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製造
 
 

2004年4月

電子設計のためのソリューションガイド

マーケットや仕事量が急速に変化する環境にある企業や学術・研究機関では、グリッドコンピューティングの採用によって、コンピュータ能力を必要な場所ですぐに使用することが可能になります。

仕事量の変化にダイナミックに対応するための鍵は柔軟性です。マーケットが急速に変化する業界では、企業や研究機関はコンピュータ能力を必要な場所ですぐに使用できることが求められます。もし、必要な時にシステムをダイナミックに作ることができるなら、それらのリソースを上手く活用しイノベーションを進めることができ、よりよい成果をあげることができるでしょう。これを今すぐ可能にするものがグリッドコンピューティングなのです。

グリッドコンピューティングの概要

ネットワークの帯域が広がり、コンピュータ処理能力が高まり、分散コンピューティング方法論が採用されるようになったことで、新たなより良いコンピューティングを望む声が高まってきました。営利企業や学術・研究機関は一様に、こうした進歩を活用し事業を改革するための新たな技術や事例を模索しています。

しかし、多くの課題が残されています。研究開発費の増大、製品化までの時間の短縮、スループットの向上、品質改善とイノベーションの推進は、常に経営者の頭を占める重要事項です。コンピューティングの要求が組織の能力を上回り、増大する仕事量の要求を満たすだけの十分なリソースを確保できないでいるのです。

グリッドコンピューティングは、複数のグループで一連のリソースを共有できるだけでなく、ピーク需要の問題も解決します。あるグループがプロジェクトを終えリソースをほとんど必要としなくなっている時、別のグループがピーク需要を迎えるテープアウト期間に入っているかもしれません。

これらの課題の第一は、仕事量の変化にダイナミックに対応することです。これを解決する鍵は柔軟性です。マーケットが急速に変化する業界では、企業や研究機関はコンピュータ能力を必要な場所ですぐに使用できることが求められます。もし、必要な時にシステムをダイナミックに作ることができるなら、それらのリソースを生かしてイノベーションを進め、より良い成果をあげることができるでしょう。今すぐこれを実現できると想像してみて下さい。グリッドコンピューティングによって、実現できるのです。

電子設計におけるグリッドコンピューティング

本項では、電子設計という分野の特性について述べた上で、このダイナミックで変化の速いビジネス分野における種々の課題がグリッドコンピューティングによってどのように解決されるかを概説します。

ビジネスおよび技術上の問題

電子設計企業は、コンピュータチップや携帯電話、人工衛星から、ルーター、スイッチ、サーバーに至るまで、さまざまな製品を作っています。電子設計の生産サイクルは設計部門による設計様式のモデル化に基づいています。また、最終製品が完全かつ正確で製造可能なものとなるよう多数の構成部品の複雑な相互作用の解析が行われますが、これも生産サイクルに影響を与えます。設計が複雑になればなるほどコンピュータ能力への要求は増大します。市場の競争が激しく、納期が急速に短縮されているためです。 多くの電子設計企業では、さまざまな問題を抱えています。

  • この業界は競争が非常に激しいため、製品化までの時間が決定的な意味を持ちます。1か月の製品投入の遅れが企業を倒産に追い込む場合もあるのです。逆に、製品を早期に投入すれば、先行者優位に立つことができ、多大な利益がもたらされます。


  • EDA(Electronic Design Automation)アプリケーションは高価で、多くの場合ワークステーション1台の値段の50倍から100倍にもなります。高価なアプリケーションは、できるだけ速いプロセッサで動作させるのが一番です。アプリケーションを常に稼動状態にしておき、与えられた期間内にできるだけ多くのジョブを実行させれば、ライセンスの投資回収率(Retern On Investment、ROI)を高めることができます。


  • EDA設計には複数のアプリケーションが必要ですが、それらはジョブごとに異なるコンピュータリソースを必要とします。アプリケーションごとに最適なハードウェア設定を用意するためです。バックエンドツールの多くは64ビットプロセッサで実行するのが最適ですが、フロントエンドツールの多くは32ビットプロセッサ用に最適化されています。コンピュータリソースの理想的な組み合わせはアプリケーションの構成によって決まります。


