概要
国内初のコンピュータ・サイエンス専門の大学として知られる会津大学(福島県会津若松市)は、コンピュータ・サイエンス教育の基礎にはUNIX®が最も適していると判断。開学時から、UNIXを中心にコンピュータ環境を構築してきた。その中で、当初は汎用的なコンピュータ環境、または科学計算用として、Sunのサーバとワークステーションが導入された。Solaris OSは最もオーソドックスなUNIX環境であり、Sunとしてネットワークへの意識も高いことを評価しての採用である。
その後、動作の安定性やサポートなどの実績から、その他の部分もSun製品に切り替わってきており、現在ではサーバが約150台、ワークステーションとシンクライアント端末の合計が1,000台以上(講座・センターマシンを含めると2,800台)を数えるほどになっている。これは、会津大学に導入されているコンピュータの約40%に相当するという。こうした環境に支えられ、会津大学の情報ネットワーク・システム(AINS:University of Aizu Information Network System)は、24時間365日稼動し、学生はいつでも使用することができる。
主な課題
得られた結果
コンピュータ・サイエンスの教育と研究に最適な環境の構築
安定したコンピュータ環境の構築
運用管理の効率化
安定したコンピュータ環境を教員と学生に提供
クライアント管理の効率化
教員個室の静音化
コンピュータ・サイエンスの基礎を学ぶにはUNIXが最適
福島県会津若松市にキャンパスを構える会津大学は、1993年4月に開学した国内初のコンピュータ・サイエンス専門の大学として知られている。“to Advance Knowledge for Humanity”“学生第一”“Shine as Pioneers”とのモットーのもと、新しい時代の「知」を創造するコンピュータ・サイエンティストと高いコンピュータ・スキルを持ったエンジニアを育てることが、同学における学部教育の方針だ。また、国際感覚を育むために学内共通語を英語にしているのもユニークである。なお、会津大学は設立当初、県立大学であったが、他の公立大学と同様、2006年4月に公立大学法人へと移行している。
コンピュータ・サイエンス専門の教育/研究機関であるため、当然とも言えるが会津大学には非常に充実したコンピュータ環境が整備されている。例えば、学生一人あたり1台以上となるワークステーションがコンピュータ演習室に用意されており、24時間365日いつでも使えるように情報センターが維持管理を行っている。こうした充実した環境を求め、入学を希望してくる学生も多いという。
会津大学の情報ネットワーク・システム(AINS:University of Aizu Information Network System)では、開学時からUNIXが使われてきた。設立準備の段階から同学のコンピュータ環境の選定にかかわってきた会津大学 コンピュータ理工学部 コンピュータソフトウェア学科 情報基礎論講座 教授 工学博士の林 隆史氏は、その理由を次のように語る。
「1990年代前半の時点では、計測器との接続などでUNIX以外のOSを使っていましたが、研究者の間では『コンピュータ・サイエンスを研究するためのプラットフォームとしてはUNIXがベスト』という評価が定着していたように思います。また、情報センターが全学向けに統一的に提供する環境としても、UNIXが適していると判断しました」
この方針は、現在においても変わっていない。
学部学生向けのコンピュータ・リテラシー教育も受け持つ会津大学 情報センター 上級准教授の藤津 明氏は「UNIXには世界中で培われたawk、sed、grepといった伝統的な小道具が充実しています。これをUNIX以外のOSでその小道具を学んだとしても、本質を理解するのは難しいのではないでしょうか。付け足しみたいな感じになってしまいますから」といった面でもUNIXを評価している。加えて林氏は「そういった小道具を組み合わせて、自分のアイデアを試すことができるのも、UNIXの魅力だと思います」と語る。
ここ数年のキーワードとなっているSOA(Service Oriented Architecture)においても、基本はサービスのモジュールという小道具を組み合わせることから、藤津氏は「UNIXで小道具を組み合わせて使うのと同じ発想です。重要なのは、組み合わせて何かを作り上げることに、こなれているかどうか。SOAのようなものに取り組むための準備としても、UNIXは役立つのです」と考えている。
また、林氏は「UNIXは、どのような動きをしているのかが分かりやすい。処理の内容が把握しにくいOSでは、技術者の育成には向きません。出来上がったものを使うだけであればそれでよいでしょうが、教育という面では、やはりUNIXが一番でしょう」と評価している。
会津大学
コンピュータ理工学部
コンピュータソフトウェア学科
情報基礎論講座 教授 工学博士
林 隆史 氏
会津大学
情報センター
