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さらに、共通基盤の導入によって、その後のシステム調達やシステム運用管理にもよい影響が出るものと期待された。「共通機能を外部にくくり出すことにより、業務システムごとに最適なソリューションや製品を別々のベンダーから調達できるようになります。また、セキュリティなどのポリシーをコントロールするのも容易になります」と金田氏は話す。 共通基盤に必要な4機能に加え全体統制などを入札の要件に この共通基盤構想は、2005年度と2006年度に構築が進められた。 まず、2005年度は調査を中心とした。共通基盤導入の担当となった金田氏は、共通基盤導入に要する妥当な経費の調査に当たるとともに、すでに共通基盤に取り組んでいた札幌市(北海道)の事例等を調査/研究し、千代田区にふさわしい共通基盤の具体的な姿を固めていったのである。 続く2006年度には、Javaアーキテクチャによる共通基盤の構築に向けた作業が本格的にスタートした。IT推進担当課がRFPを書き上げたのは、2006年6月のことである。このRFPでは共通基盤に求める主要機能としてポータル/電子決裁/職員認証/システム連携の4つを挙げたうえで、以下の要件を盛り込んだ。
契約者に全体統制まで求めた理由を、金田氏は「先行導入した自治体では、業務アプリケーション開発者に共通基盤のルールを守らせることに苦労されていたようです。そのため、契約者にそこまでの役割を求めることにしました」と語る。 Solaris 10 OSと国産クラスタ・システムで共通基盤に必須となる安定性を確保 ITベンダー各社から提出された提案書のうち、千代田区が選んだのはSolaris 10 OSベースのシステムを提案した株式会社フライトシステムコンサルティングをはじめとするコンソーシアムだった。提案書の審査にあたって勝島氏は、同一仕様の共通基盤を稼動させていた鳩ケ谷市(埼玉県)を実地調査し、「動作もスムーズで、これなら千代田区に導入しても大丈夫」との感触を得たという。 2006年8月に発注を受けたフライトシステムコンサルティングは、構築作業を約5か月で完了させ、2007年1月には動作可能な状態にした。完成した共通基盤は10台のx86サーバと4台のストレージからなり、設置されているデータセンターと庁舎の間は広域ネットワーク回線で結ばれている(図2)。
システム構築のポイントとなっているのは「システムを停止させない」という要件を満たすための仕組みだ。具体的には、ほとんどのサーバを「当社のこれまでのシステム開発で安定性の高さを確認済み」(フライトシステムコンサルティング)のSolaris 10 OSで動作させ、データ格納の中枢となるデータベース・サーバはフライトシステムコンサルティングが開発した国産クラスタ・システム「FLIGHT Total Cluster」で可用性を確保していることの2点がそれにあたる。 汎用性を確保するために採用された共通基盤のJavaアーキテクチャと、可用性を確保するためのFLIGHT Total Cluster。この組み合わせによるシステムを運用するためのOS環境にSolaris OSが最適であるという選択は、Solaris OSのソース・ライセンスを取得するフライトシステムコンサルティングの実績に裏付けされた提案であり、その実績は5か月という短期の構築期間にも現れている。 完成した共通基盤の上に今後数年をかけて業務システムを乗せていく 完成した共通基盤に対して勝島氏は「予想していた以上のものが出来上がりました」と評価している。そして、「今後は、共通基盤の連携を密にした業務システムの開発を進めるとともに、本格運用に向けてフライトシステムコンサルティングのさらなるサポートを期待したい」(勝島氏)というのが、今後に向けてのIT推進担当課の展望だ。 共通基盤上で動作する業務システムは、今後数年をかけて、順次整備させていく。ポータルの一環として導入された職員向けグループウェアはすでに利用可能な状態にあり、2007年3月末には新しい財務会計システムも稼動を始める。その後は、文書管理システム(2007年度)、庶務事務システム(2008年度以降)と続く予定だ。 それゆえ、ベンダー固有の技術による制約を受けることなく将来の新しいテクノロジーの登場やシステムの拡張要求の際にも対応でき、汎用性を確保するための「標準規格」に配慮した、安定性に優れた「共通基盤」を構築できたことの意義は非常に大きいのである。 |
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