2006年2月
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2005年キャンパス・コンピューティング調査

今年で16年目となる「キャンパス・コンピューティング調査(Campus Computing Survey)」は、アメリカの高等教育機関におけるコンピューティングと情報技術に関する研究としては最大のもので、現在も続いている研究です。調査データは、大学の上級職員、主としてCIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)、IT部門責任者など組織全体のITを統括する上級担当者等の回答に基づいています。2005年の調査レポートは、全米の501校の2年制及び4年制の公立・私立の大学及びカレッジの職員から得たデータに基づいています。調査回答者は2005年9月~10月に調査用紙への記入を終えました。

毎年行なわれる「キャンパス・コンピューティング調査」の新しいデータによれば、キャンパスのIT担当者たちは、「今後2、3年間で組織が影響を受ける単一の最も重要なIT問題」は「ネットワークとデータのセキュリティ」であると認識していることがわかりました。

2005年の調査回答者(主に大学のCIO、CTO、その他の上級IT担当者)のほぼ3分の1(30.4%)が、組織が直面する最も重要なIT問題としてネットワークとデータのセキュリティを挙げており、4分の1(21.2%)だった2004年の調査を上回りました。ITセキュリティへの関心は4年制公立大学の職員の間で最も高く、その5分の2以上(44.1%)が、ネットワークとデータのセキュリティを組織の最重要IT問題であると考えています。これに対し、公立・私立大学のCIOでは約3分の1、4年制私立大学とコミュニティ・カレッジのCIOでは5分の1でした。

ITセキュリティへの高まる関心

「2005年キャンパス・コンピューティング調査」の調査用紙には、新たな調査項目が加えられました。それによると、2005年の調査対象校の過半数(50.7%)が、前年度にキャンパスのネットワークにハッキングまたは攻撃を受け、5分の2(41.2%)が2004~2005年度に大きなスパイウェア感染被害を経験し、3分の1(35.2%)が大きなウイルス感染被害を経験したことがわかりました。

さらに、2005年の調査対象校の5分の1(19.6%)が、アイデンティティ管理にかかわるセキュリティ問題を経験しています。ネットワーク攻撃、アイデンティティ管理、ウイルス感染といったセキュリティ問題の発生件数は、概して公立・私立大学ほうが他の高等教育機関よりも高い結果になりました。

「この調査データは、個々の大学やカレッジにおける散発的なITセキュリティ問題のニュース記事という以上の意味を持ちます。」キャンパス・コンピューティング・プロジェクトの創設者でありクレアモント大学院の客員教授のKenneth C. Green氏はこう述べます。

「全米のあらゆる高等教育機関のIT担当者にとって、ネットワークとデータのセキュリティ問題が最大の懸念であることが、このデータによって確認されました。また2005年のデータからは、キャンパスにおけるIT関連の優先課題が、教育的統合の問題からセキュリティとERP(企業資源計画)/インフラの問題に大きくシフトしたことがわかります。」

進まないIT災害復旧対策

驚いたことに、2001年9月の同時多発テロ発生後、IT災害復旧対策の重要性に関して全米で広く議論が交わされたにもかかわらず、4年が過ぎた今でも、戦略的なIT災害復旧対策を整備しているキャンパスは全体の5分の3(57.4%)にすぎませんでした。2004年の調査結果(55.5%)、さらには2002年の調査結果(53.0%)とほとんど変わっていないのです。

「ITセキュリティの問題とともに、先ごろ起こったハリケーン『カトリーナ』や『リタ』による災害の経験も、すべての大学やカレッジの関係者がIT災害対策の策定あるいは更新のために記憶しておくべき事柄です。」とGreen氏は語ります。


