2006年6月

Sun&Users 学舎探訪記

奈良先端科学技術大
電気通信大学

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ソフトウェア開発を推進する新しい学生向けプログラム

INSIDE TECHNOLOGY

Project Darkstarがオンライン・ゲームの未来を切り開く

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Project Darkstarがオンライン・ゲームの未来を切り開く

費用効果が高く柔軟性に富んだサンの「Project Darkstar」は、ゲーム制作のリスクを減らし製品化までにかかる時間を短縮することで、すべてのゲーム開発者が拡張性の高いマルチプレーヤー型のオンライン・ゲームを扱えるようにします。

  

オンライン・ゲームの急激な成長は、それだけ利用者が多いということを物語っています。280億ドルのゲーム市場は、映画を以外の音楽や本などのエンターテイメント媒体を抜き、今やメディア市場で世界2位の地位を築いています。

ゲームをする人々は楽しんでいます。ゲームを商売にし販売している人々も、暮らしを謳歌しています。ゲーム制作会社の株主は、儲かっています。しかし、何十、何百、あるいは何千ものプレーヤーや、様々な種類のWebクライアント機器に対応しなければならないオンライン・ゲーム開発者にとって、楽しみやゲーム感覚は無縁です。オンライン・ゲームは、高価で時間がかかり、リスクが高く、その上しばしば挫折感を伴う冒険なのです。

Sun Labsはこの現状を変えようと試みています。カリフォルニア州サンノゼで開かれた2006 Game Developers Conference(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)で一般公開されたProject Darkstarは、サンの開発ツール、Javaテクノロジ、および拡張性の高いバックエンド・インフラストラクチャを活用してゲームの開発過程を単純化し、実質的にどのクライアント機器を使用するプレーヤー向けにも大規模な展開を可能にします。Sun Labsのサイト、http://www.projectdarkstar.comから、クライアント側およびサーバ側のコード作成用のソフトウェア開発キット(SDK)アーリーアクセス版を無償ダウンロードできます。

この記事では、Project Darkstarによって開発者が克服できる問題点、および、Sun Labsの技術がすべての種類や規模のゲーム制作会社に対して提案できる新しいビジネス・チャンスについて、より詳しく説明します。

マルチプレーヤー型のゲームには特有の複雑さがつきものであるため、今日のゲーム開発者の大半は、多大なリスクと費用を負担しなければならない立場にあります。Jessica Mulligan(ジェシカ・ムリガン)は、著書「Developing Online Games: Insider's Guide(オンライン・ゲームの開発:インサイダー・ガイド)」の中で、シングルプレーヤー型のゲーム・プロジェクトをマルチプレーヤー型に変更すると、開発費用は最低でも1,000万ドルから3,000万ドルに膨れ上がると見積もっています。これらの費用は、次の4つの要素から生じるものです。

  • サーバ開発コスト:今日のマルチプレーヤー型ゲームの多くは、ゲームのために特別に作成されたゲーム・サーバを使用します。したがって、ゲーム・サーバの作成は、実質的にゲームのクライアント・ソフトウェアの開発という基本プロジェクトに続く第2の開発プロジェクトとなります。
  • サーバ・ルーム構築にかかる費用:ゲームはカスタム・ソフトウェアであるため、一般にゲーム開発者はソフトウェアを実行するカスタム仕様のサーバ・ルームを構築しなければなりません。さらにCPU負荷の予測が非常に困難なため、しばしば余分なCPUリソースを購入して無駄を出したり、リソースが足りずゲームを拡張できない事態に陥ります。
  • サーバ管理コスト:カスタム仕様のサーバ・ルームでカスタム・ソフトウェアを実行するには、独自のサーバ管理チームをトレーニングし配備しなければならず、さらにコストがかさみます。
  • カスタマ・サービスおよびサポート:カスタム・ソフトウェアには、さらにサポートに関する課題がつきものです。しかも、今日使用されているアーキテクチャに伴うサービス品質の課題が、サポート負荷を重くしています。

