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金融 - 事例
JPMorganのバーチャルリアリティ (1/2)

しかし、JPMorgan Chase (JPMC) の投資銀行システムを管理しているITマネージャ達であれば、「最初の一歩が "仮想" なら問題無い」と付け加えるかもしれません。

コンピューティングパワーを渇望する世のトレーダは、高性能ハードウェアへの仮想化アクセスによって自分たちに必要なIT基盤を手に入れることが可能でしょうか。

諺にもあるように、何事も「千里の道も一歩から」ということです。しかし、JPMorgan Chase (JPMC) の投資銀行システムを管理しているITマネージャ達であれば、「最初の一歩が "仮想" なら問題無い」と付け加えるかもしれません。

もちろん、これは最初の一歩が「仮想=現実ではない」という意味ではありません。仮想こそが「現実」なのです。JPMCには、仮想化を試す非常に具体的な動機が幾つかありました。最も明確な動機は、クレジットデリバティブ業務の取引量の増加です。そのため、アプリケーションチームと営業サイドは、急激に増加しつつある取引業務のために次期アプリケーションプラットフォームへの移行を検討しておりました。JPMCの投資銀行テクノロジ兼、国際クレジット基盤担当副社長で、同社の仮想化プロジェクトで指導的な役割を担うShawn Findlan氏は、「移行の際、クレジット業務サイドからの要求としては、従来のアプリケーションのコードを書き直したり、膨大なコストをかけるという考えはありませんでした。

アプリケーションのコードを書き直すのに時間をかけたり、Linuxやそれに類するものにアプリケーションを移植したりすることを望んではいなかったのです。」と述べています。Findlan氏と、JPMCのクレジット業務兼、新興成長市場業務担当最高技術責任者 (CTO) であるCiaran P. Henryとの緊密な協力関係は、こうして始まりました。

検討されたグリッドコンピューティングは、Waters誌の2002年10月号に特集された先進的なCompute Backbone (CBB) です。Findlan氏とHenry氏は、グリッド・コンピューティング・プロジェクトと仮想化プロジェクトは競合関係では無いと言います。Findlan氏によれば、仮想化プロジェクトとCBBは、サービス指向、システム資源の再配置、稼働率向上などの考え方の点で親類関係にあるとのことです。仮想化プロジェクトでは、そうした考え方をアプリケーション層やデータベース層に拡張します。CBBは仮想化の1形態で、高性能コンピューティングに重点が置かれているのに対し、仮想化プロジェクトは、アプリケーション全体のためのエンド・ツー・エンドサービスを目標にしています。Findlan氏はまた、「演算サービスにCBBを利用できるのであれば、アプリケーションはCBBに送られるでしょう。仮想化は専用ハードウェアからサービスを切り離し、アプリケーションコンポーネントが、目的のサービスを提供する任意の数のプロバイダにサービスを要求できる事を実現します。」とも述べています。

Findlan氏は次のように言葉を加えます。「簡単に言うと、仮想化プロジェクトでは、異機種環境全体のイベントに基づいて、その環境を集中管理することが可能です。グリッド同様、提供するサービスから独立して環境を管理可能です。グリッドコンピューティングと仮想化の大きな違いは、一般的に、グリッドコンピューティングの場合、演算コンポーネントに制限される事です。」

Henry氏は、「CCBと仮想化プロジェクトは補完関係にある。」と言います。「私見では、グリッドは高速のインターコネクトと高速で安価なプロセッサを利用した高性能演算サービスです。これに対し、私たちの定義による仮想化は、これにアプリケーション層とデータベース層におけるエンド・ツー・エンドの管理が加わる事になります。」

さらにHenry氏は、同社の投資銀行テクノロジアーキテクチャ担当副社長で国際共同責任者のAdrian Kunzle氏について言及しながら、「私達は、KunzleがリーダーとなったCBBプロジェクトで目覚しい成果を得ました。」とも付け加えています。「ただし、さらにCBBと仮想化を融合させれば、環境全体にもたされるサービスは質・費用・性能の面でさらに良い結果をもたらす事になります。JPMorganで実現しているように両方のソリューションを導入することによって、アプリケーションスタック全体にまたがるメリットを手に入れる事が可能です。」

