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株式会社ネットキューブ

概要

Solaris仮想専用サーバホスティングZoneExpressを低価格で提供する株式会社ネットキューブ。同社は、ホスティングのOSとしてOpenSolarisを採用、仮想化基盤にも、仮想マシン方式ではなく、OpenSolarisのOS仮想化機能Solarisコンテナを採用した。Solarisコンテナを用いて仮想専用サーバ環境を構築し、Web開発者向けにホスティングを行っている。利用者にroot権限を使用可能にするなど、自由度の高い仮想サーバ環境を提供できるのは、隔離性・独立性の高いSolarisコンテナだからこそ。

ZFSファイル・システムやDTraceなどOpenSolarisのテクノロジーは、仮想専用サーバの管理や開発支援にも大きなメリットをもたらしている。Linuxベースの仮想サーバホスティングが多い中、同社がOpenSolarisを全面採用した理由は何か。それは、ホスティングにとって最も重要な3要件を兼ね備えていたから。ZoneExpressには、Linuxユーザに一度は使ってもらいたいOpenSolarisテクノロジーの活用見本ともいえる環境が構築されている。

主な課題
得られた結果
  • Web開発者向けのSolarisホスティングがなかった
  • 管理と増設しやすい仮想化サーバ環境を構築する必要があった
  • 柔軟性の高い仮想専用サーバホスティングを開始できた
  • Solaris OSをベースにした高密度な仮想サーバ環境を安定稼動している

導入された主な製品

OpenSolaris
OpenSolarisは、Image Packaging System (IPS)、ZFS...
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Solarisコンテナ
Solaris コンテナは、物理的にひとつのサーバ上に、複数のアプリケーション実行環境を実...
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MySQL
MySQL は、その高速なパフォーマンス、高い信頼性、使いやすさ、および大幅なコスト削減効...
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仮想専用サーバのホスティング事業、SolarisコンテナやXenなどを用いた仮想化システムの構築/評価/導入支援、アプリケーション開発やWebサイト開発などを手がける株式会社ネットキューブ。ホスティング事業では、Web開発者向けに低価格のSolaris仮想専用サーバホスティング(Solaris VPS:Solaris Virtual Private Hosting Service)ZoneExpressを展開している。仮想化技術を利用することにより物理サーバの台数、つまり設備投資や管理工数を抑えられるため、低価格でのホスティングサービス提供を可能にしている。

また、同社は環境保護への取り組みも重視。サーバ電力にグリーン電力を利用したエコホスティングを実践している。『安定したサービス品質を継続しつつ、システムの集積率を上げ、その結果として消費電力を抑えること』を基本方針に据え、効率の良いサーバを用いてシステムの仮想化を行うことで、ランニングコストを抑え、その結果として消費電力の削減を実現しているのだという。

ZoneExpressは、専用サーバとしての独立性を保ち、利用者はルート権限も使用できるので、各種アプリケーションのインストールやサーバの起動/停止が可能であるなど、仮想サーバでありながらも専用サーバと同等の高い自由度を享受できるという特長を持っている。

同社がZoneExpressを開始したのは2007年9月1日。OSには、OpenSolaris(オープンソース版Solaris)を採用している。当時既に世間には多くのホスティングサービスは存在していたが、OpenSolarisによるホスティングは同社が日本で最初であろう。というのも、エンジニアとして、Solarisをベースとするミッションクリティカルなシステムのサポート経験を持つ株式会社ネットキューブ 代表取締役の瀬藤弘二氏は、「自分で使いたい、開発者向けのホスティングがなかった」ことをきっかけに、自身でこの事業を立ち上げたという経緯があるからだ。

瀬藤弘二 氏
株式会社ネットキューブ
代表取締役
瀬藤弘二 氏
渡邊 論 氏
株式会社ネットキューブ
渡邊 論 氏

ではなぜ、OpenSolarisだったのか。

「Microsoft WindowsやLinuxなど他のOSに比べて、利用者にとってメリットが最も大きくなると考えたからです」と瀬藤氏。その具体的な理由をこう続ける。

「ホスティングサービスは安定稼動が大前提です。ですから、ホスティングのOSに求められるのは、『高信頼:堅牢で安定稼動すること』、『高性能:安定的で高速な性能』、『優れた保守性:トラブルの原因を追跡しやすいこと』です。Solarisは、この3つの要件を兼ね備えています。ミッションクリティカルなシステムに長年使われてきている十分な実績がありますし」