費用の問題に加え、さらにリスクにも取り組まなければなりません。これらには、次のものが含まれます。

  • 立ち上げの完全な失敗というリスク:2年前に発表された100以上ものゲームのうち、実際に発売されたものは10%未満にすぎません。多くのゲーム・プロジェクトは、サーバ開発の段階で脱落します。
  • 技術および市場のリスク:発売されたゲームでも、技術的問題から市場に受け入れられないものもあります。大人数のユーザに対応していなかったり、基盤のインフラストラクチャにフォールト・トレランスの欠陥があるためにしばしば利用不可になったり、あるいは過剰なカスタマ・サービスの課題に悩まされていたりするのです。
  • 加入者の脱退:ゲーム・プレーヤーは、せっかちなことで有名です。反応が鈍いゲーム、バグのあるサーバ、あるいは低品質のサービスは、飽きやフラストレーションを生み、多くの場合は即座に顧客の不満につながり、その加入者を永久に失うことになります。

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ゲーム業界に詳しいChris Melissinos(クリス・メリシノス)やJeffrey Kesselman(ジェフリー・ケッセルマン)、およびKarl Haberl(カール・ハーバール)の指導の下、Sun Labsは様々な領域でオンライン・ゲーム開発のコストとリスクを打破する技術を開発しています。

「サンはゲーム開発会社ではないので、自分たちでゲームを制作することはしません」と、メリシノスは言います。「しかし私たちは、ゲーム開発者の皆様に高性能な技術を提供することで、負荷を軽減することができます。ゲーム・サーバをゼロから構築し、次にマルチプレーヤー型のシナリオに拡張する方法を考える、というようなことはもはや不要です。負荷の大きい作業はサンの技術が肩代わりするため、ゲーム開発者の皆様にはインフラストラクチャを気にせずゲーム開発に集中していただくことができます。」

Project Darkstarチームがこれまでに制作した、あるいは今制作中の技術には、次のものがあります。

Sun Game Server(SGS):2005 Game Developer Conferenceでプロトタイプとして紹介されたSGSは、業界で唯一、垂直方向と水平方向の拡張が可能なプラットフォームであり、各社はこれを利用してゲームを運営したりサーバ・リソースを追加することができます。SGSならではのアーキテクチャにより、複数の異なるゲームが同一のインフラストラクチャ上で共存できるため、オンライン・ゲームを展開するゲーム会社のシステム総所有経費を軽減します。SGSは次のような方法で開発リスクとコストを軽減します。

  • マルチプレーヤー型ゲーム・サーバの作成を容易にします。ゲーム・プログラマーはただイベント・ハンドリング・コードを作成するだけ、後はシステムがすべてを処理します。ゲーム・サーバのコーディングを、数年ではなく数ヵ月程度で完了することができます。
  • サーバ側の投資リスクをゼロにします。もはや前もって購入しなければならないものはありません。SDKは無償です。Project Darkstarチームは本格的な開発者向けに、インストール済みですぐに使用でき、既存のオフィス・ネットワークで配備可能なオプションの開発システムを研究しています。これにはサンのサポートも含まれ、すべてが低価格で提供される予定です。詳細については、随時お伝えしていきます。
  • ゲームの拡張性を保証します。拡張性の問題はなくなり、ゲームが保証されます。SGSは、業界のどのゲーム・サーバ・ソリューションよりも拡張性の高いものとなるよう、最初から設計されています。
  • ゲーム全体を永続的なものにします。データベース・コードに煩わされることはありません。プレーヤーはゲームをしながら恒久的な変更を加えることができます。システム内のすべてのオブジェクトは、永続性を備えています。
  • ゲームが停止することはありません。フォールト・トレランスやフェイルオーバーでは、サーバ用語で言うところの「99.999%(ファイブナイン)」の信頼性を実現します。サーバが完全にダウンしても、その障害はユーザから隠され、ゲームが中断されることはありません。プレーヤーを邪魔することなく、サーバの追加や削除、サーバ・コードのパッチ適用、あるいはパッチのロールバックを行うことができます。
  • クライアントに左右されません。サンでは、C++、Java2 SE、およびJava2 ME(携帯電話用Java)用のAPIを用意しています。 接続API自体を開発者側で拡張し、固有のクライアントや接続方法を追加することができます。