2005年の調査データによれば、キャンパスのIT関連予算は継続的に改善されていることがわかります。IT関連予算が削減されたと回答したのは、今年の調査対象校のうちわずか6分の1(15.5%)でした。2004年は4分の1(24.3%)、2003年は5分の2(41.3%)、2002年は3分の1(32.6%)でした。これとは対照的に、キャンパス・コンピューティングへの投資が増大したと回答したのは、調査対象校の5分の2以上(44.3%)で、2004年の37.9%、2003年の26.9%から上昇しています。

過去数年と同様、IT予算が増加した大学の数は、私立大学や私立カレッジのほうが公立大学や公立カレッジよりもやや多くなっています。私立大学の過半数(50.0%)で2005年のキャンパス・コンピューティングへの投資が増大しています(2004年の41.2%から上昇)。これに対し、公立大学では40.0%(2004年の31.9%から上昇)でした。

また、4年制私立カレッジの半数以上(53.2%)で、2005年のキャンパス・コンピューティングへの投資が増大しているのに対し(2004年の47.4%から上昇)、4年制公立カレッジでは5分の2(38.2%)でした(2004年の24.0%から上昇)。コミュニティ・カレッジに関しては、2004年~2005年にキャンパス・コンピューティングへの投資が増大したキャンパスの比率には実質的な変化はありませんでした(約37%)。

「キャンパスのテクノロジ予算、さらにはテクノロジ投資やイニシアチブは、2000年~2003年の3年間に深刻な予算削減が行われたことの累積的影響を未だ抜け切れていません。一方で、2005年の調査データは、キャンパスのIT予算が大きく改善され、強く望まれていたIT投資の安定化が実現しつつあることを示す重要な証拠となります。」とGreen氏は語ります。

キャンパスにおけるITセキュリティへの関心の高まりを考えれば、今年の調査でネットワーク・セキュリティへの投資が増加していることもうなずけます。調査対象校のほぼ3分の2(64.4%)が、ITセキュリティに対する予算が増大したと回答し、5分の3(59.5%)だった2004年を上回っています。また2005年の調査データでは、ERPのアップグレード/交換(2004年の38.4%対し2005年は44.4%)、ネットワーク・サーバの購入(2004年38.8%に対し2005年は41.4%)、ユーザ・トレーニングとサポート(2004年の23.5%に対し2005年は26.1%)への投資が増大したキャンパスの比率が高くなっているのがわかります。

2005年の調査では、キャンパス・ネットワーク上でのデジタル・コンテンツの不正なピアー・ツー・ピア(P2P)の配信をくい止めようという組織の継続的な努力がうかがえます。調査対象校の5分の4(81.0%)がネットワークの「適切使用」のポリシーを定めており、これは2004年の4分の3(76.3%)、2003年の3分の2(66.2%)から上昇しています。2004年のデータでは、すべての種類の高等教育機関で「適切使用」ポリシーを定めているキャンパスが増加しています。例えば2005年には公立研究大学の88.2%が「適切使用」ポリシーを定めており、2003年の80.9%から上昇しています。

私立大学では、2003年には77.5%だったのが、2004年には84.8%に上昇しています。同様に、4年制公立カレッジでは、今年の調査対象校の82.4%が「適切使用」のポリシーがあると答え、2003年の68.6%から上昇しています。4年制私立カレッジでは、2003年は68.7%だったのが、2005年は83.6%でした。

「2005年のデータを見れば、大学ネットワークを通じた音楽、ビデオ、その他の商用コンテンツの不正な配信やダウンロードに対するメディア産業関係者や議員らの懸念に対して、大学やカレッジが非常に努力しているのが改めて確認できます。」しかし、Green氏はこうも指摘します。「メディア産業及びメディアは、デジタル・コンテンツの著作権侵害を犯すほとんどは大学生だとしていますが、これはもう現実とは釣り合っていません。」

事実、デジタル・コンテンツの著作権侵害が行われる主な場所は、いまや大学のキャンパスからAdelphia、Comcast、SBC-Yahoo、Time Warner、その他のインターネット・サービス・プロバイダが提供するコンシューマー・ブロードバンド・サービスを利用する何千万もの個別世帯に移っているのです。

