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奈良先端科学技術大学院大学

概要

関西文化研究学園都市に1991年に開学した奈良先端科学技術大学院大学は、その名が示すとおり、大学院だけを設置した最先端科学領域の教育研究に特化した国立の教育機関である。主な研究領域は情報/バイオ/物質創成の3つの領域だが、科学技術の高度化に伴い研究領域の垣根が希薄になっているため、これら3分野にまたがる研究や関連する分野など、幅広く先端科学領域を研究対象としている。

その奈良先端科学技術大学院大学では、IT投資にも特徴がある。国立大学では通常、情報システムの調達は"4年サイクル"が一般的だ。しかし、日進月歩で技術革新が起きるIT分野において、4年は世代が代わるほど長い。「先端」と名がつく大学院大学だけに、研究領域にも関係するITも当然のことながら最先端を走ることが求められる。そのため、情報システムをほぼ4分の1ずつ毎年更新するというサイクルを採用している。きっかけは、1991年の開学から、学年が増えるごとに大学院生の数も段階的に増えてきたことにある。これにあわせて、システムについても毎年拡充する必要があることから、結果的に4年サイクルのIT投資が毎年発生することになり、最先端のシステムを構築し続けるのに役に立った。

さらに調達するシステムについては、学内で仕様書を書き、一般入札で調達システムを決定している。そのため、必要とする機能を備えた妥協のないシステムを毎年構築してきている。こうした環境においてサンは、2002年に導入されて以来、6年連続の受注を獲得。現在ではサーバ・ルームのほとんどを占める200台以上のSun FireサーバとSun StorageTekストレージ製品、そして研究室にはSun Ray Virtual Thin Clients(以下Sun Ray)が500台以上導入されるに至っている。

主な課題
得られた結果
  • 省電力で熱が発生しないサーバ環境
  • "データを捨てない"で貯めておける大容量のストレージが必要
  • セキュリティを考慮し、シンクライアント環境を検討
  • 学生が使うコンピュータ環境は常に最新にしておきたい
  • 研究室やサーバ・ルームの消費電力と発熱の問題を解消
  • 故障の少ない大容量ストレージ環境を構築
  • 端末のセキュリティを高いレベルで確保
  • クライアントマシンの移動が不要なため、組織や業務内容変更に伴う座席の移動が容易になった

奈良先端科学技術大学院大学は、学部を持たない国立大学法人の大学院大学である。

その理念は「先端科学技術分野にかかわる高度な研究の推進」「国際社会で指導的な役割を果たす研究者の養成」「社会/経済を支える高度な専門性を持った人材の育成」「社会の発展や文化の創造に向けた学外との緊密な連携/協力の推進」に込められている。

研究領域としては情報科学/バイオ/物質創成を掲げており、理念の実現のために、それらの融合領域にも積極的に取り組むことで、新たな学問領域を開拓し、最先端の問題の探求とその解明を目指している。さらに社会の要請が強い課題についても積極的に取り組み、次代の社会を創造する国際的水準の研究成果の創出を図ることを目的にしている。

砂原 秀樹 氏
奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科 教授
工学博士
砂原 秀樹 氏
辻井 高浩 氏
奈良先端科学技術大学院大学
情報科学センター
助手
辻井 高浩 氏

最先端の研究活動を支えるためには、最先端のIT環境を構築することも重要だ。通常、国立大学のシステム更新は4年サイクルで行われ、それが当たり前になっている。しかし奈良先端科学技術大学院大学では、毎年何らかのシステム構築案件が出てくる。

これに対し、奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授の砂原秀樹氏は「基本的に4年サイクルというのは他大学と同じ。しかし、1991年に設置された新しい大学院大学で、大学院生や教職員などが増えるのに応じてシステムを拡充してきたため、結果的に毎年システム調達をすることになりました。今でも全体の約4分の1ずつ毎年更新するスタイルになっています」と語る。

さらに、調達の際には必要とする機能を盛り込んだ仕様書を独自で作り、一般入札を行う。最先端を行く大学ならではの高度な要求が盛り込まれることから、応札できるのは自然とそうした要求を理解できるベンダーに限られてくる。そうしたユニークな調達方法により、毎年最新の技術を備えたシステムが入ってきているのである。

