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独立行政法人国際協力機構 横浜国際センター 海外移住資料館

概要

日本人の海外移住には100年以上の歴史があり、海外で生活する移住者とその子孫は約250万人になるという。そうした海外移住の歴史と移住者/日系人に関する資料などを展示しているのが、国際協力機構(JICA)の海外移住資料館(JICA横浜国際センター内)である。

同資料館に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、縦に並んだ3つの大画面ディスプレイ。動画を中心とした海外移住の関連資料が映し出されている。ほかにも、各ポイントでデジタル資料が展示されており、こうしたデジタル資料を効果的に活用しているのが海外移住資料館の特徴の1つでもある。そして、注目すべきは、それらの展示に使われている端末が、Sun Rayだということ。CPUやハードディスクを持たないSun Rayは、静かで省消費電力。しかも、ほとんど故障しないため、こうした展示にも最適な端末という評価を得ている。

また、館内展示に加え、海外移住資料館はWebサイトにおいての情報展示にも、積極的に取り組んでいる。さらに、その情報基盤を「仮想資料館」として同資料館以外にも提供しており、これはデジタル資料の展示に注力している海外移住資料館ならではの取り組みと言えよう。そして、その海外移住資料館が選択したのが、十分な処理能力と高い価格性能比が得られ、消費電力と発熱量が低いCoolThreadsサーバを核とするSunの製品群である。2007年4月に導入した新システムでは、アプリケーション(AP)サーバとデータベース(DB)サーバをSolarisコンテナによって仮想化と統合化を実現。これにより、サーバ・リソースの効率化やシステムの信頼性向上、そして運用コスト低減を実現している。

主な課題
得られた結果
  • デジタル資料などの有効活用
  • 動画コンテンツなどの増加
  • 消費電力と発熱量を抑える
  • システム運用負荷の軽減
  • サーバの消費電力を66%削減
  • サーバの台数減により機材容積を削減
  • コンテンツの増加にも堪えられる処理能力を確保
  • アプリケーション・サーバ/データベース・サーバの冗長化を実現
  • 機器入れ替えにともなう休館を回避

政府の海外移住推進事業が2000年、ひと区切りを迎えた。これを受けて2002年10月にオープンしたのが、国際協力機構(JICA)の海外移住資料館である。同機構の横浜国際センター(神奈川県横浜市中区)2階に設置された海外移住資料館には「海外移住の歴史」「われら新世界に参加す」「デジタル移住スペース」「ニッケイ・ライフ・ヒストリー」「日本の中のニッケイ・世界の中のニッケイ」などの展示コーナーが並び、年間約3万人(2006年度実績)の来館者に海外移住の歴史と移住者/日系人の現在を分かりやすく紹介している。

海外移住資料館について、国際協力機構 横浜国際センター JICA横浜の小池芳一氏は、次のように語る。
「これからの日本は、間違いなく多文化共生社会になります。100年も前からそうした社会で生活してきた移住者の思いや体験を、ぜひ多くの人に見てもらいたい。それが、この資料館の社会的な価値だと考えています」

海外移住資料館に入ると、縦に並んだ3つの大画面ディスプレイが迎えてくれる。ここでの動画表示に使われている端末が、実はSun Rayなのである。
もちろん、入り口のディスプレイだけでなく、同資料館の約30箇所のポイントにディスプレイが設置されており、それぞれでSun Rayが使われている。

CPUやハードディスクを持たないSun Rayは、静かで省消費電力であり、ほとんど故障がなく、展示コンテンツの変更や配置換えの際も造作に手を入れずにすべてサーバ側で設定できるということから、こうした展示にも最適な端末だと評価されている。

同資料館の設立準備段階から企画/監修に携わってきた山本 匡氏(海外移住資料館 学術監修、東京工業大学 特別研究員、米ハーバード大学 客員研究員)は、「海外移住資料館は『収奪しない資料館』を目指して、海外にある資料は映像などのデジタル資料として集める方針を採っています。現物の資料を世界から集めてきて展示するということにこだわりません。そのため、資料館の展示において、情報システムの役割りは非常に大きいのです」と話す。

2002年の開館にあたり、情報システム基盤のプラットフォームとして選ばれたのは、Sunの製品群であった。その理由の一つとして、山本氏は「ビジネスに強い汎用的なコンピュータでありながら、多様性を組織化できる」ことを挙げている。Sun製品は、普遍性/一般性の上にシステム全体の性能を生み出す組織化能力を持っているとの評価である。

「Digital Migration System(DMS)」と名づけられた海外移住資料館の展示システムは、2台のSun Fireサーバでコンテンツを生成してデータベース化し、別の3台のSun Fireサーバから展示施設にある30台のSun Rayおよびインターネットに送出する構成になっている。開発言語には、Javaが選ばれた。

