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株式会社マピオン

概要

「マピオン」「マピオンBB」や携帯電話向け「マピオンモバイル」といった地図情報サービスで知られる株式会社マピオン。同社は、データセンターの移転を機に、運用しやすいサーバ、OS、ソフトウェアを選択することを基本に据え、地図情報サービスを支えるシステム環境も大幅に見直すことにした。マピオンのシステム環境の特徴は、オープンソース・ソフトウェアを積極的に採用するというところにある。今回のシステム刷新においても、その方針は踏襲された。

例えば、「マピオンBB」にはオープンソース・ソフトウェアのSun GlassFish Enterprise Serverを採用。TomcatからGlassFishに移行したことで、運用管理の負荷低減を実現している。また、MySQLを利用していた「マピオンモバイル」の顧客管理データベースをMySQL Clusterに移行し、システムをクラスタ化したことで、ダウンタイムをほぼゼロに抑えることに成功した。さらに、OS仮想化技術であるSolarisコンテナの機能によって、作業負荷の低いサーバのCPUを動的に利用するなど、システム・リソースを効率活用するしくみを整えた。

その結果、地図情報サービスに欠かせない地図画像の生成においては、長時間かかっていた生成処理時間を大幅に短縮することに成功している。マピオンでは、システムを順調に稼動させることができた要因の1つとして、プラットフォームにサンサーバとSolaris OSを採用したことで、ハードからOSさらにオープンソース・ソフトウェアまでを一元化してサンのサポートが受けられることを高く評価している。

主な課題
得られた結果
  • 新データセンターへの移転にあわせたシステム環境の最適化
  • 地図画像を刷新しサービスの競争力を強化
  • 「マピオンモバイル」顧客管理システムのダウンタイム縮小
  • オープンソース・ソフトウェアの効果的な利用
  • サポートをサンに一元化できたことにより、問題発生時の包括的なサポートが得られた
  • オープンソース・ソフトウェアもサンからサポートを受け、システム構築がスムーズに進んだ
  • ダウンタイムをほぼゼロとする堅牢な顧客管理システムが完成した

株式会社マピオンは2008年、データセンターの移転を開始した。「マピオン」をはじめとした地図情報サービスを提供する同社にとって、データセンターは事業を支える重要なインフラである。

「以前のデータセンターでは電源容量に余裕がなく、サーバを設置するスペースが空いていても、マシンの追加導入が難しい状況に置かれていました。地図情報サービスは常に進化していますから、継続的なシステム拡張を避けて通ることはできません。データセンターを移転したのは、そのためです」と話すのは、マピオン 技術開発部 部長の村田敦士氏。

総合責任者として、データセンターの移転を指揮した。この移転を機にマピオンは、地図情報サービスのシステム基盤についても、そのハードウェア、OS、ソフトウェアにいたるプラットフォームの全面的な刷新にも取り組んでいく。新システムのOSにはSolaris 10 OSを採用、その仮想化機能であるSolarisコンテナも利用している。

「Solarisはサーバ管理のためのコマンドが充実しているので、システムの監視を効率的に行うことができます。これは運用管理者にとって大きなメリットです。また、Solarisコンテナを使ってシステム・リソースを有効活用できるシステムにしたかったんです」と、インフラ設計を担当したマピオン 技術開発部 運用技術グループの長谷川行雄氏は、Solaris 10 OS採用のポイントを説明する。

競争力を強化するには地図の差別化が重要ポイントだ。同年4月に地図基盤プロジェクトがスタートするが、その新しい地図の画像生成にSolarisコンテナが劇的な変化をもたらすことになる。

「地図上に独自の加工を施せるよう、画像表現を自社で行うオリジナルの新地図を生成することにしました」マピオン 技術開発部 基盤開発グループ マネージャーの谷内栄樹氏は説明する。全国の詳細地図を含む新地図の画像生成は、数千万単位のファイル数となる。

「Solarisコンテナによる仮想化でオンラインサービス中のサーバまで含めてその使用率の低いCPUを画像生成処理に充て、リソースを有効活用しました。その結果、従来は専用マシンで1か月かかっていた作業が、10日弱で終わるようになったのです」(長谷川氏)

新地図は同年12月よりブロードバンド利用者向けサービスの「マピオンBB」で提供されている。

「マピオンBB」は、新地図に移行するとともに、それを支えるシステム環境も刷新した。その中で注目すべきは、オープンソースのアプリケーション・サーバであるSun GlassFish Enterprise Serverを採用したということ。地図基盤プロジェクトにおいて、インフラ設計を担当したマピオン 技術開発部 運用技術グループの長谷川行雄氏は、次のように評価している。

「本プロジェクトは、"運用しやすいシステムの実現"を大きなテーマの1つとしていました。そのねらいどおり、アプリケーション・サーバをGlassFishに切り替えたことによって、運用管理の負荷が大幅に低減されました。例えば、複数のアプリケーション・サーバへアプリケーションをデプロイする場合に、管理サーバから一括デプロイできるなど、日々の運用管理に欠かすことのできない使いやすい機能があるからです」

以前のシステムでは、アプリケーションを更新する際にサーバごとにアップデート作業を行う必要があった。しかも、サーバを1台ずつサービスから外して、アプリケーションのアップデート作業を行わなければならない。

村田敦士 氏
株式会社マピオン 技術開発部
部長 村田敦士 氏
宮崎泰男 氏
株式会社マピオン 技術開発部 運用技術グループ マネージャー
宮崎泰男 氏
長谷川行雄 氏
株式会社マピオン 技術開発部 運用技術グループ
長谷川行雄 氏
蛭田伸行 氏
株式会社マピオン 技術開発部 運用技術グループ
蛭田伸行 氏
谷内栄樹 氏
株式会社マピオン 技術開発部 基盤開発グループ マネージャー
谷内栄樹 氏
安藤孝志 氏
株式会社マピオン 技術開発部 サービス開発グループ データベースエンジニア
安藤孝志 氏
小園浩二 氏
株式会社マピオン 技術開発部 サービス開発グループ
小園浩二 氏

