありますか。

モンロー:

CIOに経費の一部として電気代を支払ってもらうというのも、1つです。データセンターは、企業の中でもっとも多くの電力を消費します。実際、ブルームフィールド・データセンターの電力消費は、ビル内の他の場所に比べて群を抜いています。データセンターを除くと、ブルームフィールドの各ビルで毎日消費する電力は、約490キロワット時であることがわかりました。ブルームフィールドのデータセンターは、1日に約1900キロワット時を消費しています。

CIOにはそうした電力コストは見えず、したがってそれを節約しようという気にはなりません。ですから、電力消費を削減するには、単純な経理上の変更を行えばよいのです。CIOにデータセンターのエネルギー・コストを担当していただくのです。



ウォラル: データセンターを設計する場合、エネルギー関連の効率性を向上できるプロセス強化手段はありますか。

モンロー:

レトロ・コミッショニングという考え方があります。実際、これはLEED(Leadership in Energy and Environment Design)のベンチマークとともにグリーン・ビルディング業界で始まった考え方です。このアイデアは、船の試運転と同様の方法でビルディングを扱うものです。システム全体を検査する人間を雇い、全てが期待通りに動作していることを確認するのです。

調査によって、これは大いにコスト効率のよい方法であることがわかりました。レトロ・コミッショニングの実行には、1平方フィート当たり約27セントしかかからず、消費電力の削減率は通常、ビルの総エネルギー消費量の約15%にもなります。しかも、投資は一般に7カ月程度で採算が取れます。


ウォラル: 堅実な考え方ですね。こうしたプロセスで明らかになる事柄の例を挙げていただけますか

モンロー:

はい。よく耳にするのは、システムは実際華氏72度(摂氏22.2度)での動作を指定されているのに対し、データセンターを冷却するエア・コンディショナーは華氏54〜56度(摂氏12.2〜13.3度)で動作しているということです。データセンターのオペレータたちは、高温箇所に対応する手段が他にないために、部屋全体の温度を下げることで、過熱したシステムを冷却しているのです。

そうではなく、システムの配置をもう少し考えてみるのが合理的ではないでしょうか?スタッフは部屋全体を冷却するのではなく、まず過熱箇所の排除に全力を挙げ、次に室温を戻す必要があります。サーバを移動したり、部分的な冷却を実行するだけで、企業は巨額の資金を節約できます。


ウォラル: すばらしいですね。最後になりますが、マルチスレッド・プロセッサUltraSPARC T1搭載のCoolThreadsサーバなど、サンのエネルギー効率にすぐれたサーバも、省エネの可能性を広げそうですね。

モンロー:

サンでは、サンの新型サーバの使用により、システムの総設置面積を87%、電力消費を75%削減したという報告をDean Nelson(ディーン・ネルソン)から受けています。また、コンピュータの処理能力は以前の300%になったとのことです。処理能力は3倍、消費電力は4分の1になったわけです。

Bob Worrall(ボブ・ウォラル)
CIO
Sun Microsystems, Inc.
cio@sun.com


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