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クラウド・コンピューティングの実像に迫る
「クラウド・コンピューティング」という言葉は、まだ明確に定義されないうちに業界の流行語になっている感がある。しかし、“雲”のようにつかみどころがないものではない。「クラウド」と呼ばれるその雲の中にはいったい何があり、それは企業にとってどのような意味を持つのかについて考えてみよう。
「クラウド・コンピューティング」とは、効率性そのものである。単一のシステムから大量のITリソースまで、あらゆるものにオンデマンドでリアルタイムに、かつ低コストで展開したりアクセスしたりすることが可能になる。開発者にとってすでに馴染みのあるコンセプトやツールに基づいて構築されたクラウドによって、ITと開発者や企業との関係を一変させる可能性をも秘めている。ITサイドではこれまで以上の効率性と制御性が実現され、一方、顧客にとってはシンプルで、使いやすいサービスを受けることができるようになるというものだ。
クラウド・コンピューティングの実像
クラウド・コンピューティングとは何か、企業はそれをどう活用できるのか、そしてクラウド・コンピューティングのためにサンは何を提供できるのかについて、以下に簡単に解説する。
クラウド・コンピューティングの様々な展開手法には、いくつか共通点がある。最上層のレベルで見ると、クラウド・コンピューティングとは、ITリソースを適切に定義されたサービス・セットとして提供するための手段であるといえる。電気事業が、ボルト数と周波数の選択肢を制限することで効率化されているように、クラウドではごく少数のサービスを徹底して提供することで、効率化される。もちろん、アプリケーションによっては特定のクラウドには適さないことがある。これは重要なトレードオフとなる。
ほかにも、クラウド・コンピューティングの効率を向上させる重要な要素がある。具体的には、自動プロビジョニングとプログラムAPIがそれであり、これによって大幅に人手を省くことができる。仮想化を積極的に取り入れることで、物理リソースを最適化する。また、動的な拡張と縮小が可能であるため、従量課金制システムを組み合わせることにより、クラウド・ユーザはサービスを効率的に利用することができる。
一方、クラウドごとの重要な違いも多数ある。サンのクラウド・コンピューティング施策である『Network.com』の担当シニア・バイスプレジデントであるDavid Douglas(デイビッド・ダグラス)は、次のように述べてる。
「サンは、クラウド・コンピューティングには3つの側面があり、それぞれに独自の可能性と好機があると考えている。」
【側面1】 抽象化レイヤー
空では高度の違いによって形成される雲の形が異なるように、ITのクラウドも抽象化のレイヤーによって形成されるタイプが異なる。主なクラウドのタイプには、次の3種類がある。
- サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)
laaSは、最も下位のレイヤーに位置するものであり、基本的なストレージ及びコンピューティング機能を、標準化されたサービスとしてネットワークを介して提供する手段となる。最もよく知られた商用の例としては、Amazon Web Services(AWS)がある。そのEC2及びS3サービスでは、それぞれベアボーンのコンピューティング・サービス及びストレージ・サービスを提供している。
- プラットフォームとしてのサービス(PaaS)
PaaSは中間のレイヤーに位置し、IaaSよりも上位レイヤーの機能を提供する。開発者はそれらの機能を利用して、アプリケーションを開発する。商用の例としては、Google App Engine、及びSalesforce.comのForce.comプラットフォームなどがある。
- サービスとしてのソフトウェア(SaaS)
SaaSは、最上位のレイヤーに位置し、マルチテナンシーによってサービスとしてオンデマンドで提供される完全なアプリケーションを指す。つまり、ソフトウェアの単一インスタンスがプロバイダのインフラストラクチャ上で実行され、それを複数のクライアント組織が利用する。例としては、Salesforce.comやiTuneストアなどがある。
ここで注目すべき重要点は、IaaS及びPaaSクラウドでは新しいインタフェースとAPIが採用されていることだ。開発者にとって、これらの新しいインタフェースは開発作業を短期間で容易なものにしてくれる可能性がある反面、開発者を特定のベンダーまたはクラウドに拘束する危険性もある。(この点は従来のプラットフォームでも同じことだ。)
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【側面2】展開のタイプ
クラウドに複数のタイプがあるように、クラウドの展開にも、誰と誰がサービスを共有するかによって複数の方法がある。以下はその一例である。
- パブリック・クラウド
