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株式会社NTTデータ(金融システム事業本部)

概要

株式会社NTTデータの金融システム事業本部は、2004年度からシステム開発環境のセキュリティ強化に着手。その一環として、1つのチームをパイロット・プロジェクトとして選び、開発用端末のセキュリティ強化策を模索した。対象となったのは、メインフレーム上のシステム開発で使用する開発用端末。その開発用端末はPCに端末エミュレータを組み込んだ構成になっていたため、PC自体のセキュリティが懸念されたからである。

検討していく中で候補となったのは、PCをセキュア化するソリューションとシンクライアントの2方式。3社からの提案を比較検討した結果、処理スピードが十分で、装置自体がセキュアな仕組みであることを評価し、サンのシンクライアント・ソリューションであるSun Rayを選択した。導入によって得られた最大の効果は、システム開発端末のセキュリティ強度を飛躍的に高められたこと。そして、システム開発環境を準備するための工数も、大幅に削減することができた。こうしたSun Rayの実績から、今後は他チームや他部門への展開が期待されている。

主な課題
得られた結果
  • メインフレーム用開発端末のセキュリティを高めること
  • 端末変更で開発担当者に負担を強いないこと
  • メインフレーム用開発端末のセキュリティを高めることができた
  • システム開発環境を準備するための工数を大幅に削減できた
  • ISMS適合性評価制度の更新監査でも評価された
  • 開発担当者はこれまでと同様に開発できると高評価
  • 机上のスペースが有効活用できるようになった
  • 席替えがしやすくなった
  • セキュリティ意識を高めるきっかけとなった

国内最大手のシステム・インテグレータである株式会社NTTデータ。同社の金融システム事業本部は、その名のとおり、様々な金融機関に情報処理サービスを提供している部門である。サービスの多くは、NTTデータがシステムの構築と運用を行い、顧客の金融機関が利用料金を支払う「データ通信サービス」の形態。対象となる業務システムのライフサイクルは比較的長く、システム更改の機会も多い。

高度な機密性が求められる業務システムであることから、更改を含む開発作業は顧客向けシステム環境内に構築された開発環境で進められる。また、金融機関の基幹システムはメインフレームで稼動するものが多く、そのためのシステム開発環境もメインフレームがベースとなる。

「我々のチームが担当しているお客さまの業務システムは、富士通製のメインフレームで稼動しています。そのため、システム開発用の端末にも、F6680エミュレータを使っていました」と語るのは、NTTデータ 金融システム事業本部で課長を務める太田信之氏。具体的には、一般的なPCに富士通製メインフレームに接続するためのF6680端末エミュレータを組み込み、開発/テスト機にTN6680接続でアクセスして、ソースコードの編集やテスト・ランを行っていた。

これを変更することになったきっかけは、2004年度から金融システム事業本部で始まったセキュリティ強化の取り組みであった。太田氏が所属するチームは、金融システム事業本部内のパイロット・プロジェクトとして、情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度(ISMS適合性評価制度)の第三者認証を同年度に取得。その際の経験を活かして、システム開発用端末として使っているPCをよりセキュアにできないかと考えたのである。

例えば、PCとF6680端末エミュレータを組み合わせると、メインフレームのシステム開発環境でバージョン管理されているソースコードをダウンロードして、内蔵ディスクやUSBメモリにコピーして持ち出すこともできてしまう。

「実際に、そのようなことをする人はいないとはいえ、仕組みとしてできないようにするべきだと考えていました」と、NTTデータ 金融システム事業本部の横井一輝氏は振り返る。そうした中で、候補として挙がったのがシンクライアントであった。

図:メインフレームのシステム開発環境でのSun Rayソリューション
図:メインフレームのシステム開発環境でのSun Rayソリューション
大村 匡氏
NTTデータ
金融システム事業本部 部長
大村 匡氏
太田 信之氏
NTTデータ
金融システム事業本部 課長
太田 信之氏
横井 一輝氏
NTTデータ
金融システム事業本部
横井 一輝氏
谷上 隆俊氏
NTTデータ
金融システム事業本部
谷上 隆俊氏
Sun RayサーバのSun Fire X2100 M2、Sun Fire X4100 M2とSun StorageTek 6140 Array
Sun Rayサーバの
Sun Fire X2100 M2、
Sun Fire X4100 M2と
Sun StorageTek 6140 Array

「実を言うと、我々は当初、シンクライアント・システムの採用には懐疑的でした」と語るのは、NTTデータ 金融システム事業本部で部長を務める大村 匡氏。"シンクライアントは遅い"とのイメージがあり、むしろ、セキュアなPCを実現するソリューションの導入に傾いていたのだという。

