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株式会社ルネサステクノロジ

概要

日立製作所と三菱電機の半導体部門の合併により、2003年4月に設立されたルネサステクノロジ。同社は、日本を代表する半導体メーカーとして多くの世界トップシェアを持ち、絶え間のない進化を続ける世界の半導体業界を牽引している。

そのルネサステクノロジの開発拠点の1つである北伊丹事業所は、同社の協業企業の技術者が使用する共用端末室において、いくつかの課題を抱えていた。その1つが稼動率。ログオン状態で席を外すと、その端末をほかの人が使うことができない。

そこで、ログオンにICカードを使用するSun Rayを検討することになる。Sun Rayでは、ICカードを抜けば端末は開放され、作業中のデータが失われるといったようなこともない。また、半導体設計では複雑かつ大容量のデータを扱うため、高速のグラフィック表示が要求されるが、検証の結果、Sun Rayは十分な性能を発揮した。

そこで北伊丹事業所は、協業会社の技術者が使用するクライアント端末をSun Rayに一新。これにより、開発環境が大きく改善されるとともに、システムの運用管理コストも大幅に低減するなど、大きな成果を上げている。

主な課題
得られた結果
  • 共有端末の属人化
  • 運用・保守にかかわる作業負荷
  • 端末のセキュリティ強化
  • 端末の更新時期を迎えていた
  • 共有端末の属人化を回避
  • 運用・保守にかかわる作業負荷を大幅に軽減
  • 共有端末の台数を削減、稼動効率が向上
  • 快適なグラフィック表示
  • 利用者が意識することなくSun Ray環境に順応

ルネサステクノロジは、三菱電機株式会社と株式会社日立製作所の半導体部門を合併して2003年4月に設立された、日本を代表する半導体メーカーである。多くの世界トップシェアを持つ同社だが、世界をリードする真の"インテリジェントチップソリューションプロバイダ"を目指し、絶え間ない進化を続けてきている。

ルネサステクノロジにおける半導体の設計・開発拠点は、北伊丹事業所(兵庫県伊丹市)、武蔵事業所(東京都小平市)、高崎事業所(群馬県高崎市)の3か所。ここで紹介する北伊丹事業所は、マイコンやシステムLSI等の設計を担っている。

その北伊丹事業所では、自社の技術者以外に、開発パートナーである協業会社から数多くの技術者が参加しており、その比率は開発パワーの60~70%にもなるという。

協業会社の技術者がルネサステクノロジへ出向いて開発する大きな理由は、EDA(回路設計自動化ツール)を利用することにある。協業会社としては高価なEDAツールを自社で保有するよりも、メーカーが持つEDAツールを利用すればコストが軽減できるためだ。そのため、北伊丹事業所としては、設計開発の効率を上げるために快適なEDAインフラ(EDAシステム)環境を提供することが必須の要件となっている。

北伊丹事業所では、協業会社の技術者向けにオ-プンスペースの「共有端末室」と特定プロジェクト向けの「協業ベンダー室」を設けている。Sun Ray導入は、まずこの共有端末室の端末をターゲットとした。

Sun Ray導入以前の共有端末室には、約200台の開発用EWS(エンジニアリング・ワークステーション)が設置されていた。技術者はいつでも自由にこれらのEWSを使えるという恵まれた環境にあるが、実はさまざまな問題を抱えていたのである。

まず利用者からの苦情として多かったのが「どの端末が空いているのか分かりにくい、ということでした」と、株式会社ルネサステクノロジ 製品技術本部 設計技術統括部 DFM・ディジタルEDA技術開発部 アドミニG 主任技師 水野広史氏は語る。

端末の使用中に席を離れた場合、省エネモードで画面はすぐに暗くなるため、いちいち操作して確かめないと誰かが使用中か否かが判断できない。いったん端末にログオンすれば、他の人が使えなくなることも問題だった。休憩時間その他、長時間端末を使わない時でも占有状態のままで、極端な例ではログオンしたまま忘れて帰宅してしまうこともあったという。

また、共有のはずの端末が、属人化するという悩みもあった。

「次第に特定の人が同じ端末を使用するケースが増えてきて、端末によっては他の人が使い難くなる雰囲気が生じてきました。そうなると、特定の端末のメモリを増やしてほしいなど、個人用端末としての錯覚も生じてしまいます。1台だけならまだしも、この一列はいつも同じメンバーが使うということもありました」(水野氏)

さらには、利用者の利便性への配慮がインフラ管理の容易さを犠牲にしたケースもあった。使用端末の近くにあるプリンターへ優先出力するための設定として、複数のプリンターに対して同一プリンター名を付けていた。しかし、利便性が上がる一方で、トラブルが発生したプリンターの特定などを難しくしてしまう。そのため、管理面で課題となっていたのである。

