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急速に開発が進む新興市場のITビジネス事情

世界各地で急速な発展途上にある地域の経済が、グローバル・ビジネスの様相を急激に変えつつあり、それらの地域の企業や政府機関とのビジネスを模索する既存市場のグローバル企業に、好機と課題をもたらしています。

このような好機をより効果的に生かすため、サンは6月にEmerging Markets Sales(新興市場セールス)対象地域の指定を発表し、これらの地域における成長を推進していくこととなりました。Peter Ryan(ピーター・ライアン)がグローバル・セールス及びサービス担当エグゼクティブ・バイスプレジデントに指名され、併せてこの新興市場のビジネスも担当します。ライアンがこの場をお借りして、新興市場がもたらす好機を生かすために不可欠となる様々な戦略についての自分の考えを、Inner Circleの読者の皆さんにお伝えします。

Q: 新興市場がグローバル企業に好機をもたらしていることは明らかです。その好機を生かす上での課題は何ですか。
A:

新興経済地域で、日々ネットワーク接続が可能になる人口、アプリケーション、ビジネス、サービスの急激な増加ぶりは、信じ難いほどです。これらの市場に製品やサービスを提供する企業は、その市場の顧客やコミュニティばかりでなく、グローバルな労働力をも結ぶネットワークに目を向けています。

その成長を支えるためには、企業は自社内に基盤となる組織を確立して労働力の管理手法を調整し、急速に伸びるそれらの市場に最適な製品やサービスを提供しなければなりません。技術の改善とネットワーク接続の向上を図ることで、企業や人々は国境を超えて効率的かつ効果的に仕事をすることができ、新興市場を惹きつけるとともに成長の機会を創出することが可能になります。

Q: 新興市場に対する戦略は、既存市場に対する戦略とどのように異なるのですか。
A:
新興市場に対する戦略は、既存市場に対する戦略とどのように異なるのですか。

大きな違いは、成長の速度です。すでに確立した市場では、大学生がまず企業のテクノロジーを学習してから商用アプリケーションを開発し、そのアプリケーションを企業が購入する、ということがよくあります。また、既存市場の企業は、旧来受け継がれてきた様々な種類のITアーキテクチャや異なるスキル・ベース、プロセス、手順というものを抱えています。

一方新興市場では、360度の視野を持つことが重要です。企業のテクノロジーは、あらゆる経済分野の開発者や大学レベルで利用可能なものであることが不可欠です。

開発者や学生がそれらのテクノロジーを利用して、世界中のユーザへのアクセスを可能にするスキル、アプリケーション、ビジネス・モデルを確立できるようにしなければなりません。政府機関も、既存市場との違いがある分野です。新興市場の政府機関はきわめてオープンで柔軟な考え方を持っており、新しいテクノロジーやアーキテクチャが登場すると、それまでとは異なる選択をすることも厭いません。

例えば、通信市場を見てみましょう。米国や英国などの既存市場では、50年以上前から固定電話回線が敷設されています。しかし多くの新興市場では、一刻も早く成長する必要性に迫られているため、ワイヤレス、携帯機器、インターネット・デバイスなど、より新しいテクノロジーに一気に進んでいくでしょう。新興市場でそれが可能なのは、既存市場ほどの規模で旧来のインフラに制約されることがないからです。ここで、モバイル・ユーザの動向に関する統計値を少し見てみましょう。

現在、携帯電話ユーザは世界全体で22億人です。そのうちブロードバンド携帯電話のユーザは現在42%ですが、2012年までには70%になると予測されています。「固定」電話用インフラがほとんどない開発途上諸国では、携帯電話ユーザがこの10年間で4倍に増加しています(リープフロッグ効果)。このような成長は、中国やメキシコなどの市場がもたらすものです。

中国では、携帯電話ユーザは全人口のわずか42%であり、メキシコでは53.5%です。インドは最も成長著しい市場であり、携帯電話販売台数は毎月約600万台増加しています。同国の携帯電話販売台数は2億7,270万台に上っているにもかかわらず、市場浸透度はわずか24.1%にすぎません。インドでは、2010年末までに携帯電話加入者数が5億人に達するものと予想されています。

これらの市場とのビジネスにあたっては、オープンな考え方が大切であり、これらの市場を既存市場の基準で分類するのではなく、これらの市場が現在どのような状況にあるのかを理解しようと努めることが重要です。

現在、世界全体の開発者人口の55%が新興市場に集中しています。

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Q: 組織の観点から見て、なぜ「新興市場地域」をそれ以外の地域と分けることが重要なのですか。
A:

サンではこの部門を立ち上げる以前、ブラジル、中国、インド、ロシア、中東、アフリカ、東欧など多くの新興市場で積極的にビジネスを展開していました。これらの地域の中には、サンの2008年度第3四半期にきわめて重要な存在となったところがありました。例えば、ブラジルは対前年比で20%以上伸び、インドは28%、ロシアは12%、中国は13%の伸びを示しました。

