ネットとITの進化により、新しいITの活用法としてWebプラットフォームを中心とするWeb2.0という考え方が提唱され、ここ数年、ビジネスの世界に大きな変革をもたらしています。日々新しいサービスが凄まじいスピードで開発・実装されており、これまでの常識を超えたこの進化は既存産業の枠を超え、さらなる発展を遂げようとしています。
こうした新しいサービスを支えるITインフラの構築においては、従来の考え方とは異なる新しい発想が必要です。ネットワーク・トラフィックの高負荷に耐え、拡張性、柔軟性に富んだITインフラは必要不可欠ですが、新たなサービスを提供するたびにインフラを増強していたのでは運用管理のコストもかさむばかりです。小さく初めて、大きく成長させ、かつ確実に利益に結び付けられる最適なコンピューティング環境がここでは求められます。
そこで、今後ますます進化するネットサービス支えるITインフラの現状とあるべき姿を描きながら、ビジネスを成功へと導く方法を考えてみましょう。ここでは、ネットサービスのライフ・サイクルを3つのステージにわけて、それぞれのステージの重要課題をとりあげます。
ネットサービスにおけるITインフラが抱える課題
図1は、ネットサービスの発展とITコストの関係を概念的に表したものです。ネットサービスは「小さくはじめて大きく育てる」と言われるように、マーケットの成長に合わせて徐々にビジネスを拡大させ、ITシステムを拡張するというアプローチが一般的です。また、初期コストを抑えるという目的から、できるだけ安価なハードウェア・ソフトウェアから始める傾向にあります。しかしながら、サービス規模が拡大するとサーバ数が増え、その結果、システムの運用管理のコストが飛躍的に増大する傾向にあります。
図1:ネットサービスの発展段階における課題と解決策
導入期:オープン・スタンダードな技術を使って独自サービスを作る
ネットサービスは、ユーザの声を聞きながら開発・改良が繰り返されるため「永遠のベータ版」とも呼ばれることもありますが、そこではマーケットの変化に追従するスピードと、サービス開始のコストやリスクの低減が重要視されます。できるだけ安価かつスピーディにシステムを構築することが求めらるため、オープン・ソース・ソフトウェアの利用は、もはや当然とも言えます。
しかし、世の中に無数とあるオープン・ソース・ソフトウェアの中からビジネス目的に合った適切なものを選び、活用していくには、コミュニティの存在が必要不可欠です。開発スピードの向上に貢献するノウハウが蓄積されているか、トラブルの発生時に適切な対応を教示してくれるコミュニティと良好な関係を築くことが重要です。
課題:
- オープンソースソフトウェアの活用
- オープン・コミュニティとの共生
- 既存サービス群との連携
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成長期:スケールアウト戦略でサービス拡大を加速
サービスがマーケットに受け入れられ、当初想定していた成長を上回るスピードでその利用が拡大するとITインフラは次のステージの課題に直面します。急激なコンピューティング・リソースの需要増への対応です。レスポンスタイムの遅延やサービスの中断、管理コストの爆発的な増加などは、その先のビジネスの発展にはあってはならないことです。
多くのネットサービス事業の先駆者たちは、これらの問題を克服するために低価格のサーバを水平に並べて、演算処理・トランザクション処理を分散するスケールアウト・アーキテクチャを採用しています。初期コストを抑え、需要の変化に柔軟に対応できるスケーラブルなITインフラを実現することが可能です。
しかしながら、いくら安価なサーバとはいえ、膨大な数のサーバの運用には人手もかかるため、運用コストの増大を招きます。規模の拡大が大幅なコストの増大につながるようでは、ビジネスの成長を減速しかねません。大規模で複雑なシステムの運用管理がこの段階での大きな課題といえます。
さらに、商用ソフトウェアと異なり、オープン・ソース・ソフトウェアの利用はそもそもコミュニティの相互協力によって成り立っているため、自己責任での利用が原則です。このため、ドキュメントの不足、バグ修正への対応、トラブル時の責任範囲のあいまいさなどの課題を抱えています。すべてのユーザがこれらの課題を解決できているわけではなく、オープン・ソース・ソフトウェアを適切に活用できていない例も存在します。
課題:
- スケーラビリティの向上
- パフォーマンスの向上
- 高可用性の向上
- システム規模拡大に伴う運用管理(メンテナンス、監視)
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発展期:全体最適化された統合インフラを追求する
日々新しいネットサービスが登場する中、サービスの安定的な提供を支えるにはITインフラの増強は欠かせません。低価格なサーバをスケールアウトすることによってあるレベルまでのサービス需要には対応できるでしょう。しかし、それを超える要求に対応するためには、データセンターの効率利用のために個々のサーバのスケール・アップやサーバ統合も必要不可欠です。現在、多くのサービス事業者が、サーバ、ストレージなどのコンピューティング・リソースの増強によって、電力供給、発熱対策、設置スペースという3つの共通問題に直面しています。
システム全体でコンピューティング・リソースの最適化を図り、アプリケーションやデータ資産を有効活用することで、結果的には電気代や設置コストを含むITコスト削減、サービス・レベルの確保、スケーラビリティ、およびセキュリティの向上にもつながります。
課題:
- 消費電力と設置スペースの増大
- サーバ統合、仮想化
- スループット・コンピューティング
- 既存システムとの連携
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