サンのサーバは2002年から6年間、継続して採用されており、既に200台以上のサーバに加えて、クライアントとしてSun Rayが500台以上も導入されている。「私達の進め方は、就任したばかりの教職員などは面食らうと思います。システムに対して何が必要かという明確な目的を持たなければ、何も買えませんから。しかし、慣れてくると自分たちの研究に必要な機能について、わがままな要求も出てくるようになりました(笑)」と砂原氏。そうした調達環境だけに、ベンダーにも高い専門性が要求される。

「市場ではハード価格が下がり、システム構築自体が安かろう悪かろうという方向になりつつありますが、目先の価格よりも、良いものを導入すれば安定性や拡張性などが得られ、結果的に投資対効果が高くなります」と砂原氏は話すが、それだけベンダーに対する要求も高いということになる。ちなみに、Sun Rayは「導入から5年になりますが、壊れたのは数台です」(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学センター助手 辻井高浩氏)というほど安定性と信頼性の高さを示している。

大量のサーバ、端末を活用していれば、毎日何らかの理由でトラブルは発生しそうなもの。運用面でもそうした事態を想定していたが「Sun Rayについては実際に壊れないことで、時間をその他のシステム開発や運用に振り向けることができました」と辻井氏は語る。

ただし、サーバにおいてはその先進的なシステム構築の取り組みゆえ、多少なりともトラブルはあった。「何をやってもうまく稼動せず、原因を発見するまではトライ&エラーの連続でした。しかし、サンが積極的に協力してくれたこともあり、トラブルは解決し、それがノウハウとして活きています」と、辻井氏はサンのサポート力を評価している。

Sun Rayの活用においては、セキュリティを強固にするために、Kerberos認証を導入した。砂原氏は「シンクライアントはあれこれ試しましたが、どれもセキュリティなどの面で不足している部分がありました。その中でOSもメモリも一切搭載しないSun Rayには脅威が何もない。ICカード認証を使っていることからセキュリティが元々強固ですが、さらにKerberos認証による非常に高いセキュリティ・レベルを実現できました」とし、辻井氏も「Kerberos認証を活用する事例は多くないと思います。ただし、奈良先端科学技術大学院大学で実用化していることで、今後は一般的に通用するシステムになるのではないでしょうか」と自負している。

奈良先端科学技術大学院大学のファイル・サーバは、2006年度にSun StorageTekストレージ製品を導入したことにより、既に1PB(ペタバイト)という大容量を実現している。ここに至るまでについては、砂原氏によると「200TB(テラバイト)まで増強したところ、ほかの大学が300TBまで拡張したというので、では800TBプラスしちゃおうと(笑)」とのことだが、何もスペックだけを追いかけたわけではない。研究分野においては、どのようなデータであっても捨てずに残しておく価値がある。そのため、捨ててもよいデータは無いというわけだ。

砂原氏は「1PBという大容量にもかかわらず、非常に安定しています。サンのサーバ、ストレージは省電力で発熱が抑えられているため、サーバ・ルームの電源と空調の問題も解決できました」とも語っている。

奈良先端科学技術大学院大学では、全学の情報環境を『曼陀羅(まんだら)』システムと呼んでいる。曼陀羅とは、仏教の絵画で宇宙観や世界観などの仏教世界を描いたものとされ、中心に描かれた大日如来を取り囲むように諸仏が描かれるが、その諸仏も1つの世界を作っている。まさに現代の情報ネットワークを連想させる図だ。また、奈良という土地も曼陀羅との関連性を漂わす。

曼陀羅システムは、各システムを10Gbps以上の交換速度を持つネットワーク・スイッチで結び、各研究室でも100Mbps縲鰀1Gbps以上の速度帯域を提供している。そのネットワークには5000台以上の端末が接続されている。教職員や学生はどの端末を使ってもネットワークにアクセスでき、さらにどこにいてもネットワークにアクセスできるように、無線LANの運用を開始している。

この曼陀羅システムを支えるサーバ群のほとんどが、現在ではSun製品となっている。もちろん、これは入札による結果であり、Sun製品を考慮したシステム構築を進めたわけではない。「曼陀羅システムでは、どのベンダーの製品でも利用可能な状態になっています。Sun製品が多く導入されているのは、入札時の評価が高かったに過ぎません」(辻井氏)

古くはSun-1ワークステーション(サンの1号機であるワークステーション)の時代からサンのユーザだったという砂原氏。「サンの安定性の高さ、最新テクノロジを独自の目線でキャッチアップするという開発の姿勢を評価しています」と"先端技術の研究開発"を支える基盤システムとして、サンが今後も、常に最先端のテクノロジと製品を市場に提供し続けることに期待を寄せている。

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