加えて、セキュリティ対策をより万全にしたり、ネットワークなどのインフラ部分を刷新したりすることも求められていた。

水野広史 氏
株式会社ルネサステクノロジ
製品技術本部 設計技術統括部
DFM・ディジタルEDA技術開発部
アドミニG 主任技師
水野広史 氏
小川和彦 氏
三菱電機情報ネットワーク株式会社
半導体システム推進事業部
関西半導体システム第一部
第一課 担当課長
小川和彦 氏
尾崎 修 氏
三菱電機情報ネットワーク株式会社
半導体システム推進事業部
関西半導体システム第一部
第一課
尾崎 修 氏
共有端末室には約50台のSun Ray端末が導入されている
共有端末室には約50台の
Sun Ray端末が導入されている

こうした課題の抜本的な解決を目指したことが、Sun Ray導入検討のきっかけである。開発用端末も更新の時期を向かえており、これらを一新することについては企業としても異論はなかった。

では、端末として何を採用するのか。

ここで重要となる要件が、グラフィック表示のスピードである。アプリケーションとしてEDAがメインとなる北伊丹事業所の利用環境において、期待どおりの描画速度が得られるかどうかが、技術者の開発効率を大きく左右する。半導体の設計では、複雑かつ大容量のデータを扱うためだ。シンクライアントには、そうした部分が弱いのではないかという懸念があった。

「そこで、さまざまなベンチマークを繰り返し実施しましたが、Sun Rayは技術者の要求に応える高いレベルの描画が可能でした」(水野氏)

グラフィック表示のスピードが十分であることに加え、外部記録媒体を接続できないことや各利用者に発行されるICカードにより使用可能なジョブを制限できることなどの高いセキュリティ性能、人事異動に伴う利用者環境の移行等々、運用管理のしやすさといったシンクライアントのメリットを考慮し、2007年1月にSun Rayの導入を決定、翌々月となる2007年3月には実稼動を開始した。

「システムインテグレータであるCTC(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)の支援もあって、これといった問題もなく、ほぼ予定どおりの稼動が実現しました」と、北伊丹事業所におけるEDAインフラ環境の運用保守を担当している三菱電機情報ネットワーク 半導体システム推進事業部 関西半導体システム第一部 第一課の尾崎 修氏は語る。

まず5台のSun Ray端末と1台のSun Rayサーバを導入。これが順調に稼動して技術者の評価も高かったことから、その後順次Sun Ray端末やSun Rayサーバを追加し、現在では共有端末室を中心として約90台のSun Ray端末、9台のSun Rayサーバが稼動している。

半導体の設計開発で活用されるSun Ray端末
半導体の設計開発で活用されるSun Ray端末

ハードディスクはおろかCPUすら持たないSun Ray端末の効果は絶大で、「共有端末室はとても静かになりました。発熱も少ないですから、空調の設定がしやすくなったと実感しています」(尾崎氏)という。

運用管理においても、大きなメリットが生じている。「ともかくトラブルが激減しました。それまで毎日のように現場へと出向く必要がありましたが、Sun Rayの導入後は月1回程度で済んでいます」と、三菱電機情報ネットワーク 半導体システム推進事業部 関西半導体システム第一部 第一課 担当課長の小川和彦氏が語る。

端末の数にも興味深い事実がある。以前は200台近くあったEWS端末が、Sun Rayにしてからは約90台と半数以下で事足りるようになった。これは、属人化の課題を解消できた証明でもある。

つまり、Sun Rayではどの端末でも常に同じ作業環境を使用でき、使用状況はICカードがSun Ray端末のカードリーダーに挿入されているかどうかで判断できるため、稼動率を上げることへとつながったのである。

また、たとえICカードが挿入されていても、それを抜けば別の人が使うことができる。作業中のデータが失われることも、作業環境が壊れることもない。抜かれたICカードを再度挿入するだけで、どのSun Ray端末でも、作業を再開できるのである。

協業ベンダー室に導入されているSun Ray端末
協業ベンダー室に導入されているSun Ray端末

とはいえ、「ICカードを差したままで席を離れるのは、誰しも抵抗があるようです。席を離れる際には、ほとんどの人がICカードを抜いています」(水野氏)とのこと。結果的に、利活用におけるセキュリティも向上することになった。

Sun Rayへの移行により、利用者から苦情がくるかどうかも気になるところだが、新環境を意識せずに活用されている。

「クライアントの種類などを全く意識させないスムーズな環境移行を理想としていましたから、非常に満足しています」と水野氏。むしろ「端末がなぜか従来より使いやすくなった」といった方が、的確な表現だという。

北伊丹事業所における実績を評価し、武蔵事業所も、Sun Rayの導入を検討し始めている。常に進化し続ける半導体業界において、世界をリードしてきているルネサステクノロジ。より快適な開発環境を追求するという積極的な取り組みも、同社の成長を支えてきた要因の1つと言えよう。

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