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新興市場におけるITの課題への対応
~国際的なサービスの構築にあたって考慮すべき5つの重要課題~

新興経済国において堅牢でセキュアなサービスを提供するためには、IT部門は技術的及び文化的な様々な課題を克服しなければなりません。これは、グローバル市場での競争力を維持する上で極めて重要です。

Inner Circle読者の皆様、こんにちは。サンのCIO、Bob Worrall(ボブ・ウォラル)です。読者の皆さんの多くは、サンと同様、グローバル・ビジネス環境の変化とともに、自社のビジネス・モデルの変化に直面していることと思います。

また、多くの方々がサンのグローバル・セールス及びサービス代表のピーター・ライアンのインタビュー記事を取り上げた9月号の特集記事をお読みいただいたことと思います。その記事でライアンは、新興経済地域における人口、アプリケーション、ビジネス、サービスの急増について論じています。彼が述べているように、急速に伸びるそれらの市場に最適な製品やサービスを提供するためには、企業は自社内に基盤となる組織を確立して労働力の管理手法を調整しなければなりません。彼は、このような好機が組織にもたらす課題について言及しています。

そこで今回は、これまでビジネスを展開したことがない地域において、堅牢でセキュアなサービスを提供しようとする場合にIT部門が直面する特有の課題について考えてみたいと思います。50,000人以上の社員、及び170ヵ国に及ぶパートナーにサポートを提供しているサンの経験に基づいて考えると、国際的なサービス、とりわけ新興市場におけるサービスを構築する際にIT部門が直面する課題は主に次の5つだと思われます。

IT部門が直面する5つの課題
 
 

アフリカ、中国、インド、ラテン・アメリカ、中東、東南アジアなどの地域では、インフラストラクチャは米国やヨーロッパに見られるほどには発達していないようです。そのため、IT部門は当初からそのようなインフラストラクチャの課題に取り組まなければならないことになります。

米国では、高帯域、すなわちブロードバンド・ネットワークでサービスやサーバに接続するのが前提となっています。しかしアフリカやラテン・アメリカの一部では、必ずしもそうではありません。そのため、アプリケーションであれ他のサービスであれ、ネットワーク接続が切断しても利用可能なソリューションの設計を考えなければなりません。

サーバへの常時接続に依存するのではなく、ユーザがノート型パソコンやスマート・フォンに情報をダウンロードしてその情報を処理し、サーバに再度アップロードすることが可能な場合もあります。また、ユーザがサービスにアクセスするための代替パスが必要な場合もあります。ネットワークの常時接続に依存せず、主要回線の故障に備えてプロセスや手順のバックアップ機能を提供する必要があります。あるいはワイヤレス接続を提供してもよいでしょう。そうすることで、ブロードバンドが利用できる場合にはブロードバンドで、あるいは他のダイヤルアップやワイヤレス接続形態でサービスを提供することができます。

自社のサービスをその地域の人々の視点で考えることが重要です。現地企業の代表者やコンサルタントに相談して、その地域で特によく見られる課題を理解することも有益です。私たちIT部門の関係者にとって最大の悩みの種は、電話サービス、ブロードバンド、ワイヤレスであろうと、あるいはFAXサービスであろうと、インフラを当てにできないということです。しかしそれらの国々の多くでは、こういった状況はよくある日常的な課題であり、企業はこのような課題に対応する用意が必要です。

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開発途上国の中には、世界の他の地域に存在するようなネットワーク・セキュリティの標準規格を持たない国も数多くあります。それらの国々ではまた、ネットワーク・ユーザに課されるセキュリティ要件を米国のように重要視することがありません。

サンでは20名以上のセキュリティ・エキスパートが、サンフランシスコ、シンガポール、スウェーデンなどの遠隔地に配置されていますが、エキスパートたちはその地域でセキュリティ基準を実施しようとして苦慮することがよくあります。

それらの地域では、標準規格はお役所仕事的な厄介事であり、サービスの向上や市場投入までの期間短縮を妨げるものだと考えられているからです。セキュリティ要件はなぜ重要なのか、また、企業にどのような利点をもたらすのかについて、その地域の人々を教育しなければならないこともよくあります。さらに、これらの国々で現地企業のリーダーたちと協力して、企業のサポートについてセキュリティ対策を講じたり、最も重大なセキュリティ問題に関してエンド・ユーザを教育する必要もあります。