サンはこれらの地域で活動を続けながら、Tata Teleservices Ltd.Reliance CommunicationsMTSなどの顧客を獲得してきました。またこれらの国々では、中華人民共和国公安部サンパウロ大学など、政府機関やコミュニティとも良好なビジネスを進めてきました。

しかしサンは、これらの地域の経済には共通する特性が数多くあることに気付き始めたのです。オープンソース・テクノロジーの取り入れかた、政府機関がインフラを構築して、ネットワークにより国民にサービスを提供しようとする考え方、ワイヤレスやモバイルの技術が重要性を増していく様子などに共通点があります。

そこでサンは、新興経済のビジネス・モデルを成熟した経済のそれに合わせようと考えるのではなく、自社の人材、プロセス、能力を総動員して、これら地域の驚くべき成長を支援するほうがよいと判断しました。そうすることで、サンは各国の政府機関とビジネスを行う際にベスト・プラクティスを共有でき、ノウハウを伝授することができます。それはまた、サンにとっては社内の冗長なサイクルを減らし、新興経済地域で求められる即応性を身につけることにも役立ちます。

アナリストの調査結果によれば、世界全体のソフトウェア開発者人口は2006年には1,220万人でしたが、2011年までには1,720万人に増えると予測されています。しかし2011年の全ソフトウェア開発者人口のうち、北米の開発者が占める割合はわずか18%にすぎないものになるだろう、とされています。
Q: 新興市場で新たに見られる動向は何かありますか。共通のテーマや課題は何ですか。
A:
新興市場で新たに見られる動向は何かありますか。共通のテーマや課題は何ですか。

新興市場の企業は迅速な成長を求めています。総合的なエコシステムを構築しようとしているそれら多くの企業にとって、エコシステムの中でも特に教育の部分を確立して、学生がテクノロジーにアクセスできるようにすることが不可欠となっています。

それを可能にする最も容易で費用対効果に優れた方法が、オープンソース・テクノロジーの利用です。オープンソースが、新興市場における開発者の活動の場を広げます。

現在、世界全体の開発者人口の55%が新興市場に集中しています。アナリストの調査結果によれば、世界全体のソフトウェア開発者人口は2006年には1,220万人でしたが、2011年までには1,720万人に増えると予測されています。しかし2011年の全ソフトウェア開発者人口のうち、北米の開発者が占める割合はわずか18%にすぎないものになるだろう、とされています。

サンはオープンソースの変革を導き、最先端テクノロジーを採用した技術革新に向けて開発者を支援しています。サンは技術革新を推進することによって、これらの国々が世界規模のITバリュー・チェーンに参加するのを支援する役割を果たしています。

新興経済地域の企業が、サンのIPへのアクセスや切断を支障なくできるようにし、また、ライセンスの問題に悩まされることなくネットワーク基盤を構築できるよう支援しています。政府機関や教育機関は、オープンソース・テクノロジーを熱心に採用しています。オープンソースであれば、プロプライエタリな技術と異なり、ライセンス供与に多額のコストを要することがなく、速やかに開発を進めることができるためです。MySQLなどのテクノロジーをダウンロードし、先行投資不要でそれらのテクノロジーを学習できます。

政府機関は、より多くの人々がテクノロジーを利用できるようにするために、主導的な役割を果たしています。その要因の1つはやはりオープンソースの導入ですが、ネットワークの普及もテクノロジーやサービスの利用を可能にする上で役立っています。通信会社や金融サービス企業の多くは、ネットワークを利用するビジネス・モデルを構築してサービスの提供に努めています。Internet World Stats 2008によると、新興市場における2000年~2008年のインターネット・ユーザの成長率には目覚しいものがあります。1

世界のインターネット使用率
地域 世界全体における
使用率(%)
2000年~2008年の
利用増加率(%)
アフリカ 3.5 1,031.2
アジア 39.5 406.1
ヨーロッパ 26.3 266.0
中東 2.9 1,176.8
北米 17.0 129.6
ラテンアメリカ・カリブ 9.5 669.3
オセアニア・オーストラリア 1.4 165.1
世界合計 100.0 305.5

これに対し、世界全体の平均成長率はもう少し緩やかで、306%です。

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Q: サンは、これら新興市場の多くにおいて、持続可能なテクノロジーを公式に推進しています。これに対する反応はいかがですか。
A:
サンは、これら新興市場の多くにおいて、持続可能なテクノロジーを公式に推進しています。これに対する反応はいかがですか。