  • EDA設計では非常に多くのコンピューティングジョブが生成されます。このような要求を満たすのは、ジョブの大きさに応じた適切な容量のメモリーと利用可能なCPUを搭載するラックです。多くの企業では床面積が貴重なので、密集させることも重要なのです。


  • コンピュータ能力のピーク需要はほとんどの場合、設計サイクルの最後の20%の工程に中ります。企業は、平均需要に合わせてハードウェアを調達するべきか、あるいはピーク需要に合わせるべきか、ジレンマに陥ります。平均需要に合わせれば、リソースを常にフル稼働させておけますが、プロジェクトのテープアウト期間に当たるピーク時にはジョブが待たされ、設計サイクルが延びてしまいます。一方ピーク需要に合わせれば、リソースをいつでも利用できるので期限内にジョブを終了できますが、コストが高いうえ、プロジェクト期間の80%はリソースが遊休状態になってしまいます。

  • 電子設計企業では、複数のプロジェクトや複数のグループが存在するのが普通です。しかしたいていの場合、グループごとに個別にコンピュータリソースを抱えており、ほかのグループと共有することはほとんどありません。それは、リソースのセキュリティーを守るためということもありますが、自分たちが必要な時に使えるようにしておきたいという理由でもあるのです。


  • EDA環境の設定や管理も難題です。コンピュータサーバーのラックを持つ多くの企業では、それぞれのコンピュータノードに標準的なソフトウェアイメージを1個ずつロードすることを望んでいます。こうすると冗長化でき、管理も容易になるのです。一つのノードがダウンしても、別のノードでジョブを実行できるからです。全ノードが同じように見え、同じツールセットをもっているならば、ノードの修復やリプレースも新たなノードの追加も簡単で、しかもシームレスに実行できます。

これに加え、EDAアプリケーションには次のような特長がしばしばみられます。

  • 計算量やメモリー使用量が多い


  • 単一のバッチジョブであり、並行処理は行われない


  • あるジョブの起動前に別のジョブが完了していなければならないなど、ジョブ間に依存関係が存在する場合がある


  • あるジョブから別のバッチジョブを生成する場合がある

ソリューションの提案

グリッドコンピューティングを導入すれば、電子設計企業ではあらゆるコンピューティングリソースを十分に活用できるようになります。それにはハードウェアやソフトウェア、エンジニアリング時間も含まれます。そしてこれが最も重要なことですが、グリッドコンピューティングによって製品の信頼性を高めたり多機能化することができるうえ、製品を予定どおりの時期に、あるいは早期に市場に投入できるのです。 グリッドコンピューティングの核となるのは、いつでも確実に、しかも安価に広範なコンピュータ能力を利用できるコンピューティング基盤であるという点です。仮想的なシステムに一連の資産を蓄えておくことで、分散された強力なリソースを単一のアクセスポイントから利用できるのです。

前述のように、多くのEDA企業は複数のグループや複数のプロジェクトを抱えています。多くの場合、各グループが個別にリソースを所有しています。リソースは共有される場合もありますが、それは人手による決定過程によるものです。つまり、各グループのリーダーが集まって、期間限定で他グループのリソースにアクセスすることに同意するというわけです。これは効率的とはいえません。

グリッドコンピューティングならば、異なるグループ間で自動的にリソースの共有を行えます。典型的な設定は、各グループが必要に応じて自分のリソースにアクセスできるようにしておき、そのグループが使用していないときに限ってほかのグループからの利用を認めるというものです。

複数のグループが一連の共有リソースを分かち合うグリッドコンピューティングによって、ピーク需要の問題も解決されます。あるグループがプロジェクトを終えリソースをほとんど必要としなくなっているとき、別のグループがピーク需要を迎えるテープアウト期間に入っているかもしれません。リソースを共有すれば、ハードウェア、アプリケーションライセンス、エンジニアの時間などのリソースを全面的に活用してプロジェクトを予定どおりに完了することができます。