試験的なプログラムに成功し、仮想化の恩恵を最初に手に入れたのは、クレジット業務グループでした。Findlan氏は、「仮想化プロジェクトはクレジットデリバティブ業務に使用できる。」と指摘します。「他の業務分野の様々な場面にCDIR (Credit Derivatives Infrastructure Refresh) ソリューションを計画、導入しつつあります。」と述べています。「CDIRの仮想化基盤サービスの成功」というこの第一歩によって、急激に増加する取引業務向けの基盤技術を実現する別の選択肢が見えたとも言えるでしょう。

また、Findlan氏は、「実現しなければならかったのは、グリッドコンピューティングで目にしたのと同様の結果を実現する方法を見つける事です。」と言います。最終的には、JPMorganは、急激な変化をみせる市場の要求に遅れを取らない、高い拡張性、高性能のCPU資源利用方法を手に入れることを望んでいます。JPMCで仮想化が広く受け入れられれば、オンデマンド・コンピューティングを必要とするトレーダは超高速のハードウェアにアクセスして、以前よりもより早く、そして非常に複雑な取引を処理できるようになるでしょう。「複数のハードウェアプラットフォーム、複数のOS、同じアプリケーションの複数の層にまたがってそれらの事を実現できる方法を見つける事が、私達の望んでいる事です。」

この2つのコンピューティングモードに共通しているのは、多くのステップと変革が求められる事です。

予想される大きな変革の1つは、クレジット業務グループの寄せ集めのハードウェアシステムを段階的に廃止していく事です。寄せ集めのシステムでは、最新技術が結集されたサーバが持つ総保有コスト (TCO) のメリットが無く、非常に多くの維持費がかかるようになっていました。仮想化プロジェクトによって、銀行はクレジット業務グループのIT基盤を全体的に把握できるようになります。「基盤やプラットフォームの再設計をどのように行なったのでしょうか。結果から言うと、異なる20のハードウェアプラットフォームを3つにしました。」とFindlan氏は言います。

ありきたりの従来のベンダやモデル、ハードウェアアーキテクチャの組み合わせでは、2ウェイ、4ウェイ、8ウェイ、32ウェイのサーバが混在していました。これが3つのハードウェアモデル (1つはIBM、2つはサン) に整理されています。「これだけでも、簡素化によって大幅な運用コストの節約になり、柔軟性が向上しました。」と評価されています。

JPMorganはこのプロジェクトの中でいくつかの支援を受けました。サンはハイエンドのSun Fire F15Kプラットフォーム、IBMはIBM x335 2ウェイサーバを提供しています。Findlan氏は、「サン・マイクロシステムズはプロジェクトの立ち上げから関与し、JPMorganがこのソリューションの設計支援をするところまでその関わりを深めていきました。サンが派遣した数人のコンサルタントが、プロジェクトの様々な段階を通じて社内チームを補完する役割を果たしてくれました。」と述べています。この有償コンサルタントサービスに加えて、サンはカリフォルニアのiForce Lab.でアプリケーションと仮想化ソリューションをテストするための機器の貸し出しを含む環境を提供し、導入前の重要なコンサルティングを実施しました。

JPMorganの仮想化チームの中核グループは15人で構成され、アプリケーション開発とIT基盤を担当しています。このグループに、必要に応じて随時営業サイドの担当グループの約15人が加わりました。「プログラムの構想は、2003年3月に始まりました。正式に予算がおり、第1段階のServer Consolidation & Refreshに着手したのが2004年3月です。」とFindlan氏は言います。「自社と取引先ベンダに理解が必要なある新しい技術や構想、工程を検討してテストし、構築に必要なR&Dの時間を十分にかけることによって、このプロジェクトを成功させようと考えていました。ここでこれらを徹底しておけば、次の導入の際にそのチームは大幅に導入時間を短縮することが可能です。」

こうして、旧来型のの寄せ集めされたハードウェアの残りの現役日数が数えられていきました。「その多くは現役を離れ、一部は開発に使われています。最終的には、それら全てが現役を退くことになるでしょう。」残るのは、「社内開発した従来型のアプリケーションで、これが鍵になるのではないでしょうか。」

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