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Sun Inner Circle for information technology leaders

組織を変えたかったら、社員にまかせなさい
~サンの“IT改革イニシアチブ”に学ぶ、新・『IT部門組織論』~

読者の皆様、こんにちは。サンのCIO、Bob Worrall(ボブ・ウォラル)がInner Circle盛夏号をお届けします。・・・とはいえ、私が取り上げる話題は、季節を問わず一貫していて、『IT部門の目標をいかに速く、効率的に達成するか?』ということに尽きます。

サンのやり方で重要なポイントとなるのが、従来のIT管理手法からの脱却です。

サンのIT部門では、というプログラムのもとで、社員ひとりひとりがその戦略の手助けをしてくれます。このプログラムは、より迅速で適切なITの運用を可能にするだけではなく、サン社内の士気の向上にも大いに役立っています。

サンには『Recommend Sun Index(RSI)』と呼ばれる、社員の士気の高さと会社に対する満足度を示す測定値があります。RSIは、簡単にいうと、

「あなたは、サンの製品やサービス、あるいはサンへの転職を他の人にお奨めできますか?」

という質問をサンに勤務する全社員に対して毎年アンケートで尋ねるものです。例えば、RSIが100%だったら、その組織の社員全員が自社の製品・サービスそして、この会社で働くことを自信を持って人に奨めることができると考えている、ということになります。

サンのIT部門内のRSIは3年前には70%でしたが、この記事を書いている今では87%に伸びています。どちらの数字も、高いと私は思います。というのは、3年前、IT 部門は大規模な組織再編の真っ最中にあり、社員数は2,000人から600人へと削減されました。そんな状況でも、RSIは70%をキープしていたのです。もちろん、こうした組織再編を嫌がる社員は大勢いましたが、積極的な転職支援を行うとともに、この組織再編の背景にあるビジネス・ロジックを社員に伝えることによって、RSIを相当なレベルに維持しました。

オープンであること、そしてコミュニケーションを大切にすることが、新体制へのスムーズな移行も可能にしました。社内のITプロセスと役割を外部ベンダーへ移行することについて、社員はきわめて有益な提案をしてくれました。改革プロセスはうまく機能し、プログラムを実行して新しいIT戦略に取り組むことは社員にとって納得できるものになりました。現在、この社員による改革チームはIT部門にとって重要な支援部隊となっています。

“IT改革イニシアチブ”について皆さんにより明確に理解していただくため、2年前からこのプログラムのエグゼクティブ・スポンサーを務めるLinda Martino(リンダ・マルティーノ)に話を聞きました。リンダは私の直属で情報テクノロジー担当バイス・プレジデントを務め、『社員への権限委譲による業績の向上』を強く提唱しています。以下に掲載する抄録では、このプログラムの具体的な成果と、戦略の決定に社員が関与する場合に他の組織でも参考にできる様々な事柄について話しています。

ウォラル: “IT改革イニシアチブ”に関して、サンの社外の人々が最も驚いたのはどのような点ですか。
マルティーノ:

草の根的な問題解決手法で実質的な成果を上げている、という点です。この改革イニシアティブ全体が、組織の問題の多くは、「自分自身がソリューションの一部でありたい」と考える熱意あふれる社員たちによって解決できる、という考え方に基づいています。

2005年にこのプログラムを開始して以来、サンのIT部門ではアウトソーシング・サービスへの移行をきわめてスムーズに進めてきました。現在では、社内の士気は最高水準を誇り、離職率は過去最も低い水準となっています。これはサンの業務上、きわめて重要なことです。Inner Circleの読者の方々なら改めてご説明するまでもなく、優秀なITプロフェッショナルを見つけるのがいかに難しいかということをご存知かと思います。

ウォラル: まったくそのとおりです。サンの社外では、“社員の見識を組織の戦略に取り込む”という考え方に驚く人が多いようです。しかしサンのIT部門では、あらゆるレベルの社員がつねにより効率的な組織を実現する方法を考え出している、という事実は変わりません。
マルティーノ:

それを聞くと、サンのIT部門にとって「ペース」という概念がいかに重要であるかを思い出します。ペースが組織にとって実際どのような意味があるのかを理解していただくためにお話しますと、改革チームは何度もブレインストーミングを重ね、組織全体で業務のスピードアップを図る方法についてきわめて思い切った定義を導き出しました。

ウォラル: そういえば、私がよく質問を受けるのは、「イニシアティブではどのようにして、社員が必ずIT部門全体に関わる問題に取り組むようにしているのか」ということです。
マルティーノ:

この改革プロジェクト成功の理由の一端は組織にありますが、あとは要するに社員の献身によるものです。関与する社員は誰もが、“IT改革イニシアチブ”の一員として自主的に活動しています。

この改革プロジェクトは現在、40名の社員で構成されています。コア・グループは8名で構成され、その他に4つのサブグループがあって、各サブグループはIT部門の幹部が定義した特定の問題に取り組みます。

各チームがどのような活動をしているのかを分かりやすくするため、各チームの担当内容を簡単にご紹介しましょう。

  • 改革コア・チーム:
    8名で構成されるこの中核となるグループは、エグゼクティブ・チームと協力して課題を特定し、それら課題のうちどれをイニシアティブで扱うべきかについて提案します。
  • 組織調整チーム:
    このチームはイニシアティブの活動をまとめて整理し、再編後のIT部門における役割を定義します。
  • カルチャー及び環境チーム:
    社員の士気と勤務環境という重要な課題に取り組み、また能力開発チームはIT部門の社員の昇進を支援します。さらに統合及び測定サブグループがあり、他のチームが順調でスケジュールどおりに活動を進めていることを確認します。

