既存システムの利便性はそのままに、TBS 統合認証基盤が構築できました。
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例えば「TBSグループ情報セキュリティ基本方針」(2008年1月に制定)には、「役員・従業員・スタッフの責任、権限及び遵守すべきルールを明確に定め」「情報セキュリティ対策の重要性を認識し、対策を有効にするために役員・従業員・スタッフに対し教育・訓練を行います」との宣言がある。 そうしたセキュリティ対策の一環として、同社の技術本部 技術局 情報システムセンター(一般企業の情報システム部にあたる組織)では、個人認証機能およびアイデンティティ管理機能を情報システムの基盤に実装するための調査・研究を2005年ごろから続けてきた。情報システムセンター システム技術の部次長を務める近藤洋一氏は、当時の状況を次のように語る。 「まず、社員と社外の制作スタッフの両方をカバーできるアイデンティティ管理システムが必要でした。また、個人認証のIDとして、メールIDとカード番号の2種類のID体系を運用していますが、それらを残しつつ、稼動中の業務システムに大きな影響を与えずに、アイデンティティ管理機能を組み込むことも求められていました」 TBSに限らず、放送局では番組制作に多くの企業がかかわっている。実際、TBSの社員は株式会社東京放送、株式会社TBSテレビおよび株式会社TBSラジオ&コミュニケーションズを合わせて約1,400人だが、制作スタッフを含めると8,000人を超える。その全員ではないが、社員以外の制作スタッフの多くが業務システムを使用するという。しかも、社員以外の制作スタッフは、番組の再編などとともに大きく入れ替わるため、そうした動きに迅速に対応可能なアイデンティティ管理システムが必要だった。 アイデンティティ管理の観点からは、情報システム部門が管理するメールIDと、総務部門が主管するカード番号の2種類の体系が併存することも運用を複雑にしていた。両者はコード体系が異なるだけでなく、同期が取られていなかったのである。また、業務システムによっては独自のアイデンティティ管理機能を持っていたことから、その場合もIDとパスワードが同期されていないという課題があった。 製品に標準で備わっている強力なアイデンティティ管理機能と 具体化に動きだしたのは、2006年に入ってからのことである。アイデンティティ管理システムの構築を担当することになった株式会社東京放送 技術本部 技術局 情報システムセンター システム技術の國分和輝氏は、「セキュリティ関連のイベントやセミナーに参加したり、ベンダー各社からの話を聞いたりして最新の技術動向をキャッチアップし、翌2007年の2月にベンダー数社に提案依頼書(RFP)を送りました」と当時を振り返る。 提案を依頼するにあたって、TBSが特に重視したのは、既存の業務システムに手を加えずに、メールIDとカード番号を適切に紐付けることだった。そして、その要件に最も忠実だったのが、統合ディレクトリであるSun Java System Directory Server Enterprise Editionや、アイデンティティ管理製品であるSun Java System Identity Managerをパッケージ化されている、Sun Java Identity Management Suiteだった。他社がカスタム開発を前提としていたのに対し、Sun Java Identity Management Suiteであれば、標準機能でメールIDとカード番号の紐付けなどを実現できるのである。 |
![]() 株式会社東京放送
技術本部 技術局 情報システムセンター システム技術部次長 近藤 洋一 氏 ![]() 株式会社東京放送
技術本部 技術局 情報システムセンター システム技術 國分 和輝 氏 ![]() サン・マイクロシステムズ
ソフトウェア・ビジネス統括本部 ソフトウェア営業部 シニア・セールススペシャリスト 深尾 将弘 |
また、ライセンス費用の面でも優位に立っていた。
「社員のみを課金対象とするSun Java Identity Management Suiteのライセンス体系は、導入予算を抑えるうえでも非常に魅力的でした」と近藤氏。社員以外の制作スタッフが社員数の約5倍となるTBSにとって、そのメリットは明確であった。
