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製造
 
 

2004年4月

注目されなかったMESがPLMに導入された理由

プロダクトライフサイクルマネジメントソリューションと生産実行システムとの統合で明るい未来が開かれます。

プロダクトライフサイクルマネジメント(product lifecycle management、PLM)ソリューションは、一見したところすばらしい考え方であるように思えます。PLMソリューションを導入すれば、設計フェーズや工程定義に始まって果ては保守やサポートに至るまで、製品を終始追跡することができるはずです。各ステージを監視すれば効率も上がるでしょうし、製品の誕生から終焉まで一貫して追跡することで豊富な情報が蓄積されるでしょう。

しかし実際は違います。PLMソリューションの登場から数年がたちましたが、本来の使い方を実現している製造業者はほとんどないというのが実情です。

「この市場における問題点の一つは、これまでPLMを販売してきた企業がPLMのソフトウェアとプロセスを同じように認識してしまっていたという点です」と語るのは、サンで製造業向けのグローバルビジョンと戦略を担当するBill Gerouldです。「PLMはプロセスなのです。」

PLMはプロセスです。そして、このプロセスの実行には政治的に絡まっている関係をほぐすことが必要です。

Gerouldは次のように述べています。「製造業者の内部にはサイロのように閉じた組織がいくつもあります。製品開発部門、製造部門、マーケティング部門、販売部門などです。どの部門も、組織内のほかの部分と連動しながら独自のやり方で仕事をしています。このようなサイロすべてが共通のPLMプラットフォームを利用するというのは容易ではありません。そんなソリューションなど一つもないのです。したがって、まず必要なのは、組織間の障壁を取り去って政治的に絡まってしまった関係をほぐし、プロセスや所有権について全員から同意を得ることです。」

協調的な生産実行を専門とするソフトウェア会社Visipriseの戦略およびビジネス推進部門統括責任者であるCarter Johnson氏もこの考え方に同調しています。「PLMは単なる技術とかソフトウェアパッケージではなく、ビジネス戦略です。製品の誕生から製造を経て販売後のサポートに至るまで製品の分析と監視を行うというビジネスの方針です。大勢の人とプロセスで編成されるものなのです。」

PLMの切り売りとROI

PLMの妨げとなる要素としては、このほかにコストの増加や投資回収率(return on investment、ROI)へのこだわりもあります。しかし、PLMソリューションを完全に実装しようとするなら、時間やお金も必要ですし、独自の生産プロセスに対する理解も必要です。

「誰も彼も、これに投資したらどれくらいの期間で回収できるかを知りたがります」とGerouldは述べています。

その結果、PLMを切り売りするベンダーが増えました。そうすれば財務責任者(CFO)の理解を得やすいからです。Gerouldは言います。「切り売りされたPLMを導入すれば、確かに短い期間で投資を回収できます。」

ところが、このようなアプローチが偶然にも良い結果をもたらしたのです。MES(manufacturing execution system、MES)をPLMに統合するという新しい動きです。MESは設計フェーズとサポートフェーズを結合させる接着剤のような役割を果たすシステムですが、企業向けアプリケーションの一種としては長いこと日の目を見ませんでした。MESは、設計、工程、材料、労働力、設備などあらゆるものを生産現場で結合させますが、最も重要なのは、知識も結合するという点です。知識とは、どこで学習したか、何を構築したか、どのように構築したか、ということです。さらに、どこで決定がくだされたか、計画されたものが実際に製造されたか、それは意図どおりに製造されたか、というところまで含まれています。

ですから、生産現場からできる限り多くの情報をリアルタイムに得るためにMESが必要であると製造業者が考えたとしても不思議ではありません。ところが、そうはならなかったのです。

UGS-PLM SolutionsでUnigraphics NX Manufacturingのマーケティング担当部長を務めるVynce Paradise氏は、次のように述べています。「機能の面で、製造時点というものはまったく顧みられていませんでした。PLM関係者の間では長いこと相手にされていなかったのです。」

しかし、Johnson氏とParadise氏によると、状況は変わりつつあります。

Johnson氏はこう述べています。「どこの企業でももはやERPからは限界まで搾り取ってしまったし、サプライチェーンにも精通しています。そして今度は、効率化と節約を求めて生産現場に目を向け始めたのです。」

また、Paradise氏も次のように述べています。「どんな製品をどこでどのように作るかという計画と、その計画の実行とを、製造時点で結び付けることの重要性に多くの人が気づき始めています。」

そしてそのプロセスの中で、PLMは絵に描いた餅から脱し、現実味のある有効な戦略へと徐々に近づいていくでしょう。

「機能の面で、製造時点というものはまったく顧みられていませんでした。PLM関係者の間では長いこと相手にされていなかったのです。」

細やかな気配り

VisipriseやUGS-PLMは、個別の製造業向けソリューションの生産におけるサンのパートナー企業ですが、これらの会社が製造業者に対して示すのはまさに、PLMの適切な導入にとってMESがいかに重要かという点です。生産現場の作業員が細かいところまで気を配らなければ、求めている結果を得ることはできません。

「生産現場で起こることは非常に重要です」とParadise氏は言います。「かりに、ある人が航空機のエンジンを作っているとしましょう。いうまでもなく、彼は設計フェーズや工程計画フェーズからの指示を忠実に守ろうとします。手順1から手順5まで、何か月も前にPLMで作成されたもので、私は現場がその指示を忠実に実行してくれることを強く望んでいます。つまり、一人一人の作業員が、適切な版の指示書に従い、計画どおりに正しく製品を作ってくれることを望むわけです。」

「続いて、製品がどのように作られたかという情報を集めようとします。材料、部品、作業者などの情報です。そしてこれをPLMデータベースにフィードバックし、製品がどのように作られたかを知ります。製造のサポートややり直しが必要な場合には情報を下流に移します。こうすれば何もかもゼロから作る必要がなくなります。」

Johnson氏はInTech Magazine誌の2003年5月号に掲載された白書の執筆に加わっていますが、その中でこのように述べています。「PLM戦略を成し遂げるためにどの程度の情報レベルが必要かが理解されるようになれば、その戦略におけるMESの重要性も明らかになります。MESでは、製品の系譜や材料の使用量、それに労働力や設備の生産性などの製造データが、極めて詳細なレベルで集められます。それらの情報をPLMソフトウェアに流し込めば、将来的に設計や計画定義の最適化を行うために不可欠な製造データが得られるのです。」

また、同氏は次のようにつけ加えています。「以前は、設計や工程のフェーズから製造への受渡しが実質的に手作業で行われていました。これはよく「壁の向こうに放り投げる」などと言われ、技術サイドと製造サイドの間でコミュニケーションがなく見えない壁ができていることを表しています。しかし今は違います。各企業は戦略を成熟させています。MESをPLMに組み込めば、管理者は企画段階から製造、そしてサービス、保守に至るまで、工場全体を見渡せるようになります。」

そしてそのプロセスの中で、PLMは絵に描いた餅から脱し、現実味のある有効な戦略へと徐々に近づいていくでしょう。


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