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岩手県立中央病院

概要

岩手県の地域医療の中核を担う岩手県立中央病院は、高度医療の推進の一環として、過去10年にわたりPACS(Picture Archiving and Communication Systems:医療用画像通信システム)への取り組みを重ねてきた。そして2007年、ケアストリームヘルス社の「Kodak Carestream PACS」の導入を契機として、岩手県立中央病院におけるPACSは、さらに本格的な発展を遂げていく。

クラスタ構成された2台のSun Fire V490と、10.8テラバイト(TB)の容量を持つSun StorageTek 3510をハードウェア・プラットフォームに採用することで、CTスキャンやMRIなどの検査装置が出力する画像の爆発的な増大に対応。画像の検索やモニタリングにおいても十分な処理スピードを確保するとともに、将来のフイルムレス化を見据え、完全無停止で運用できるシステム環境を構築した。さらに、岩手県立中央病院は、今後の医療改革の核としてPACSを位置づけ、コンピュータ支援診断(CAD:Computer Aided Diagnosis)との統合を推進。地域との画像連携を視野に入れたコミュニケーション・ツールとして発展させていく考えだ。

主な課題
得られた結果
  • 急激に増加している画像データの利用環境の整備
  • 大量の画像データを短時間で参照したい
  • 信頼性の高いPACS環境の整備
  • PACSの活用による地域医療の充実
  • 大量の画像データに対し、十分に対応可能なストレージ容量とパフォーマンス、拡張性を確保できた
  • 今後のコンピュータ支援診断(CAD:Computer Aided Diagnosis)との統合や、地域との画像連携のための基礎を確立できた

「県下にあまねく医療の均てん(霑)=(地球上のあらゆる生物に雨露の恵みが等しくゆきわたること)を」という高邁な創業の精神の下、岩手県では、ほぼ四国4県の広さに匹敵する県土に現在27の県立病院を設置している。岩手県立中央病院は、その名のとおり各地の県立病院を統括するセンター病院として、高度医療の推進ならびに「24時間365日、決して患者の受け入れを断らない」という救急医療を基本とし、岩手県の医療水準を向上させる役割を担ってきた。

そうした中で注力してきたことの1つが、PACS(Picture Archiving and Communication Systems:医療用画像通信システム)の導入ならびに利用範囲の拡大である。同病院の中央放射線部部長であり副院長を務める佐々木康夫氏は、その取り組みを次のように語る。

「私達は、1998年からRIS(Radiology Information System:放射線情報管理システム)とともにPACSを導入し、診断業務に用いてきました。つまり過去10年にわたって、我が国のPACS実用化の歴史を追体験してきたといえます。まだまだPACSは過渡期にありますが、今日の医療においてCTスキャンやMRIなどの検査装置が大きな比重を占めるようになっているのも事実。それらの装置が出力する大量の画像をフイルムに落として読影することなど不可能であり、モニター診断用ビューアとしての側面のみを取り上げても、医師にとってPACSはなくてはならないツールとなっています」

岩手県立病院におけるPACS導入の歴史をたどってみると、数台のワークステーションを読影室に配置してモニター読影を開始したのが原点にあたる。

その後、2003年に撮影された画像をテープに保存するアーカイブ・システムが構築された。ちなみに、このシステムのハードウェア・プラットフォームに採用されたのが、Sun Enterprise 450およびテープ・ライブラリ装置のStorageTek 9714であった。これを足がかりとして、2005年にはSun Fire 280Rと4.4TBの容量を持つRAIDストレージを組み合わせた小規模なPACSが構築された。

佐々木康夫 氏
岩手県立中央病院
中央放射線部 部長
副院長
佐々木康夫 氏
仙内和彦 氏
ケアストリームヘルス株式会社
HCIS アジアパシフィック
インプリメンテーション
プロジェクトマネージメントグループ
仙内和彦 氏

そして2007年初旬のこと、ケアストリームヘルス株式会社の「Kodak Carestream PACS」の導入を契機として、岩手県立中央病院におけるPACSは、本格的な発展を遂げていくことになったのである。

