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ダイハツディーゼル株式会社

概要

ディーゼルエンジンやガスタービン、ガスエンジンを主力製品とするダイハツディーゼル株式会社は、変化の激しい時代に対応すべく、メインフレームで稼動していた基幹系システムを順次オープン系に乗せ替えてきた。最後の大物となった販売系の業務システムも、2008年4月にサンのサーバ上で稼動を開始。10年越しのオープン系移行プロジェクトも、ひとまず完了することになった。新販売システムの構築にあたって、同社が重視したのは信頼性と可用性、そしてデータの一元管理、システム間の連携、システム拡張への柔軟性など。

システム基盤のインテグレーションを担当したユニアデックス株式会社は、Solaris OSとSun Clusterの上で6ノードのOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)を動作させ、Oracle Grid上で業務アプリケーションを稼動させる構成を選ぶことによって、そうした顧客ニーズに対し、的確に対応した。オープン系への移行を順調に進めることができたダイハツディーゼルは今後、サンのストレージ上に構築された販売系データベースを経営分析にも活用していく予定である。

主な課題
得られた結果
  • 販売系の基幹システムをオープン化
  • 信頼性の高いシステムの構築
  • 販売系データの一元化
  • 業務システム間の連携を良くする
  • システム拡張に備えた柔軟性の確保
  • 高信頼、高可用基盤が完成した
  • Oracle RACの可用性をさらに向上できた
  • 販売系データの一元管理が可能になった
  • 経営分析の基礎データを蓄積できるようになった

大阪・梅田の超高層ビルに本社を構えるダイハツディーゼル株式会社は、1966年5月にダイハツ工業株式会社大阪事業部が分離・独立し誕生したエンジン・メーカーである。2008年3月現在の資本金は24億3,430万円で、従業員数は932名。主力製品は、ディーゼルエンジンとガスタービン、ガスエンジンだ。

「舶用ディーゼルエンジンは国内造船所はもとより海外の造船所様に納入しており、他社同様にここ数年、造船活況に追随しております。その後の事も考え、システム化を進めています」と話すのは、ダイハツディーゼル 情報システム部 部長の南 敏広氏。

舶用は発電用と推進用に使われており、また、陸用にはディーゼルエンジン、ガスエンジン、ガスタービンなどがあり、非常用及び常用陸用機関としてポンプ用やデータセンターなどに使われている。

同社がオープン系への移行に取り組み始めたのは、1997年ごろのこと。それ以後、国産メインフレーム上で稼動していた基幹系システムのうちエンジン系の販売システムについては、順次オープン系サーバへと載せ替えてきた。

「最初にオープン化した設計・生産系のシステムは、すでに第2ステップに移ろうとしています。販売系も、エンジン販売システムについては4年ほど前にオープン化を済ませましたが、ほかは最後まで残っていました。アフターサービス系システムを再構築することで、販売系の全体最適化が完了いたします」と、南氏は同社のオープン化の歩みを説明する。

また、オープン化に取り組んだ背景には、顧客ニーズの多様化という面もある。

「販売系のシステムが保有するデータを一元化しないと、もはや顧客のニーズに応えられない状況になってきていました。そして、データを一元化するには、オープン系のシステムへと移行するべきだという判断に至ったのです」(南氏)

新販売システムの構築にあたってダイハツディーゼルが重視したのは、メインフレームと同等の信頼性とレスポンスタイムである。

特にこだわったのが、24時間365日の連続稼動に耐えられること。同社の製品は海外でも多く使われているので、海外の事務所と現地法人や出張者がいつでも利用できることを必須条件とした。

また、システム・アーキテクチャについては、データの一元管理と業務システム間連携に特に気を配った。

「弊社製品の寿命は20年から30年と長く、その間、製造、販売、メンテナンスなどの記録を一元的に保持、管理する必要があります。従来の業務システムでは、一元管理が必ずしも十分ではありませんでしたから、オープン化を機に、販売系のデータを1つのデータベースに統合しようと考えました」と、南氏はその理由を語る。

南 敏広 氏
ダイハツディーゼル株式会社
情報システム部 部長
南 敏広 氏
西中 康弘 氏
ユニアデックス株式会社
関西営業統括部 営業部 副部長
西中 康弘 氏
三宅 権 氏
ユニアデックス株式会社
関西ICTシステムサービス統括部
ソフトウェアサービス部 担当部長兼
DB&Unix統括プロジェクトリーダー
三宅 権 氏
新販売システムを支えるSun FireとSun StorEdge
新販売システムを支えるSun Fireと
Sun StorEdge

このような構想に基づく新販売システムの開発プロジェクトは、2006年5月にスタートした。開発にあたっては、まず、システム基盤のOSをSolaris OS、アプリケーション・サーバをOracle Application Server、データベース・サーバをOracle Data baseと想定した。

この前提に基づいて業務アプリケーションの設計・プログラミング作業を進めつつ、システム・テストが始まるまでに具体的なハードウェア/ソフトウェア製品を決めて導入するという進め方にした。

その後設計を進めるうち、データベース・サーバについては、業務アプリケーションの可用性・拡張の柔軟性への影響等も考慮し、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)でいくことに最終決定した。

