複数社から提案をいただきましたが、最も具体的な内容を示してくれたのがサンでした。どのように作業を進めればよいのかが、イメージしやすい提案内容だったのです。顧客満足度の向上を目指す手段としてISO 20000の認証取得を活用することに
「作業項目はどのようなものか、どういった手順で準備を進めればよいのか、分からないことだらけだったのが実情です」とプロジェクトの運営チームを取り仕切ったアイ・ティ・フロンティア ITプラットフォーム統合サービスセンターの網代美弥子氏は振り返る。それゆえ、ISO 20000の認証を取得するには、コンサルティング会社の支援を仰ぐ必要があった。 2007年4月より複数のコンサルティング会社からの提案を受けたが、アイ・ティ・フロンティアは、具体的な内容になっているかどうかを重視。そうした中で選ばれたのが、サンの「ISO/IEC 20000認証取得支援サービス」であった。 「複数のコンサルティング会社から提案をいただきましたが、最も具体的な内容を示してくれたのがサンでした。体制のあり方を含め、どのように作業を進めればよいのかが、非常にイメージしやすい提案内容だったのです」(網代氏) アイ・ティ・フロンティアがサンの提案を採用したのは、単なるコンサルティングにとどまることなく現場への支援も含む取得までの実質的なサービス内容を、純粋に高く評価してのことだった。 認証取得に向けた社内体制を整えシンプルなルール作りに注力 コンサルティングをサンに依頼することが決まり、2007年8月から実際のプロジェクトが始動した。 「実は当社側の事情で、年度内、つまり2008年3月中に認証を取得するという目標が掲げられていました。8月の作業開始はまさに時間ギリギリというタイミングだったのです」(網代氏) まずは業務分析からスタート。ISO 20000認証取得のノウハウを持つサンのスタッフとともに作業が進められていった。 「サンのコンサルティングを選択したことが正解だと最初に実感したのは、業務分析の工程においてです。単にコンサルティングを行って終わりではなく、実際の作業に積極的にかかわっていただきました。また、要求事項のとらえ方、そして、限られたスケジュールの中でつい欲張ってしまいがちなのですが、まずはどこまでやれば取得のレベルを満たすのかなど、常に次のステップに向けたアドバイスをいただけました。また、ISO 20000を認証取得するには文書を整備する必要があるのですが、その際にコンサルタントが充実したテンプレートを提示してくれました。テンプレートは規格要求事項が網羅されたものとなっていましたので、必要最小限の作業で効率的に進めることができました」(網代氏) 業務分析と並行し、文書作成やプロセス改善といった作業も進められた。この部分についても、アイ・ティ・フロンティアのスタッフ、サンのスタッフが一緒になって実作業に取り組んだ。こうして2007年12月初旬には、作成したルールの見直しを行うまでに進行したのである。 ちょうどこのころ、ITプラットフォーム統合サービスセンターのセンター長に就いた佐々木氏は「社内では複数の重要なプロジェクトが動いていましたが、このプロジェクトはその中でも特筆すべき成功例だと思います」と評価している。 成功理由の1つが、プロジェクトを進める長期的な社内体制の確立だ。ITプラットフォーム統合サービスセンターのメンバーによる認証取得チームと、データセンター業務のプロセスごとにその部分の責任者となるオーナーを設けた。認証取得チームはプロジェクト全体の責任を持ち、各オーナーは自らが担当するプロセスに対して設けられた目標を達成する責任を持つ。この体制でISO 20000認証取得を目指した。 また、データセンターの運用ルールや管理プロセスを決めるにあたり、シンプルであることに注力したのも功を奏した。佐々木氏は、「運用ルールを変えることで現場が混乱しては意味がありませんし、認証取得のためだけのルール化は避けたかった。そこでまずは、細かいルールを決めるよりも、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)をベースに基本的なシンプルなルール作りから始めるのが有効だと考えました」と話す。そしてその方針に基づき、認証取得に向けた運用ルールと既存の社内ガイドライン等との整合性のすり合わせや、社員が理解しやすいように社内用語/運用/職務にあわせて具体化するなどの細かい作業を積み重ねていくことになる。「ITILを自社の運用にあわせるこの作業が一番苦労をしました」と網代氏。 さらに、認証取得の理由、目的や方針を折りあるごとに役員から社員に対して説明し周知徹底してもらったことで、社員の理解と協力を得ることができたことも成功の理由の1つであると網代氏は言う。 なお、アイ・ティ・フロンティアでは、運用管理業務に関わる全社員に、ISO 20000及びJIS Q 20000のベースであるITILの基礎を理解していることを認定する資格「Foundation Certificate in IT-Service Management」の取得も推し進めてきており、事業に関わるほぼ全員が取得している。運用サービスに携わる者としての意識の向上とベース知識の統一も、このプロジェクトの成功に貢献したことは疑いがないだろう。 社内体制を整え、シンプルなルールに仕上げたことで、運用ルールは社内にも浸透していった。その後、実装のテストやルールの見直しを重ねて精度を上げていき、非常に厳しいスケジュールでありながら当初の目標どおり2008年3月中に認証取得を完了したのである。 ISO 20000認証取得の効果を実感し他のデータセンターにも順次展開 データセンターの運用業務は概して、トラブル対応のような緊急度の高い作業などは特に、担当者のスキルや経験に依存するなど属人性の高いものになりがちだ。また、効率化の余地が望める作業でも、「昔からやっていることだから」と改善されずに続けられているものも多いのではあるまいか。そうした業務も、ISO 20000の認証取得を通じて、最適化に向けた運用体制を整えることができる。 「執行役員の山本から、データセンターの運用業務は守りだけではない、潜在トラブルを顕在化させ、何か起こる前に手を打つ"攻めの姿勢"で行動することが大切だ、と言われていました。認証を取得することにより、それを実践する体制が出来上がったと自負しています」(佐々木氏) ISO 20000の認証取得による効果を実感したアイ・ティ・フロンティアは、予定どおり、同社が保有する他のデータセンターにも順次展開するべく、認証範囲の拡大に向けた準備を進めている。 関連事例
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