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全日本食品株式会社

概要

ボランタリー・チェーン大手「全日食チェーン」の加盟店に本部機能を提供している全日本食品株式会社は、2005年初めに全体最適化プロジェクト「Heart One Project」をスタートさせ、グランド・デザインの作成と、それに対応したITシステムの再構築に取りかかった。新しいIT基盤に求められたのは、メインフレームからオープン系システムへの移行と、高コストやメンテナンスなどの問題解決、そして24時間365日の稼動を可能にする高信頼性/高可用性を実現すること。そのためのプラットフォームとして全日本食品が選択したのは、Sun FireサーバとSolaris 10 OSの組み合わせだった。

Heart Oneシステムの構築にあたっては、リレーショナル・データベースにOracle Real Application Clusters(RAC)10gとSun StorageTek QFSの組み合わせを採用して優れた性能と高可用性、そして高い管理性も同時に確保。Webサーバとアプリケーション・サーバには、低消費電力でありながら高い性能を発揮するという評価により、Sun Fire T2000を選んでいる。また、主要サーバは、Sun Clusterでクラスタ構成にした。Heart Oneシステムの基本部分となるデータ配信機能は、スケジュールどおり2007年4月にリリース。その他の機能も、2008年春までに順次移行が完了する予定である。

主な課題
得られた結果
  • メインフレームからオープン系システムへの移行
  • 全体最適化をねらった基幹系システムの再構築
  • チェーン・ネットワーク機能(物流・商流・情報ネットワーク・リテールサポート)の強化
  • 不安定なIT基盤の建直し
  • チェーン・ネットワークの機能強化の第一歩を踏み出せた
  • 高信頼性/高可用性のIT基盤を構築
  • 低消費電力でかつ、高いパフォーマンスを得られた

東京都足立区に本社を置く全日本食品株式会社は、ボランタリー・チェーン大手「全日食チェーン」の加盟店に受発注、物流、商品管理、店舗管理などの本部機能を提供している。全日食チェーンは、独立/自助の精神を持つ小売店やミニスーパーなど、1800以上の加盟店で構成する団体であり、共同仕入れによるスケールメリットの追求だけでなく、地域商業の復権に向けた活動も併せて展開している点がスーパーマーケットなどの他業態と大きく異なる。

全日本食品が次世代のボランタリー・チェーン展開を可能にするIT新戦略の策定にとりかかったのは、2005年初めのこと。きっかけとなったのは、メインフレームによるレガシー問題である。ハードウェア/ソフトウェアの維持管理に要するコストが高額になっていたのに加え、システム障害も多かった。また、システム自体も、在庫のリアルタイム管理や売れ筋商品の把握ができないなど、機能的な問題を抱えていた。

竹嶋孝一 氏
全日本食品株式会社
情報システム本部
本部長
竹嶋孝一 氏

「さらに、経営および業務の要望とITが乖離した状態になっており、本部業務そのものの標準化も不十分でした。そこでレガシー・システムをオープン化するにあたって、単なるレガシー・マイグレーションを実施するのではなく、全社的な業務の最適化を目指しました」と、全日本食品 情報システム本部 本部長の竹嶋孝一氏は振り返る。

このような状況を根本的に改善させるべく、竹嶋氏は2005年1月に全体最適化プロジェクト「Heart One Project」をスタートさせ、グランド・デザインの作成と、それに対応したITシステムの再構築に取りかかった。採用したのは、全体最適化を行って業務の見直しを図るエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)の考え方である。そのため、Heart One Projectでは、現状の可視化とそれに続く新業務の設計が進められた。

次に検討したのは、チェーン・ネットワーク機能の強化という目的を達成するために、物流、商流、情報ネットワーク、リテール・サポートの各機能を実行することが可能なプラットフォームである。ここでは、24時間365日の稼動を可能にする高信頼性/高可用性と、大量のトランザクションが短時間に発生してもシステムがダウンしないだけの処理能力の両方を必須要件とした。

これらを満たすオープン系のプラットフォームとして、全日本食品が最終的に選択したのは、Sun FireサーバとSolaris 10 OSの組み合わせである。「オープンシステム・ベンダとしてのサンの実績を評価したのと、自分の経験からSolaris OSの高信頼性を十分に認識していますから」と、竹嶋氏は採用理由を語っている。

