導入された主な製品
Solaris 10 OSにはサーバ仮想化機能Solarisコンテナが標準機能として含まれているため、コストを大幅に抑えられましたSAP製品のヘルプデスク業務専用のシステム導入が必要とされた
ソフトウェアとしては、SAP Customer Relationship Management(SAP CRM)ベースの「SAP Solution Manager 7.0」がSAPから提供されるため、ISIDが負担するのはその稼動環境の準備と導入作業であった。 サーバ仮想化が標準機能のSolaris 10 OSを稼動環境に選ぶ ![]() SAP保守運用システムを支える2台のSun Fire X4150、そしてSun StorageTek 2540FCとSun StorageTek LTO3 LVD SCSI Tape Drive 2U Rackmount。
では、SAP Solution Manager 7.0用に、ISIDはどのような稼動環境を必要としたのか---。 構築作業にあたったISID-AO アドバンストテクニカルサポート事業部 エンタープライズ基盤技術部 シニアコンサルタントの古渡大輔氏は「要件の1つは、なるべくコストをかけずに構築するということでした」と振り返る。ヘルプデスクという業務の特性上、それほど高トラフィックかつ大量データのシステムになるとは考えられなかったからだ。 一方で、稼動環境は少なくとも3つ必要だった。SAPはSAPユーザに本番、検証、開発の3環境を用意するように求めており、SAP CRMをベースとするSAP Solution Manager 7.0についても例外ではなく3環境を要求された。 この2つの要件をともに満足させる方式として、古渡氏は「サーバ仮想化」を選択。SAP Solution Manager 7.0の稼動環境としてSAPが指定しているプラットフォーム(Solaris 10 OS、HP-UX、AIX、Microsoft Windows Serverなど)の中からISIDのニーズに合うものを選ぶことにした。 「最終的には、Solaris 10 OSとMicrosoft Windowsの2つのプラットフォームから選択することになりました」と、古渡氏。「検討を開始した2007年の時点では、Microsoft Windows Server 2003 R2にサーバ仮想化機能は含まれていませんでした。そのため、仮想化ソフトウェアを別途購入する必要があり、初期導入費と保守費にコストが二重にかかることは避けられませんでした。一方、Solaris 10 OSにはSolarisコンテナのサーバ仮想化機能が標準装備されているため、コストを大幅に抑えられることが分かりました」 ISIDは2008年4月、Solaris 10 OSベースのシステムをSAP Solution Manager 7.0の稼動環境として採用することに決めた。ハードウェア/ソフトウェア製品は同5月までに全て搬入され、SAP Solution Manager 7.0のインストール、設定と調整、テストなどを経て、同9月にはカットオーバーを迎えている。 「導入作業を進めるにあたって、サンから提供されたホワイトペーパー『MINIMIZING DOWNTIME IN SAP ENVIRONMENTS』(2008年2月)がとても役に立ちました」と古渡氏は振り返る。ホワイトペーパーは英文だが非常に理解し易く解説されており、問題なく活用できたという。 ISIDが構築したSAP保守運用システムは、2台のSun Fire X4150、1台のSun StorageTek 2540FCとSun StorageTek LTO3 LVD 2UラックマウントSCSIテープドライブの各ハードウェアからなる(図)。 2台のSun Fire X4150には主系と副系(待機系)の役割が与えられており、主系にはWeb DispatcherとSAP Solution Manager 7.0(本番)用の2ゾーン、副系にはSAP Solution Manager 7.0(開発)とSAP Solution Manager 7.0(検証)用の2ゾーンという設定だ。 また、総容量2.4TBのSun StorageTek 2540FCは共有ストレージとして使われており、主系に障害が発生した時はこの中に格納されているSAP Solution Manager 7.0(本番)ゾーンを副系側に切り替えることによって可用性を確保している。Sun StorageTek LTO3はバックアップ用のテープ・ドライブである。 コピーやバックアップの処理がSolaris ZFSにより大幅に短縮 完成したSAP保守運用システムは、その後、2009年3月に設立されたISID-AOへと移管され、2009年4月1日からはISID-AOの「SAP保守運用」として提供されることになった。 技術面での導入効果として、古渡氏はSAPパートナー用保守サイトを低コストで構築できたことと運用管理工数を削減できたことの2点を挙げる。 「Solaris 10 OSに標準装備されたファイル・システムのZFS(Solaris Zetta Bytes File System)を使うことにより、ISID-AOのSAP保守運用では、200GBのコンテナ環境を約50分でコピーし、クローン環境でテストでき、時間が節約できるので非常に助かっています」と、古渡氏。 SAPの標準的なエクスポート機能では、環境の移し変えに丸1日以上かかる場合もあったという。また、Solaris ZFSのスナップショット機能を活用したバックアップも実施している。データへのアクセスを一瞬止めてZFSスナップショットを採取しておけば業務を継続できる。 スナップショットのデータをテープライブラリにバックアップすればシステム停止時間は少なくて済む。データの圧縮も可能で、古渡氏の経験では、200GBのデータが30GB程度にまで圧縮されたケースもあったという。バックアップ専用ソフトウェアも高機能なストレージも必要ないという。 こうした環境を整えたことに加え、サポート・システムを自社で抱えることによる効果も出てきている。SAP保守サポートの実務を担当しているISID-AO アドバンストテクニカルサポート事業部 エンタープライズ基盤技術部 コンサルタントの黒川浩司氏は「システムの見た目は以前のものとほとんど変わりませんが、お客さまにレスポンスを返す時間は短縮できたと思います」とコメントする。SAP保守サポートはISID-AO側で運用されているので、そのナレッジベースに登録されている情報については、SAPに確認することなく即答できるためだ。 一方、経営面では、SAP保守サポートがSAPパートナーとしてのISIDの地位を確かなものにしたと菅原氏は評価している。 「SAP Solution Manager 7.0の自社運用を早期に始められた結果、ISIDは『SAPパートナーサポートセンター』の認定を日本で3社目に取得することができました。また、その構築過程で培われた技術と経験を活かして、製造業の2社のお客様にSolaris 10 OS on x64をベースにした業務システムをご提案、納入させていただいおり、当社ソリューションの強みの1つにできています」 さらにISID-AOは、Solaris 10 OSに今後のビジネスを切り開くイネーブラーとしての期待もかけている。 「アウトソーシングを名乗る会社である以上、今後はSaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)などの分野に向けて、事業を積極的に展開していかなければなりません。安定性が高く、低コストでサーバ仮想化を実現できるSolaris 10 OSは、そのための有力な候補となると期待しています」と、菅原氏。 加えて、古渡氏は「SAP稼働環境を予め組み込んだコンテナを準備しておけば、ISIDグループに貸し出すプライベートクラウドビジネスがすぐにでも実現できそうです。それを皮切りに一般商用サービスへの展開も視野に入ってきています」と今後の新たなビジネスにSolarisが欠かせないものであること、新サービス実現の時期がそう遠くないことを補足した。 導入された主な製品
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