概要
レンタルサーバ、高品質インターネット回線、24時間365日の運用管理サービスの3点をセットにしたフルマネージド・ホスティング・サービス「DATAHOTEL」で知られる株式会社ライブドア。同社はポータル・サイトの運営で培われたノウハウ、経験豊富な専門エンジニアと運用担当エンジニア、充実したインフラをバックに、運用管理のあらゆるサービスを顧客に提供しているデータセンター・ホスティング事業者だ。ポータルサービスやレンタルサービスの提供インフラとして1万台ものサーバを運用している。国内最大級の規模である。
このビジネス・モデルをさらに強化することを目指して、ライブドアは顧客に推奨するRAID標準機の刷新を計画。1Uサイズでありながら性能と消費電力のバランスがとれたサーバ製品の検証と選定作業を開始した。ベンチマーク・ソフトウェアと電流計を使った測定の結果、最もよい成績を収めたのは、業界初のクアッドコア・プロセッサーであるインテル Xeon プロセッサー5400番台を搭載したSun Fire X4150であった。
従来機対比で20%から30%の消費電力削減が確認できたのである。ライブドアによるSun Fire X4150のレンタルは、2009年4月にスタート。3か月ほどで100台近くの契約を獲得する人気商品となった。さらなる省電力化を目指して、ライブドアはインテル Xeonプロセッサー5500番台を搭載した後継機種Sun Fire X4170の検証作業にもすでにとりかかっている。
主な課題
得られた結果
1U/RAID対応サーバの消費電力を削減すること
処理能力と信頼性が高い環境の構築
拡張性が高くて扱いやすいサーバの選択
サーバの消費電力を約30%削減できた
スペース効率を向上できた
他社との差別化が可能になった
Sun Fire X4150をパフォーマンスと拡張性を備えた1UのRAIDサーバとして、お客さまに推奨していくことにしました
次期RAID標準サーバ機に求めた安定性、性能、省電力性の3要素
株式会社ライブドアは、2007年4月に株式会社ライブドアホールディングス(現・株式会社LDH)から分離独立して生まれたIT企業である。現在の主力事業である「ポータルサイトlivedoor」と「DATAHOTEL」のうち、ポータルサイトlivedoorは、電子メール、ブログ、Webサイト、WikiなどのWebコンテンツを主に個人向けに提供するポータル・サイトとして、国内最大級の規模を誇っている。
また、DATAHOTELは、前身のライブドアホールディングスが2000年4月に開始したデータセンター事業の流れを汲むデータセンター・ホスティングサービスである。レンタルサーバと高品質インターネット回線、24時間365日の運用管理サービスの3点をセットにした「フルマネージドホスティング」が多くの企業に支持されている。
株式会社ライブドア ネットワーク事業部 事業部長/執行役員の嶋田健作氏によると、その位置づけは「一般的なコロケーションサービスが素泊まりのビジネスホテルだとすれば、当社のDATAHOTELはルームサービスやコンシェルジュが完備した高級ホテルに相当します」とのこと。
そこではポータル・サイトの運営で培われたノウハウ、経験豊富な専門エンジニアと運用担当エンジニア、充実したインフラをバックに、運用管理のあらゆるサービスをホスティング(レンタル・サーバ)やコロケーション(ハウジング)の顧客に提供している。ポータルサイトlivedoor及びDATAHOTELで使用中のサーバ台数は約1万台弱で、国内では大規模となる。
こうしたビジネス・モデルを強みとするライブドアにとって、重要なサービスの基盤となるサーバの選択は以前から経営面でも重要テーマとなっていた。
「導入機種を決める際は、ハードウェアとしての安定性と性能の両面を重視しています」と語るのは、株式会社ライブドア ネットワーク事業部 技術部 クオリティアシュアランスグループでマネージャーを務める大木幸生氏。
プロセッサーやメモリに起因するシステム停止の確率がかぎりなくゼロに近く、速度と消費電力のバランスがとれたサーバを確認したうえで採用してきたと明かす。
さらに「チーム・マイナス6%に参加している企業の1社として、当社は性能を満たすものの中からできるだけ消費電力が小さなサーバを選んで買うという方針で臨んでいます」と、嶋田氏。
地球温暖化防止への取り組みレベルが企業評価を左右するようになった現在、先進的なデータセンター事業者では、省電力性能がサーバを選択する際の最重要スペックとなっているのである。
消費電力が最小のSun Fire X4150 RAID構成の柔軟性も秀逸
このような背景の下、ライブドアは次期RAID標準機を選ぶための検証を2008年1月から開始した。その経緯を、大木氏は「お客さまからのご要望が最も多いのは1UサイズでRAID構成のできるラック型サーバなので、当社はそれをRAID標準機と定めています。
従来、このカテゴリにはデュアルコアのインテル Xeonプロセッサー5160搭載機を使ってきたのですが、より価格性能比が高いサーバをお客さまにご提供しようと、最新のクアッドコア・プロセッサーであるインテル Xeonプロセッサー5400番台を搭載したサーバ、国内メーカをはじめ4社のサーバを試してみることにしました」と語る。
株式会社ライブドア ネットワーク事業部 事業部長/執行役員 嶋田健作 氏