そうしたイメージを一変させたのは、サンの製品やテクノロジーを使用した最新のソリューションが体感できるカスタマー・ブリーフィング・センター(東京CBC)での実機デモンストレーションだった。

「我々のRFP(提案依頼書)に応じて、サンを含む3社から提案書を受け取りました。その審査の過程でSun Rayに実際に触れてみたところ、『こんなにサクサク動くのか』とびっくりしました。シンクライアントに対する考えは、その時にがらりと変わったのです」(大村氏)

また、装置自体がセキュアな仕組みになっていることも、Sun Rayを採用する決め手の1つとなった。USBメモリなどの外部記憶媒体を接続できない上、ハードディスクもメモリも内蔵しないSun Ray端末なら、万が一盗難に遭った場合でも端末からの情報流出の可能性はゼロ。さらに、ログオン認証にJava Card(ISO/IEC 7816-1準拠)を併用する方式なので、使用者の操作履歴も個人別に取得し、管理することができる。

採用が決まったSun Rayのサーバと端末は、2007年3月までに全て納入され、4月からシステム開発業務で使われ始めた。60台のSun Ray 2FSが置かれているのは、システム開発技術者だけが入室できる電子ロック付きの端末室。システム開発の担当者は空いているSun Ray 2FSに自分のJava Cardでログオンし、ソースコードの編集やテスト・ランを行うという形で利用されている。

Sun Rayサーバは、障害発生時の切り替えを考慮して、OA環境用とシステム開発環境用のそれぞれに正副の系列を用意した4台構成。使われているサーバは、全てSun Fire X4100 M2。その先にはMicrosoft Windowsネットワークに接続するためのMicrosoft Windows Server 2003のサーバが同じく4台あり、TCP/IP対応端末エミュレータのTCPLink Enterprise Serverを経由して、メインフレームに接続する仕組みとなっている。OA環境向けのネットワーク接続ストレージ(NAS)として、ラックにはSun StorageTek 6140 Arrayも収められている。

Sun Ray端末により、机上のスペースが有効活用できるようになったと開発担当者の評価は高い
Sun Ray端末により、机上のスペースが有効活用できるようになったと開発担当者の評価は高い

Sun Rayの導入効果を、大村氏は「PCベースのシステム開発端末に残されていた情報流出の可能性を完全に払拭することができ、金融システム事業本部が求めていたセキュリティ・レベルを確保することができました。先ごろ行われたISMS適合性評価制度の更新監査でも、『よくできています』との評価をもらっています」と語る。

一方で、システム開発環境を準備するための工数も、大幅に削減できたという。

「PCベースのシステム開発端末では、安全のために、使う人が変わるごとにソフトウェアを入れ替えていました。Sun Rayならそうした手間が不要になり、作業量は90%以上減ったと実感しています」と、横井氏。また、自身でも開発端末としてSun Rayを使っているNTTデータ 金融システム事業本部の谷上隆俊氏は、「システム開発端末としての使い勝手や処理スピードは、従来とほとんど変わりません。そのため、開発作業に支障は全くなく、むしろ机上のスペースが有効活用できるようになったほか、プロジェクトの発生ごとに開発端末の配置換えをするといった作業も不要になりました」と高く評価している。

期待どおりの導入効果が得られたことを受けて、大村氏のチームではシステム開発端末をSun Ray 2FSに統一しようと決めた。PCベースのシステム開発端末を使い続けているサブシステムについても、予定されているシステム更改時期ごとに段階的に移し替えていく予定。2011年度には、全てのシステム開発端末がシンクライアント化される見込みだ。

また、Sun Rayは、チーム内の統合オフィス環境を利用するためのシンクライアントとしても使われていく。「チームの執務スペースに設置されたMicrosoft Windowsネットワークには、メール・サーバとファイル・サーバを構築済みです。今後はグループウェアやドキュメント管理システムも組み込み、OA環境用のSun Rayサーバを通じてアクセスできるようにしようと考えています」と、太田氏。システム開発環境としてだけでなく、生産性を高めるためのOA環境としても、Sun Rayが使われていくことになる。

さらに大村氏は、ここまでの実績を評価し、NTTデータ内の他の部門にもSun Rayベースのシステム開発環境を広めていきたいと考えている。

「今回の取り組みには、金融システム事業本部内のパイロット・プロジェクトという位置づけもありました。そのため、Sun Rayの導入で得られた成果を他の部門に伝播させていくことが期待されています。それと、中長期的な展望としては、今回の実績を全社に紹介していければと思っています」と、大村氏はSun Rayの今後の展開に期待している。

金融部門ならではの高い要求に応えたセキュリティ性能に加え、メインフレーム環境での開発端末としての実績から、同社での開発環境の整備計画において、Sun Rayが大きく貢献していくことになりそうだ。

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