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株式会社アイ・ティ・フロンティア

概要

お客様の「真のITパートナー」として、IT戦略・IT計画策定支援からシステム設計・開発、IT基盤構築、システム・IT基盤運用まで、IT資産をトータルにサポートしている株式会社アイ・ティ・フロンティア。同社は複数のデータセンターを運営しているが、それぞれ独自の運用ルールや管理プロセスを採用しており、統一されていないという課題を抱えていた。

そこでアイ・ティ・フロンティアは、ITサービス・マネジメントの国際規格であるISO/IEC 20000(以下、ISO 20000)の認証取得を決定。認証取得それ自体を目的としたのではなく、取得することにより運用ルールの統一が実現でき、データセンター運営の品質を向上させられると考えたためだ。

ただし、認証取得を目指した2007年当時はISO 20000に取り組む企業は少なく、アイ・ティ・フロンティア社内でもISO 20000認証取得の経験がないことから、ノウハウを持つコンサルタントの支援を仰ぐ必要があった。複数のコンサルタントからの提案の中から、サンが提供する「サン・マネージド・サービス」のメニューの1つである「ISO/IEC 20000認証取得支援サービス」を採用。

認証取得につながる具体的な支援策など、適切なコンサルティング・サービスを受けたことで、約半年という短期間での認証取得を成功し、サービス品質の向上と運用コストの最適化に大きく貢献することになった。ISO 20000の認証取得の有効性を実感した同社は、今回の経験を活かし、他のデータセンターに展開していくことを計画している。

主な課題
得られた結果
  • 複数あるデータセンターの運用ルールや管理プロセスの一元化
  • データセンター業務におけるサービス品質の向上と運用コストの最適化
  • ISO 20000の認証取得を進めながら、顧客満足度の高いデータセンター運営ノウハウの確立
  • 限られた期間内に目標としていたISO 20000の認証取得を実現
  • ISO 20000の認証を取得したことで、データセンター運営の成熟度が増した
  • 他のデータセンターへの展開のめどが立った

株式会社アイ・ティ・フロンティアは2008年3月、サンが提供する「サン・マネージド・サービス」のメニューの1つである「ISO/IEC 20000認証取得支援サービス」を利用して国際規格「ISO/IEC 20000」(以下、ISO 20000)及び国内規格「JIS Q 20000」を取得した。同社が保有する全国5か所のデータセンターのうち、主要1拠点が認証を受けたのである。

アイ・ティ・フロンティアは、三菱商事グループ内で個別にIT関連ビジネスを行ってきた5社が統合し、2001年4月に誕生。ITソリューションを提供するだけでなく、顧客のIT戦略やIT計画策定から深くかかわり、システム設計から構築、運用までをトータルでサポートする「ITマネジメントサービスプロバイダ」として事業を展開している。

同社は5つのデータセンターを運営しているが、5社による統合の背景などもあり生い立ちはそれぞれ異なる。業務内容も一般的なデータセンターに比べて幅広く、データセンター機能に加え、各種プラットフォームを基盤とする様々なソリューションを提供している。アイ・ティ・フロンティアがデータセンターを「サービス・ソリューション・センター」と呼称しているのは、そのためだ。

「各データセンターの運用ルールや管理プロセスが一元化できていない部分がありました。この状態のままでは、当社が中・長期経営計画として掲げる"運用サービスの品質向上とコスト・ダウン"を継続していくことは難しいと考えていました」と話すのはアイ・ティ・フロンティア ITプラットフォーム事業担当 執行役員の山本和之氏。こうした背景から、2006年には「データセンター品質向上プロジェクト」の準備がスタートした。

データセンター品質向上プロジェクトのスタート時は、データセンター事業の品質向上にはどのような取り組みをすべきかが検討課題であった。当初はISO 20000の認証取得を目標にはしていなかったが、結果的にそこにたどり着くことになる。

「データセンターの品質向上にどう取り組むべきか議論をしていたころ、ISO 20000が日本でもJIS規格として発行されました。すでに我々はISO 9000やISO 27001といった規格を取得していましたが、ISO 9000は開発部門などの品質マネジメントシステムに関する規格であり、ISO 27001は情報セキュリティ管理のための規格です。データセンター運営の品質向上という目的に合致したものではありませんでした。一方で、ISO 20000はITサービス・マネジメントに関する認証規格であるため、我々の検討課題に合致すると判断し取得を目指すことにしました」と、アイ・ティ・フロンティア ITプラットフォーム統合サービスセンター センター長の佐々木基邦氏は経緯を語る。

また、山本氏は次のような効果を期待した。

「ISO 20000の認証取得では、その準備活動によって運用ルールや管理プロセスの定型化と均一化が実現されます。その結果、効率的で品質の高いデータセンターとなり、さらにはコスト・ダウンも期待されることから、お客様メリットにつながると判断しました。認証取得という肩書きも確かに有用ですが、取得のための課程でお客様満足度の高いデータセンター運営が身につくと考えたのです」

2007年になって、ISO 20000認証取得のための具体的な活動がスタートする。ところが、その時点ではISO 20000認証取得のための助けとなる書籍や参考資料などは皆無の状態だった。

山本 和之 氏
株式会社アイ・ティ・フロンティア
ITプラットフォーム
事業担当
執行役員
山本 和之 氏
佐々木 基邦
株式会社アイ・ティ・フロンティア
ITプラットフォーム
統合サービスセンター
センター長
佐々木 基邦 氏
網代 美弥子 氏
株式会社アイ・ティ・フロンティア
ITプラットフォーム
統合サービスセンター
網代 美弥子 氏