地理的な位置を超えてグリッドコンピューティングを拡張し、グローバルグリッドを形成することもできます。そうすれば、離れた場所にあるオフィス毎にグリッドを形成する場合に比べて、リソースの活用の度合いはさらに増します。時間帯をまたがった本格的なグリッドコンピューティングを実現するには、他のベンダーの技術を用いてデータやセキュリティー面に対処することが必要です。Avaki、Globusプロジェクト、SRBなどがこれらの技術を提供しています。また、クライアント・ソリューションとサンのサービスパートナがこうしたソリューションの開発を支援します。

以下の節では、典型的なEDA環境にとって理想的なハードウェア、ソフトウェア、サービスコンポーネントについて述べます。企業の生産性を飛躍的に向上させる青写真を提供するのがねらいです。

ハードウェア

理想的なハードウェア環境は、主要なアプリケーションにとって最適なプラットフォームを形成することに重点を置いたものです。ベンチマークを見ると、サンのシステムは多くのアプリケーションにとって理想的なプラットフォームであることがわかります。ここでは、いくつかの指針について述べるにとどめます。企業の目標を達成するための最適なリソースの選定にあたっては、クライアント・ソリューションによる各企業のコンピュータ環境のアセスメントを実施することを強く推奨します。サンのアセスメント・サービスへの投資効果は、通常は容易に確認することができるでしょう。長い間待つ必要はありません。

デスクトップでは、ほとんどの環境でシンクライアントが最適です。デスクトップにコンピュータ能力があるなら、使わないときには仮想的なコンピュートファームに組み込んでおくとよいでしょう。マシンがいつ対話型作業に使われているか、あるいはいつバッチジョブに使えるかは、分散リソース管理(Distributed Resource Management、DRM)ソフトウェアであるSun ONE Grid Engineが判断します。

コンピュートファームを導入すると、リソースが集中的に管理され、すべてのグループがDRMを介してリソースにアクセスできるようになります。ただし、リモートログインは行えません。 コンピュートファームに組み込まれるマシンには、以下の種類があります。

  • ワークステーション - 高密度化の必要がない場合。


  • ラックマウントサーバー - 通常ハイエンドプロセッサを搭載しており、高価なソフトウェアライセンスに適しています。高速インターコネクトを実装できますが、EDAアプリケーションの実行にはほとんど必要ありません。


  • Solarisファーム - 高密度化に適しています。また、高い性能や大容量メモリーを必要とするアプリケーションの実行にも適しています。


  • Linuxファーム - 高密度化に適しています。また、32ビットCPU用に最適化された大規模なジョブの実行にも適しています。ただし、メモリーの使用量には若干の制限があります。


  • クラスタグリッド - ラックマウント型のハイエンドシステムで、高密度化に適しています。LinuxとSolarisに対応し、両方使用することもできます。必要ならば高速インターコネクトの実装も可能です。


  • 対称型マルチプロセッサ(Symmetric MultiProcessor、SMP)サーバー - 大容量メモリーを必要とするアプリケーションや、多数のCPUを必要とするアプリケーションに適しています。また、マルチスレッドアプリケーションにも適していますが、EDAでは一般的ではありません。適切な容量のメモリーを搭載したSMPサーバーはコンピュートファーム構成の補強に役立ちます。


  • ブレード - 高密度化に非常に適しています。ブレードが適合するかどうかは、アプリケーションのメモリーおよびCPU要件を確認してください。一般にブレードはシングルCPUで、プロセッサ速度も若干遅いのが普通です。
サンは組み込み可能なオプションの強力なセットを用意しています。各自の環境に合わせて最適な構成を選択してください。サンのグリッド・プロフェッショナル・サービスや販売パートナにご相談くだされば最適な構成の選択を支援します。

ソフトウェア

サンのグリッドソリューションを支えるソフトウェア製品には以下のものがあります。

  • Sun ONE Grid Portal


  • Sun ONE Grid Engine, Enterprise Edition
Sun ONE Grid Engineはクラスタグリッドソリューションの技術を実現するものです。クラスタグリッドとは通常、一つのグループだけで用いる一組のコンピュータリソースを意味します。