上級准教授
学術博士
藤津 明 氏
会津大学
情報センター
主査
秋葉 真宏 氏
安定性などの実績が評価され現在では90%近くがSun製品
ではなぜ、数あるUNIX環境の中から、Sunのサーバ/ワークステーション、そしてSolaris OSが選ばれ、その後も使われ続けているのだろうか。
林氏は「Solaris OSは、最もオーソドックスなUNIX環境であるということです。また、Sunの“n”はネットワーク(Network)の“n”でしたよね。そのように、Sunがネットワークに高い意識を持っているということも、採用の決め手となりました」と振り返る。動作の安定性やサポート体制の充実といったことも、会津大学がSun製品を使い続けている理由だ。
開学当初は、ネットワーク関連やグラフィックス関連などにおいて、Sun以外の製品が導入されていた。Sun製品が採用されていたのは、汎用的に使われる環境や科学計算用がメインだった。それが徐々にSun製品に切り替わってきており、現在では情報センターが管理する全コンピュータの90%近くを占めるようになっている。
「実際のところ、Sun製品の障害発生率は他社に比べてはるかに低いのです」と、情報センターでシステム運用管理業務に携っている会津大学 情報センター 主査の秋葉真宏氏は評価している。パフォーマンスについても、林氏は「Sunのコンピュータは、高負荷な状況においても高い処理能力を発揮します。負荷があるレベルを超えると急激に性能が低下するといったことがないので、安心して使えます」と、安定した処理能力という点でもSun製品を評価している。
Sun Ray端末の導入によりメンテナンス作業を効率化
ハードウェア実験室に配備されている Sun Ultra 25
演習室5と6に配備されている Ultra 20 M2 Workstation
会津大学の情報センターが管理しているコンピュータ・ネットワークには、ネットワーク管理室に置かれた約150台のサーバと2,700台以上のワークステーション/シンクライアント端末が接続されている。
シンクライアント端末として使われているのはSun Rayで、会津大学に初めて導入されたのはSun Ray Software 3時代の2004年だ。採用理由を林氏は「ローカル・データ格納用のハードディスクを持たないSun Rayなら、ソフトウェアの更新や故障時の修理に手間がかからないと考えました。また、高度なセキュリティを確保でき、省電力でかつ低発熱型なので電力と空調の費用を抑えられることも魅力でした」と説明する。教員個室に設置されていたワークステーションも現在はSun Rayに置き替えられており、「動作音が静かでよいとの声が寄せられています」(林氏)とのことであった。
また、Sun Rayを導入する前は、各研究室にはサーバも導入されていたため、メンテナンスの作業に課題を抱えていたという。
「事前にメンテナンスのお知らせをしていても、なかなか目を通していただけません。勝手に研究室に入って作業を進めるわけにもいきませんので、その点で苦労していました。Sun Ray環境にしたことで、サーバも集中化しましたので、そういった問題が解消されています」と秋葉氏。Sun Rayの導入により、メンテナンス性は格段に向上した。
会津大学は、今後もSun Ray端末の導入を検討していく予定だという。次の対象となるのは、現在はワークステーションが置かれているコンピュータ演習室だ。「演習では数多くの学生が同時に使用しますから、パフォーマンスの確保に気を配らなければなりません。それにはどのような環境が最適かを検討しながら、進めていきたいと考えています」(藤津氏)と計画している。
Sunにはネットワークへの注力と新プラットフォームに期待
15年以上のSunユーザとして、Sunに対する会津大学の要求は尽きない。「Sunの優位性の1つは、ネットワークにあると考えています。ぜひ、創業時と変わらずネットワークを前面に押し出して突き進んでいただきたい。また、2007年はSunの創業25周年です。だからというわけではないのですが、そろそろ新しいプラットフォームを考えてほしいですね。コンピュータの世界では、今後、どこかで大きな変化が急に起きるかもしれません。その時に、我々も遅れをとりたくないという思いがあるので、Sunにはがんばってほしい」と林氏。Sunの製品だけでなく、イノベーションに対する期待も大きい。
コンピュータ・サイエンスで世界をリードした米国では、コンピュータ・サイエンス学科の入学者が減っていると言われている。その原因の1つが、技術革新が激しいゆえの教育効果の短さにあるとすれば、今求められているのは、将来どのような技術が登場しても対応できる「基礎力」であろう。コンピュータ・サイエンス教育にUNIXを採用した会津大学は、最適な選択をしたと言えよう。そしてSunは、これからも教育機関に向けて精一杯の支援を続けていく。
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