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もっと身近に。 コンピューティング・リソースを 日常的に 有効活用できることが グリッド・コンピューティングの 何よりのメリットです。 Grid for Everyday Things −− 概要 1881年(明治14年)、東京物理学講習所として東京大学(旧帝国大学)卒業生21名により創設され、今年で創立121年を迎える、伝統ある東京理科大学。理学の普及が国運発展の基礎となるという理念によるその創立者の情熱については、司馬遼太郎の『この国のかたち』に触れられています。1949年に東京理科大学としてスタートし、総合理工系大学の雄として、数理、情報、ソフトウェア科学の分野に先進的に取り組んでいます。 なかでも、1996年に設立された情報メディアセンター(センター長溝口文雄教授)は、1997年度文部省(現文部科学省)の私立大学高度化推進事業の学術フロンティア・プロジェクトに採択されたことにより、知能ソフトウェアの研究を開始、第1期5年が終了。2002年11月に第2期へと継続され、新しいバイオ・インフォマテックスとメディカル・インフォマテックスの研究拠点として日本中の研究機関から大きな注目を集めています。 今回、情報メディアセンターは、Sun Grid Engine Enterprise EditionとSun Fire V880、多数のSun Blade 1000によってグリッド・コンピューティング環境を構築。このグリッド上で、さまざまなアプリケーション、特に、データマイニング、ドラグデザインなどソフトウェアの開発と実験を行っています。 システム導入の背景
日本における人工知能(AI)研究の第一人者である溝口教授はその研究を進める一方、限られたコンピューティング・リソースを有効活用する技術として、グリッド・コンピューティングに対し、かねてより大きな関心を寄せていました。溝口教授は語ります。 「私たちの研究にグリッド・コンピューティングが大変有効であることは以前から感じていました。しかし、グローバル・グリッドの情報が中心で、実際の研究環境においてすぐに活用できる具体的かつ、有効な手だてはなかなか見つかりませんでした。しかし2001年10月、東京で開催されたAsia Pacific Grid Workshopで、米国サン・マイクロシステムズにおいてグリッド・コンピューティングを中心となって推進するWolfgang Gentzschの講演を聴き、私が探していたのはまさにこれだ!と納得しました。彼の核心をつく具体的な説明でその構造および我々に必要なソフトウェアが理解できました。もちろん、研究室のメンバーも同意見でした」。 溝口教授はその後もWolfgang Gentzschと交流を重ね、構想を具体化してゆきます。 システム導入のメリット
グリッド・コンピューティングのメリットについて溝口教授は語ります。「持てるコンピューティング・リソースが日常的に活用できる点(=「Grid for Everyday Things」)がグリッド・コンピューティングの何よりのメリットです。グリッド・コンピューティングというと即グローバル・グリッドの構築を連想される研究者が多いようですが、そんなことはないのです。またインストールが簡単であること、初期費用の少なさ(Sun Grid Engineは無償版も用意)、必要に応じて拡張できる点も大きな魅力です。次に、携帯電話などの小さな端末から利用可能であること。つまりアプリケーションのスケーラビリティがあることがあげられます。第三には既存のインターネットとの統合が有効であること。つまり、Webやメールとつないで活用できるのです」。 現在、この情報メディアセンターで行われている多くの研究にグリッドが利用され、コンピューティング・リソースが有効に活用されています。 Sunと東京理科大学情報メディアセンターの間で締結された『GLOBAL EDUCATION AND RESEARCH Center of Excellence(COE)』は、サン・マイクロシステムズ社と大学、教育研究機関そして第3者パートナーとの間で締結される戦略的提携プログラムです。COEの締結による確かなパートナーシップは、教育・学術の発展に必要な高度な専門技術の追求に貢献します。具体的な活動内容や契約の締結内容は締結する機関、研究のテーマなどによってさまざまなパターンが考えられています。最近締結された例としては、コロンビア大学、ニューヨーク大学(NYU)、Catalunyaのオープン・ユニバーシティ、南デンマーク大学、および北アメリカとヨーロッパにまたがる30を超えるセンターによるユタ大学の共同研究プロジェクトなどがあります。 ここで、グリッドを活用し、溝口教授、そして研究室のメンバーが実用化した技術・サービス、そして研究中の技術について紹介します。 デジタル・カメラと携帯端末を連携させた