株式会社ライブドア ネットワーク事業部 技術部 クオリティアシュアランスグループ マネージャー 大木幸生 氏
株式会社ライブドア メディア事業部 開発部 システム管理グループ エンジニア 小泉卓也 氏
検証作業は2008年6月までの約半年をかけて実施され、オープンソースのベンチマーク・ソフトウェアによる性能測定とクランプメーター(コードをはさんで測定する方式の電流計)を使った消費電力測定が並行して進められた。
「ディスクI/OやTomcat上でのJavaプロセスのほか、よく使われるアプリケーションについてもほぼ一通りのベンチマークを実施しました」と、大木氏。旧サーバのデュアルコアから検証サーバはクアッドコアに替わったこともあるが、それ以上のパフォーマンス向上がデータベースなどではっきりと確認できたという。
「データベースの性能検証をしたときは、X4150は拍子抜けするくらい余裕があったのを覚えています。古いサーバなら4台を1台にできるくらいでした」と、株式会社ライブドア メディア事業部 開発部 システム管理グループでエンジニアを務める小泉卓也氏は説明する。
そうした中でも検証した各社のサーバ間で大きな違いが表れたのは、消費電力の検証結果だった。
DATAHOTELで採用されたSun Fire X4150。サービスがスタートしてから、3ヶ月ほどで100台近い契約を獲得できたという
「検証対象の機種ごとにハードウェア仕様が多少異なっていたので、公平な評価をするために『基本部分』と『標準パターン』の2つの構成にそろえて結果を求めました。基本部分は、実測値からCPU、メモリ、ハードディスクのそれぞれの消費電力を差し引いたもの。標準パターンは、CPUとしてインテル XeonプロセッサーL5420を1基、メモリとして2GB容量のDIMMを2枚、ハードディスクとして2.5インチ/SAS/毎分1万回転/146GB容量のドライブを3基という内容です」(大木氏)。
この結果、基本部分でも標準パターンでも最小の消費電力値をマークしたのがSun Fire X4150だったのである。「従来の5160搭載機と比較しても、20%から30%は小さな値でした」と、大木氏は振り返る。
また、Sun Fire X4150にオプションで内蔵できるRAIDコントローラ(Sun StorageTek 8ポート内蔵SAS RAIDホストバス・アダプター)についても、大木氏は次のように高く評価している。
「I/O性能もさることながら、当社にとって有り難いのはその柔軟性。システムを停止させることなくRAIDレベルを変更できるので、運用途中でHDDの使い方を変更されようとするお客さまのニーズにも容易に対応できます。ハードウェアに厳しい目をお持ちのお客様には、大変満足いただいています」
測定と結果集計が完了し、会社としての結論が出たのは2009年2月。「次期RAID標準機にはSun Fire X4150を選び、『パフォーマンスと拡張性を備えた1UのRAIDサーバ』としてお客さまにも推奨していくことにしました」と嶋田氏は語る。
顧客はスペースの削減効果を歓迎今後もさらなる省電力化を目指す
2009年4月、ポータルサイトlivedoor及びDATA HOTELでSun Fire X4150の提供が始まった。
「すでにDATAHOTELの大口顧客2社でこれをメインに使用しているほか、従来のサーバからリプレースされるお客さまも増えています」と、現状を語る嶋田氏。3か月ほどで100台近い契約を獲得できた理由として、「当初の予想を上回るご契約をいただけているのには、同じ41Uのラックに、性能アップしたサーバをより多く収容できることが、お客さまに歓迎されているのだと思います」と語る。
例えば、ある顧客は41Uラック2本に分けて格納していたシステムをラック1本に縮小することに成功(図1)。クアッドコアのパワーを活かしてプロキシサーバ、アプリケーション・サーバ、データベース・サーバの台数をそれぞれ半減し(計24台→計12台)、Sun Fire X4150で消費電力を台数減以上に削減(約55%)したことが、ここまでの大幅な縮小を可能にしたのである。
図1 Sun Fire X4150へとリプレースすることにより、ラック本数は半分、消費電力はそれ以下に削減できた
運用管理に携わるエンジニアの間でも、Sun Fire X4150の評判は上々だ。
「標準的な1Uのラック型サーバですから、取り扱い面での違いはほとんど感じていません」と小泉氏。使い勝手については「他社機に比べて奥行きが若干長いのですが、X4150同士をまとめて上下に配置すればケーブリングにも支障はありません」とのことである。
Sun Fire X4150の省電力性能に着目したライブドアは、その後継製品 Sun Fire X4170の検証もすでにスタートさせた。インテル Xeonプロセッサー5500番台(開発コード:Nehalem)を搭載しているこの後継製品は、新型インターコネクトの採用によってさらなる高性能化を図りつつ、省電力化も併せて実現していることが最大の特徴である。
さらに、ライブドアは、省電力化によって生まれる温室効果ガス排出量削減効果を他社との差別化に活用していくことも視野に入れている。
サン製x86サーバの優れた省電力性は、ライブドアのビジネスを新たな側面から強化していくためのカギともなっている。
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