また瀬藤氏は、様々なプラットフォームの検証やサポート経験から、OpenSolarisの印象を次のように説明する。

「Solarisは高負荷時の安定性に非常に優れています。多数のアプリケーションを同時に実行した場合でも、安定性を失いません。また、高負荷時の性能劣化は少ないですし、その点はLinuxに比べて優位点だと思います」

Webサイトでは、突発的にアクセスが集中することはよくある。ホスティングというミッションクリティカルなサービスの基盤としては、そうした場合でも、安定的に稼動し続けられること、許容範囲の性能を確実に出せることは不可欠であろう。

さらに、事業者としては運用管理のしやすさも重要だ。Solarisはバイナリ互換の設計思想が貫かれている。Solarisをバージョンアップしても、基本的にアプリケーションはそのままで稼動可能だ。したがって、アプリケーションのバージョンによってOSのバージョンやパッチレベルを細かく制約されずにすむ。運用環境をシンプルにでき、管理コスト削減にもつながる。

また、Solarisのデバッグ機能 DTrace(ダイナミックトレース)も瀬藤氏には魅力的だったようだ。DTraceを使えば、カーネルやアプリケーションをデバッグ用に再構築することなく、運用環境のままでデバッグやトレースが可能である。

「アプリケーションに不具合が発生した場合、その原因を追跡するのに使っています。SolarisのDTraceは、稼動中のアプリやOSの挙動をすぐに把握できるので、ボトルネックを楽に特定できます。DTraceを使った場合と使わない場合では、アプリケーションの仕上がりに大きな差が出ます」と瀬藤氏。

ホスティングのOSに必要とされる、高い信頼性、安定的な性能、優れた保守性を持つSolaris。そして、そのSolarisに新機能を先行実装したものがオープンソース化されOpenSolarisとして無償で使えるようになったのだ。

図1 ZoneExpress構成イメージ
図1 ZoneExpress構成イメージ

仮想専用サーバは、それぞれ個々の専用システム環境として利用者にホスティングされる。したがって、仮想化システムの基盤として必要なものも、ホスティングのOSに求めるものと同等レベルの、高信頼、高性能、保守性になろう。ネットキューブは、仮想化システムの基盤にSolarisコンテナ機能を採用した。

Solarisコンテナ機能とは、OSの仮想化機能である。1台の物理サーバ上に複数の仮想Solaris実行環境(ゾーンと呼ぶ)を生成、各ゾーンに対してCPU資源などサーバのシステム・リソースを割り当てることにより、Solarisコンテナ(仮想サーバに相当する)を構成する。リソースは、サーバの負荷に応じて動的に割り当てることができるので、リソースを有効に活用できるのも特長だ。

ネットキューブのZoneExpressで提供されるソフトウェアは、Apache、MySQL、PHP、Perlなどいずれもオープンソース・ソフトウェアであり、特定のOSにしばられずにすむ。また、OpenSolarisはバイナリ互換を基本としているので、仮想サーバを全て、同一OS、同一パッチレベルで統一的に管理することもできる。そうした環境で使いたいホスティングには、Solarisコンテナによる仮想化が最適であると、瀬藤氏は仮想化基盤としてSolarisコンテナの採用を決定した。

Solarisコンテナはハードウェアへの依存性がない。OpenSolarisを搭載可能なサーバならどのマシンでも使用できる。CPUが1つしかないマシンでも、複数のSolarisコンテナを構築することができる。現実的にはハードウェアリソースによってその最大数は決まるが、論理的には物理サーバ1台に最大8191個のSolarisコンテナを構築可能である。

図2 仮想化のしくみの違い
図2 仮想化のしくみの違い

事前の検証で瀬藤氏は、サーバ1台に128個までSolarisコンテナを稼動させテストしたという。

「本当に使えるものか疑っていたのですが、実際に検証してみたら、完成度が非常に高い。コンテナをたくさん稼動させても、システムは本当に安定していました。他の仮想化基盤も検証しましたが、仮想サーバは16個の稼動で厳しいケースがありました。

今は1台あたり32個のSolarisコンテナを稼動させていますが、事業開始以来、特に大きな問題も発生していません。他の仮想化基盤では同等の安定性は期待できないでしょう」と、信頼を寄せる。