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ウォラル: この2年間エグゼクティブ・スポンサーを務める中で、これらのチームを集中させるためにどのくらい時間を使いましたか。
マルティーノ:

私は改革プロジェクトのエグゼクティブ・スポンサーとして、これらのチームがきわめて自律的だと考えています。私はこれらのミーティングの85%に出席していますが、私が話し合いの中に入って舵取りをしなければならないということはめったにありません。

IT担当役員がコア・チームのリーダーになっていることも役立っています。おかげでより多くの助言が得られ、人事、法務、財務の各部門にとって問題となるような内容がチームのメンバーから提案されるのを避けることができます。

また、サンのIT部門では大半のメンバーが比較的年齢層が高いため、彼らの長年の経験が物事を順調に進める上で役立っています。新入社員やかなり若い社員が認識不足の提案をするのをまれに聞くことがありますが、そのような場合、通常はチームの他のメンバーたちがそれを制して、それではうまくいかない理由を説明します。

もちろん、年間で実際に対処できるプロジェクト件数には物理的な制約があり、1年間にわたってイニシアティブに参加できるIT部門の社員数にも限度があります。そのため、プログラム全体にわたって担当社員の入れ替えが行われるよう意識的に務めています。社員の代表者は毎年交代し、取り組む事柄も変わります。

ウォラル: プログラムの測定基準について話しましょう。“IT改革イニシアチブ”の主要な評価基準は何だと思いますか。
マルティーノ:

RSIの評価は成功のための重要な尺度であり、先ごろComputerworld がIT業界で最も勤務環境に優れた企業としてサンを選んだのも、おそらくそのためでしょう。

プログラムの目標に対する成果の測定も行います。プログラムの目標は、統合及び測定サブグループが毎年作成するロードマップで定義されます。このロードマップは、注意を向けるべき領域と、それらの課題を解決するための具体的な活動のスケジュールを定義するものです。私たちは四半期ごとに、これらの目標を達成できたか、またスケジュールどおりに成果を達成できたか、ということについて自分自身の採点を行います。

成果物には、職業訓練などをテーマとする、あるいは戦略の新たな方向性についてIT部門のスタッフに情報を提供するオンライン・セミナーやプレゼンテーションが含まれることもあります。

スコアカードには、IT部門が期待された成果を出せていない領域、とりわけ社員の能力開発及びコミュニケーションに関する事柄について成果が出ていない領域も含まれます。これらの評価結果は社内のITサイトで公開され、サンの社員なら誰でも内容を確認することができます。

ウォラル: 社外で“IT改革イニシアチブ”の話をすると、必ず「それは社員にとってどのような意味があるのですか」と皮肉な質問をする人がいます。
マルティーノ:

そうですね、“IT改革イニシアチブ”に参加することは、新たなキャリアを求めるよいきっかけになります。チームのメンバーはエグゼクティブ・チームに接する機会があり、それが自分自身をエグゼクティブに売り込んで認識してもらうという点で大いに役立ちます。

社員が改革チームに参加させてほしいと言ってくる理由の1つは、そこにあるのかもしれません。サンのIT部門の社員なら、チーム・メンバーの提案は通常、CIOであるあなたの支持を受けているということを知っていますからね。

また、チーム・メンバーは職務要件の作成を手伝うことにより、自分の成績評価の向上が初めから有利になります。例えば、能力開発チームはIT部門内のあらゆる職務を設定し、そのポジションに求められる資格を記述した総合的な職務及びキャリア構造を策定しました。これにより、社員は今後数ヵ月、あるいは数年という期間にわたって組織に貢献する最良の方法を実際に考えることができます。

ウォラル: そのようにスキルを磨くことが全て、IT組織の俊敏性を向上させることになる、というわけですか。
マルティーノ:

そのとおりです。社員は自社の戦略や目標をより深く理解すると、それらの目標に合わせて自分のキャリアの計画を立てようとします。ご承知のとおり、現在サンのITプロフェッショナルに求められるスキルは、数年前の職務要件とはまったく異なります。今では、サンの社員の多くが外部のITベンダー管理のエキスパートとなっています。サンではITサービスを外部ベンダーから購入するSoftware-as-a-Service(SaaS)モデルに移行しつつあるため、このようなスキルは引き続き求められるでしょう。

ウォラル: “IT改革イニシアチブ”と同様のプログラムを始めようとしている組織に対して、どのようなことをアドバイスしますか。
マルティーノ:

まず、社員の満足度調査を重視することです。このようなフィードバックの仕組みは、改革グループが取り組むことのできる領域を特定する上で不可欠です。また、社員のフィードバックが社員自身にとって不利な判断や用途に使用されることはない、という点を社員に確実に知らせます。

この調査そのもので何を知りたいかを社員に尋ねます。これにより、改革が可能な領域を特定することができます。通常、エグゼクティブ・チームが士気や業績の問題の原因を全て把握することは難しいものです。

また、こうした社員への権限委譲についてこれまで経験のない企業は、取り組む課題を1つか2つに留め、最初は専任の社員を直接選択することをお勧めします。それらの担当者たちには、権限、説明責任、予算を十分に与え、彼らによるプログラムの運用を見守ります。

そして必ず、何が改革可能で何が不可能かを明確にしておくことです。そうすれば、自然に焦点が絞られます。

ウォラル: まったくそのとおりですね。また、認めるべきところは認めるということも重要です。サンのIT部門では、幹部は必ず改革チームの貢献を評価するよう務めています。それがさらに社員の貢献を促し、社員の見識は成功に不可欠な要素となっています。

Bob Worrall(ボブ・ウォラル)
CIO
Sun Microsystems, Inc.
cio@sun.com

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