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自前のデータセンターがいらなくなる時代が来る!?
~IT部門の将来像を占う~
こんにちは!サン・マイクロシステムズのCIO(情報システム最高責任者)のボブ・ウォーレルです。 私は、ここ最近、「従来型の情報システムはやがて過去のものになる。」といったことを公然と主張して、みんなを驚かせています。アプリケーションのカスタマイズ、非効率的なデータセンター、高額な電気料金の請求書、モバイル化の進む労働力の際限ないニーズを満たすための無駄な努力・・・etc、etc。私たちはそろそろ、このようなものから脱却して進歩しなければいけない時期に来ていると思うのです。 母なる自然は非効率を嫌います。しかし、ほとんどのIT部門は非効率的なものでいっぱいです。アプリケーションは非常に複雑で、高価で、保守が難しいものばかりだし、データセンターやサーバは、突然の需要の高まりがあった場合や月末の繁忙時を除き、その全キャパシティのごく一部が稼動しているに過ぎません。このような要因が全て相まってエネルギー・コストはさらに上昇し、オマケに、最近のお客様はやけにITに詳しいので高レベルのサービスを要求してくる・・・。ほとんどの会社のCIOは頭が痛い状態になっているのではないでしょうか。 おっと、私は決して、ことさらに不安をかきたてて皆さんの心を惑わそうとしているわけではありません。ITはすぐに消滅するものではありません。でも、将来的に考えると、企業のIT部門はこれらの課題に対処するクリエイティブな方法を見つけ出していくことが必要なんです。従来と同じ思考で解決法を考えようとしても、フラストレーションがたまり失敗するだけです。そこで、課題に一つ一つ対処する自転車操業ではなくて、考え方そのものを変えることが必要になります。業界とお客様が向かおうとしている将来を予測し、それに備えて計画するのです。 ここまで読んだところで、皆さんの中には私の主張に異を唱える方もいらっしゃるでしょう。しかし、私はここで、皆さんの反論がさらに強まりかねないことを言いましょう。
ユーザのあくなき要求によってITは崩壊する?!
モバイル化が進んだおかげで、どこにいようとネットワークに接続するだけで仕事ができるようになってきています。5年前であれば、新しい会社に就職したら、初出勤の日にはたくさんのアプリケーション郡がインストールされたデスクトップ・コンピュータが支給されることを期待したでしょう。 しかし、あらゆるアプリケーションにモバイルでアクセスできる技術的なインフラが整った今、もうそろそろ、会社員が会社に出勤する必要がなくなり、iPod、PDA、携帯電話などを使ってネット経由でアプリケーションにアクセスするようになる時代が来るのはもう時間の問題でしょう。 従来のオフィス形態は、特定の場所に縛られることのないモバイル・ワークプレースに取って代わられつつあります。オンライン・バンキングであれ、オンライン・ショッピングであれ、音楽のダウンロードであれ、まさにコンシューマ・テクノロジはすでに商用アプリケーションの標準機能になりつつあり、多くの人々が、同じことを企業のIT部門にも求めています。(前回の“コンシューマ・テクノロジをあなどるなかれ!~消費者向けの技術を企業ビジネスの武器にする~”を参照してください。) こうした期待の高まりは、従来型のIT部門には大きなプレッシャーとなります。IT部門は、より多くのデバイスが自社のアプリケーションやサービスにアクセスできるようにするために、システムのキャパシティを増大させなければなりません。 そのため、多くのCIOが、このような尽きることのないサービス要求を満たしていくことはもはや不可能に近いと感じています。要求を満たすには、たいていの場合、より多くのサーバとデータセンターのスペースが必要になりますが、そのどちらも供給が不足しています。しかも、サーバやスペースをどれだけ増やしても、これで十分と言える日はやって来ないように思われます。ここで、より大きなデータセンターを建設すればよいと考えるのは短期的で短絡的な解決法です。データセンターは大量の電力を消費するため、やがて電力コストがハードウェア・コストを追い抜いてしまいます。 そうなると、企業が財務レベルでますます持続不可能な状態になるだけでなく、より多くの二酸化炭素が排出されることで、環境にとっても負担になります。企業の中には、(手前味噌で恐縮ですが)、例えばサンのように、効率性の非常に高いハードウェアや仮想化ソリューションを提供して環境に対する責任を果たすべく努めていると高い評価を得ているところもあります。しかし、より多くのデータセンターを建設することは持続可能な方法ではないこと、また言うまでもなく環境に対して無責任な行為であることを否定できる人はいないのです。 これら全ての理由から、企業データセンターに依存する現在のIT運用モデルを将来も継続していくことは不可能と思われます。しかし、それでも企業は、財務的にも環境的にも破綻をきたすことなく、ビジネス・アプリケーションとサービスにアクセスできるようにする必要があります。 新しいサービス・プロバイダ・モデル