そのPACS システムの頭脳にあたる中枢部分を担うのは、Kodak Carestream Workflow Manager。院内の読影環境を一元的に管理・運用するサーバにより、医療環境の規模や課題に応じて、最適な画像データベース・システムを構築する。

過去に蓄積された多様な医療画像を簡単な操作で検索できる共通のワークフローを標準装備しつつ、確実に画像を保管するバックアップ・システムや、院内機密を保護するうえで欠かせないセキュリティ機能も備えたトータル・ソリューションである。また、これにあわせてハードウェア・プラットフォームも、クラスタ構成された2台のSun Fire V490とトータル10.8TBの容量を持つSun StorageTek 3510へと大幅に増強された。

この提案のポイントについて、ケアストリームヘルス株式会社 HCIS アジアパシフィック インプリメンテーション プロジェクトマネージメントグループの仙内和彦氏は、次のように語る。

「現在のPACSにおいて最大の課題となっているのが、画像容量の爆発的な増大への対応です。撮像装置そのものの精度が急速に向上しており、例えばCTスキャンに着目してみても、従来では1回の検査あたり数十枚程度だった画像枚数が、最近では1000枚以上にまで膨らんでいるのです。こうした大量の画像を管理・運用するには、高度な信頼性とパフォーマンス、拡張性を備えたハードウェア・プラットフォームが必須であり、なおかつ大規模PACSにおいてワールドワイドで実績を重ねてきたという理由から、Sunのサーバとストレージを提案しました。なお、クラスタ構成を採用しているのは、将来のフイルムレス化を見据え、完全無停止で運用できる体制を整えるためです」


こうして稼動を開始した岩手県立中央病院の新しいPACS基盤は、その後も安定した運用を続けている。

「これまで医療業務に支障をきたすようなトラブルを起こすこともなく、画像の検索やモニタリングにも十分な処理スピードを確保できており、満足しています」と佐々木氏は、高く評価する。

もっとも、課題がないわけではない。現状のPACS基盤はトータル10.8TBの容量を確保しているが、それでは十分とはいえない状況になってきている。というのも、前述のとおり、撮像装置の進歩によって1回で撮影可能な医療画像の枚数が増大しているが、すべてを保存するのではなく、ストレージの容量を考慮し、必要な医療画像のみを保存しているのである。

そこで岩手県立中央病院は、今後もストレージ容量の拡張を中心にシステムリソースを随時アップグレードし、さらに、大容量のセカンド・ストレージによって構成するアーカイブ・システムも新たに導入する計画だ。

「このシステムが稼動を開始した暁には、すべての画像を5年間にわたって保存することが可能となり、厳格なセキュリティの下で医療画像を長期保存することを求めたコンプライアンスにも対応できます」と仙内氏は言う。

もちろん、アーカイブ・システムのストレージ容量についても「本当に足りるのか」という懸念がないわけではない。しかし、仮に将来的に容量不足が顕在化した場合でも、セカンド・ストレージをスケールアウトで追加することにより、柔軟に容量を拡張していくことが可能だ。

図 PACSのデータフロー

昨今、勤務医の過重労働の実態が広く社会にも知られるようになったが、画像診断についても読影を担当する放射線科の医師の絶対数も不足している。

そうした中でPACSのより高度な活用が期待されているのである。「PACSを用いた読影支援として最も求められている機能が、コンピュータ支援診断(CAD:Computer Aided Diagnosis)です」と佐々木氏は言う。ここでいうCADとは、コンピュータの出力結果を医師が参考として診断を行うものと定義される。

例えば、ある患者の胸部レントゲン写真について、現在と過去の差分画像を得ることによって、病変のみを強調することが可能となる。

一方で、PACSの進化も求められている。
「地域との画像連携も視野に入れつつPACSをコミュニケーション・ツールとして発展させていく必要があります。私達医療を担う者が、ケアストリームヘルスやSunをはじめとするPACSの開発側に最も期待しているのが、まさにそうした医療を変革するソリューションの提案なのです」と佐々木氏は訴える。

今後も岩手県立中央病院は、PACSを軸に真の医療のIT化を推進していく考えだ。

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