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CIOのための『クラウド・コンピューティング入門』
Inner Circleの読者の皆様、明けましておめでとうございます。2009年の新年号となる今回は、業界でいま何かと話題の多い「クラウド・コンピューティング」についてお話ししたいと思います。 Googleで「cloud computing」を検索すると、700万件以上ヒットします。それだけを見ても、クラウド・コンピューティングが確かに「流行」していること、また定義が様々だということが分かります。 クラウド・コンピューティングとは
クラウド・コンピューティングとは、コンピューティングの1つのスタイル、または大規模なスケーラビリティを備えたIT関連の諸機能であり、インターネットを介して、サービスとして外部の多くの顧客に提供されるものです。 この場合の「顧客」とは、従来定義されている顧客のほかに、社員、請負者、パートナーを含むものと定義することができます。その意味で、クラウドは次の2種類に分けられます。すなわち、プライベートまたはエンタープライズ・コンピューティングのクラウドと、パブリック・コンピューティングのクラウドです。 クラウドの概念は、確かに新しいものというわけではありません。実際、クラウド・コンピューティングは1960年代にさかのぼるメインフレーム・コンピューティングの特徴であったシェアード・テナンシー・コンピューティングを別の言葉で言い換えたに過ぎない、と主張する人もいます。しかしテナンシーという前提は同じであっても、私たちが利用している先進的な仮想化ソフトウェアなどの技術の進化によって、今日の「クラウド」はエンタープライズ・コンピューティングのコスト削減を推進する上でぜひ検討しなければならない重要な話題であると私は考えています。 クラウド・コンピューティングは、サービスとしてのソフトウェア、サービスとしてのプラットフォーム、サービスとしてのインフラストラクチャ、サービスとしてのストレージなど、多数のサービスを含む包括的なものであり、それら全てのサービスがパブリック・クラウドまたはプライベート・クラウドを介して提供されます。 いま、なぜクラウド・コンピューティングなのか 明確な理由の1つは、既存のコンピューティング・リソースをより有効に活用するためです。クラウド・コンピューティングの重要な特性の1つは、それがいかに経済を変革するかという点です。サービスを利用した分だけ料金を支払えばよく、その料金は一般に自前でそれらのサービスを構築してサポートを行う場合のコストより低くなります。もう1つの利点は、テストを柔軟に実行できるということです。 クラウドでは仮想化されたインフラストラクチャを利用できるため、同程度のコストではとても実施できないほどの大規模なテストを行うことができます。また、新規のプロジェクトや活動を始める場合にも障壁が低くなり、より地球環境に配慮したコンピューティング環境の構築に貢献でき、プロジェクトや活動の価値が高まります。 パブリック・クラウドとプライベート・クラウド
パブリック・クラウド・コンピューティングでは、まだ企業が求めるサービスを全て提供できるようになっているわけではありません。しかし企業としては、仮想化がもたらすメリットを見逃すわけにはいきません。そこでいま増加しているのが、プライベート・クラウド環境の構築です。 サンのIT部門では、プライベート・クラウドを構築して社内向けのサービスをそこに展開することにより、クラウド・コンピューティングの特性を活用しています。 プライベート・クラウドは企業のIT部門が構築し、企業が所有します。サービスは社員や認定を受けたパートナー及びサプライヤが、インターネットを介して直接利用します。ITの観点から考えると、サービスをクラウド内に迅速に展開し、それらのサービスを停止することなく運用して信頼性に優れた安全なサービスを提供すること、さらに水平方向及び垂直方向へのスケーラビリティを備えたものとすることが重要です。 通常プライベート・クラウドが構築されるのは、パブリック・クラウドでは必要なサービスが得られない、シェアード・テナンシー(リソースをテナント企業で共有すること)では機能しない、またはパブリック・クラウドで提供されるサービスでは企業が求めるスケーラビリティ、セキュリティ、顧客へのアクセスや訴求力、信頼性が得られないという場合です。 しかしパブリック・クラウドは、シェアード・テナント・モデルを採用することで効率化されています。複数の顧客が同一のコンピューティング・リソースを共有することで最大限のコンピューティング・プラットフォームが提供されるからです。セキュリティ管理は検討課題ではありますが、いずれ利用できるパブリック・クラウドの数が増え、セキュリティが向上し、利用できる地域が広がり、エンタープライズ対応が進めば、企業は自社用のプライベート・クラウドをやめて共有のパブリック・クラウドに移行するでしょう。 クラウド・コンピューティングへの対応