さらに、2006年にはFlash/Ajaxベースのコンテンツ管理システム「DMS-OEM」も完成し、海外移住資料館の新コンテンツのほか、仮想資料館として、広島市デジタル移民博物館とオキナワボリビア歴史資料館に利用されることになる。その結果、プラットフォームの能力増強が急がれるようになった。2006年5月のことである。

能力増強の依頼を受けた株式会社アズム 取締役の岡田修門氏は、DMS-OEMベースの仮想資料館がさらに増えることも想定し、最新のハードウェア/ソフトウェア技術を活用した価格性能比の高い構成を目指した。サーバを決めるにあたっては
「環境への負荷を考慮し、消費電力と発熱量が少ないCoolThreadsサーバを意識的に選びました」
と岡田氏は話す。

小池芳一 氏
独立行政法人国際協力機構
横浜国際センター JICA横浜
小池芳一 氏
山本 匡 氏
独立行政法人国際協力機構
横浜国際センター
海外移住資料館 学術監修
山本 匡 氏
岡野伸治 氏
財団法人海外日系人協会
海外移住資料館業務室
主任
岡野伸治 氏
岡田修門 氏
株式会社アズム
取締役
岡田修門 氏

新システムの主力サーバとなるのは5台のSun Fire T2000で、コンテンツ送出用に3台、コンテンツ生成アプリケーション(AP)サーバとコンテンツ・データベース(DB)サーバに1台ずつという配分だ。このうち、APサーバとDBサーバは互いに相手の予備機を務めるスタンバイ構成になっているため、片方に障害が発生してもシステム全体が停止してしまうことはない。

1台のサーバが2つの役割をこなせるのは「Solaris 10 OSのSolarisコンテナ機能を利用して、2つのソフトウェア・パーティションを生成し、APサーバには予備のDBサーバ、DBサーバには予備のAPサーバを組み込んでいます」(岡田氏)というためだ。このほか、2台のSun Fire V215は動画コンテンツ送出用、Sun Ray 2は施設内ディスプレイの追加/入れ替え用の機器である。

こうした構成を組むにあたって岡田氏は、テストと動作検証のためにSun Solution Center(SSC)をフルに活用した。SSCでは、導入を検討している製品やソリューションを実環境で確認することができる。

「Sun Ray 2をSun Fire T2000で快適に動作させるためのチューニング法について、毎回担当していただいている、SSCのエンジニアの本間さん、豊嶋さんに詳しく教えてもらえたので、とても助かりました」と、岡田氏は言う。

また、海外移住資料館の運営をJICAから委託されている財団法人海外日系人協会 海外移住資料館業務室 主任の岡野伸治氏は、発注者側として動作検証に立ち会い「実際の画面を見ながら、動作スピードを自分の目で確認することができ、意思決定に非常に役立ちました」と評価する。SSCで見通しがついたこともあり、移行作業をスムーズに行え、そのための休館は必要としなかった。

新しいハードウェアは、2007年3月に海外移住資料館のサーバ・ルームに搬入され、最終テストを済ませた後、2007年4月から展示に使われている。

ハードウェアの入れ替えによって得られた最大の効果は、消費電力の減少だ。「カタログ値で、以前の構成に比べて66%の削減になります」と岡田氏は胸を張る。また、小池氏も「JICAでは省エネへの要求が強くなっています。Sunのサーバを導入したことにより、消費電力を大幅に削減できますから、この要請にも楽に応えられそうです」と満足している。消費電力減にともない、サーバ・ルームの冷房コストも大幅に減る見込みである。

新たなプラットフォームを手に入れた海外移住資料館は、今後さらにコンテンツを充実させていこうと意気込んでいる。従来から進められているのは、まだ多くが未整理となっている資料のデジタル・コンテンツ化だ。移住者と日系人のオーラル・ヒストリ(口述歴史)や移住先で使われていた生活用品など、資料は年々増加しているのである。

また、外部資料館との連携も年次計画に従って強化していく予定だ。「ブラジルにある7つの日系人資料館には、ネットワークを通じた資料公開を働きかけています。それと、新しい試みとして、日本人が最初に入植したレジストロという町を丸ごと仮想展示するようなことも考えています」と、小池氏は語る。

“汎用的でありながら多様性を組織化できる”コンピュータとして選ばれたSunの製品群は、こうした海外移住資料館のさまざまなニーズに応えるべく、高い処理能力と優れた省電力性をこれからも提供していく。

入り口に設置されている3つの大画面ディスプレイ。ここでもSun Rayが使われている
入り口に設置されている3つの大画面ディスプレイ。ここでもSun Rayが使われている
「デジタル移住スペース」のコーナーでは、Sun Rayを来館者が操作し閲覧できる
「デジタル移住スペース」のコーナーでは、
Sun Rayを来館者が操作し閲覧できる
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