無償ダウンロードが可能なSDKアーリーアクセス版:この開発キットには、ゲーム開発者がクライアント側とサーバ側双方のすべてのゲームコードを作成するのに必要な要素が含まれています。開発者は、自身のLANまたはWAN接続環境のもとで20人から50人のプレーヤーによるゲームをテストすることができます(正確な人数は、サーバ側のコードで何をしているか、あるいはサーバがインストールされているマシンの規模に左右されます)。

SDKには次のコンポーネントが含まれます。

Sun Game Server, Developer Edition:Sun Game Serverのシングル・マシン版です。複数のサーバ間で拡張できない点以外は、フルバージョンと変わりません。

ドキュメンテーション:SGSのコード作成方法を記載した完全マニュアルです。

サンプル:SDKには3本のゲームが含まれています。Battletrolls(バトルトロール)は、単純なマルチプレーヤー型オンライン・ロールプレイング・ゲーム(MMORPG)です。Stomping Grounds(ストンピング・グラウンド)は、Mind Control Softwareから発売されているマルチプレーヤー型カジュアル・ゲームのデモ・バージョンです。Cosmic Birdie Racing Combat(コスミック・バーディ・レーシング・コンバット)は、Immediate Mode Interactiveから発売されているアクション・ゲームのデモ・バージョンです。

SDKには、Battletrollsのクライアントとサーバー両方の情報が含まれています。さらに、Stomping Groundsのネットワーク・ソースコードも含まれています。

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Project Darkstarは、洗練されたオンライン・ゲームをより多くの人々に提供するだけではありません。オンライン・ゲームのビジネス・モデルの法則にも変革をもたらしています。

他の多くのメディアと同様、ゲーム業界はヒット作品に左右される市場です。消費者の気まぐれな嗜好は業界のすべての関係者にとってリスクを増幅するものですが、1度のミスが壊滅的な財政危機を引き起こしかねないため、小規模のゲーム制作会社にとっては、挑戦はしばしばあまりに高価な賭けとなります。

Project Darkstarは、すべての規模のゲーム制作会社が同じ土俵に立てる環境の構築に大きく貢献します。この技術は、より勢力のある大企業によって葬り去られたり吸収されたりしたかもしれない、おもしろいゲームを市場に送り出すための手段となり得ます。最終目標は、より多くの競争を生み出すことで、より良い製品をより低価格で提供する、というサンが25年間引き継いできた3本柱によるビジネス・モデルです。

さらに、Project Darkstarで開発された技術を使うことで、ゲーム開発者はリソース管理に新たな柔軟性を見出し、収益創出の新しい選択肢を得ることができます。以下はその一例です。

Javaテクノロジの普及により、開発者は真の意味でクライアントに左右されないゲームを制作することができ、自社が開発したゲームの市場を拡大することができます。

サンの「ユーティリティ・コンピューティング」モデルを使用することで、開発者は専用のハードウェアを購入したり管理したりする必要がなくなります。その代わり、必要な時に必要な分だけのコンピュート・リソース費用を支払います。また、サンの「デベロッパー・ユーティリティ」の恩恵を受けることができます。デベロッパー・ユーティリティでは、開発、編集、テスト、デバッグのサイクルを促進し、新しいゲームやコンテンツの市場への配信を加速させる、ラピッド・アプリケーション開発(Rapid Application Development、RAD)ツール、Java Enterprise Systemスタック、テスト用リソース、およびロード管理ツールなど、一般的に使用されるツールセットへ簡単かつオンデマンドにアクセスできます。

ゲーム開発者は、ゲームのライセンス供与方法や収益を得る方法について、幅広い選択が可能になります。例えば、独自のNOCの立ち上げから、完全機能を持つGNOCへの権利譲渡など、様々なモデルでゲームを開発し展開することができます。

「ゲームのプレーヤー、開発者、サン、パートナーに至るまで、オンライン・ゲームに関わるすべての人に多大な影響を及ぼすことができる点こそが、このプロジェクトの一番の魅力です。」と、プロジェクト・リーダーのカール・ハーバールは言います。「しかもこのゲームでは、全員がメリットを得られるのです。」

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