では、自社のIT部門がクラウド・コンピューティングに対応可能かどうかを判断するには、どうすればよいのでしょうか。テクノロジーの観点から見ると、それはきわめて簡単なことです。新規プロジェクトを立ち上げるたびに、その業務をクラウド内で処理することはできないか、あるいはそのサービスをSaaS(Software as a Service)プロバイダから提供してもらうことはできないかを考えてみればよいのです。 全てを自力でこなそうという考え方よりも、即応性が重視されるようになりつつあります。大規模なIT部門の多くは、何ごとも自前でできるスキルを備えており、「自分たちでやればより速く、より安く、より優れた成果を出せる」という文化を育んできました。しかし実際には、クラウド・サービスのサブスクリプションを利用すれば自前でサービスを構築するよりはるかに迅速にサービスの提供を受けることができます。 利用するアプリケーションが具体的であればあるほど、クラウドからはより適切なサービスが得られます。オンライン支払いアプリケーションやバックアップ・サービスなどはその好例です。専門家が構築したサービスをクラウドを介して利用できるのに、自前でそのサービスを構築する必要があるのでしょうか。 スキル面でも、全てを自前で構築するためではなく他社が構築したものを検査するためのスキルが求められるようになりつつあります。何かを自前で構築するときは、自社の強みと弱みが分かっています。一方クラウドのサービスを利用するためには、そのアプリケーションがセキュリティや信頼性などの点で自社のニーズに合っていることを確認できる検査のスキルが重視されます。 サンのCTOであるGreg Papadopoulos(グレッグ・パパドポラス)は、大学や新興企業の人たちと話をすると、誰もがきまってクラウド・コンピューティングを行っていたり検討中だったりすると述べています。いまやベンチャー・キャピタリストたちは、ハードウェアの購入資金は提供したがりませんが、利用した分だけ発生する営業費用は提供してくれるのです。 クラウド・コンピューティングの将来
とにかく、クラウド・コンピューティングが流行しているということは事実です。今後もクラウド内にはよりエンタープライズ対応のサービスが増え続けていくでしょう。CRM、ERP、人事などの分野では、すでにそのような状況が見られます。 この市場が成長するにつれ(経済がこれほど厳しい状況にあると、このような市場は成長します)、クラウドの数や奥行きも伸びていくでしょう。 そうなれば、ITはビジネスとの連携のしかたを変えなければならなくなります。従来のシナリオでは、IT部門がソリューションを構築または調達してビジネス部門に提供していました。しかしサービスがより入手しやすくなると、ビジネス部門は必要なサービスをサブスクリプションによって得てはどうか、と考えるようになります。 CIOやIT部門はビジネス部門との連携のしかたを変えることが必要になります。CIOには、ビジネス・スキルや様々な関係とパートナーシップに対応できる能力を身につけ、単に技術に詳しいCIOではなく、ビジネスを理解するCIOとなることが求められるようになります。 クラウドでは必要なサービスがまだ存在していなかったりセキュリティや信頼性の課題が解決されていなかったりするため、今後当面は、プライベート・クラウドが成長を続けるものと思われます。クラウド・サービスのプロバイダと消費者の双方が成熟し、サービスに期待されるものが変化するにつれ、課金モデルも進化します。そもそもインターネットとは何であるかといえば、それは複数のネットワークを結ぶネットワークです。そして、それこそまさにクラウド・コンピューティングであると私は考えています。 サンは現在クラウド・コンピューティングの構想を構築中であり、クラウド・コンピューティングのテクノロジーと機能を提供する専任の事業部門を立ち上げました。詳細は追ってお知らせします。サンのクラウド・コンピューティングの機能についての現時点での詳しい情報は、こちら(英語)でお読みいただけます。開発者向けの情報及びリソースはこちら(英語)に、また政府機関その他の公共機関のお客様向けの情報はこちら(英語)に掲載しています。 2009年がよい一年となりますよう願っています。また、引き続き皆様との対話を楽しみにしています。 Bob Worrall(ボブ・ウォラル) |
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