アイデンティティ管理システム「TBS統合認証基盤」は、Sun Java System Directory Server Enterprise Editionによって管理される認証用LDAPと、Sun Java System Identity Managerベースのアカウント連携システムとの2つの部分からなる(図1)。
主に、個人認証の基本機能を認証用LDAPが担当し、メールIDとカード番号の紐付けやアカウントの設定、各システムのアクセス権限の付与/剥奪などの機能はアカウント連携システムが提供するという分担だ。
これにより、メールID管理システムやカード発行システムでアカウント情報の追加、削除、変更が行われると、その結果が認証用LDAPに即座に反映される仕組みだ。既存システムには、アカウント連携システムを通じて同期用のデータが送り込まれるようになっている。
アイデンティティ管理の運用体制が確立し
ID発行/アクセス権限設定までの時間が飛躍的に短縮



アイデンティティ管理システムの構築は2007年内にほぼ終了し、2008年1月からは社員および制作スタッフに対して新システムの利用促進に向けた社内キャンペーンを開始。この取り組みは、実にユニークだった。
「当社は放送局ですので、利用を促す告知もテレビ・コマーシャルと同様に制作して社内に配信しました」と國分氏(画面1)。社内キャンペーンや説明会の実施に加え、連携先システムのログイン画面に「TBS統合認証基盤」のシンボル・キャラクターを入れたりしたことが功を奏し、本稼動となる2月18日は順調にスタートを切った(画面2)。
アイデンティティ管理システムの稼動により、人事システムやTBSの基幹系システムである営業放送システムをはじめ、カード発行システムやメールシステム、電話帳システムやMicrosoft Active Directoryなど約20種類の既存システムとの連携が確立された。
「利便性を損なわずに、確かなアイデンティティ管理システムが構築できました」と近藤氏は評価する。汎用的なLDAPのインタフェースを用いることで、簡単にID管理が実現でき、システム独自のID管理機能を開発するよりも運用が楽になった。また、開発コストの削減も期待できるという。今後開発される業務システムについては、すべて認証用LDAPを使うというのが情報システムセンターの方針だ。
「スタッフの契約の満了、社員の退職などで入館証が返却されると、そのタイミングで該当するユーザのメールやシステムへの利用が自動的に停止されます」と、近藤氏はアイデンティティ管理システムのメリットを実感している。
ID発行やアクセス権限の設定完了までの時間が飛躍的に短くなったことも大きなメリットである。國分氏によると、「従来は、メールIDの申請から発行までに1週間かかることもありました。TBS 統合認証基盤では、申請されたら即時にIDを発行できるようになりましたので、システムをすぐに使用することができます」とのこと。
業務に携わる利用者全員がIDを迅速に取得でき、パスワードが統合管理され、必要なシステムの権限が適切に付与されるようになったことで、各システムの利用率が高まり業務効率の向上に役立っているという。
セキュリティと内部統制の観点においても、アイデンティティ管理システムを確立したことの意義は大きい。これまでは、IDとパスワードは各システムで個別に管理されており、ユーザへの紐付けは人手を介して行われていた。
TBS 統合証基盤の導入後は、各システムのIDとパスワードが一元管理され、人手を介すことなく自動的にユーザに紐付けられるようになった。これにより、例えばID 0001がユーザAのIDである場合、ID 0001が残したログはユーザAがアクセスした結果である、ということが証明可能になった。人手を介さないため、ID 0001が他のユーザに紐付けられることがないためである。
このように、万一のインシデント発生時の証拠能力を向上できたため、リスクを回避して企業内のコンプライアンスを改善する基礎を築くことができた。
TBSの情報システムセンターは今後、人事システムの拡張などに合わせてアイデンティティ管理システムのセキュリティ強度をさらに高めていく方針だ。そのため、サンのアイデンティティ管理製品は、これからもますます大きな役割を果たしていくことが期待されている。
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