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株式会社リコー

概要

株式会社リコーは、ネットワークやオフィスのあり方を全社的な観点から提案するソリューション・ビジネスを展開するにあたって、全国の営業担当者の提案活動などを支援するために、様々なシステムを構築してきた。その一方で、増え続けるサーバの管理が大きな負担となっていたのに加え、ハードウェアのリース期限を迎えようとしていたことから、サーバ環境全体における抜本的な見直しの必要性に迫られていた。

そうした中でリコーは、High Availability(HA)構成による2台のSun SPARC Enterprise M9000サーバならびにSun StorageTek 9985ストレージ、Sun StorageTek SL500テープライブラリを導入し、インフラを全面的に刷新。国内系販売支援システムの様々なデータベース・サーバを統合していくという新たな戦略を打ち出した。これを後押ししたのが、サンのユーティリティ・コンピューティング(UC)ならびにキャパシティ・オン・デマンド(COD)。

これらの採用により、リコーは必要なITリソースを設備投資としてではなく、サービスとして導入することができ、資産ではなく経費としての処理が可能となった。また、リコーが負担するITコストは、水道料金のように使用分のみであることから、初期コストと運用コストを大幅に削減できたのである。また、インフラ環境統合のための基盤として、ダイナミック・ドメイン(DD)ならびにSolarisコンテナ(Solaris Containers)の2つの仮想化技術を活用し、システムの運用管理を容易化するとともにシステム・リソースの稼動率を高めている。

主な課題
得られた結果
  • 無駄のない効率的なITリソースの活用
  • ハードウェアのリース期限が迫っていた
  • サーバ台数が多く、管理負荷が大きかった
  • サーバ及びストレージの統合により、TCOを削減
  • 仮想化技術でITリソースを有効活用する柔軟な運用が実現
  • 必要なITリソースを設備投資としてではなく、サービスとして導入することにより、経費処理が可能となった

ジアゾ感光紙に始まり、カメラ、複写機、ファクス、プリンターといった画像系の情報処理機器及びシステムの開発と事業を拡大してきた株式会社リコーは、現在においても、オフィスのニーズに応えるソリューションを提供するために、常に変貌を遂げてきている。

例えば、企業内の"セキュリティ"というキーワードを取り上げた場合、オフィス機器を含めた総合的な情報の入出力に関する管理や対策が必須となる。リコーは、こうした全社的な観点からネットワークやオフィスのあり方を提案すべく、ソリューション・パートナーとして業態を進化させてきたのである。

こうした同社のビジネスを支えてきたのが、IT化への取り組みだ。リコー 販売事業本部 事業戦略センター IT-PMO 第二プロジェクト室の室長であり、同社の国内における販売事業本部のIT部門であるビジネスサポート推進室の室長を兼務する渡部耕次氏は、「2000年代の初頭からサンのサーバを導入し、国内の営業担当者の提案活動や顧客サポートを担う販売支援システムを強化してきました。現在では、営業担当者が顧客ニーズを把握し、最適なソリューションを提案するには不可欠なものとなっています」と語る。

しかし、こうして整備してきたITインフラも、稼動を開始してから約5年が経過し、ハードウェアのリース期限が迫ってきていた。そこでリコーは、このタイミングを活かすべく、HA(High Availability)構成による2台のSun SPARC Enterprise M9000サーバ、そしてSun StorageTek 9985ストレージ、Sun StorageTek SL500テープライブラリを導入し、インフラを全面的に刷新(図)。国内系販売支援システムの様々なアプリケーションのデータベース(DB)サーバを統合していく、という新たな戦略を打ち出したのである。

もっとも、リコーは最初からインフラ環境統合を目指したわけではない。当然ながら、ハードウェアのリース期限が切れた順でシステムごとにインフラ環境をリプレースしていくことや、ミッドレンジ・サーバとクラスタ型データベースによる集約なども、候補として検討した。

しかし、コスト・メリットと性能向上を追求していったところ、行き着いた答えは、やはりインフラ環境統合だった。リコー 販売事業本部 事業戦略センター IT-PMO ビジネスサポート推進室 基幹システムグループの宮腰寿之氏は、こう語る。

「IT予算は限られていますし、その中でもシステムの運用コストが多くを占めているのが実情です。裏を返せば、この運用コストをいかに下げていくかを考えていかないと、今後必要とされる新規システムの構築を進められなくなってしまいます。そのため、様々なシステムのライフサイクル全体を考慮し、最も合理的なインフラを整備すべきだと考えました」

こうした背景からリコーが注目したのが、Sun SPARC Enterprise Mシリーズの仮想化機能であるダイナミック・ドメイン(DD)である。

DDは、ハードウェア・パーティショニングの仮想化技術であり、サーバ本体装置のリソースを分割して個々の独立したシステム(ドメインと言う)を構築することができる。個々のドメインは、それぞれ独立したオペレーティングシステムを動作させることができる。

また、CPU 1個単位でドメインを構築できるため、ハイエンドサーバの豊富なシステム・リソースを柔軟に運用管理することを可能にしている。最大のポイントは動的再構成(DR)が可能なことで、アプリケーションを稼動させたままドメイン間でリソースを移動できるところにある。

例えば、ある1つのボードを昼間はオンライン業務のドメインにアサインしておき、夜間はバッチ処理を行わせるために別のドメインに移動し、割り当てるといったことが簡単に実行できる。

すなわち、現状では別々のサーバで稼動している各システムをSun SPARC Enterprise M9000上の分割されたドメインへ移行することにより、物理的に1台のサーバに集約され、豊富なリソースを各業務のピークにあわせて柔軟に配分できるというわけだ。リコーでは、共有リソース用にフローティング・ボードを用意し、負荷の高いドメインに1CPU単位で追加割り当てができるように備えている。