この製品は、ジョブを最適かつ利用可能なコンピュータに分散させるリソース管理機能を提供します。 Sun ONE Grid Engine, Enterprise Editionは、エンタープライズグリッドの技術を実現するものです。エンタープライズグリッドとは通常、複数グループで共有する一連の大規模なコンピュータリソースを意味します。管理者が設定したポリシーに従ってリソースを複数のグループに割り当てることができます。

Sun ONE Grid Portalは、Sun ONE Grid EngineとSun ONE Enterprise EditionのWebベースのフロントエンドです。この製品を使用すると、利用可能なコンピュータリソースへのアクセスが容易になります。Sun ONE Grid Portalを用いてASP配信モデルを実装することも可能です。サンはこのソフトウェアをオープンソースで開発していますので、クライアント・ソリューションやパートナとの協調により異機種間のグリッドコンピューティングを実現できます。また、IT基盤に固有の要求に応じてこれらの製品をチューニングすることも可能です。

プロフェッショナル・サービス

サン・クライアントソリューションのミッションは業界最高レベルのサービスを提供することです。これによってサンのユーザーは、世界一拡張性に富み可用性に優れたネットワーク型のコンピューティングプラットフォームを構築し、実装し、管理することができます。

グリッドコンピューティングに特化した標準的なサービスには、以下のものがあります。

  • アセスメント・サービス
    サン・グリッド・アセスメント・サービスは、業界や企業や特定のコンピュータ環境が直面する問題点に焦点を当てて、ユーザーのコンピュータ環境を調査します。問題点の概要と、それに対するソリューションとしてどのような選択肢があるかを示し、推奨するソリューションを提示します。


  • グリッドに関するアーキテクチャーサービス
    サン・グリッド・アーキテクチャー・サービスは企業の目的に合わせてチューニングしたアーキテクチャーを提供します。このサービスは、データセンターからアプリケーションまでの技術スタックを調査し、最適なアーキテクチャーについて詳述します。最適なアーキテクチャーとは、企業の目的に適合し、求められる一連のサービスレベル合意書に応じて機能するものです。


  • グリッドに関する実装およびアプリケーション準備サービス
    サン・グリッド・インプリメンテーション・サービスは、可用性に優れたアプリケーション対応のプラットフォームを実現するためのサービスです。ユーザーのビジネスニーズに合わせて調整を行い、可用性の目標を満たすように構築します。このサービスによって、アプリケーションの受け入れ態勢が整ったシステムアーキテクチャーが実現します。


  • 関連実装の構築
    Sun CRS(Customer Ready Systems)プログラムは、サンのハードウェアとサードパーティー製の補完的ハードウェアとソフトウェア製品を統合し、「配備準備完了」のシステムソリューションを作り上げます。このシステムソリューションは、ISO9002認証を取得したサンの工場においてユーザーの仕様書に則って構築されるので、簡単・安全・迅速に配備を行うことができ、統合や配備の時間が大幅に削減されます。

サポート・サービス

サン・サービスはサンの全製品に対して適用され、様々なサポートレベルがあります。異機種環境のサポートは、サンのパートナ企業またはクライアント・ソリューションが提供するサービスが対応しますが、詳細は弊社若しくはパート企業にお問い合わせ下さい。

ユーザー事例

グリッドケーススタディでは、さまざまなユーザー事例やユーザーのコメントを紹介しています。特にEDA関連のユーザー事例に興味をおもちの方は、Ericsson、Motorola、Sony Semiconductor、Synopsysの記事を参照してください。

Synopsysは、グリッドコンピューティングの利点について次のように強調しています。

「Sun ONE Grid Engineソフトウェアを導入したことで、ジョブを実行するために空いているリソースを探すという手間がいらなくなりました。おかげで、当社のソフトウェアエンジニアはソフトウェアの開発に注力できます。ワークグループの共同作業における従来のボトルネックはSun ONE Grid Engineソフトウェアによって解消され、生産性が向上しました。その結果、与えられた時間内により多くのジョブを実行できるようになったのです。」


   ネットワークエッジにおけるコンピューティング
  エッジコンピューティングの効果は、生産性の向上やビジネスの効率化だけではありません。既存のコンピューティングリソースからより多くのものを得られるようになります。