信頼性と柔軟性を兼ね備えたSun SPARC Enterprise M9000ならではの仮想化機能と導入・運用のコストを経費計上できるサービスの活用により、リソースを無駄なく使うITインフラを構築。経理上のメリットも見出せた。
リコー IT/S本部 IT/S技術センター サーバグループ スペシャリストの灰谷公良氏は、「DDのアドバンテージは、ハードウェア・レベルの仮想化技術ならではの信頼性の高さにあります。万一、1つのドメインがダウンしたとしても、他のドメインはその影響を全く受けずに稼動し続けられます。また、他社の仮想化技術と比べて、サンは10年以上の歴史を持つので、技術的にも安心感があります」と評価する。 とはいえ、導入に先立っては入念な検証も行われた。その点について、リコーソフトウエア ソリューション事業部 S&Sセンター S&S1グループ 主任エンジニアの岩井健男氏は、「サンの検証センター(Sun Solution Center)を使って、CPUの割り当てを動的に変更する方法なども事前にしっかりテストさせていただいたので、大きな手ごたえと自信を持ってインフラ環境の統合・運用に臨むことができました」と語る。 "使った分だけ"支払うUC及びCODサービスに着目 ITインフラの刷新において、必ずと言っていいほど課題となるのが、初期コストの大きさである。 国内系販売支援システムを構成する各アプリケーションのハードウェアは、2007年末から2009年にかけて順次リース期限が切れていく。そのタイミングにあわせて新インフラ環境へのサーバ統合を進めていくという基本プランに沿って、リコーではSun SPARC Enterprise M9000サーバの搭載CPU数の決定ならびにSun StorageTek 9985ストレージ、Sun StorageTek SL500テープライブラリのサイジングを行った。しかしながら、それではサーバ統合が完了する2009年まではオーバー・スペックの状態が続くことになり、いかにも投資効率が悪い。 そうした中でサンから提案を受けたのが、ユーティリティ・コンピューティング(UC)ならびにキャパシティ・オン・デマンド(COD)のサービスである。前者はCPUを対象に基本料金と稼動率に応じた料金を支払うという課金サービス、後者はストレージとバックアップ装置を対象にした使用容量に応じた課金サービスだ。 「これまでのITリソースは自社で所持して使うのが一般的で、それもピーク時の負荷を考慮したスペックを用意していました。それが使った分だけ支払えばよいオンデマンド・サービス、いわゆる水道料金方式がここまで浸透してきたのかと感心しました。CPUやストレージ容量あたりの単価が明確になり予算を立てやすいのに加え、5年分の保守費用を含めて全て経費として計上できるという経理上のメリットも非常に大きく、今回はこのサービスの活用を強く意識しました」と渡部氏は語る。 稼動率をより高めるために待機系サーバも有効活用 ![]() 国内系販売支援システムのDBサーバとして
導入された2台のSun SPARC Enterprise M9000 もう1つ、ITリソースの有効活用において大きな成果を上げたのが、待機系サーバの活用だ。先述のとおり、リコーでは可用性を高めるためにSun SPARC Enterprise M9000サーバのHA構成を採用しているが、待機系サーバをいつ起きるとも分からない障害発生に備えるためだけに、ただ待機させておくのはもったいないと考えた。 「待機系サーバについては、開発やテスト環境、一部の教育環境などの用途で活用し、稼動率を高めるという新しい発想を取り入れました」と岩井氏は語る。 そして、この環境を効果的に構築するために活用したのが、Solaris 10 OSで提供されるSolarisコンテナ(Solaris Containers)である。Solarisコンテナは、1つのシステム上に複数のオペレーティング・システム環境を稼動させる、ソフトウェア・パーティショニングの仮想化技術だ。 これにより、灰谷氏は「DDに加えてSolarisコンテナを併用することで、サーバ環境の柔軟な立ち上げや負荷分散を実現することができました」と評価する。さらに「DDとSolarisコンテナについては、有効な使い分けを実施すれば、システムのライフサイクル・マネジメントを実現するうえで非常に有効な手段となりえます」とも評価しており、今後も積極的に活用していく考えだ。 ITコストの削減効果に手応え 今後は他部門のシステム統合も視野 リコーのインフラ環境統合の取り組みは、2007年にハードウェアリース期限の切れたシステムの移行を終え、現在では第二期の移行が推進中である。ただ、ここまでの実績だけでも、ITコストの削減効果に対しては非常に大きな手応えを感じているという。そのため、当初は予定していなかった、ほかの国内系販売関連システムについても、「新インフラ環境に統合してほしい」などの要望が出てきている。 宮腰氏は「ITインフラを統合することで運用管理が一元化されてシンプルになり、利用負荷の変動にも柔軟に対応できるというメリットを、各システムの担当者レベルでも認識され始めたようです」と顔をほころばせる。 そして、リコーはさらなるチャレンジに向けて歩みを加速させている。 渡部氏は「次のステップにおける目標は、更なるマシンの有効活用です。例えば、過去の利用実績をナレッジにして、月日や時間帯できめ細かくリソース配分をしたり、さらにはそれを自動化して運用するなど、実現したいですね。また、これまで分散していたシステムを1か所に集めることで、業務そのものを可視化し、コーポレート・ガバナンスにも貢献できると考えています」と今後を見据えている。 関連事例
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