安定性の違いは仮想化のしくみの違いから来ると言える。ハイパーバイザーを介する仮想マシン方式と比べると、仮想マシン用にカーネル・コードを特別に書き換える必要もないため、オーバーヘッドが極めて少なく、バグの発生率も低くなり安定性も保たれるのである。

また、Solarisコンテナは、同一のカーネルを共有し、それぞれ完全なOSとして動作する。各コンテナは互いに完全に隔離され独立した仮想化環境なので、もし万が一、あるコンテナに性能劣化や安定性に重大な問題が生じても、他のコンテナはその影響を受けることはない。この独立性の高さが、ZoneExpressの利用者にルート権限の提供を可能にし、さらにはアプリケーションの自由なインストールや、DTraceによるボトルネックの解析などを可能にしている。

図3 ZFSストレージプール
図3 ZFSストレージプール

「是非ZFSを使いたかった」と瀬藤氏も力を込めるように、OpenSolarisで始めて実装されたZFS(Zettabyte File System)は非常に魅力があったようだ。

ZFSはOpenSolarisのデフォルトのファイル・システムで、高速かつ大容量で、安全性の高い、管理も簡単な、画期的な新ファイル・システムである。ZFSではディスクをストレージプールという概念で一元的に管理し、メモリのようにハードディスクを追加するだけで使用可能にするというのが大きな特長だ。

20年以上お馴染みのformat、newfs、mountといった一連の面倒な作業は必要ない。UNIXファイル・システムの煩わしさを知る管理者にとって、まさに待望の、画期的なファイル・システムである。

当時、ZFSが使えるのはOpenSolarisだけであったが、その後、他のUNIXベンダーやオープンソースの信奉者が彼ら固有のOSに移植を表明するなど、大きな影響を与えたことからも、それは明らかであろう。

実はZFSは、仮想化基盤の運用管理を容易にするという側面においても、大きなメリットを提供している。瀬藤氏によれば、Solarisコンテナの複製による新規仮想サーバ環境の作成をスクリプトにより、数秒で完了しているという。同氏はそれを「ZFSのおかげ」と強調する。

ZFSファイル・システムは、スナップショットを一旦作成して保管しておけば、そのスナップショットからZFSクローンを瞬時に作成することができる。仮想サーバの追加の際などは、ZFSクローンを用いて、Solarisコンテナを複製してやればいい。OpenSolarisには、Solarisコンテナ機能にもZFSにも便利なコマンドやツールが豊富に用意されているので、それらを組み合わせて標準的なスクリプトを作成しておくことで、コンテナの複製を含む新規仮想サーバ環境の生成をスクリプト一発、数秒で完了するというわけだ。手間と時間というコストが省け、管理者にも利用者にもメリットになる。

図4 ZFS管理ツール画面イメージ
図4 ZFS管理ツール画面イメージ

「Linuxユーザに是非一度OpenSolarisを試してみてほしい。優れたOSなので、多くの技術者に知ってもらいたい」と瀬藤氏は話す。OpenSolarisの良さを知ってもらいたい、コミュニティもさらに大きく広がってほしい、という願いからだ。Solarisは定評のある優れたOSではあるが、昔はコマンドベースのインタフェースしかなく、システム構築が難しそう、何となく敷居が高そうと、敬遠してきた技術者も多いかもしれない。

長年Solarisを見てきた瀬藤氏によれば、高度な技術者指向で硬派なOSというかつての印象は薄れ、デスクトップ環境のGUIなども進み、使い勝手もLinuxライクになって敷居はだいぶ低くなったという。

確かに、OpenSolarisでは統合デスクトップ環境にGNOME、シェルにbashを採用するなど、Linuxユーザにも馴染みやすい環境を提供している。ZFS管理ツールなど、コマンドラインも豊富にありながら、ブラウザ・ベースの管理ツールも充実してきている。

先進的な機能拡張を継続するとともに、サポートプラットフォームの拡充、コミュニティ拡大の支援なども、Sunに対して強く望むという瀬藤氏。知る人ぞ知る玄人好みのSolarisから、みんなのSolarisへ。OpenSolarisのユーザがもっともっと増えていくことこそが重要である。そのためにSunがすべきことはまだまだあるだろう。

OpenSolarisは、世界最高の堅牢さを誇るOSとして、革新的なテクノロジーを以て、これからもZoneExpress利用者とネットキューブを縁の下で支え続けていく。

導入された主な製品

OpenSolaris
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