最先端の研究活動を支えるためには、最先端のIT環境を構築することも重要だ。通常、国立大学のシステム更新は4年サイクルで行われ、それが当たり前になっている。しかし奈良先端科学技術大学院大学では、毎年何らかのシステム構築案件が出てくる。 これに対し、奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授の砂原秀樹氏は「基本的に4年サイクルというのは他大学と同じ。しかし、1991年に設置された新しい大学院大学で、大学院生や教職員などが増えるのに応じてシステムを拡充してきたため、結果的に毎年システム調達をすることになりました。今でも全体の約4分の1ずつ毎年更新するスタイルになっています」と語る。 さらに、調達の際には必要とする機能を盛り込んだ仕様書を独自で作り、一般入札を行う。最先端を行く大学ならではの高度な要求が盛り込まれることから、応札できるのは自然とそうした要求を理解できるベンダーに限られてくる。そうしたユニークな調達方法により、毎年最新の技術を備えたシステムが入ってきているのである。 Sun Rayが壊れず安定しているため端末の管理から開放され新たな取り組みも可能になった
サンのサーバは2002年から6年間、継続して採用されており、既に200台以上のサーバに加えて、クライアントとしてSun Rayが500台以上も導入されている。「私達の進め方は、就任したばかりの教職員などは面食らうと思います。システムに対して何が必要かという明確な目的を持たなければ、何も買えませんから。しかし、慣れてくると自分たちの研究に必要な機能について、わがままな要求も出てくるようになりました(笑)」と砂原氏。そうした調達環境だけに、ベンダーにも高い専門性が要求される。 「市場ではハード価格が下がり、システム構築自体が安かろう悪かろうという方向になりつつありますが、目先の価格よりも、良いものを導入すれば安定性や拡張性などが得られ、結果的に投資対効果が高くなります」と砂原氏は話すが、それだけベンダーに対する要求も高いということになる。ちなみに、Sun Rayは「導入から5年になりますが、壊れたのは数台です」(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学センター助手 辻井高浩氏)というほど安定性と信頼性の高さを示している。 大量のサーバ、端末を活用していれば、毎日何らかの理由でトラブルは発生しそうなもの。運用面でもそうした事態を想定していたが「Sun Rayについては実際に壊れないことで、時間をその他のシステム開発や運用に振り向けることができました」と辻井氏は語る。 ただし、サーバにおいてはその先進的なシステム構築の取り組みゆえ、多少なりともトラブルはあった。「何をやってもうまく稼動せず、原因を発見するまではトライ&エラーの連続でした。しかし、サンが積極的に協力してくれたこともあり、トラブルは解決し、それがノウハウとして活きています」と、辻井氏はサンのサポート力を評価している。 Sun Rayの活用においては、セキュリティを強固にするために、Kerberos認証を導入した。砂原氏は「シンクライアントはあれこれ試しましたが、どれもセキュリティなどの面で不足している部分がありました。その中でOSもメモリも一切搭載しないSun Rayには脅威が何もない。ICカード認証を使っていることからセキュリティが元々強固ですが、さらにKerberos認証による非常に高いセキュリティ・レベルを実現できました」とし、辻井氏も「Kerberos認証を活用する事例は多くないと思います。ただし、奈良先端科学技術大学院大学で実用化していることで、今後は一般的に通用するシステムになるのではないでしょうか」と自負している。 1ペタバイト超の大容量ストレージでデータ容量を気にすることなく保存 奈良先端科学技術大学院大学のファイル・サーバは、2006年度にSun StorageTekストレージ製品を導入したことにより、既に1PB(ペタバイト)という大容量を実現している。ここに至るまでについては、砂原氏によると「200TB(テラバイト)まで増強したところ、ほかの大学が300TBまで拡張したというので、では800TBプラスしちゃおうと(笑)」とのことだが、何もスペックだけを追いかけたわけではない。研究分野においては、どのようなデータであっても捨てずに残しておく価値がある。そのため、捨ててもよいデータは無いというわけだ。 砂原氏は「1PBという大容量にもかかわらず、非常に安定しています。サンのサーバ、ストレージは省電力で発熱が抑えられているため、サーバ・ルームの電源と空調の問題も解決できました」とも語っている。 『曼陀羅』システムの主軸を担うSun Fireサーバ
奈良先端科学技術大学院大学では、全学の情報環境を『曼陀羅(まんだら)』システムと呼んでいる。曼陀羅とは、仏教の絵画で宇宙観や世界観などの仏教世界を描いたものとされ、中心に描かれた大日如来を取り囲むように諸仏が描かれるが、その諸仏も1つの世界を作っている。まさに現代の情報ネットワークを連想させる図だ。また、奈良という土地も曼陀羅との関連性を漂わす。 曼陀羅システムは、各システムを10Gbps以上の交換速度を持つネットワーク・スイッチで結び、各研究室でも100Mbps縲鰀1Gbps以上の速度帯域を提供している。そのネットワークには5000台以上の端末が接続されている。教職員や学生はどの端末を使ってもネットワークにアクセスでき、さらにどこにいてもネットワークにアクセスできるように、無線LANの運用を開始している。 この曼陀羅システムを支えるサーバ群のほとんどが、現在ではSun製品となっている。もちろん、これは入札による結果であり、Sun製品を考慮したシステム構築を進めたわけではない。「曼陀羅システムでは、どのベンダーの製品でも利用可能な状態になっています。Sun製品が多く導入されているのは、入札時の評価が高かったに過ぎません」(辻井氏) 古くはSun-1ワークステーション(サンの1号機であるワークステーション)の時代からサンのユーザだったという砂原氏。「サンの安定性の高さ、最新テクノロジを独自の目線でキャッチアップするという開発の姿勢を評価しています」と"先端技術の研究開発"を支える基盤システムとして、サンが今後も、常に最先端のテクノロジと製品を市場に提供し続けることに期待を寄せている。 関連事例 |
製品/ソリューション
販売パートナー
関連業種
| ||||||||||||||||||||||||||||