サード・パーティによって運営される。クラウド内のサーバ、ストレージ・システム、その他のインフラストラクチャ上に多数の異なる顧客のジョブが混在することがある。エンド・ユーザは、自分のジョブが実行されるサーバ、ネットワーク、またはディスク上に、自分以外に誰がいるのかを知らない。
- プライベート・クラウド
これは単一の顧客が所有するものであり、どのアプリケーションをどこで実行するかは、その顧客が管理する。サーバ、ネットワーク、ディスクは顧客が所有し、インフラストラクチャの使用をどのユーザに許可するかもその顧客が決める。
- ハイブリッド・クラウド
パブリック・クラウドとプライベート・クラウドを組み合わせたもの。顧客はインフラストラクチャの一部を所有し、それ以外は他の顧客と共有する。ただしその共有は顧客が管理する。
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【側面3】アプリケーション・ドメイン
アプリケーションはそれぞれ特性もユーザ要件も異なり、インフラストラクチャに対する要求も異なるということを考えると、クラウドも特定の作業負荷に合わせればよい、ということになるのではないだろうか。実際、すでにそのようなことが行われている。ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)・アプリケーションに最適化されたクラウドもあれば、最大Webスループット、あるいはトランザクションに最適化されたクラウドもある。アプリケーション・ドメインは特化される傾向にあり、支払い、セキュリティ、バックアップ、通信など、他の多様な分野に拡大していると、サンは考えている。
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クラウド・コンピューティングによって全てが変わる理由
「クラウドの発展は、単にITオタクが喜ぶプラットフォームの変革ではありません。間違いなくIT業界を変革するものであり、同時に人々の仕事のしかたや企業の運営方法を大きく変えるものです。」
The Economist「Let it Rise」、2008年10月23日
ITにはコスト削減が求められる一方で、ITに対する企業の要求は増大の一途をたどっている。ストリーミング・コンテンツ、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)・アプリケーション、さらにはWebに関する高度なカスタマ・エクスペリエンスなど、様々なものが要求される。これらの作業負荷の多くは膨大なコンピューティング・リソースやストレージ・リソースを必要とし、しかもリソースに対する需要の急激な増大や減少が発生する。その規模は従来のITインフラストラクチャで対応しきれるものではない。
このような状況を、クラウド・コンピューティングが解決すると考えられる。クラウド・コンピューティングの中核となるイネーブリング・テクノロジーが、圧倒的な規模のITリソース及び記憶容量を提供する。
- 仮想化技術
サーバ、ストレージ・システム、オペレーティング・システム、その他のリソースの仮想化により、物理システムの統合を可能にするとともに、それらシステムの使用率を飛躍的に高める。
- 先進的なファイルシステム
ZFS(Zetta-byte File System)などの先進的なファイルシステムにより、事実上無限のストレージ容量、ファイル・システムとボリューム管理の統合化、スナップショットとコピーオンライトによるクローン作成、オンラインでの整合性チェックと修復などをサポートする。
- アーキテクチャの「パターン」
アーキテクチャをパターン化し、一般的な問題に対して反復可能なソリューションを提供することによって、大規模なクラウド・アーキテクチャの迅速な開発を可能にする。
- 新しい手法
構造化データ、非構造化データ、及び「半構造化」データを処理する新しい手法により、データ駆動型サービスの大規模なスケールアウトを可能にする。
同様に重要なのが、クラウド・コンピューティングは新しいソフトウェア・アーキテクチャを可能にする、という点である。クラウド・コンピューティングによって、軽量で俊敏な各種のツールの導入も促進される。例えば、データ集約型の分散アプリケーションをサポートする無償のJavaソフトウェア・フレームワークであるHadoop、拡張性に優れた「データ・アクセラレータ」memcached、ストレージを水平方向へ何台でも無限に拡張できるファイル・システムであるMogileFSなどはその一例である。
さらに、ユーティリティ・モデルのようなスケール・メリットももたらす。自家発電や浄水場の設備を自前で構築する企業など、まずないといっていい。なのになぜ、企業のIT部門は自社が使用するあらゆるハードウェア、ソフトウェア、開発用リソースを自前で入手して管理しなければならないのだろうか。
「クラウド・サービスの顕著な特徴は、あらゆるユーザ向けに標準化したサービスを提供するという点にある。」とダグラスは語る。「電力会社に電話して、『私の家に83ボルトの電力を提供してください』などと頼む人はいない。電力会社では一律の電力を提供しており、それによってきわめて効率的にサービスを提供できるのである。」