渡部耕次 氏
株式会社リコー
販売事業本部 事業戦略センター
IT-PMO 第二プロジェクト室 室長
兼 ビジネスサポート推進室 室長
渡部耕次 氏
宮腰寿之 氏
株式会社リコー
販売事業本部 事業戦略センター
IT-PMO ビジネスサポート推進室
基幹システムグループ
宮腰寿之 氏
灰谷公良 氏
株式会社リコー
IT/S本部
IT/S技術センター
サーバグループ スペシャリスト
灰谷公良 氏
岩井健男 氏
リコーソフトウエア株式会社
ソリューション事業部
S&Sセンター S&S1グループ
主任エンジニア
岩井健男 氏

リコー IT/S本部 IT/S技術センター サーバグループ スペシャリストの灰谷公良氏は、「DDのアドバンテージは、ハードウェア・レベルの仮想化技術ならではの信頼性の高さにあります。万一、1つのドメインがダウンしたとしても、他のドメインはその影響を全く受けずに稼動し続けられます。また、他社の仮想化技術と比べて、サンは10年以上の歴史を持つので、技術的にも安心感があります」と評価する。

とはいえ、導入に先立っては入念な検証も行われた。その点について、リコーソフトウエア ソリューション事業部 S&Sセンター S&S1グループ 主任エンジニアの岩井健男氏は、「サンの検証センター(Sun Solution Center)を使って、CPUの割り当てを動的に変更する方法なども事前にしっかりテストさせていただいたので、大きな手ごたえと自信を持ってインフラ環境の統合・運用に臨むことができました」と語る。

図 国内系販売支援システムの構成図
図 国内系販売支援システムの構成図

ITインフラの刷新において、必ずと言っていいほど課題となるのが、初期コストの大きさである。

国内系販売支援システムを構成する各アプリケーションのハードウェアは、2007年末から2009年にかけて順次リース期限が切れていく。そのタイミングにあわせて新インフラ環境へのサーバ統合を進めていくという基本プランに沿って、リコーではSun SPARC Enterprise M9000サーバの搭載CPU数の決定ならびにSun StorageTek 9985ストレージ、Sun StorageTek SL500テープライブラリのサイジングを行った。しかしながら、それではサーバ統合が完了する2009年まではオーバー・スペックの状態が続くことになり、いかにも投資効率が悪い。

そうした中でサンから提案を受けたのが、ユーティリティ・コンピューティング(UC)ならびにキャパシティ・オン・デマンド(COD)のサービスである。前者はCPUを対象に基本料金と稼動率に応じた料金を支払うという課金サービス、後者はストレージとバックアップ装置を対象にした使用容量に応じた課金サービスだ。

「これまでのITリソースは自社で所持して使うのが一般的で、それもピーク時の負荷を考慮したスペックを用意していました。それが使った分だけ支払えばよいオンデマンド・サービス、いわゆる水道料金方式がここまで浸透してきたのかと感心しました。CPUやストレージ容量あたりの単価が明確になり予算を立てやすいのに加え、5年分の保守費用を含めて全て経費として計上できるという経理上のメリットも非常に大きく、今回はこのサービスの活用を強く意識しました」と渡部氏は語る。

国内系販売支援システムのDBサーバとして導入された2台のSun SPARC Enterprise M9000
国内系販売支援システムのDBサーバとして
導入された2台のSun SPARC Enterprise M9000

もう1つ、ITリソースの有効活用において大きな成果を上げたのが、待機系サーバの活用だ。先述のとおり、リコーでは可用性を高めるためにSun SPARC Enterprise M9000サーバのHA構成を採用しているが、待機系サーバをいつ起きるとも分からない障害発生に備えるためだけに、ただ待機させておくのはもったいないと考えた。

「待機系サーバについては、開発やテスト環境、一部の教育環境などの用途で活用し、稼動率を高めるという新しい発想を取り入れました」と岩井氏は語る。

そして、この環境を効果的に構築するために活用したのが、Solaris 10 OSで提供されるSolarisコンテナ(Solaris Containers)である。Solarisコンテナは、1つのシステム上に複数のオペレーティング・システム環境を稼動させる、ソフトウェア・パーティショニングの仮想化技術だ。

これにより、灰谷氏は「DDに加えてSolarisコンテナを併用することで、サーバ環境の柔軟な立ち上げや負荷分散を実現することができました」と評価する。さらに「DDとSolarisコンテナについては、有効な使い分けを実施すれば、システムのライフサイクル・マネジメントを実現するうえで非常に有効な手段となりえます」とも評価しており、今後も積極的に活用していく考えだ。

リコーのインフラ環境統合の取り組みは、2007年にハードウェアリース期限の切れたシステムの移行を終え、現在では第二期の移行が推進中である。ただ、ここまでの実績だけでも、ITコストの削減効果に対しては非常に大きな手応えを感じているという。そのため、当初は予定していなかった、ほかの国内系販売関連システムについても、「新インフラ環境に統合してほしい」などの要望が出てきている。

宮腰氏は「ITインフラを統合することで運用管理が一元化されてシンプルになり、利用負荷の変動にも柔軟に対応できるというメリットを、各システムの担当者レベルでも認識され始めたようです」と顔をほころばせる。

そして、リコーはさらなるチャレンジに向けて歩みを加速させている。

渡部氏は「次のステップにおける目標は、更なるマシンの有効活用です。例えば、過去の利用実績をナレッジにして、月日や時間帯できめ細かくリソース配分をしたり、さらにはそれを自動化して運用するなど、実現したいですね。また、これまで分散していたシステムを1か所に集めることで、業務そのものを可視化し、コーポレート・ガバナンスにも貢献できると考えています」と今後を見据えている。

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