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株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ

概要

国内最大の有料デジタル多チャンネル放送サービスを提供している株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ。同社は、2002年ごろから番組送出システムの自動化を推進してきた。その番組送出システムが制御面や性能面での改善が必要となってきたこと、チャンネル数の増加への対応が難しいことなどから、2005年に新しいシステムの導入プロジェクトをスタートさせた。新システムは60チャンネルもの番組を管理・送出するという画期的なものだ。

この新システムは、放送スケジュールに従って番組送出を管理するデジタルビデオ・アーカイブマネージャと、そのバックエンドを支える膨大なビデオクリップを格納するデジタルビデオ・アーカイブ・システムからなる。ファイルベースのワークフローにより、多チャンネルの番組送出業務も効率的に運用できている。新システムに最も求められたのは、きわめて高い信頼性である。

番組の供給元である放送事業者から提供された、いわば放送事業者の財産である映像コンテンツを安全に保管でき、かつスケジュールどおりに番組を送出するためのストレージ・システムが必要とされた。そのアーカイブ・システムとしてスカイパーフェクト・コミュニケーションズは、サンが擁する世界最大級のテープ・ストレージ・システムのSun StorageTek SL8500テープ・ライブラリを採用した。2006年から稼動を開始した新システムは、放送事業者に対して信頼性の高いサービスを提供し続けている。

主な課題
得られた結果
  • 番放送機器のライフ・サイクルに合う長い年月で使用可能なストレージ・システムの整備
  • スケジュールどおりに番組を送出するための更なる信頼性向上
  • 映像コンテンツの安全な保管
  • 手作業による操作ミスの排除
  • 国内最大級のデジタルビデオ・アーカイブシステムの安全かつ効率的な運用
  • 自動化業務の拡充、システムの可用性/信頼性向上によるシステム障害のリスク低減
  • 人的コストやスペースの削減、運用効率の向上
  • オペレータ1名あたりの担当可能チャンネル数の3倍増
  • 番組送出業務におけるワークフローの効率化

1994年設立の株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(以下、スカパー!)は、1996年に日本で初めての有料衛星デジタル放送を開始。通信衛星(CS)を利用した「スカパー!」を皮切りに、110度CSデジタル放送「e2 by スカパー!」、光ファイバを利用した「スカパー!光」と事業の拡大を続けてきた。現在、およそ300のチャンネルを擁する国内最大の有料放送プラットフォームだ。

このような規模ゆえ、同社にはさまざまな業務でITが不可欠なものとして導入されているが、今回スポットを当てるのは、スカパー!の基幹システムともいえる、放送に必要な番組データを処理する「番組送出システム」である。

スカパー!が視聴者に提供しているチャンネルは、すべて同社が放送しているわけではない。放送事業者がスカパー!を通じて自身で放送するチャンネルがある一方、放送事業者が番組を提供しスカパー!が放送を代行するという2つのケースがある。

後者はスカパー!が放送事業者に代わって放送を請け負う一種のB to B(Business to Business)事業であり、番組送出システムはこの事業で使われている。放送事業者にとっては、スカパー!に放送を代行してもらうことで、コストをかけずに放送ができるというメリットがある。またスカパー!にとっても、さまざまな番組を確保できるというメリットがある。

スカパー!に放送の代行を依頼する放送事業者は、映像コンテンツをアナログビデオやデジタルビデオの形で提供する。このアナログビデオやデジタルビデオをビデオテープのまま放送などに再利用したのでは、テープの破損事故の危険も懸念される。さらに、この映像コンテンツを、スケジュールに沿ってスカパー!が放送するわけだが、これを人手で行うのは、コスト面や安全面で問題が大きい。人手で番組を用意する作業には、多くの手間と時間が必要であり、万が一手違いが発生すれば放送事故に直結しかねない。

清水基至 氏
株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ
技術・開発本部 技術1部
マネージャー
清水基至 氏
荒木崇成 氏
株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ
技術・開発本部 技術1部
マネージャー
荒木崇成 氏

そうしたことから、スカパー!では早い時期から映像コンテンツのデジタル化、番組送出システムの自動化に取り組んできた。サンとスカパー!との関係が始まったのは、2002年に導入された初期のシステムからだ。

「当時、デジタルビデオ・アーカイブのソフトウェアには、米国フロント・ポーチ・デジタル社の製品以外に選択肢がほとんどありませんでした。この製品は当時、日本に代理店すらありませんでしたが、サンはフロント・ポーチ・デジタル社のビデオ・アーカイブ・マネージャのインテグレーションから、サポートまで一貫して請け負ってくれたのです。これは助かりました」と、スカパー! 技術・開発本部 技術1部 マネージャーの荒木崇成氏は振り返る。

ワールドワイドで事業展開するサンには、すでに海外においてフロント・ポーチ・デジタル社のビデオ・アーカイブ・マネージャの導入実績があり、世界のチームが日本をサポートした。こうして、当時の日本ではまだ希少だったデジタルビデオ・アーカイブ・システムの導入を成功させることができたのである。サンならではのサポート力に対する好評価も、新システム選定の重要な一要因となった。