「作業項目はどのようなものか、どういった手順で準備を進めればよいのか、分からないことだらけだったのが実情です」とプロジェクトの運営チームを取り仕切ったアイ・ティ・フロンティア ITプラットフォーム統合サービスセンターの網代美弥子氏は振り返る。それゆえ、ISO 20000の認証を取得するには、コンサルティング会社の支援を仰ぐ必要があった。

2007年4月より複数のコンサルティング会社からの提案を受けたが、アイ・ティ・フロンティアは、具体的な内容になっているかどうかを重視。そうした中で選ばれたのが、サンの「ISO/IEC 20000認証取得支援サービス」であった。

「複数のコンサルティング会社から提案をいただきましたが、最も具体的な内容を示してくれたのがサンでした。体制のあり方を含め、どのように作業を進めればよいのかが、非常にイメージしやすい提案内容だったのです」(網代氏)

アイ・ティ・フロンティアがサンの提案を採用したのは、単なるコンサルティングにとどまることなく現場への支援も含む取得までの実質的なサービス内容を、純粋に高く評価してのことだった。

図 アイ・ティ・フロンティアにおけるISO 20000認証取得の目的
図 アイ・ティ・フロンティアにおける
ISO 20000認証取得の目的

コンサルティングをサンに依頼することが決まり、2007年8月から実際のプロジェクトが始動した。

「実は当社側の事情で、年度内、つまり2008年3月中に認証を取得するという目標が掲げられていました。8月の作業開始はまさに時間ギリギリというタイミングだったのです」(網代氏)

まずは業務分析からスタート。ISO 20000認証取得のノウハウを持つサンのスタッフとともに作業が進められていった。

「サンのコンサルティングを選択したことが正解だと最初に実感したのは、業務分析の工程においてです。単にコンサルティングを行って終わりではなく、実際の作業に積極的にかかわっていただきました。また、要求事項のとらえ方、そして、限られたスケジュールの中でつい欲張ってしまいがちなのですが、まずはどこまでやれば取得のレベルを満たすのかなど、常に次のステップに向けたアドバイスをいただけました。また、ISO 20000を認証取得するには文書を整備する必要があるのですが、その際にコンサルタントが充実したテンプレートを提示してくれました。テンプレートは規格要求事項が網羅されたものとなっていましたので、必要最小限の作業で効率的に進めることができました」(網代氏)

業務分析と並行し、文書作成やプロセス改善といった作業も進められた。この部分についても、アイ・ティ・フロンティアのスタッフ、サンのスタッフが一緒になって実作業に取り組んだ。こうして2007年12月初旬には、作成したルールの見直しを行うまでに進行したのである。

ちょうどこのころ、ITプラットフォーム統合サービスセンターのセンター長に就いた佐々木氏は「社内では複数の重要なプロジェクトが動いていましたが、このプロジェクトはその中でも特筆すべき成功例だと思います」と評価している。

成功理由の1つが、プロジェクトを進める長期的な社内体制の確立だ。ITプラットフォーム統合サービスセンターのメンバーによる認証取得チームと、データセンター業務のプロセスごとにその部分の責任者となるオーナーを設けた。認証取得チームはプロジェクト全体の責任を持ち、各オーナーは自らが担当するプロセスに対して設けられた目標を達成する責任を持つ。この体制でISO 20000認証取得を目指した。

また、データセンターの運用ルールや管理プロセスを決めるにあたり、シンプルであることに注力したのも功を奏した。佐々木氏は、「運用ルールを変えることで現場が混乱しては意味がありませんし、認証取得のためだけのルール化は避けたかった。そこでまずは、細かいルールを決めるよりも、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)をベースに基本的なシンプルなルール作りから始めるのが有効だと考えました」と話す。そしてその方針に基づき、認証取得に向けた運用ルールと既存の社内ガイドライン等との整合性のすり合わせや、社員が理解しやすいように社内用語/運用/職務にあわせて具体化するなどの細かい作業を積み重ねていくことになる。「ITILを自社の運用にあわせるこの作業が一番苦労をしました」と網代氏。

さらに、認証取得の理由、目的や方針を折りあるごとに役員から社員に対して説明し周知徹底してもらったことで、社員の理解と協力を得ることができたことも成功の理由の1つであると網代氏は言う。

なお、アイ・ティ・フロンティアでは、運用管理業務に関わる全社員に、ISO 20000及びJIS Q 20000のベースであるITILの基礎を理解していることを認定する資格「Foundation Certificate in IT-Service Management」の取得も推し進めてきており、事業に関わるほぼ全員が取得している。運用サービスに携わる者としての意識の向上とベース知識の統一も、このプロジェクトの成功に貢献したことは疑いがないだろう。

社内体制を整え、シンプルなルールに仕上げたことで、運用ルールは社内にも浸透していった。その後、実装のテストやルールの見直しを重ねて精度を上げていき、非常に厳しいスケジュールでありながら当初の目標どおり2008年3月中に認証取得を完了したのである。

データセンターの運用業務は概して、トラブル対応のような緊急度の高い作業などは特に、担当者のスキルや経験に依存するなど属人性の高いものになりがちだ。また、効率化の余地が望める作業でも、「昔からやっていることだから」と改善されずに続けられているものも多いのではあるまいか。そうした業務も、ISO 20000の認証取得を通じて、最適化に向けた運用体制を整えることができる。

「執行役員の山本から、データセンターの運用業務は守りだけではない、潜在トラブルを顕在化させ、何か起こる前に手を打つ"攻めの姿勢"で行動することが大切だ、と言われていました。認証を取得することにより、それを実践する体制が出来上がったと自負しています」(佐々木氏)

ISO 20000の認証取得による効果を実感したアイ・ティ・フロンティアは、予定どおり、同社が保有する他のデータセンターにも順次展開するべく、認証範囲の拡大に向けた準備を進めている。

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