エンド・ユーザにとって、クラウド・コンピューティングはハードウェアの取得コスト、ソフトウェアのライセンス料やアップグレードの管理、社員やコンサルタントの新規採用、施設の賃借料、設備投資などが一切不要になることを意味する。それはまた、隠れたコストも一切ない、ということである。発生するのは、従量制のコスト、すなわちサブスクリプション費用のみである。
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クラウド・コンピューティングがITにもたらす利点
クラウド・コンピューティングは、ITサービスを提供するための新しい魅力的な経済モデルを実現する。このモデルを活用するための3つの方法を以下に紹介する。
誰もが利用できる商用のクラウドベース・サービスは、提供される数が急増し、サービスの質も急速に向上している。新興企業、研究プロジェクト、Web 2.0開発者、あるいは開発したサービスを「手っ取り早く」提供したいニッチな分野のベンダーなどにとって、クラウドの利用は最適な選択肢となる。クラウドは以下の用途に利用できる。
- 過度な負荷がかかっているITインフラストラクチャの負荷を、一時的または永続的に軽減する。例えば、ソフトウェア開発とテストにはクラウド・サービスを利用できる。それぞれの用途に合わせたシステムを個別に購入する必要はない。
- ピーク時の負荷、バッチ処理のジョブ、サービスに対する需要の急増に対応する。
- 新しいソフトウェア・ツールを購入せずに試用する。
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クラウドの構築には、社内用のプライベート・クラウドの構築、新たな収益源となるパブリック・クラウドの構築、それら2つを組み合わせたハイブリッド・クラウドの構築という3つの選択肢がある。
プライベート・クラウドの導入は大きく成長するものとサンは考えている。多くの大規模企業は、クラウド・コンピューティングがもたらす経済的な利点については理解する一方、セキュリティ・ポリシー、法令遵守、その他の規制の準拠などが確実に実施されることを望んでいる。現時点では、それらの問題がパブリック・クラウドの実用化を阻んでいるからである。
企業やサービス・プロバイダでクラウド・モデルについての経験が増えるにつれて、パブリック・クラウドとハイブリッド・クラウドの構築も勢いが増している。パブリック・クラウドで提供されるサービスが現在急速に増えていることで、この勢いに拍車がかかることは間違いない。
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企業は、クラウド・コンピューティングのサービス・プロバイダ、すなわち「クラウド・アグリゲータ」となり、様々なタイプのクラウド・サービスを提供することも可能だ。要するに、クラウド・コンピューティングによって提供できるサービスというのは、必ずしもSaaS、PaaS、IaaSが全てではない、ということだ。特化したクラウドの形態としては、サービスとしての支払い、サービスとしてのセキュリティ、サービスとしてのバックアップ、サービスとしてのコラボレーションなど、様々なものが考えられる。
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サンの役割
自然界における雲の形成には太陽の存在が不可欠であるように、クラウド・コンピューティングの継続的な発展において、サンは次のような役割を果たす。
- サンは、クラウドの展開に不可欠な主要技術を革新する。それらの技術としては、効率的なサーバ及びストレージ・システム、エンタープライズ・クラスのオペレーティング・システム、仮想化技術、及び多彩なソフトウェア・プラットフォームやツールなどがある。
- サンは、クラウド構築における事実上全ての面で、中核技術の専門知識を提供する。サーバの仮想化技術、オープン・ストレージからオープンソース・ソフトウェアやサービス指向アーキテクチャ(SOA)にいたるまで、あらゆる知識を提供する。
- サンは、自前でパブリック・クラウドまたはプライベート・クラウドを構築しようとするお客様に、サービス、サポート、及びエンタープライズ・クラスのサービス・レベル契約を提供することができる。
- サンは、MySQL、OpenSolaris、GlassFishなど、クラウド・コンピューティングの革新にかかわる多数の大規模なオープンソース・コミュニティを支援している。
サン・クラウド・コンピューティングへのいざない
サンは、現在、クラウド・コンピューティング・サービスを準備中です。
Netowork.comサイト上にてサービス展開を予定しています。
情報のアップデートやベータ・テスターを御希望される方は、ぜひこの機会にご登録下さい。
また、どんなサービスや機能があったらよいか、といった皆様のご意見もお待ちしております。

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