2002年、青梅放送センターに導入されていた初期の番組送出システムは、2005年ころには、番組送出システムの制御や性能面でまたチャンネル数増加への対応などにおいて、スカパー!にとって必ずしも満足のいくシステムではなくなっていた。新番組送出システムの導入プロジェクトがスタートしたのは、そのためである。

「新システムの導入にあたって、最も重視したのは信頼性です。放送事業者の財産である映像のデジタルコンテンツを安全に保管でき、かつ、番組の送出を安心して任せられなければ意味がありませんから。また、放送系のシステムなので当然、止めることはできません。そのため、停止しない信頼性の高いシステムが必要とされるのです」(スカパー! 技術・開発本部 技術1部 マネージャー 清水基至氏)

スカパー!では、新番組送出システム導入にあたって数社のストレージ・システムを比較したという。その結果、デジタルビデオ・アーカイブ・システムの根幹をなすライブラリー装置として採用されたのが、Sun StorageTek SL8500テープ・ライブラリだった。

「旧システムを導入した当時と違って、今ではストレージ・システムの選択肢が豊富になっています。テープだけではなく、ハードディスクで構成するシステムも可能になりました。そうした中からSun StorageTek SL8500を選んだのは、やはり、それまでのシステムでサンの製品を利用していた実績と、それに裏付けられた信頼性にあると思います。

例えば、我々の場合は、ストレージ単体で買えばよいというわけではありません。ストレージは、放送のアーカイブ・マネージャと連携して動作しなければならないのです。そういった意味では、サンには当社での導入実績がありましたから、安心して任せることができました。それと、これだけの規模のシステムでありながら、導入コストも想定の範囲内で抑えることができました」

新番組送出システムのキーになるのは、リクエストに応じてMPEG-2などで格納されたビデオ・データを呼び出すビデオ・アーカイブ・システムである。アーカイブ・システムは、MPEG-2データを保管する大規模ライブラリ装置、ライブラリから読み出したデータを一時保管するキャッシュ・ディスク装置、そして全体を管理するアーカイブ・マネージャからなる。

Sun StorageTek SL8500は、世界最大級のテープ・ライブラリ装置で、筐体の追加やパススルー・ポートを用いた連結が可能で、最大20万巻までスケーラブルに拡張できる特徴を持つ。

スカパー!では、テープのローディングから読み出しまでの所要時間などを考慮し、大容量テープは採用せず、長尺用に200GB/巻のSun StorageTek T9940Bを、また短尺用に40GB/巻のSun StorageTek T9840Cを採用、総計約1.2PB ―― 6,000巻構成、放送事業者から提供の映像で約15万時間分 ―― のビデオ・データが収容できるシステムを構築した。元の映像テープだけで運用した場合に比べると、スペース効率は数10倍以上だ。

また、テープ容量が長尺用と短尺用に分かれている背景には、放送システム特有の事情がある。
「例えば1時間の映像素材を読み出すのに1~2分かかっても問題はありませんが、30秒の素材の読み出しに1~2分かかるのは困ります。1巻500GBなどの大容量テープの存在は知っていますが、アクセス時間を考慮して、適切な容量のテープを使い分けています」(清水氏)筐体内で長短尺用のテープドライブを混在可能なことも、Sun StorageTek SL8500採用の理由のひとつだ。

キャッシュ・ディスク装置には、同じくSun StorageTek Flexline FLX380を採用。4GBpsのファイバー・チャネルに対応したクラス最高水準のディスクアレイ・システムである。このStorage Tek Flexline FLX380では、ライブラリ装置とビデオ・アーカイブ・システム間のデータをキャッシュすることで高速な通信を可能にしている。

導入された新システムは、60チャンネルもの番組送出を行うものである。
「この種のシステムとしては、世界でも有数の規模だと思います。同規模のシステムは、日本には恐らくないでしょう」(荒木氏)

以前は放送準備に係るオペレーター1名あたりの担当可能チャンネル数が2チャンネル程度だったが、新システムでは6チャンネルと大幅な効率化を実現している。またこのような大規模システムにもかかわらず、大きなトラブルに見舞われることもなく、順調に運用してきている。それゆえ、放送事業者に対しても、安定した信頼性の高いサービスを提供することができている。

順調な運用を実現した要因の1つとして、清水氏はサンの構築支援や保守などのサポートを高く評価している。
「サンの技術力には満足しています。エンジニアの方には、本当によくやっていただいています。放送のシステムに多くの実績を持つ日本の放送機器メーカーと比較しても、同等以上だと実感しています」

多チャンネル放送サービスを提供するスカパー!において、デジタルビデオ・アーカイブ・システムの重要性は、今後さらに大きくなることは間違いない。この傾向は、他の放送事業者にとっても同様ではないだろうか。スカパー!の新番組送出システムの実績は、放送業界にとっても貴重な経験になったと言えそうである。

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