システム構成の詳細検討においては、高信頼性と高可用性の確保を目指して、さまざまな新機軸が取り入れられることになった。

例えば、システムの中核となるデータベースには、Oracle Real Application Clusters(RAC)10gとSolasris 10、Sun StorageTek QFSの組み合わせを採用した。Oracle RACは負荷分散と並列処理に強みを持つデータベースとして、全日本食品の基幹系システムが扱う受発注、物流、商品などのデータを高速かつ安全に取り扱うのに最適との判断である。

高速型共有ファイル・システムであるSun StorageTek QFSを併用したのは、Oracle RACのシステム運用管理の負荷軽減をねらってのものである。Sun StorageTek QFSを用いた環境なら、Oracleのデータベースファイルを管理の容易なファイルシステム上に構成できるため、性能を犠牲にせずに、運用管理負荷を軽減できるのだ。

また、高負荷にも耐えられるプラットフォームとするために、フロント・エンドのWebサーバとアプリケーション・サーバは複数台で構成することとし、ハードウェア方式のロードバランサーによって負荷分散と障害発生時の自動代替を図った。さらに、1台のサーバに障害が発生しても最低限の機能と能力は確保できるように、主なサーバをSun Clusterによるクラスタ構成で稼動させることにした。

メインフレームは社内のセンターに置いていたが、オープン化に伴い、耐震構造ビル内に情報センターを新設し、サーバ類を集約して一元管理できるようにした。そこで問題となるのが、電力の確保だ。サーバ・ルームは後づけであるため、その分の電力量は想定されていない。

これに対し、全日本食品は低消費電力型プロセッサのUltraSPARCR T1を搭載したSun Fire T2000を採用することで解消している。

「導入前にSun Fire T2000のパフォーマンス・テストを実施したところ、低消費電力でありながら高いパフォーマンスが得られることが確認できました」と、竹嶋氏は語る。

こうして出来上がった全日本食品の基幹系システムは、図のような構成になっている。Oracle RAC用のサーバとしては、特に性能および信頼性が高いSun Fire E6900を使い、キューDB用のSun Fire V490と合わせて4ノードのDBサーバ構成とした。
Oracle RACをSolaris 10 OS上でSun StorageTek QFSとともに稼動させたのは、流通業界では同社が最初である。

Heart Oneシステムの開発は順調に進み、2006年4月に内部テスト、2006年8月にシステム・テストが始まった。負荷テストでは、1,000ユーザからのトランザクションを同時に受け付けている状態での縮退動作の検証などが行われたが、Oracle RACとSun StorageTek QFSの構成によるデータベース・サーバは難なくパスしている。

これらを経て2007年4月10日、Heart Oneシステムの第1ステップとなるデータ送受信機能がカット・オーバーを迎え、オープン系システムのリリース展開を開始した。

「これで、チェーン・ネットワーク機能強化への第一歩を踏み出すことができました。今後、リアルタイム分析の機能が使えるようになれば、加盟店の売り上げはかなりの増加を見込んでいます。加盟店への指導も、より適切に行えるようになりますし、本部側としても的確な経営判断を素早く下せるようになると思います」と、竹嶋氏は期待を込める。

受発注系や情報系などのその他の機能は2008年春までに、管理系は2008年夏までにオープン系システムに移行することになっており、メインフレームはそのタイミングで役割りを終える予定だ。
今後について全日本食品は、セキュリティを考慮し、Sun Rayシンクライアントの導入を検討している。

「約1800の加盟店に対し、システムにアクセスするためのPCを無償供与していますが、全日食チェーンとの業務だけでなく、加盟店内の事務作業やインターネット・アクセスにも使われています。その結果、加盟店のPCがウィルスやワームの被害に遭うケースが増えてきました。そこで、今後はPCをシンクライアントに置き換えて、セキュリティを高めていきたいと考えています」と、竹嶋氏は話す。また、コストパフォーマンスや、ほとんど故障しないことから運用管理の点からも、Sun Rayに対する期待は大きい。

対象となるPCが加盟店用と全日本食品用の合計で2,000台を超すことから、同社は通信回線とSun Rayサーバの能力についてのサイジングを近く実施する予定である。
全日食のたゆまない挑戦をサンも支えていく。

図 Heart Oneシステム構成図
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