それがGlassFishの動的クラスタ化の機能によって一括で更新できるようになり、運用担当者の作業負荷が大幅に軽減されたのである。

「しかも、オープンソース・ソフトウェアでありながらサンのサポートを受けられるため、システムの構築と運用管理において大きな安心感を得ることができています」(長谷川氏)

「マピオンBB」は、GlassFishのほかにもSun Java Web Proxy Serverを使用している。これらのソフトウェア群は、Sun Java Enterprise Systemの契約により、従業員数をもとにした定額パッケージのサブスクリプション方式でライセンスやサポートなどが提供され、保守においてもコスト削減のメリットを享受しやすい。

マピオンモバイル(左)とマピオンBBのイメージ」(右)
マピオンモバイル(左)とマピオンBBのイメージ」(右)

携帯電話などモバイル機器向けの情報サービス「マピオンモバイル」では、顧客管理システムをリニューアルした。マピオン 技術開発部 サービス開発グループ データベースエンジニアの安藤孝志氏は、その背景を次のように説明する。

「利用期間が長くなっていたため、サーバがリース期限を迎えていました。利用していたデータベースはMySQL 3.1で、サービス自身は安定していましたが、マピオンモバイルが有料サービスということもあり、ダウンタイムをさらに抑制する仕組みを導入したいと考えていました」

モバイル機器向けの顧客管理システムは、基本的に止めることが許されない。ダウンタイムが長くなると、サービスにアクセスしている利用者はタイムアウトとなり、サービスが利用できなくなってしまうからだ。ダウンタイムをゼロにすることは、有料サービスにとって顧客離れを防ぐための生命線といっても過言ではない。

ダウンタイムを短くするには、データベースをクラスタ化し、可用性を向上させる方法がある。実は旧システムの導入時にもクラスタ化は検討されたものの、当時は採用に至らなかった。

旧システムの導入経緯を安藤氏は次のように振り返る。

「当時でもクラスタをサポートするデータベースはありましたが、運用が容易ではなく、しかもコストが大幅に上昇しまうことになりました。そのため、導入は難しいと判断したのです」

やむを得ず、旧システムではMySQL 3.1のレプリケーション機能を用いて独自のフェールオーバー機構を実装、Active-StandbyのHA構成を自作したが、フェールオーバーに最大で2,3分を要する場合もあったという。

状況は、新システムの導入検討時には大きく変わっていた。オープンソース・ソフトウェアのMySQL Clusterであれば、コストを抑えながら可用性のあるシステムを構築することができるようになっていたのだ。また、マピオン 技術開発部 サービス開発グループの小園浩二氏は、MySQL Clusterの採用決定にあたっては、既存のアプリケーションをそのままに可用性を高められること、また負荷分散できることなどを評価した。そして何より、サンのサポートが得られることも大きなポイントになったと指摘する。

「クラスタの導入によってメモリ不足が発生したり、特有のパラメータの設定が分からなかったりすることが心配でしたが、実際、サンに問い合わせをすればすぐに的確な情報が得られたので、最短で問題解決ができました」

小園氏は、トラブルを未然に防ぐために、2008年12月から始めた他のアプリケーションとの連携などにおいて、サンのサポートを利用しながら検証作業を徹底して行っていったという。

2009年1月に新しい顧客管理システムが稼動。最も重視していたダウンタイムについても、ほぼゼロに近づけることができた。

「新システムの稼動以降、大きなトラブルは起こっていません。お客様は全く気が付かないうちに、新しい顧客管理システムに移行することができたと思います」

導入前には不安要素だったクラスタ化による運用負荷も、「実際に利用してみたら、操作は決して難しいものではないことが分かりました」と、小園氏は実感している。

新システムにおいてマピオンは、GlassFishやMySQLといったオープンソース・ソフトウェアを積極的に採用しコストを抑えながらも、プラットフォームにサンのハードウェア、Solaris 10 OSを採用することで、運用しやすく安定したシステム環境を構築している。さらに、基幹システムを支えるに相応しいエンタープライズクラスのサポートも得られている。

以前はLinuxを使用していたが、Solaris 10 OSにはコスト面でもプラス効果があると長谷川氏は指摘する。

「Linuxは無償で入手できますが、運用を続けていくには、やはり通常は有償のサポートが必須です。しかし必ずしも満足のいくサポートが得られるとは限りません。かつてトラブルが起こった際に問い合わせたのですが、ハードウェアとOSのどちらの問題なのかをきちんと切り分けて回答をもらうことが得られないケースがありました。今回はサンのハードウェアとSolaris 10 OSを採用したこともあり、問題が発生しても、ハード、OS、オープンソースまで含めてどこに起因する問題なのか、どんな解決策があるのかなど、包括的なサポートを得ることができます。問題解決までの手間、時間に費やされていたコストが不要になりました」

IT投資に厳しい時代、オープンソース・ソフトウェアを利用してシステムの導入コストを抑えることは、コスト削減の一般的な解の一つであろう。しかし企業の根幹を支える重要なシステムにとっては、システムの安定稼働はもとより、問題発生時の迅速でトータルなサポートも不可欠である。オープンソース・ソフトウェアからOSそしてハードウェアにいたるシステム全体を包括的にサポートするサンのソリューションは、企業にITコスト削減とエンタープライズクラスのサポートによる安定・安心の両方をもたらしている。

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