Green氏は、デジタル・コンテンツの著作権侵害に関しては、大学生ではなく、大学の外にいる消費者こそがメディア報道の真のターゲットであるべきだと言い、その証拠として全米レコード協会(RIAA、www.riaa.org)のデータを示します。P2Pによる著作権侵害を受けたとしてRIAAが提訴した「John Doe」(原告身元不明)訴訟では、著作権侵害者数の全体に占める学生の割合はごくわずかに過ぎません。

ワイヤレス教室(2004年~2005年)

調査データからは、あらゆる高等教育機関でワイヤレス・ネットワーク(WiFi)の使用が継続的に広がっているのがわかります。調査対象校のほぼ3分の2(64.0%)が、2005年秋の時点で戦略的なワイヤレス・ネットワーク・プランがあると回答しています。

2004年は55.5%、2003年は45.5%、2002年は34.7%、2001年は24.3%でした。そして、4分の1以上(28.9%)が、2005年の秋の時点で全キャンパスを通じたワイヤレス・ネットワークをすでに運営していると答えています。2004年は全体の5分の1である19.8%、2003年は14.2%、2000年はわずか3.8%でした。

2005年のデータによれば、すべての種類の高等教育機関で、全教室の5分の2以上でワイヤレス・ネットワークが利用でき、3分の1だった2004年(35.5%)を上回っています。ワイヤレス・ネットワークを使える教室の比率は教育機関の種類によって異なり、コミュニティ・カレッジの26.8%(前年の24.8%から上昇)から私立研究大学の53.8%(2004年の47.4%から上昇)までさまざまです。

「大学にワイヤレス・ネットワークが導入されるのは素晴らしいことです。アクセスとモビリティが向上し、教員と学生が共同作業しやすくなります。」とGreen氏は言います。しかし一方でGreen氏は、教員側の一部からはすでにワイヤレスへの反発の声が上がっているとも言います。授業中に学生の顔がスクリーンに隠れて見えないのを嫌う教員もいるのです。

キャンパス・ポータル

この1年で、キャンパス・ポータルを導入したキャンパスの数は増加しました。2005年の調査対象校のほぼ半数(45.6%)が、2005年秋の時点でキャンパス・ポータル(シングル・サインオンのポータル)をすでに運営しています。2004年は37.1%、2003年は28.4%、2002年は21.2%でした。しかしキャンパスのITインフラの評価となると、調査回答者のキャンパス・ポータルに対する評価は低いままでした。

2005年には、14項目あるITインフラ & サービス評価の中で大学ポータルは13位にランクされ(2005年のポータル・スコア:3.9。2004年の3.7、2003年の3.1から上昇。1=悪い、7=良い)、eコマース・キャパシティ(スケールスコア:4.1)より下、データ・ウェアハウジング(スケールスコア:3.4)より上でした。逆に、ITインフラ & サービスの評価で1位、2位にランクされたのは、コンピュータ・ネットワーク(スケール・スコア:6.1)とオンライン・ライブラリ・レファレンス・リソース(スケールスコア:5.8)でした。

2005年の調査データによれば、2004年に初めて調査された上級IT担当者のオープンソース・アプリケーションに対する慎重な姿勢には、ほとんど変化がないことがわかりました。半数以上(55.1%、2004年は51.9%)が「オープンソースは今後のキャンパスのIT戦略にますます重要なものとなる」に賛成している一方、学生情報システム・ソフトウェア、大学財務システム・ソフトウェア、人事・人材リソース・ソフトウェアといった重要なキャンパス管理またはERPのアプリケーションについて、オープンソースが「利用可能な代案ソフトウェアになる」に賛成したのは、調査回答者の3分の1以下(30.4%、2004年は28.9%)に留まっています。

*キャンパス・コンピューティング・プロジェクトについては、www.campuscomputing.netをご参照ください。

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