規模の経済性から考えると、従来の企業データセンターは、よりモバイル化していくエンドユーザにビジネス・アプリケーションやサービスを提供する方法としては非効率的です。ほとんどの家庭に配電盤や発電機、貯水池がないのには合理的理由があります。 電気通信業界、電力業界、水道業界は、ITがこれから経験するのと同じ変革をすでに経験し、一定レベルの標準と規模を設定して、各家庭に安全で信頼性のあるサービスを低コストで提供できるようになっているのです。 同じように、ますます多くの企業アプリケーションが、今ではイントラネットや専用ネットワークではなく、インターネットを通じて提供されるようになっています。例えばサン社内では、社員が電子メール機能やカレンダー機能に公衆インターネットからセキュアなサービスとして容易にアクセスできるようになっています。電子メールを利用するには複数のステップを踏んでサンの企業ネットワークにログインしなければならなかった数年前と比べると、これは大きな変化です。これによってサンのデータセンターの負荷はいくぶん軽減され、また、アプリケーションに迅速にアクセスできるようになったことで社員の生産性も高まりました。 ここに大きなビジネス・チャンスがあるのです。ITをビジネスにする企業は、データセンターでエネルギーを消費する代わりに、安全で、セキュアで、信頼性の高いネットワークベースのサービスを、公衆インターネットを通して提供してはどうでしょう。また、ITを利用する企業は、保守コストのかかるアプリケーション構築はもうやめて、サービスを信頼できるサプライヤから購入してはどうでしょう。 私たちは本当に、「個々のビジネスそれぞれが独自のものであり、それゆえ電子メールやカレンダー、IM、HR、さらにはERPのような標準サービスをサービス・プロバイダから調達するようなことはできない」と考えているでしょうか。サンは今後数年のあいだに、このような方法で社員がビジネス・アプリケーションやサービスを利用できるようにする予定です。 一つ明確にしておきたいのですが、ここで述べていることは、単なるデータセンターのアウトソーシングやアウトホスティングではありません。ここで述べているのは、アプリケーションの使用を終了して、ネットワークやデータセンターを停止し、代わりにこれらのサービスを信頼できるパートナーから購入してはどうかということです。
将来的には、企業のIT部門はこれらのサービスを、電力会社が発電所を運用するように独自の非常に大規模なデータセンターを運用するサービス・プロバイダのコミュニティから調達するようになると、私は考えます。 サービス・プロバイダは、安全で信頼性のあるサービスを、公衆インターネットを通じて提供します。提供するサービスは大規模なものになりますから、サービス・プロバイダは、アプリケーションを仮想化し、コンピューティング及びストレージ・リソースを必要に応じて動的に割り当てることで、私が呼ぶところの「データ・プラント」を最適化できるようになります。 今日のCIOたちが達成できるとは思いもしなかった方法で、個々の機器が持つ効率性を残らず搾り出すことができるようになるでしょう。 この方法なら、コスト低減率と効率性の向上は非常に大きなものとなります。これまで企業アプリケーションの展開に数ヵ月かかっていたのが、ほんの数日、または数時間で標準サービスを利用できるようになります。また、このようなITモデルにおいては、音楽ファイルと同じようにアプリケーションを簡単に購入してダウンロードすることも可能になると考えてもおかしくはないでしょう。 従来のデータセンターからの脱却のための4つのキーワード 従来のデータセンターからの脱却という戦略には、4つの重要な要素があります。すなわち、(1)モビリティ、(2)セキュリティ及びプライバシー、(3)信頼、(4)市場の存在です。
