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「それまでニュートリノは質量がない、ということが常識とされてきました。これは素粒子物理学の常識を覆し、新しい方向を生み出す画期的な発見でした」と東京大学 宇宙線研究所附属 神岡宇宙素粒子研究施設 准教授の竹内康雄氏が語るほど、物理学の世界に与えたインパクトは大きかった。その観測結果は、次のようなものであった。 スーパーカミオカンデでとらえた、陽子などの宇宙線が大気と衝突して発生する大気ニュートリノの観測結果から、ニュートリノが振動していることを発見。この振動は、ニュートリノに質量があることの証拠であった。 このような観測活動を行う神岡宇宙素粒子研究施設にとって、一瞬のシステム停止さえも致命的となりかねない。「カミオカンデで超新星爆発をとらえたのが20年前。次にいつ観測できるか分からないだけに、システム停止はあってはならないのです」と竹内氏。超新星爆発によるニュートリノを観測できるのはわずか10秒ほど。その10秒を逃すと、次の機会までは、また数十年待つことになるかもしれない。 3か所の離れた研究サイトで同じIT環境を利用可能にする
サブ・コントロールルーム。
坑内同様、スーパーカミオカンデが取得する データをモニタする ![]() サブ・コントロールルームで使用されている
Sun Ray 2 ![]() Sun Rayサーバに使用されている
Sun Fire V240 神岡宇宙素粒子研究施設では、2007年3月からSun Rayが活用されている。 東京大学 宇宙線研究所の本拠地は、千葉県の柏キャンパスにある。そして神岡町にある研究施設と、そこから4キロメートル離れた地点にある坑内のスーパーカミオカンデ実験サイト。研究者はこの3か所を頻繁に行き来するというわけだ。 「どこの施設に行っても、ICカードを差し込めばそれまで行っていた作業の続きが行えます。神岡で実行開始した解析ツールの完了を待たずして、柏キャンパスに移動し、引き続き作業ができるという点で、非常に利便性を感じています。それまでは、実行した解析ツールを中断してしまうか、結果が出るのを待たなければなりませんでしたから」と竹内氏は語る。 以前はクライアント環境としてPCを使っていたが、そのすべてを撤去し、70台のSun Rayを導入した。それまで使っていたMicrosoft Windowsアプリケーションについては、Sun Ray Connector for WindowsによるMicrosoft Windows Terminal Serviceへの接続により、Sun RayからもPCと同様に利用することができる。 クライアント環境を大きく変えるのには不安がつきまとうものだが、結果的には利用者全員に好評で、特に静音性に対する評価は高く「PCのころはファンがうるさいと言われることがありましたが、Sun Rayの導入後は、エアコンがうるさいと言われるようになりました(笑)」(竹内氏) 2007年3月に稼動開始したこの新しいシステムには、Sun RayサーバとしてSun Fire V240が6台設置されている。そのうち5台は神岡宇宙素粒子研究施設にあり、1台はスーパーカミオカンデ実験サイトに置かれている。サーバを柏キャンパスではなく、神岡宇宙素粒子研究施設に置いたことについて竹内氏は「研究に使用する設備は、現場に置くのが原則ですから」と説明する。 研究活動では観測した結果を解析することになるが、そのための解析ツールは独自にプログラミングしたものを使っている。そのためには、ツールの開発や実行の環境となるサーバも現場に置いた方がよいというのがその理由だ。 柏キャンパスにあるSun Rayは、国立情報学研究所のSINET3(Science Information Network)経由で250キロメートルほど離れた神岡宇宙素粒子研究施設と1Gbpsで接続されており、広域ネットワーク越しに直接、神岡宇宙素粒子研究施設のサーバにアクセスしている。柏キャンパスからの利用においてもSun Rayは好評で、増設の要望があり、急遽、神岡宇宙素粒子研究施設から持っていったり、追加購入をしたりしている。 柏キャンパスにサーバが設置されていないこと、クライアントのメンテナンスがほとんど不要になったことから、柏キャンパスでのシステム管理コストも大幅に削減されている。 Sun Rayの導入でグラフィック表示が快適に Sun Ray上で解析ツールを使用した感想として、竹内氏は「事前にデモ機を借りて試したときに、重いグラフィックが、柏キャンパス内でこれまでのPC環境に比べて速く表示できることが分かりました。実際に導入した後も、神岡と柏で同等の端末環境で解析が快適に行えます」と評価しており、そのため研究面での効率化にも貢献している。また、すべてのPCを撤去したことで、神岡宇宙素粒子研究施設の事務部門でもSun Rayが使用されている。 そして、今後の課題の1つは海外の研究機関との連携である。素粒子物理学では、その研究内容の先進性ゆえ、海外の研究機関との共同プロジェクトが多いという。「将来的な希望ですが、Sun Rayを持つ海外共同研究機関から、VPN(仮想専用線)を経由して、データ解析のためにアクセスできるようにしたいと思っています」と竹内氏は語る。 スーパーカミオカンデではさまざまな観測が行われているが、どれもいつ発生するか分からない事象を確実に観測データとして記録するという、気の遠くなるような時間と努力が必要とされる。スーパーカミオカンデに対する期待は高く、その研究をIT環境の面で支えるべく、Sunは今後も最適なソリューションを提供していく。 |
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