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サンのITモデルについての一問一答

Inner Circle読者の皆さん、こんにちは。サンのCIO、ボブ・ウォラルです。

私の記事に対して読者の方々から多くのメールを頂戴します。その数によって、その記事がどれほどインパクトがあったかが分かります。2008年6月に掲載した「従来のITとサヨナラするサン」という記事がまさにそうでした。神経を尖らせている人もいるようです。

そこでこの号では、世界中の読者の方々からいただいたコメントをいくつか検討し、それによってさらに私の考えをお伝えすることができれば、と思っています。内容が重複しているコメントは1つにまとめ、また読者のプライバシー保護のためにお名前は省略させていただきました。

読者のコメント: サブスクリプション・ベースで提供されるサービスはいまだになく、自社のデータがサービス・プロバイダに保管されることには懸念があります。
ウォラルの回答:

実は、サブスクリプション型のサービスを提供するサービス・プロバイダは、すでに3,000社以上あります。この業界はまだ新しいとは言え、現在間違いなく業界として存在しているのです。

自社のデータを社外に保管することについてですが、6月号の記事でも述べたように、給与計算サービスの例をここでも取り上げたいと思います。私は今や、大手企業が自前で給与計算システムを運用しているという話は聞きません。自前で給与計算を行うことが自社のコア・コンピテンシーではない、と判断した企業のためにセキュアなサービスを提供するサービス・プロバイダの例は、数多くあります。

給与データというのは、考えられる限りで最も重要なデータではないでしょうか。社員の自宅住所や社会保障番号などの個人情報はどうですか。もし私が、「なぜ給与計算なら安心して委託できるのにCRMデータの委託は安心できないのか」と尋ねたら、答えることはできないでしょう。

この業界は今後さらに成熟していく必要があり、業界としてのマーケティングやブランド戦略をより効果的に進めていく必要があります。しかし現在すでに、堅実で成熟したサービス・プロバイダは存在し、サブスクリプション・ベースのサービスの提供によって多額の利益を上げています。

読者のコメント: この新しいITモデルは、それを導入しているIT部門にとって、導入していないIT部門より有利な点があるのですか。
ウォラルの回答:

サービス・ベースのソリューションを導入してアプリケーションを実行する組織は、自前でアプリケーションの開発とサポートを行う組織よりはるかに迅速にアプリケーションを展開することができます。ビジネス・アプリケーションの開発には、数十人年とは言わないまでも、数人年を要します。しかしプロバイダのサービスを利用すれば、契約して実際に利用可能になるまで20日もかかりません。この戦略を採用するIT部門はビジネス・ニーズへの対応がより迅速になり、そのためビジネス環境の変化にも迅速な対応が可能になります。

また、この新しいサービス・ベースのソリューションを導入したIT部門では、より低コスト、あるいは少なくともより柔軟性の高いコスト・モデルを実現できます。開発者、データセンター、関連インフラなどの固定費が不要となり、代わりに、ビジネス・ニーズに合って、かつコスト競争力が最も優れたソリューションを探して自由に利用することが可能になります。

リバース・オークションを利用して、最も料金の低いプロバイダを見つけることもできます。サービスはユニット単位で提供されるため、IT部門は需要の変化に応じてサービス利用の度合いを変更することができます。これは、現在の設備集約的なITモデルではまったく不可能なことです。

最後に、新モデルではモビリティも向上します。現在ほとんどのIT部門では、自社の組織やアプリケーションの周囲に強固なファイアウォールを設置しています。モバイル・ワーカーにとって、それらのアプリケーションにアクセスするのは難しいことです。私が紹介した新モデルでは、あらゆるアプリケーションがシンプルなURLとして、どのデバイスのどのブラウザからでも利用可能になります。

読者のコメント: サービス指向モデルこそが進むべき正しい方向だ、という意見には諸手を挙げて賛成です。ただし考えていただきたいのは、アフリカではネットワークの帯域幅を利用するには多額のコストがかかり、多くの場合、アプリケーションの「レンタル」はきわめて難しい、ということです。アクセス・コストだけでアプリケーションそのもののコストより高額になるからです。
ウォラルの回答:

もっともなご指摘です。アフリカ、中東諸国の一部、ラテン・アメリカ、インド、中国などでは、帯域幅を利用するためのコストは手が出ないほど高額だというのは確かです。とはいえ、帯域幅のコストが世界的に低下しつつあり、利用しやすくなっていることも否定できません。

AT&TやVerizonなどの大手プロバイダは、これらの地域に多額の投資を行っています。そこには、未開拓の利益を得られる潜在的な可能性があると考えているからです。アプリケーション・サービスとそれに関連するあらゆるインターネット・トラフィックはいずれ、爆発的に急増するでしょう。しかしあなたのご意見はもっともです。ITの進化には一定の時間が必要であり、これは比較的短期間で解決される問題であると私は考えています。

読者のコメント: 私たちIT部門はもどかしさを感じています。自分たちとしては新モデルの必要性を理解していますが、会社は理解してくれないからです。
ウォラルの回答:

これを改革と考えてはいけません。ゆっくり段階を追って1歩ずつ、また1つずつ進めていくための計画を立て、リスクの少ない方法でテクノロジーをテストできるようにします。収益その他、ビジネスにかかわる可能性のある重要な領域にはまったく、あるいはごくわずかしか影響を及ぼさないサービスを選択します。次に、優れた実績を持つサービス・プロバイダを見つけます。そのプロバイダのサービスを慎重に試用し、ビジネスに利点をもたらすことを実証します。

そうすればやがて、反対派の人々を説得することができます。ビジネス上の関係者の中に理解者を見つけましょう。従来型のIT部門であっても、試してみることはたくさんあるものです。

読者のコメント: 私は新卒の若者です。どうすればよいのでしょうか。
ウォラルの回答:

ここで論じている進化こそ、まさにあなたのなすべきことです。多くの企業にとって、これまで述べてきたような状況に到達するまでには数年、あるいは数十年かかるでしょう。進歩的な企業であれば、もう少し早く到達するかもしれません。全体的に見て、「従来型ITモデルの終焉」は目前に迫っているとは言えないかもしれませんが、避けて通ることはできません。

もしあなたがコンピュータ・サイエンスやその関連分野を専攻したのであれば、考えていただきたいことがあります。第1に、私が前述したとおり進化には時間が必要であるため、今後数年は「従来型」のITの役割を果たさなければならない企業があるということです。したがって、もしあなたが関心を持っているのがその種の役割であっても、パニックに陥る必要はありません。ITについての考え方がそれほど進歩的ではない企業を探してみればよいのです。あるいは、サービス・プロバイダに勤めるというのも一案です。

第2の考え方として、自分のスキル/教育の焦点を、これまで論じてきたこの新しい世界でますます重要となる役割に絞る、ということです。具体的には、ベンダー管理(契約、交渉、SLA管理などを理解している人)やセキュリティ全般(複数のサービス・プロバイダ間の連携セキュリティ・モデル構築に重要)、及びビジネス・エンゲージメントの役割(ビジネス・システム分析、コミュニケーション、プログラム管理など)です。

最後に、私は読者の皆様とこのように積極的な対話ができてたいへん嬉しく思っているということを、ここでぜひお伝えしておきたいと思います。今後も、このように説得力のあるご意見やご質問をお待ちしています。ではまた次号でお会いしましょう。

Bob Worrall(ボブ・ウォラル)
CIO
Sun Microsystems, Inc.
cio@sun.com

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