携帯電話にルーペ付CCDカメラを取り付け、人の肌を撮影。その画像を情報メディアセンターに直ちに送信し、グリッド・コンピューティングによってデータを高速計算し、診断結果を携帯電話に返します。このサービスは、訪問化粧品販売の現場で診断結果に沿った化粧品の提示・販売、そして顧客の肌データの管理ツールとして活用されようとしています。 溝口研究室の出身で同技術によるビジネスを展開するベンチャー企業株式会社ウィズダムテックの取締役も務める平石広典氏は語ります。「以前から研究を進めていたのですが、携帯電話をはじめとした通信インフラの急激な進歩、そして安価なCCDカメラの登場によって低廉な使用料での実用が可能になりました。情報メディアセンターのグリッドにより、理論的には100万人のデータを同時に処理することが可能です。従来の電話回線による通信では1件あたりのデータ処理に約20分を要していましたが、携帯電話とモバイル用のCCDカメラを利用し、グリッドによって計算することにより、1分以内で処理できるようになり、実用化できました」。 この技術を「現在に対する技術」とすれば、溝口研究室は「未来に対する技術」も既に実用化しています。それは人の肌の3年後の経年変化をシミュレーションによって画像化する技術で、データの計算をグリッドが担っています。 グリッド・コンピューティングによって これまでのAI研究、スーパーコンピュータによる計算では暗黙値の制御はできませんでしたが、グリッド・コンピューティングによって、動作の速度に追いつく計算速度が可能になりつつあります。人がワインのボトルの置き場所を任意に変えても、このロボットはボトルを握ることができます。音声認識、画像認識、そしてワインボトルの制御にグリッドが使われています。 カロリーに合わせて自転車の走行ルートを計算し、 GPSの付いたPDAに携帯電話を接続し、消費したいカロリーを入力すると、情報メディアセンターのグリッドが計算処理。適合する自転車の走行ルートをPDAに表示します。 グリッド・コンピューティングに対するSunの取り組みについて溝口教授は語ります。「グリッド・コンピューティングにはすでにたくさんのソフトウェアが存在するため、研究者がOSを超えた環境で、例えば分子のモデリングなどを描け、世界中のどの研究所でもそれを見ることができるのです。Sunがグリッド・コンピューティングをオープンソースとして推進してきたからこその成果です」。 今後の展開
今後の展開について溝口教授は語ります。「グリッドによってリソースが有効に活用でき、不足したら新たなグリッドを拡張できる。また一方で通信等もスピードアップされるので、計算とサービスのあり方が大きく変わってくると思います。グリッドが計算リソースとして、ますます日常的に使えるようになるはずです。そういった環境になれば、さらに高度な計算を必要とする分野、例えばビデオによる診断やシミュレーション、そしてロボットへの緻密な制御も可能になるはずです。私はこういった活用の広がりを込めて、『Grid for Everyday Things』と呼んでいるのです」。 最先端のグリッド・システムとして、ブレードサーバ Sun Fire Blade Platform、Sun Fire V65x、Sun Fire 280RといったサーバによりSPARC、x86、Linux環境を構築し、『Grid for Everyday Things』を更に進化させています。そして新たなグリッド・リソースとして、Opteronを搭載したSun Fire V20zにも既に関心を寄せています。 また、溝口教授は、同センターを中心として、バイオゲノム研究者からなる共同体として研究者の成果を共有して資源の投資効果を上げることを目標とする「Bio-Gridコンソーシアム」を主催しています。同センターは、東京理科大学生命科学研究所とゲノム創薬研究センターの中心に位置し、互いの研究者が交流を行える環境が整えられています。バイオゲノム研究者およびバイオ関連企業のデータ処理の支援とIT企業側のバイオデータ処理の知識提供といった両方の側面からバイオ・インフォマティクスで利用されるツールの共有、また、ノウハウの共有が可能です。この活動に、グリッド・コンピューティングについて既に多くの実績を持つSunも参加と支援を行い、グリッド・コンピューテイング環境といった新たなバイオデータ処理のための計算機環境の構築と利用を推進しています。
2003年4月には野田キャンパスに創薬ゲノムセンターも竣工され、研究のさらなる展開が待たれる東京理科大学。創薬ゲノム科学を専門分野とする薬学部教授 増保安彦氏は語ります。「日本の研究施設で、薬学とバイオ分野、そして情報センターが歩いていける距離に隣接されている研究施設はありません。まさに、理想的な研究環境といえます。今後は溝口先生をはじめとした情報分野の先生方と日常的に交流が行えるので世界に類のない研究を進めることができ、それが必ず実を結ぶ日が来ると確信しています」。 それぞれの研究分野に合わせて現在のリソースが活用でき、必要に応じて拡張も容易に行える。しかも導入しやすく、管理も容易。Sunのグリッド・コンピューティング技術は、さまざまな研究分野での日常的なコンピューティング・リソースの有効活用に、大きく道を拓いています。 (無断転用禁止)
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