当然ながら、先に述べた4つの要素はいずれも、インターネットベースの企業アプリケーション及びサービスの市場が存在し得るかどうかに依存します。サンは、このようなITモデルには大きなビジネス・チャンスがあると考えています。サンは、公共のグリッド、つまりインターネットを通して、社員に電子メールやカレンダー以上のサービスを提供していこうという、アグレッシブな計画を進めています。サンのオフィスに設置するワイヤレス接続をインターネット専用接続にして、これをサンの将来的なアプリケーション提供プラットフォームのバックボーンとします。 これについて現在進めているプロジェクトには、サンのERPシステム全体の外部化や、HR及び他のビジネス・アプリケーションの外部化も含まれます。これらのサービスをインターネットを通じて提供するようになれば、最終的にイントラネットは不要になります。 将来のIT管理者の仕事は劇的に変化する それでは、このような変化全てによって、企業のIT部門はどのような影響を受けるでしょう。企業がアプリケーション作成やデータセンター及びネットワークの管理をやめてしまったら、何が残るでしょうか?私は、IT部門は、これらのセキュアなネットワーク・サービスの提供窓口・管理者になるだろうと考えます。例えば、企業のIT部門は、独自のERPアプリケーションをインストールまたは作成する代わりに、ユーザ要件を集積して、ERPサービスを信頼できるパートナーから調達します。そして、SLAに従って、そのサービス提供を管理します。
別の例を挙げると、家族のかかりつけの医師は、患者のあらゆる病状に専門的に対処できるよう備える必要がなくなります。医師は患者に対して初期診断を行い、治療に必要な専門知識を持つ、安全で信頼できるサービス・プロバイダのコミュニティを、その患者に紹介します。この場合、医師は複数のサービス・プロバイダを集積し、自身の治療基準に合致するサービスを提供しているプロバイダを患者に紹介します。 このような将来像を語ると、神経を尖らせるテクノロジ関係者も当然いるでしょう。また、このような考えに対して不安を抱くCIOやITスタッフも(おそらくサン社内にも)いるでしょう。多くのIT関係者にとって、このような情報システムの将来像は自身のキャリアを脅かすものに映ると思いますが、私は逆であると考えます。 私は、まず、「従来の」ITキャリアにこだわる人たちに対しては、そのような仕事がなくなるまでにはまだまだ時間がかかるから心配ないと言っておきましょう。(笑)多くの人は、COBOLは西暦2000年が到来するだいぶ前にみじめな末路をたどるだろうと考えていましたが、果たしてそうはなりませんでした。ですから、アプリケーション作成やデータセンター及びネットワークの管理という仕事も、今後当分のあいだは存続するでしょう。 しかし、このような業界の変革をIT再考の機会と捉えるような進歩的な企業においては、これらの仕事は永続的なものにはならないでしょう。 変化を受け入れ、スキルを高めよう ITのニーズ対応力を高め、真のビジネス価値を提供していきたいと考えるITプロフェッショナルたちには、私はこの変化を受け入れることを強く勧めます。このような変化を拒否するよりも、進化するITの役割に応じたスキルを身につけていくことのほうがより合理的です。これは多くのCIOにとっても有用なアドバイスであると思います。 IT部門がデータセンターや従来のITモデルから脱却することは、最終的には企業のニーズ対応力を高め、より大きな企業責任を果たしていくことができるということにつながります。それに、そもそもITの定義とは、このような特性に基づいてこそ行われるべきではないでしょうか。 サンのITビジョンを人騒がせなだけのものと捉える人もいるでしょう。しかし、このような将来が実現する可能性は確かにあるとは思いませんか?自分自身に次のような質問をしてみてください。
あなたはどう考えるでしょうか。Salesforce.com、Oracle on Demand、及びその他の企業の成功が証明しているとおり、現在、多くのアプリケーションについて、サービスとして購入するというオプションが選択できるようになっています。これらの企業こそ、まさに将来のサービス・プロバイダの姿です。 サンにおいては、セキュアなネットワーク・サービスという将来像は、「もしこれが実現したらどうなるか」という問題ではなく、「いつ実現するか」という問題なのです。 Bob Worrall(ボブ・ウォラル) |
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