人々がITサービスやネットワーク接続性に対して期待することは、文化によって異なります。サンでは、現地企業と協力して、ITサービスを利用する場合の一般的な手順やベスト・プラクティスについての説明をすることがよくあります。帯域幅の利用料金がきわめて高額で供給も限られている地域では、ビジネスを妨げることなくその帯域幅を利用する最善の方法を人々に教育しなければならないこともありました。例えば、帯域幅サービスを就業時間中に個人的な目的、または業務と無関係の目的に使用しないことなどです。これまでにネットワークの個人的な利用が業務を妨害する例は数多く見てきましたが、ほとんどの場合(少し教育を施せば)、エンド・ユーザは自分たちの行為がビジネスにもたらすマイナスの影響を理解して、その行為を速やかに改めます。

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グローバル・ビジネスにとって、常に課題となっているのが言語です。サンでは社内での使用言語は英語が主体となっていますが、インドにグローバル・コール・センターを持っており、様々な言語でサービスを提供しています。

しかし、南アジア、アフリカ、東欧などにビジネスが広がるにつれ、英語が母国語ではない社員が大勢いるということも認識しています。では、このような状況にコスト効果に優れた方法で対処するにはどうすればよいのでしょうか。

サンでは、コール・センターの一般的なサービスを拡大するために、ユーザがセルフサービスで利用できる一連のオンライン・ヘルプ・リソースを提供しています。また、チャット機能も提供し、ユーザが電話をかけずにテクニカル・サポートのスタッフに連絡を取れるようにしています。テクニカル・サポートに電話をかけて技術的な問題について英語で担当者と話をするのは気が引けるという人々にとっては、そのような方法のほうが効果的であることが分かったのです。

特に重要なテクニカル・サポート・ドキュメントについては、各国語の翻訳版を用意している場合もあります。さらに、言語が阻害要因となっているその他のケースについては、現地国のスタッフと協力し、複数言語を理解する人材を技術的な問題に関する主要窓口として、ITコミュニティとの連絡を図っています。

一元化された ITモデルの課題は、常に全体を最適化しようとするところです。そのモデルを現地国に合わせて変更しようとすれば、他の多くのIT部門の課題になるわけです。

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5つ目の課題は、個々の市場に合ったサービスの提供です。先進市場では、標準レベルのサポートが提供されます。期待されるサービス・レベル、ネットワークの可用性、コミットメントなどに関する標準があります。しかし、新興市場ではよくあることですが、一般市場よりも、ある特定の国にとっての重要度のほうが高いサービスがあります。

例えば、南アジアの小国にとって、電子メール・サービスは最も重要なサービスである可能性がありますが、ERP サービスはそれほど重要ではないかもしれません。そのため、企業は提供するサービスをそれぞれの国の状況に合わせることが必要です。

一元化されたITモデルの課題は、常に全体を最適化しようとするところです。そのモデルを現地国に合わせて変更しようとすれば、他の多くのIT部門の課題になるわけです。サンではこのような問題に対処するため、現地のエグゼクティブや業務スタッフと面談し、必要に応じて、ビジネス要件ドキュメントやサービス・レベル契約を地域に合わせてカスタマイズします。また、必要であれば、スタッフを増員してサポート・モデルを拡大し、ビジネス・ニーズに対応します。サンでは、このような対応を最小限に抑え、コスト削減に努めていますが、地域のビジネス・ニーズを把握してそのニーズを満たすために最善を尽くしたいと考えています。

やがてこれらの市場が発展し成熟すれば、特定の顧客要件を削減して、より標準化されたモデルへと移行することが可能になるでしょう。現地企業はきわめて迅速にビジネスを運用しており、多くの場合、標準化推進やコスト削減の必要性と急成長思考との間でバランスを取りながらビジネスを進めています。このような現地企業の要求に対応していくことは、IT部門の担当者にとって常に課題となります。

Inner Circleの読者の皆さんと意見交換ができることを、いつも嬉しく思っています。ぜひ皆さんのご質問、ご意見、関心事などをお寄せください。このコラムで取り上げてほしいトピックのご提案もお待ちしています。

ではまた次号でお会いしましょう。

Bob Worrall(ボブ・ウォラル)
CIO
Sun Microsystems, Inc.
cio@sun.com

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