きわめて良好です。サンは、企業としての社会的責任を果たす戦略の一環として、環境に対する責任を掲げています。その戦略とは、日常業務を進めるなかで、社会に望ましい変化をもたらすこと、環境への影響を最小限に抑えること、そしてビジネスの価値を生み出すことに努めるというものです。

企業は、自社が世界に及ぼす影響や環境負荷にますます目を向けるようになっており、地球環境に対する自社の姿勢や責任の改善に取り組む企業が増えています。企業との取引や投資の際に、それらの取り組みが評価の指標として使われ、ニュースでも環境問題が大きく取り上げられるようになっているためです。

Gartnerによれば 2、データセンターの消費電力と冷却コストの問題は、今後10年間でさらに悪化するとされています。データセンターの電力コストは増え続け、そのために企業はIT予算を見直して調整しなければならなくなります。

このような経済は、環境問題をはじめ数多くの課題に直面しています。前述のとおり、迅速な基盤の整備は最優先課題です。成長を支えるためには、これらのテクノロジーがエネルギーとスペースを必要とするものであるという事実を頭に入れておく必要があります。ブラジルのサンパウロ市はきわめて急速に成長が進んでおり、人口密度も高くなっています。したがって、もし巨大なIT基盤を構築して成長を促そうとするなら、エネルギー要件とスペース賃借料の双方を考えに入れておかなければなりません。

製品を作るときに、持続可能性を測定するだけでなく、基礎研究によって根本原因を突き止め、製品の消費電力と設置スペースを削減した場合の影響を把握するというサンの手法は、きわめて魅力的です。持続可能性に対する意識は、サンのDNAに根ざしています。

Q: 過去数年間、新興市場は、利益創出の対象というより投資の対象として見られることが多くありました。その状況はどの程度変化したのでしょうか。
A:

大きく変わりました。これらの市場でのビジネスはサンにとってきわめて重要であり、サンの財務業績で報告されている成長率がそれを証明しています。また、サンにとってだけでなく、新興市場の企業自体が、重要なビジネスとなっています。Boston Consulting Groupの最近の調査によれば、同社の「グローバル・チャレンジャー」100社のうち87社は、中国(41社)、インド(20社)、ブラジル(13社)、メキシコ(7社)、ロシア(6社)の企業でした。

またFinancial Timesでも、これら新興市場の新しい企業の勢力が伸びていることを取り上げています。これらの地域は、今後もサンのビジネスにおいて非常に大きな割合を占めることになると私は予測しています。それはもはや、単に可能性があるということではありません。これらの市場は現実にビジネス上の利益を生み出しており、継続的な可能性が見込まれます。

Q: これらの市場で、サンのオープン戦略の進展状況はいかがですか。
A:
これらの市場で、サンのオープン戦略の進展状況はいかがですか。

きわめて順調です。GlassFishやMySQLなどのサンのIPについて、世界全体のダウンロードとユーザ登録の状況を見ると、それらの多くは新興市場のものです。

例えば、今年の4月半ばから7月半ばまでの新興市場におけるMySQLのダウンロード件数は100万件を上回りました。これは世界全体のダウンロード件数の40%に相当します。

過去12ヵ月間で、ダウンロード件数が単独で最多となったのはChinaNET広東省ネットワーク(地域ISP)であり、約50万件(462,013件)でした。Java、GlassFish、そしてとりわけOpenSolarisのダウンロードも順調であり、これらの市場できわめて大きな成功をおさめています。

去る2月に、サンは初めてOpenSPARCトレーニング・プログラムの海外提供を発表しました。中国教育部(MOE)との間で締結されたこの3ヵ年契約は、今年中国内の10校もの大学に適用され、毎年150人の教師を対象にサンのOpenSPARC設計についてのトレーニングが行われます。サンのビジネスがこれほど急速に伸びているのは、大学や各種政府機関におけるオープンソース・テクノロジーの導入に後押しされていることが大きな要因です。オープンソースの導入はさらに広がりつつあり、それによってサンは多くの新興市場で充実した意見交換が可能になっています。

ピーター・ライアンについて
ピーター・ライアンは、サン・マイクロシステムズのグローバル・セールス及びサービス担当エグゼクティブ・バイスプレジデントとして、サンの成長と収益向上の責任を担っています。その職務の一環として、統合化された世界規模のセールス及びサービス組織を通じて、一貫性と統合性のある迅速なカスタマ・エクスペリエンスを提供しています。世界各国で17,000名以上のスタッフを擁する彼のチームが、サンのパートナーによるコミュニティと協力し、テクノロジー市場で最大かつ最も経験豊富なチャネルを形成しています。その活動範囲は、世界中のあらゆる業界、製品分野、技術及びビジネスの研究領域にわたります。


1 Internet Usage and World Population Statistics(2008年6月30日)
2 Gartner:Data Center Power and Cooling Scenario Through 2015(2007年3月14日)

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