Solaris OSを採用した第1の理由は、メインフレーム並みの信頼性が得られることにある。

「オープン系にもいろいろなOSがありますが、『基幹系システムにはUNIX』というのが弊社の方針です。新販売システムは、いわゆる事務系のシステムでしたから、UNIXの中でも信頼性と汎用性の両面で優れるSolaris OSを選びました」と、南氏は語る。

第2の理由は、高いスケーラビリティと高い信頼性を低コストで実現するOracle Gridとの親和性。「システム拡張に備えた柔軟性を確保するために、ぜひOracle Gridを使いたいと思っていました。そこでユニアデックスと相談して、最終的にSolaris OSに決定しました」と南氏は経緯を話す。

さらに、Oracle RACサーバでは複数ノードの構成が想定されたこと、世界中からの利用にいつでも応えられることが前提とされたことなどから、データベース・システム全体の可用性を確保する必要があった。そのため、クラスタ管理ソリューションとしてSun Clusterを採用した。Sun Clusterをダイハツディーゼルに推奨したのは、本稼動用の基盤となるハードウェア/ソフトウェアのシステム・インテグレーションを担当したユニアデックス株式会社 関西ICTシステムサービス統括部 ソフトウェアサービス部 担当部長兼DB&Unix統括プロジェクトリーダーの三宅 権氏。

「Oracle RACとの組み合わせ実績はSun Clusterが圧倒的に多く、さらにストレージ、ソフトウェアのバージョン、ノード数などあらゆる角度から調査、検討した結果、最も信頼性があり、最も自信を持って推奨できる組み合わせと判断しました」と、三宅氏は振り返る。

また、ユニアデックスの営業部門としては、「サーバやOSと同じサンのミドルウェアを採用することにより、運用や将来的な対応も容易になると考えられます」(ユニアデックス 関西営業統括部 営業部 副部長の西中康弘氏)という判断もあったようだ。

新販売系システムは、ビジネスロジック層からデータアクセス層、運用管理にいたるあらゆる階層でのグリッド・コンピューティングを実現している。その機器構成が固まったのは、2007年2月のこと。ビジネスロジック層のOracle Application ServerにはSun Fire V245、データアクセス層のOracle RACサーバ(6ノード構成)にはSun Fire V490を配し、販売系の全データをSun StorEdge 9985上で集中管理するアーキテクチャが最終的に選ばれた(図)。

図:新販売システムの基盤の構成
図:新販売システムの基盤の構成

データベースのバックアップには、Sun StorEdge 9985のShadowImage機能を活用している。ストレージの機能だけで瞬時に正ボリュームから副ボリュームへデータを同期し、さらに副ボリュームを論理的に切り離す。その後で副ボリュームから、バックアップ・サーバ経由でテープにバックアップを取得する。大規模データベースのバックアップが業務システムに影響を及ぼさないよう、ディスク・トゥ・ディスク・トゥ・テープ(D2D2T)方式が採用されている。

Sun ClusterとOracle RACの6ノードという構成は、トランザクション処理系とバッチ処理系データベースの組み合わせ、データベース構造と対応する業務アプリケーションなどを様々に試行錯誤した後、最適解としてそこに至ったという。6ノードの内訳は、トランザクション処理系4ノードとバッチ処理系2ノードであり、トランザクション処理系のノードに障害が起きた時にはバッチ処理系のノードが利用されるHAクラスタ構成になっている。これらが結果的に国内初の事例となった。

新販売システムが稼動を開始したのは、2007年5月。システム基盤の導入は同4月に始まり、およそ1か月という非常に短い期間で本稼動へと至っている。

2007年6月からは業務システムを順次乗せ替える作業に取り組んでおり、補給部品システムの移行が完了する2008年4月をもって最終ゴールを迎えた。

新販売システムが同社のビジネスにもたらす効果について、南氏は「製造からメンテナンスまでの販売系データを一元的に管理する仕組みが完成したことにより、設計、生産、営業といった社内の各部署が同じデータを共有できるようになりました。業務システムの仕様には、エンドユーザのニーズを可能なかぎり反映させましたから、半年から1年後にはその効果が出てくるものと信じています」と語る。

最重要視していたシステムの信頼性については、「ハードウェア障害が発生したとしても、Sun Clusterによって自動的にカバーされますから、業務システムの障害にはつながりません」と、南氏は満足している。

基幹系システムのオープン化と販売系データの一元化に道筋を付けたダイハツディーゼルは、そのデータを経営分析にも活用していこうと考えている。「販売データと需要分析を比較できるようにしたり、工場の稼動状況をリアルタイムにモニタリング可能にしたりすることによって、経営層が業務を可視化できるようにしなければなりません」と南氏。新販売システムのデータベースは、その基礎データとしても使われていくことになる。

また、災害復旧(DR:Disaster Recovery)や事業継続性(BC:Business Continuity)の確保も対応が急がれているテーマの1つ。まずはデータベースのコピーを外部サイトに待避しておくことから始め、ゆくゆくは短時間での業務再開ができるシステム作りを目指していく。

信頼性と可用性の高さに加え、Oracle RACとの親和性でも選ばれたSolaris OSとSun Cluster。24時間365日、一時も停止させることができない業務システムで実績を残しつつ、今後もダイハツディーゼルの発展を支えていくのである。

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